コロナ禍を経て個人消費が徐々に回復基調にあることで食品や消費財を扱う企業の業績は上向いている一方で、国際情勢の変動や円安の影響による原料・エネルギー価格の高止まりやサプライチェーンリスク、人手不足に伴うインフレ圧力の増大などが見込まれています。また、2024年4月からは物流に関する新しい規制が施行されることから、物流危機回避への対応も試される状況にあります​​。

人口減少により国内市場が縮小していく中で、中小規模の商社や専門商社は海外市場への展開の本格化を迫られており、またECやデジタル技術の発展は中間商社の役割に大きな影響を及ぼし、ビジネス機会を毀損しつつあります。小売業、卸売業を含む流通業界ではこれまでもPOSシステムに代表されるデジタル投資による業務効率化に取り組んできましたが、今後は個別業務の効率化だけでなく、デジタル化による事業全体の付加価値向上、顧客視点の価値創造のためにDX（デジタルトランスフォーメーション）といった取り組みを推し進め、収益構造の改善と業界全体の賃上げにつなげることが求められています。