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宗像 淳 / イノーバCEO2025/01/24 14:07:521 min read

検索エンジンは生成AIコンテンツをどう見ている?SEO上の影響は?

生成AI技術の進化により、誰でも簡単に大量のコンテンツを作成できるようになりました。これは企業のコンテンツマーケティングにも大きな可能性をもたらす一方で、SEOの観点からは新たな課題も生まれています。では、Googleなどの検索エンジンは、AIで作られたコンテンツに対してどのような姿勢をとっているのでしょうか?

 

本記事では、Googleアルゴリズムのアップデートを振り返りながら、AI生成コンテンツに対する検索エンジンの評価基準の変化と、それに対応したSEO施策について解説します。

 

なぜ今、AI生成コンテンツとSEOが注目されているのか

生成AI技術の急速な発展により、コンテンツ制作の現場は大きな転換期を迎えています。ChatGPTをはじめとする生成AIツールの普及により、これまで時間とコストがかかっていたコンテンツ制作が、驚くほど効率化されました。多くの企業がAIを活用したコンテンツ制作に着手し、中には数万ページ規模でAIコンテンツを生成するケースも出てきています。

しかし、この状況に対して検索エンジン、特にGoogleは警戒的な姿勢を示しています。その理由は主に以下の3点です。

  1. 検索結果の質の低下:大量生成される低品質なAIコンテンツが、価値ある情報の検索を妨げる可能性
  2. ユーザー体験の悪化:似通ったAI生成コンテンツの氾濫により、オリジナルで有用な情報へのアクセスが困難に
  3. 広告収益への影響:検索品質の低下が、Googleの主要収入源である検索広告の価値を損なうリスク

これらの課題に対応するため、Googleは継続的にアルゴリズムを更新し、AIコンテンツの評価基準を厳格化しています。近年のアップデート履歴を見ることで、その方向性を明らかにしていきましょう。

BrightEdge社の図より引用

 

重要なアルゴリズム更新と、その意味するもの

2022年:Helpful Content Update - 人間本位のコンテンツへの転換点

このアップデートは、AIコンテンツの増加を見据えた重要な転換点でした。

主な特徴:

  • サイト全体の品質評価の導入
  • ユーザーの検索意図に応える、オリジナルで価値の高いコンテンツの重視
  • AI生成コンテンツに対する慎重な姿勢の明確化

SEOへの影響:

  • 「人間第一」のコンテンツ戦略が必須に
  • E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)の重要性が増加
  • 量より質を重視する評価基準への移行

つまり、このアップデートは「価値ある情報をユーザーに届ける」というGoogleの基本方針を強化するものでした。これにより、AIツールの利用自体は問題ではなく、最終的にユーザーにどのような価値を提供できるかが評価の基準となったのです。

 

2023年:包括的な品質向上への取り組み

2023年は、より包括的なアプローチでコンテンツ品質の向上を目指しました。

主な施策:

  • 4回のコアアップデート実施
  • レビュー関連の3回のアップデート
  • 9月の大規模な有用性アップデート
  • Search Generative Experience(SGE)(※1)の試験導入

※1:SGE(Search Generative Experience)とは、検索結果の上部にAIが生成した要約を表示する新機能。従来のような10件のリンク一覧ではなく、複数の情報源から関連する情報を集約して提示する仕組みで、ユーザーの検索体験を大きく変える可能性がある。

SEOへの影響:

  • E-E-A-T(※2)の重要性がさらに増加
  • ユーザー意図に合致した詳細なコンテンツの必要性
  • レビューコンテンツの質の重視
  • モバイル最適化の重要性の再確認

※2:E-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)とは、 Googleが提唱する品質評価の指標。Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字をとったもので、コンテンツ作成者の実践的な経験や専門知識、業界での信頼性などを評価する基準。

このように2023年は、AIコンテンツの急増に対応しつつ、サイト全体としての品質向上を重視する方向性が明確になりました。特にSGEの試験導入は、検索結果の表示方法自体を変える可能性を示唆しており、今後のSEO戦略において重要な転換点となっています。

 

2024年:AI時代の新たな評価基準

2024年は、AI生成コンテンツの急増に対応する形で、より細かな評価基準が導入されています。

注目すべき変更:

  • 3月の大規模コアアップデート(45日間)
  • 小規模・独立サイトを支援する新基準の導入
  • AI生成スパムへの対策強化

SEOへの影響:

  • 高品質な独自コンテンツの評価向上
  • AI依存度の高いサイトへのリスク増加
  • サイト全体としての品質評価の重視

2024年の変更は、AIとの共存を図りながら検索品質を保つという、Googleの明確な意思を示しています。特に小規模・独立サイトへの支援は、大規模なAI生成コンテンツに対抗する形で、人間による専門的な知見や経験に基づくコンテンツを評価する姿勢の表れと言えます。これは企業のコンテンツ戦略において、AIの「適切な活用」と「人間ならではの価値提供」のバランスが重要になることを示唆しています。

AIコンテンツとSEOの共存に向けて

Googleは現在、AI生成コンテンツの急増に対して、クロール対象の選別強化や品質評価基準の厳格化で対応しています。では、企業はどのようにAIを活用すべきでしょうか?

AIと人間の効果的な協業には、それぞれの得意分野を理解することが重要です。AIは大量のデータ処理やパターン分析、基礎的な文章生成を得意とする一方、文脈理解や創造的な発想、専門的な判断は人間の方が優れています。このため、キーワード分析や初稿作成はAIに任せ、専門的な知見の追加や品質チェック、戦略的な判断は人間が担うという役割分担が効果的でしょう。

AIの効果的な活用方法や注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。

▶関連記事:生成AI × BtoBマーケ③|AIは万能ではない?注意点と効果的な活用法

 

まとめ

AIと検索エンジンの関係は今後も進化を続けていくでしょう。企業がAIを効果的に活用するには、それぞれの得意分野を理解し、適切な役割分担を行うことが重要です。AIはデータ分析や基礎的な文章生成を担い、人間は専門的な知見や経験に基づく価値を付加する。このバランスを保ちながら、E-E-A-Tを意識した信頼性の高いコンテンツを継続的に提供していくことが、これからのSEO戦略の鍵となります。

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宗像 淳 / イノーバCEO

福島県立安積高校、東京大学文学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻)。1998年に富士通に入社、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等の広汎な業務を経験。 MBA留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから転職し、楽天で物流事業立ち上げ、ネクスパス(現トーチライト)で、ソーシャルメデイアマーケティング立ち上げを担当。ネクスパスでは、事業開発部長として米国のベンチャー企業との提携をまとめた。 2011年6月にコンテンツマーケティング支援の株式会社イノーバを設立、代表取締役に就任。