Skip to content
Close
宗像 淳 / イノーバCEO2025/12/26 10:51:452 min read

コンテンツマーケティングのROIとは?計算方法や最大化させるポイントを解説

💡この記事でわかること

  • コンテンツマーケティングにおけるROIの重要性
  • 目的別の具体的なROI計算方法
  • ROIを最大化するための5つの実践的ポイント
  • ROIを分析する際の注意点

コンテンツマーケティングにおけるROI(Return on Investment、投資対効果)とは、施策に投じた費用に対してどれだけの利益が生まれたかを測る指標です。

効果が長期にわたるため、その価値を証明しにくいという課題がありますが、正しい計算方法と評価軸を持つことで、施策の貢献度を客観的に示すことができます。

本記事では、ROIの基本的な計算方法から、施策の価値を最大化するための具体的な改善ポイントまでを網羅的に解説します。

 

この記事を読めば、自社のコンテンツマーケティングの成果を正しく評価し、次のアクションに繋げるための知識が身につくはずです。

目次

 

コンテンツマーケティングにおけるROI(投資対効果)とは

💡この章のポイント!
コンテンツマーケティングのROIとは、投資した費用に対し、どれだけのリターン(利益)があったかを示す投資効率を表す指標のこと。このROIを正しく把握することで、感覚的な評価ではなく、客観的な数値に基づいて施策の価値を判断できるようになります。

コンテンツマーケティングにおけるROIは、制作した記事や動画、ホワイトペーパーなどが「投資に対してどれだけの利益を生んだか」を測り、事業への貢献度を可視化する指標です。

ここでの「投資」にはコンテンツ制作の外注費、担当者の人件費、分析ツールの利用料、広告配信費などが含まれます。

単に売上を見るだけでなく、コストを差し引いた「利益」ベースで成果を評価するため、そのコンテンツ施策が事業の成長にどれだけ貢献したかをより正確に判断できます。

 

なぜコンテンツマーケティングでROIが重要なのか?

コンテンツマーケティングにおいてROIが重要になる理由は、施策の投資対効果を正しく評価し、マーケティング活動全体を最適化するためです。

コンテンツマーケティングは長期的な効果測定が必要になるケースが多く、ともすれば感覚的な判断に頼ってしまいがちです。しかしROIという統一された指標を導入することで、各施策の利益への貢献度を客観的な数値で把握できるようになります。つまり、「成果の高い施策にリソースを集中させる」といった戦略的な判断が可能になるのです。

また、その結果として得られる客観的なデータは、経営層への説明責任を果たし、予算を獲得する上での強力な武器にもなりえます。

 

ROIとROASの違い

ROIと似た指標にROASがあります。ROAS(Return on Advertising Spend)は広告投資対効果を測る指標で、広告費に対してどれだけの売上があったかを評価します。

ROASは広告費に対する「売上」で成果を評価するのに対し、ROIは投資額に対する「利益」で評価します。そのため、売上だけでは判断できない、より正確な事業への貢献度を把握できるのがROIの大きな利点です。

ROIとROASの違いをわかりやすく表にまとめました。

項目

ROI(投資対効果)

ROAS(広告費用対効果)

計算式

(利益 - 投資額)÷ 投資額 × 100

(売上 ÷ 広告費)× 100

目的

投資の効率性と収益性を測る

広告の費用対効果を測る

評価基準

利益が出ているか(黒字か赤字か)

売上が広告費を上回っているか

短期的な広告効果はROASで測り、最終的な事業への貢献度はROIで評価するなど、両方の指標を適切に組み合わせることで、マーケティング施策をより多角的に分析・改善できます。

 

投資対効果(ROI)と費用対効果の違い

混同されやすい概念として、「投資対効果」と「費用対効果」があります。
投資対効果(ROI)は前述の通り、投資活動に関する長期的なリターンを測るものであるのに対し、費用対効果は比較的短期的な支出がもたらす効果を測るものです。例えば、展示会出展のように、短期的な支出で短期的な成果を測るものは費用対効果を計測し、コンテンツマーケティングや人材育成のような長期的に成果が出てくるものは投資対効果を見ることをお勧めします。

 

