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イノーバマーケティングチーム2025/03/24 11:46:201 min read

セールスベロシティ①|リードが商談につながらないのはなぜ?

「リードが溜まるばかりで、商談が思うように増えない…」

こうした課題を抱えるBtoB企業は少なくありません。

実は、リードが商談に至るまでのプロセスには、多くの企業が見落としている重要なポイントがあります。

本記事では、まず「なぜ商談が増えないのか?」を解き明かし、商談化率を高める方法を解説します。さらに、シリーズ全体では商談後のプロセスにも着目し、受注までの流れをどう最適化するかという視点で、全体の成果を最大化する仕組みづくりについて掘り下げていきます。

鍵となるのは、「受注までの効率性」を測るセンサー「セールスベロシティ」。

このセールベロシティを評価することで、営業プロセス全体を見直し、効率を高めながら受注の最大化につなげる道筋が見えてきます。

まず今回は、商談化率を上げるための課題と解決策を深掘りしていきましょう。

 

この記事を読むと得られること

  • リードが商談につながらない原因を理解できる
  • マーケティングと営業の組織的な課題がわかる
  • 従来のKPI設計の課題とその改善策がわかる

目次

 

デジタル化で変わる購買行動

近年、BtoB取引での購買プロセスは大きく変化しています。顧客は営業と話す前に自ら情報を収集し、比較検討を進めるようになってきました。

▼複雑な購買プロセスの中の全工程で、個客は主体的に情報収集をおこなっている

Gartner社の資料をもとに作成

また、購買の全プロセスにおいてオンラインでの情報収集が一般的になっており、購買者の75%が製品に関する情報を自ら収集することを好み、57%が過去1年間に営業と一度も会わずにツールを購入したというデータもあります。

出典:B2B Buyers: The Latest Stats Salespeople Must Know|HubSpot, Inc.

▶関連記事:BtoBブランディング②|デジタル時代の顧客行動とは?データで見る劇的な変化

従来の営業プロセスでは、「営業がリードにアプローチし、課題を聞き出し、ソリューションを提案する」という流れが一般的でした。しかし、この従来型のアプローチでは、商談に至る前に顧客を取り逃がす可能性が高まっています。

これからは、マーケティングが適切なタイミングで情報を提供し、顧客の購買意欲を高めることで、営業がアプローチする前から商談につながる流れを作る必要があります。

つまり、マーケティング起点で商談の機会を作ることがより重要になっているのです。

マーケティングと営業の間にあるギャップ

しかし、マーケティングチームから営業チームに渡されたリードの商談では、以下のような課題が頻発しています。

「リードの質がいまいち」「温度感が低くて商談に進まない」「ターゲットの絞り込みが甘い」「マーケティングがリードの数ばかり追っている」…つまり、マーケティングが獲得したリードは、営業がすぐに商談へつなげられる状態になっていないのです。

この背景には、リードが適切に管理・活用されていないことによる「水漏れファネル問題」 があります。

 

「水漏れファネル」問題

本記事でいう「水漏れファネル」とは、せっかくリードを獲得しても適切にフォローされず、商談につながらないまま流出してしまう状態のことを指します。

Forrester Research社の資料を元に作成

 

この問題は、以下の3つの過程を経て発生します。

1.マーケティングから営業へのリードの受け渡しが早すぎる

マーケティング施策によってリードを獲得すると、多くの企業ではすぐに営業へトスアップ します。しかし、この段階ではリードがまだ情報収集フェーズにあり、具体的な検討に至っていないケースが多いのです。

 

営業としては、まだ課題が明確でないリードに時間をかけても商談につながりにくく、「ターゲットとしての成熟度が低いリードを追いかけることで、営業のリソースが浪費される」 という問題が発生します。

 

2.営業がリードを選り好みし、時間のかかるリードをフォローしない

マーケティングから送られるリードの中には、すぐに商談化するものもあれば、時間をかけてフォローすべきリード も存在します。

しかし、営業は限られた時間の中で効率的に成果を出す必要があるため、短期間で成果につながりやすいリードを優先し、時間がかかりそうなリードは後回しにする傾向があります。

こうして、本来は長期的なフォローによって商談化する可能性のあるリードが、適切なアプローチを受ける機会を失ってしまう のです。

 

3.見込みリードの流出(=ファネルから漏れる)

営業がフォローしきれなかったリードや、営業に渡すのが初期段階すぎたリードは、適切なタイミングでのアプローチを受けられず、関心を失ってしまいます。

結果として、見込みリードがパイプラインから流出し、適切なフォローが実施されず、最終的に他社の顧客になってしまうケースも多発します。そして、失われたリードを再び獲得するには、マーケティングが新たな広告費や施策を投じる必要があり、コストが無駄にかかる という悪循環が発生します。

▶関連記事:失敗事例から学ぶ③|マーケ部門が孤立する構造的問題

このようにして、マーケティングが営業にトスアップしたリードの多くがフォローされず、商談につながらないまま失われてしまうのです。

 

リードの「水漏れ」はなぜ起こるのか?

