オウンドメディアを運営する上で、効果測定は欠かせません。ただコンテンツを制作・公開するだけでは、オウンドメディアの真の価値を引き出すことはできないでしょう。本記事では、オウンドメディアの効果測定について体系的に理解し、PDCAサイクルを回すことで成果を最大化する方法をご紹介します。
目次
オウンドメディアの効果測定の重要性と目的
オウンドメディア運営に効果測定が不可欠な理由
オウンドメディアは、ブランドの認知度向上、見込み顧客の獲得、コンバージョンの促進など、様々な目的で活用されています。しかし、明確な目的を設定せず、効果測定も行わずにオウンドメディアを運営していては、その真価を発揮できません。効果測定を通じて、オウンドメディアの現状を把握し、改善につなげることが重要です。
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効果測定の目的と意義を正しく理解する
オウンドメディアの効果測定は、単にアクセス数やPVを追うことが目的ではありません。効果測定の真の目的は、オウンドメディアが事業目標の達成にどのように貢献しているかを明らかにすること。そのために、KGIとKPIを正しく設定し、適切な指標を追跡する必要があります。
オウンドメディア運営の段階別効果測定方法
オウンドメディアの効果測定は、運営の段階に応じて、重視すべき指標が異なります。ここでは、オウンドメディア運営の3つの段階(立ち上げ期、成長期、成熟期)に分けて、効果測定の方法を解説します。
立ち上げ期の効果測定
認知度を測定するKPI
立ち上げ期は、まずはオウンドメディアの認知度を高めることが重要です。認知度を測定するKPIとしては、オーガニック流入数、ダイレクト流入数、ブランド検索数などが挙げられます。これらの指標を追跡することで、オウンドメディアの認知度向上の進捗を把握できます。
SEOパフォーマンスを測定するKPI
オウンドメディアの立ち上げ期は、SEOパフォーマンスにも注目が必要です。検索順位、検索流入数、被リンク数など、SEOに関連するKPIを設定し、トラッキングしましょう。SEO施策の効果を定期的に確認し、必要に応じて改善を加えていくことが求められます。
成長期の効果測定
エンゲージメントを測定するKPI
オウンドメディアが一定の認知度を獲得し、成長期に入ったら、ユーザーのエンゲージメントに注目します。滞在時間、ページ閲覧数、直帰率、SNSシェア数など、ユーザーのアクティビティを表す指標を追跡。コンテンツの質や読者の満足度を評価し、改善につなげましょう。
リード獲得を測定するKPI
成長期は、オウンドメディアからのリード獲得も重要な目標になります。資料請求数、問い合わせ数、メールマガジン登録数など、リード獲得の進捗を示すKPIを設定。リード獲得の状況を詳細に分析し、コンテンツ施策やナーチャリング施策の最適化を図ります。
成熟期の効果測定
コンバージョンを測定するKPI
オウンドメディアが成熟期に入ると、最終的なコンバージョンに直結するKPIを重視します。販売数、売上高、利益率など、ビジネスの成果を直接表す指標を追跡。オウンドメディアがどのようにビジネスに貢献しているかを定量的に評価し、ROIを検証します。
ブランドへの影響を測定するKPI
成熟期には、オウンドメディアがブランドに与える影響も見逃せません。ブランド検索数、ブランドメンション数、ブランド好感度など、ブランドエクイティを表す指標をモニタリング。オウンドメディアがブランド価値の向上にどう寄与しているかを評価します。
KGI・KPIの設定方法
効果的なオウンドメディア運営には、適切なKGIとKPIの設定が不可欠。ここでは、KGIとKPIの違いを理解した上で、それらを設定する方法を解説します。
KGIとKPIの違いを理解する
KGI(Key Goal Indicator)は、オウンドメディア運営の最終目標を表す指標。一方、KPI(Key Performance Indicator)は、KGIの達成に向けたプロセスにおける重要な指標です。KGIとKPIの違いを正しく理解し、両者を混同しないことが大切です。
事業目標から逆算してKPIを設計する
KGIとKPIのつながりを明確にする
オウンドメディアのKPIは、事業目標から逆算して設定します。まず、オウンドメディア運営のKGI(最終目標)を明確にしましょう。次に、そのKGIを達成するために必要なKPIを特定します。KGIとKPIの因果関係を明確にすることが、適切なKPI設計の鍵となります。
KPIツリーの作成方法
KPIツリーは、KGIとKPIの関係性を視覚化するためのツールです。KGIを頂点に置き、そこから下位のKPIを順次ブレイクダウンしていきます。KPIツリーを作成することで、オウンドメディア運営における指標の全体像を把握でき、施策の優先順位付けにも役立ちます。
適切なKPIの選び方
スマートKPIの設定