☝️宗像淳から一言アドバイス!
ROIは単なる成否判断の数字ではなく、改善のヒントが詰まった「宝の地図」と捉えましょう。ROIが高いコンテンツは成功要因(テーマ、切り口、流入経路など)を分析して横展開する。逆にROIが低くても滞在時間が長い記事は、CTAの改善などで利益に繋がる「お宝コンテンツ」になる可能性があります。数字に一喜一憂せず、次の一手を考えるために活用してください。

 

コンテンツマーケティングのROI計算方法

💡この章のポイント!
ROIは、売上や獲得リードの価値など、何を「利益」と置くかによって複数の計算方法が存在します。自社の目的に合った計算式を用いることで、施策の成果をより正確かつ多角的に評価することが可能になります。

ROIの計算方法はビジネスモデルによって異なります。

ここでは、正確なROIを算出するための準備と、ビジネスモデルによる以下の3パターンのROI計算方法について解説します。

  • ECサイトなど売上が直接成果となる場合
  • リード獲得が目的の場合
  • SEOによる資産価値を測りたい場合

 

計算前に「投資額」と「利益(リターン)」を明確にする

正確なROIを算出するには、まず「投資」と「利益」の範囲を定義します。

投資には、制作費やツール費など、施策に直接かかわる費用の他、長期的に人が動く必要がある場合には人件費も含めましょう。利益は直接的な売上だけでなく、獲得したリードの価値や広告費の削減効果など、目的に応じて設定することが大切です。

  • 投資(コスト)の例
    • コンテンツ制作費(内製の人件費、外注費)
    • ツール利用料(CMS、分析ツールなど)
    • Webサイト改修費

 

ECサイトなど、売上に直結する場合の計算方法

最も基本的な計算方法で、コンテンツを経由して発生した売上総利益を基に算出します。ECサイトなど、コンテンツから直接商品購入に繋がるビジネスで有効です。

ROI = (コンテンツ経由の売上総利益 - 投資額) ÷ 投資額 × 100

例えば、投資50万円で売上200万円、売上総利益が100万円のとき、ROIは(100万円-50万円)÷50×100=100%となります。

※「売上」には原価などが含まれるため、ROIの算出には「売上総利益」を使います

 

BtoBビジネスなど、リード獲得を目的とする場合の計算方法

BtoBビジネスのように、すぐには売上に繋がらないモデルで有効な計算方法です。獲得したリードが将来生み出すであろう価値を利益と見なしてROIを算出します。

ROI = (獲得リード数 × 平均リード単価 - 投資額) ÷ 投資額 × 100

平均リード単価は、過去のデータから商談化率や受注率を基に算出します。

 

SEOの成果など、広告費削減効果で評価する場合の計算方法

SEOで上位表示されたコンテンツが生み出す自然検索流入を、広告費に換算して評価する方法です。同じアクセス数を広告で獲得したらいくらかかるかを価値とします。

ROI = (自然検索流入のトラフィック価値 - 投資額) ÷ 投資額 × 100

トラフィック価値は、Ahrefsなどの専門ツールを使い分析することが一般的です。

 

少しわかりづらい箇所があるかもしれません。以下に一枚の図でまとめましたので、参考にしてください。

 

コンテンツマーケティングのROIを最大化する5つのポイント

💡この章のポイント!
ROIを最大化するには、KGIから逆算したKPI設定と、コンテンツの資産価値を高める長期的な視点が不可欠です。さらに、MAツールなどを活用して効果測定を効率化し、継続的な改善サイクルを回すことで、投資効果は着実に向上します。

ROIを最大化させるためには、戦略的なアプローチが求められます。

コンテンツの価値を高め、施策全体の投資効果を向上させる、実践的な5つのポイントを具体的に解説します。

 

ポイント1:KGI・KPIを正しく設定する

最終目標(KGI)を定め、そこから逆算して各プロセスの中間目標(KPI)を設定します。

顧客の購買行動フェーズごとに適切なKPIを置くことで、施策の進捗を正確に把握し、課題の早期発見と改善に繋げることができます。

整理すると以下の通りです。

  • 認知:自然検索流入数、指名検索数
  • 興味:PV数、滞在時間、SNSシェア数
  • 比較検討:資料ダウンロード数、問い合わせ数
  • 購買:コンバージョン数、受注数

▶KGI・KPIについて詳しくはこちら

 