こうした問題の原因は、「新規リード獲得重視」のKPIにあります。

実際、調査によるとマーケティング施策において重視されているKPIは「新規リード獲得数」が32.1%で1位となっており、多くの企業がリードの数を増やすことを最優先の目標としていることがわかります。

引用元:BtoBマーケティング担当者の受注率に関する意識調査|リサピー®︎

 

さらに、新規リード獲得数をKPIとして優先している理由についても調査が行われており、「マーケティング施策でコントロールできるKPIだから」 が58.0%で1位となっています。つまり、リード獲得数はマーケティングが直接管理しやすい指標であるため、目標として設定されやすいという実態があります。

引用元:BtoBマーケティング担当者の受注率に関する意識調査|リサピー®︎

 

しかし、マーケティング活動において「新規リード獲得数」をKPIとして重視しすぎると、商談化しにくいリードが大量に集まり、結果として営業の負担が増え、リードの多くが放置されるという課題が生まれます。

リードを分類すると、以下の3タイプに分けられます。

  • いますぐリード(5%):すぐに商談化する理想的なリードだが、数が少ない。
  • まだまだリード(45%):本来は商談につながる可能性があるが、育成が追いつかず放置されがち。
  • 無駄リード(50%):ターゲット外のリードだが、KPI上は評価されるため無駄に集まってしまう。

このように、リードの数だけを追いかけるKPI設計では、マーケティングと営業の連携が最適化されず、商談機会を逃してしまうのです。

 

商談化率をUPさせる3つの方法

では、どうすればリードの商談化を加速できるのでしょうか?

商談化率を改善するには、以下の3つの視点がポイントになります。

  1. リードを“見極める”仕組みをつくる
    すべてのリードが今すぐ商談化するわけではありません。今すぐ商談化できるかどうかを判断し、関心度が低ければ適切なコンテンツや接点で関心度を高めていくという“仕分けと育成”の体制が鍵になります。
  2. マーケティングと営業の“連携基準”を明確にする
    関心度の高いリードをどういう条件で営業に引き渡すか、その受け渡しルール”を明確に合意しておくことも重要です。これにより、「まだ早すぎる」「誰が対応するか不明」といったミスマッチを防げます。
  3. 顧客の情報を営業に共有する仕組みを整える

どのコンテンツを見て興味を持ったリードなのかを営業に共有することで、初回商談の精度が大きく変わります。

たとえば「ホワイトペーパーをダウンロードして問い合わせたのか」「製品ページを繰り返し閲覧していたのか」などの行動情報を連携することで、提案の的確さや会話の深さが変わってきます。

こうした体制を整えることで、営業が追うべき「本当に価値あるリード」に集中できるようになり、商談化率の向上とともに、営業活動全体の効率化にもつながっていくのです。

※詳しくは、シリーズ第3回第4回の記事で詳しく解説します。

 

商談化しただけでは意味がない?次なる課題

しかし、商談が増えたからといって、それがそのまま受注につながるとは限りません。 実際、営業チームの多くは次のような課題に直面しています。

  • 商談が長引いてヨミが滞留し続ける(検討の長期化、競合比較の複雑化)
  • 成約率が低い(提案内容が顧客ニーズに合っていない、価格面で折り合わない)
  • 営業リソースの最適化ができていない(受注確度の低い案件に時間をかけすぎる)

つまり、商談の数を増やすだけでは、必ずしも売上につながらないのです。
では、限られた営業リソースの中で、どうすれば商談から受注へ効率よくつなげられるのでしょうか?

 

営業の効率性を上げる新たな武器「セールスベロシティ」

ここで鍵となるのが、「セールスベロシティ」 という概念です。

セールスベロシティとは、受注に至るまでの営業プロセス全体の“効率”を測る指標のこと。

この視点を取り入れると、営業プロセスの改善点が明確になり、以下のような効果が期待できます。

  • 商談化のボトルネックが可視化され、適切な改善策を講じられる
  • 営業が優先的にフォローすべきリードを判断しやすくなる
  • 商談の進行スピードを最適化し、売上成長を加速できる

つまり、「リードの数」だけを追う時代は終わり、「受注に至るまでの効率性」を最適化することが営業成果を最大化するカギとなるのです。

では、セールスベロシティをどのように計測し、活用すればよいのでしょうか?

次回以降の記事で、その具体的な方法について詳しく解説していきます。

 

まとめ:リードの数ではなく、商談につながる仕組みを

BtoBマーケティングでは、リードを獲得しても商談につながらないという課題に多くの企業が直面しています。
デジタル化が進んだ今、重要なのは、「商談化につながる仕組み」をいかに効率よく整えるかという視点です。

しかし、「新規リード獲得数」だけをKPIとして重視すると、

  • 商談につながるリードが少なく、営業の負担が増加
  • フォローの遅れにより、リードの関心が低下
  • マーケティングと営業の連携が取れず、機会損失が発生

といった問題が起こります。

まずは、商談につながる確度の高いリードを見極め、適切なタイミングで営業がアプローチできる体制を整えることが不可欠です。

そして、その次のステップとして重要になるのが、リードをどれだけ効率的に受注まで導けるか?という視点。
そこで注目したいのが、営業活動全体の効率性を測る指標「セールスベロシティ」です。

次回「セールスベロシティ②|受注までの効率性を測る新たな指標」では、セールスベロシティをどのように測定し、商談スピードを最適化するのかを詳しく解説します。

 

▼「セールスベロシティ」シリーズ

セールスベロシティ①|リードが商談につながらないのはなぜ?

セールスベロシティ②|受注までの効率性を測る新たな指標

セールスベロシティ③|モデルケースで学ぶ活用術

セールスベロシティ④|マーケティングと営業の連携で成果を最大化

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イノーバマーケティングチーム

株式会社イノーバの「イノーバマーケティングチーム」は、多様なバックグラウンドを持つメンバーにより編成されています。マーケティングの最前線で蓄積された知識と経験を生かし、読者に価値ある洞察と具体的な戦略を提供します。