日本の医療/ヘルスケア業界はいま、技術革新と市場の変動、そして新型コロナウイルス感染症の影響という、三重の大きな変化に直面しています。3Dプリンティング技術は医療分野で革命を起こしつつあり、医療機器にAIを統合する動きは高度な画像診断システムや心臓発作の予測デバイスの開発など、医療サービスの進化を加速させています。このようなデジタル化の進展とともに、サイバーセキュリティへの注目が高まっており、患者の個人データ保護が重要な課題となっています。

デジタル化の波は医療技術以外にも押し寄せています。MR（医薬情報担当者）による医師/薬剤師との対面商談を主な営業手法としていた製薬業界においては、コロナ禍において非対面/デジタルでの情報提供を中心とした営業活動への急速な移行を迫られ、販売手法そのもの、そして営業人材に求められるスキルも激変しています。薬価の引き下げや後発品（ジェネリック医薬品）の台頭による経営環境の悪化、先進国の中でもその絶対数が少ないと言われる医師の労働生産性の向上という観点からも、営業活動へのウェブ/デジタル活用による効率化は避けられない状況にあり、対面営業が再び可能になったアフターコロナ時代においてもこの傾向は不可逆的であると言えるでしょう。