ポイント2:コンテンツの資産価値を高める

単発の記事で終わらせず、関連テーマを網羅した「トピッククラスターモデル」を構築することで、サイト全体の専門性が高まります。

また、公開済みの記事を定期的に更新し、常に情報の鮮度を保つことで、コンテンツは長期的に価値を生む資産となります。

 

ポイント3:コンテンツの種類を最適化する

施策の目的に合わせて、最適なコンテンツの種類を選択します。

例えば、長期的なリード獲得にはSEO記事、短期的なリード獲得にはホワイトペーパーが有効です。各コンテンツの特性を理解し、リソースを適切に配分することが投資効果を高めます。

  • SEO記事:長期的な資産形成、安定したリード獲得
  • ホワイトペーパー:短期的なリード獲得、商談化
  • 導入事例:検討段階のユーザーの背中を押す

▶コンテンツ制作の基礎知識・成功のポイントはこちら

 

ポイント4:MAツールなどを活用し効果測定を効率化する

MA(マーケティングオートメーション)ツールなどを活用し、効果測定を自動化・効率化します。

どのコンテンツがコンバージョンに貢献したかを正確に把握するアトリビューション分析を行うことで、データに基づいた客観的な施策評価が可能になります。

▶MAについて詳しくはこちら

 

ポイント5:一次情報でコンテンツを差別化する

独自調査のデータや顧客へのインタビュー、自社ならではの専門的な知見といった一次情報を盛り込みます。

他社にはないオリジナルの情報は、コンテンツの付加価値を高め、Googleからの信頼性評価(E-E-A-T)の向上にも大きく貢献します。

E-E-A-Tについては、以下のGoogle公式サイトで詳しく解説されています。

参考:Google 検索セントラル | E-E-A-T と品質評価ガイドラインについて

▶MAについて詳しくはこちら

 

☝️宗像淳から一言アドバイス!
ROI改善で見落としがちなのが「既存コンテンツの再活用」です。例えば、成果の出ているSEO記事を元にウェビナーを開催したり、ホワイトペーパーにまとめたりすることで、一つのコンテンツから多角的に利益を生み出せます。ゼロから新しいものを作るだけでなく、今ある資産をどう活かすか。この視点を持つことで、投資効率は飛躍的に向上します。

 

コンテンツマーケティングのROI分析における注意点

💡この章のポイント!
コンテンツマーケティングの成果はすぐには現れないため、短期的なROIの数値だけで施策の成否を判断してはいけません。重要なのは、長期的な視点を持ち、ROIの推移を定期的に観測して改善を続けることです。

ROIを分析する際には、その特性を理解しておく必要があります。陥りがちな2つの落とし穴と、その対策を解説しますので、正しく数値を評価するために役立ててください。

 

成果が出るまでには時間がかかることを理解する

コンテンツマーケティングは、効果を実感するまでに最低でも半年から1年を要します。施策開始直後のROIが低いからといって、すぐに中断の判断を下してはいけません。

中長期的な視点を持ち、粘り強く施策を育てていく姿勢が求められます。

 

定期的に分析し、推移を観察する

一度ROIを算出したら終わりではなく、月次や四半期など定点を決めて計測し、その推移を追い続けることが重要です。

数値が改善または悪化した要因を分析し、次のアクションに活かすPDCAサイクルを回すことで、施策の精度は着実に高まっていきます。

 

☝️宗像淳から一言アドバイス!
ROIを分析する際は、必ず「なぜその数字になったのか?」という背景を探ってください。例えば、ある記事のROIが急上昇したとき、特定のSNSでの拡散やインフルエンサーの紹介がきっかけかもしれません。その成功要因を特定し、他のコンテンツにも応用することで、全体のROIを底上げすることができます。数字の裏側にある「物語」を読む力が、マーケターの腕の見せ所です。

 

ROIを経営層・上司に報告するためのポイント

💡この章のポイント!
ROIの報告では、短期的な数値だけでなく、将来的な資産価値を示す長期ROIやブランド認知度といった定性的な効果も伝えるべきです。客観的なデータと共にストーリーとして語ることで、経営層の納得感を得やすくなり、次の投資へと繋がりやすくなります。

算出したROIは、伝え方が成果を左右します。ここでは、社内の理解を得て、次の投資に繋げるための報告のコツを解説します。数字の裏付けとともに、施策の価値を伝えましょう。

 

