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宗像 淳 / イノーバCEO2025/01/09 10:22:47< 1 min read

失敗事例から学ぶ①|多くのBtoB企業が直面する「伸び悩み」

目次

「MAツールを導入して2年。最初は成果も出ていたのに、なぜか伸び悩んでいる」

 「コロナをきっかけにデジタルマーケティングに注力し始めたが、ここにきて手詰まり感がある」 

「他社の成功事例を参考に取り組んでいるのに、思うような成長が実現できない」

こうした悩みは、BtoBマーケティングに取り組む多くの企業に共通しています。弊社が過去12年間で5,000社以上のB2B企業と関わってきた経験からも、多くの企業が「伸び悩み」に課題を抱えているのが現状です。

 

 

二極化するBtoBマーケティング

BtoBマーケティングの取り組み状況には、大きな二極化が見られます。

先進企業では、CRO(Chief Revenue Officer=最高収益責任者)室(※1)を設置し、デジタルマーケティングを役員直下の戦略的取り組みとして位置づけています。マーケティングが売上・収益に直結する重要機能として確立され、組織的な進化を遂げているのです。

(※1)CRO(Chief Revenue Officer=最高収益責任者)とは

企業の収益最大化を担う役職を指す。 営業・マーケティング・カスタマーサクセスを横断的に管理し、リード獲得から売上拡大までの流れを最適化。従来、これらの部門は別々に動くことが多く、連携不足が成長の妨げになっていたが、CROは全体を統括することで、部門間の連携を強化し、データに基づく意思決定を進めながら、収益向上を加速させる役割を果たす。

一方、多くの企業は、マーケティングで一定の成果は出しながらも、その先の成長に苦心しています。MAツールの導入やオンライン広告、MAツール導入、ウェビナーの実施など、基本的な取り組みは軌道に乗せたものの、そこからの成長が実現できていないのです。

 

なぜ「伸び悩み」が起きているのか?

多くの企業のBtoBマーケティングは、以下のようなきっかけで本格化しました。

  • MAツール導入を契機にデジタルマーケティングを強化
  • コロナ禍での展示会中止を受けたデジタルシフト

こうした取り組みは、確かに初期の段階では一定の成果を上げました。しかし、次第にこのような課題が顕在化してきています。

  • マーケティングが施策主導で進められ、全体戦略が不明確
  • 社内に専門家が不在のため、現状の課題整理や今後の方向性が描けない
  • マーケティングの売上貢献・受注貢献・ROIが示せていない
  • 経営や営業からは少ないリソースで成果を求められ、現場が疲弊している

言い換えれば、これはBtoBマーケティングにおいて、「スモールスタート」から「本格的なマーケティング組織」への転換がうまくできていない状態とも言えます。

 

なぜ失敗事例から学ぶことが重要なのか?

ここで注目したいのが、失敗事例から学ぶというアプローチです。

イノーバがこれまで関わってきた数多くの企業の事例を分析すると、BtoBマーケティングの失敗には、業界や企業規模を問わず、いくつかの共通したパターンが存在することが分かってきました。

こうした失敗事例から学ぶことが有効な理由は、主に以下の3つです。

 

1. 成功事例の再現性の難しさ

成功事例は、その企業固有の条件(業界ポジション、経営資源、市場環境など)が複雑に絡み合って実現されています。そのため、表面的な「真似」では同じような成果を得ることは困難です。

 

2. 失敗パターンの普遍性

一方、失敗には普遍的なパターンが存在します。例えば、

  • 顧客理解の不足
  • 戦略的アプローチの欠如
  • 効果測定の不備、特にROIが測れていない
  • 組織間連携の問題 

これらは、多くの企業に共通して見られる要因です。

 

3. 具体的な改善への直結性

失敗の原因を深く理解することは、具体的な改善アクションの特定に直結します。「なぜ失敗したのか」を理解することで、自社の状況に即した実践的な対策を講じることができます。

 

「失敗事例から学ぶ」シリーズについて

このような観点から、次回以降、3つの具体的な失敗事例を詳しく分析していきます。

  1. 製造業A社:高額なソリューションサイトが機能しなかった事例
  2. SI企業B社:マーケティング部門が社内で孤立化した事例
  3. ITベンチャーC社:SEO施策が期待通りの成果を生まなかった事例

これらの事例を通じて、

  • 失敗の具体的なメカニズム
  • 背景にある組織的な課題
  • 実践的な対策と改善のポイント

を詳しく解説していきます。

 

まとめ

BtoBマーケティングの成否を分けるのは、「とりあえず始める」のではなく、戦略的なアプローチと適切な体制の構築です。失敗事例から学ぶことで、自社の取り組みを見直すための具体的な視点を得ていきましょう。

次回「メールマーケティング失敗の理由」では、製造業A社の事例を通じて、ソリューションマーケティングの陥りやすい罠と、その克服方法について詳しく見ていきます。

▼失敗事例から学ぶシリーズ全5記事

失敗事例から学ぶ①|多くのBtoB企業が直面する「伸び悩み」

失敗事例から学ぶ②|メールマーケティングの失敗要因

失敗事例から学ぶ③|マーケ部門が孤立する構造的問題

失敗事例から学ぶ④|SEO施策の誤算

失敗事例から学ぶ⑤|施策が成果に結びつかない本当の理由とその解決法

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宗像 淳 / イノーバCEO

福島県立安積高校、東京大学文学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻)。1998年に富士通に入社、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等の広汎な業務を経験。 MBA留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから転職し、楽天で物流事業立ち上げ、ネクスパス(現トーチライト)で、ソーシャルメデイアマーケティング立ち上げを担当。ネクスパスでは、事業開発部長として米国のベンチャー企業との提携をまとめた。 2011年6月にコンテンツマーケティング支援の株式会社イノーバを設立、代表取締役に就任。