目次
TABLE OF CONTENTS
「MAツールを導入して2年。最初は成果も出ていたのに、なぜか伸び悩んでいる」
「コロナをきっかけにデジタルマーケティングに注力し始めたが、ここにきて手詰まり感がある」
「他社の成功事例を参考に取り組んでいるのに、思うような成長が実現できない」
こうした悩みは、BtoBマーケティングに取り組む多くの企業に共通しています。弊社が過去12年間で5,000社以上のB2B企業と関わってきた経験からも、多くの企業が「伸び悩み」に課題を抱えているのが現状です。
二極化するBtoBマーケティング
BtoBマーケティングの取り組み状況には、大きな二極化が見られます。
先進企業では、CRO(Chief Revenue Officer=最高収益責任者)室(※1)を設置し、デジタルマーケティングを役員直下の戦略的取り組みとして位置づけています。マーケティングが売上・収益に直結する重要機能として確立され、組織的な進化を遂げているのです。
(※1)CRO(Chief Revenue Officer=最高収益責任者)とは
企業の収益最大化を担う役職を指す。 営業・マーケティング・カスタマーサクセスを横断的に管理し、リード獲得から売上拡大までの流れを最適化。従来、これらの部門は別々に動くことが多く、連携不足が成長の妨げになっていたが、CROは全体を統括することで、部門間の連携を強化し、データに基づく意思決定を進めながら、収益向上を加速させる役割を果たす。
一方、多くの企業は、マーケティングで一定の成果は出しながらも、その先の成長に苦心しています。MAツールの導入やオンライン広告、MAツール導入、ウェビナーの実施など、基本的な取り組みは軌道に乗せたものの、そこからの成長が実現できていないのです。
なぜ「伸び悩み」が起きているのか?
多くの企業のBtoBマーケティングは、以下のようなきっかけで本格化しました。
- MAツール導入を契機にデジタルマーケティングを強化
- コロナ禍での展示会中止を受けたデジタルシフト
こうした取り組みは、確かに初期の段階では一定の成果を上げました。しかし、次第にこのような課題が顕在化してきています。
- マーケティングが施策主導で進められ、全体戦略が不明確
- 社内に専門家が不在のため、現状の課題整理や今後の方向性が描けない
- マーケティングの売上貢献・受注貢献・ROIが示せていない
- 経営や営業からは少ないリソースで成果を求められ、現場が疲弊している
言い換えれば、これはBtoBマーケティングにおいて、「スモールスタート」から「本格的なマーケティング組織」への転換がうまくできていない状態とも言えます。
なぜ失敗事例から学ぶことが重要なのか?
ここで注目したいのが、失敗事例から学ぶというアプローチです。
イノーバがこれまで関わってきた数多くの企業の事例を分析すると、BtoBマーケティングの失敗には、業界や企業規模を問わず、いくつかの共通したパターンが存在することが分かってきました。
こうした失敗事例から学ぶことが有効な理由は、主に以下の3つです。
1. 成功事例の再現性の難しさ
成功事例は、その企業固有の条件(業界ポジション、経営資源、市場環境など)が複雑に絡み合って実現されています。そのため、表面的な「真似」では同じような成果を得ることは困難です。
2. 失敗パターンの普遍性
一方、失敗には普遍的なパターンが存在します。例えば、
- 顧客理解の不足
- 戦略的アプローチの欠如
- 効果測定の不備、特にROIが測れていない
- 組織間連携の問題
これらは、多くの企業に共通して見られる要因です。
3. 具体的な改善への直結性
失敗の原因を深く理解することは、具体的な改善アクションの特定に直結します。「なぜ失敗したのか」を理解することで、自社の状況に即した実践的な対策を講じることができます。
「失敗事例から学ぶ」シリーズについて
このような観点から、次回以降、3つの具体的な失敗事例を詳しく分析していきます。
これらの事例を通じて、
- 失敗の具体的なメカニズム
- 背景にある組織的な課題
- 実践的な対策と改善のポイント
を詳しく解説していきます。
まとめ
BtoBマーケティングの成否を分けるのは、「とりあえず始める」のではなく、戦略的なアプローチと適切な体制の構築です。失敗事例から学ぶことで、自社の取り組みを見直すための具体的な視点を得ていきましょう。
次回「メールマーケティング失敗の理由」では、製造業A社の事例を通じて、ソリューションマーケティングの陥りやすい罠と、その克服方法について詳しく見ていきます。
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