費用対効果(短期)と投資対効果(長期)を分けて説明する

SEO記事のような長期的に資産となる施策と、ホワイトペーパーのような短期で成果を出す施策では、効果測定の評価軸が異なります。

それぞれの特性を説明し、時間軸と共にROIが向上していく将来予測を示すことで、施策の全体像を理解してもらいやすくなります。

以下のようなイメージを念頭に置いておくとよいでしょう。

 

数値化できない「定性的効果」も併せて語る

ROIの数値だけでは表現できない、ブランド認知度の向上や採用活動への好影響といった定性的な効果も伝えましょう。

こうした間接的な価値を補足情報として加えることで、コンテンツマーケティングが持つ幅広い貢献度をアピールすることができます。

 

競合比較や市場データを用いて客観性を示す

自社の成果だけでなく、業界平均や公的機関が発表しているデータを示すことで、報告の客観性が増します。

例えば、中小企業庁の調査データを引用し、市場全体の動向の中で自社の立ち位置を説明すると、施策の妥当性に説得力が生まれます。

参考:中小企業庁:中小企業白書

 

コンテンツマーケティングのROIに関するよくある質問

ここでは、コンテンツマーケティングのROIについて多くの担当者が抱く疑問にお答えします。日々の業務の参考として、ぜひお役立てください。

 

Q. コンテンツマーケティングのROIの目安はどのくらいですか?

ROIの目安は業界や商材で大きく異なるため、明確な基準はありません。他社との比較よりも、自社の過去データと比べて改善傾向にあるかが重要です。まずは達成可能な目標ROIを設定し、それを超えることを目指して施策を運用していきましょう。

 

Q. ROIがマイナスの場合、すぐに施策を中止すべきですか?

すぐに中止するのは早計です。特に開始1年未満ではマイナスも珍しくありません。ROIが改善傾向にあるか、PV数やリード数といったKPIが伸びているかを確認してください。長期的な視点で施策の価値を判断することが成功への道筋です。

 

Q. BtoBとBtoCでROIの考え方に違いはありますか?

はい、異なります。検討期間が長いBtoBでは、リードの価値を利益と見なしてROIを測ります。一方、購買までの期間が短いBtoCでは、直接的な売上を基準に計算するのが一般的です。ビジネスモデルに合わせて利益の定義を最適化しましょう。

 

Q. ROIを簡単に測定できるツールはありますか?

ROI専用ツールは稀ですが、Google AnalyticsやMA、CRMを連携させればデータ収集が可能です。特にMAツールは、どのコンテンツが成果に貢献したかを可視化するのに役立ちます。ツールを活用して、データに基づいた正確な分析を行いましょう。

 

ROIを指標から、事業を成長させる羅針盤へ

本記事の要点をまとめました。ROIの理解を深め、自社のマーケティング活動を成功に導きましょう。

 

  • ROIの重要性:ROIは施策の価値を客観的に測る経営指標であり、関係者への説明責任を果たす上で不可欠。
  • ROIの計算:目的(売上、リード価値、広告費削減)に応じて、最適な計算方法を選択することが肝心。
  • ROIの最大化:明確なKPI設定、コンテンツの資産化、効果測定の効率化など、戦略的な取り組みが成果を分ける。
  • ROIの分析:成果には時間がかかることを理解し、短期的な数値に一喜一憂せず、長期的な視点で推移を観察する。

 

ここまで解説した通り、ROIを正しく計測し最大化していくには、戦略的な視点と継続的な分析が不可欠です。

もし、自社だけでの実践に難しさを感じていたり、より成果を加速させたいとお考えでしたら、ぜひ私たちイノーバにご相談ください。

コンテンツマーケティングのプロフェッショナル集団であるイノーバでは、ROIの可視化から成果に繋がる戦略立案まで、一気通貫でご支援します。

 

avatar

宗像 淳 / イノーバCEO

福島県立安積高校、東京大学文学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻)。1998年に富士通に入社、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等の広汎な業務を経験。 MBA留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから転職し、楽天で物流事業立ち上げ、ネクスパス(現トーチライト)で、ソーシャルメデイアマーケティング立ち上げを担当。ネクスパスでは、事業開発部長として米国のベンチャー企業との提携をまとめた。 2011年6月にコンテンツマーケティング支援の株式会社イノーバを設立、代表取締役に就任。