オウンドメディアのKPIは、スマートKPIの原則に沿って設定するのが理想的です。スマートKPIとは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(目標と関連している)、Time-bound(期限が明確)の頭文字をとったもの。この原則に基づいてKPIを設定することで、効果測定の精度と実効性が高まります。
バニティマトリクスを排除する
オウンドメディアの効果測定では、バニティマトリクス(見栄えの良い指標)に惑わされないことも重要です。PVやUUなど、一見インパクトがありそうな指標も、事業目標との関連性が低ければ、KPIとして不適切。事業成果に直結する指標を厳選し、バニティマトリクスを排除しましょう。
オウンドメディア効果測定のための分析ツール
オウンドメディアの効果測定には、各種の分析ツールが欠かせません。ここでは、代表的なツールであるGoogle AnalyticsとGoogle Search Consoleの活用方法を中心に解説します。
Google Analyticsの活用方法
基本的な指標の見方
Google Analyticsは、オウンドメディアの効果測定に広く用いられているウェブ解析ツールです。セッション数、ユーザー数、ページビュー数、直帰率など、基本的な指標の見方を押さえることが第一歩。これらの指標を適切に解釈し、サイトの現状を把握しましょう。
目標の設定とコンバージョン測定
Google Analyticsでは、目標の設定とコンバージョン測定も可能です。資料請求や問い合わせなど、オウンドメディアの重要なアクションを目標として設定。ゴールまでの流入経路や行動パターンを分析することで、コンバージョンを促進する施策を打ち出せます。
Google Search Consoleの活用方法
検索パフォーマンスの分析
Google Search Consoleは、オウンドメディアのSEOパフォーマンスを測定するのに最適なツールです。Search Consoleの検索パフォーマンスレポートを活用することで、オウンドメディアがどのようなキーワードで検索され、どの程度のクリック数や表示回数を獲得しているかを把握できます。
コンテンツの最適化に活かす
Search Consoleは、コンテンツの最適化にも役立ちます。検索パフォーマンスレポートから、インプレッション(検索表示回数)が高いものの、クリック率が低いページを特定。そうしたページのタイトルやメタディスクリプションを改善することで、検索流入の増加を狙えます。
その他の効果測定ツールの紹介
Google AnalyticsとSearch Console以外にも、オウンドメディアの効果測定に役立つツールは数多くあります。ヒートマップツールやアンケートツールなども、ユーザー行動の理解や読者の声の収集に活用できます。自社に合ったツールを選定し、データドリブンなオウンドメディア運営を目指しましょう。
効果測定の実践的なテクニック
効果測定を組織に定着させるコツ
オウンドメディアの効果測定を継続的に行うには、組織への定着が欠かせません。効果測定の重要性を社内で共有し、データを起点とした意思決定の文化を醸成することが求められます。部署間の連携を強化し、効果測定の結果を全社的に活用していくことも大切です。
分析結果をコンテンツ改善に活かす
効果測定の真の価値は、分析結果をコンテンツ改善に活かすことで発揮されます。アクセス解析で人気コンテンツを特定し、そのエッセンスを他のコンテンツにも反映させる。検索パフォーマンスが低調なコンテンツについては、キーワードや構成の見直しを検討。効果測定とコンテンツ改善を一体的に進めることが肝要です。
オウンドメディアの改善ポイント
効果が出ない要因と対策
コンテンツ不足への対処法
オウンドメディアの効果が出ない要因の一つに、コンテンツ不足が挙げられます。オウンドメディアはコンテンツで勝負する媒体。十分なボリュームのコンテンツを継続的に公開することが求められます。コンテンツ制作の体制を整備し、外部ライターの活用なども視野に入れましょう。
SEO施策の見直し方
効果の乏しいオウンドメディアでは、SEO施策の見直しも必要です。キーワード選定やサイト構造、内部リンクなど、基本的なSEO対策を再点検。必要ならSEO専門家による監査を受け、改善につなげましょう。
サイト内導線の最適化
オウンドメディアの成果が上がらない場合、サイト内の導線が最適化されていない可能性があります。ユーザーがコンテンツを探しづらく、目的のアクションに至りにくい状態では、不発に終わってしまいます。ユーザー視点でサイト内導線を見直し、最適化を図ることが大切です。
PDCAサイクルを回す重要性
仮説検証型のオウンドメディア運営
オウンドメディアの改善には、PDCAサイクルを回すことが重要。特に、仮説検証型のPDCAサイクルを実践することが効果的です。効果測定の結果から課題を特定し、改善施策の仮説を立案。施策を実行し、効果を検証。その結果を次の施策に反映する。このサイクルを高速で回すことで、継続的な改善が実現します。
改善施策の優先順位の付け方
PDCAサイクルを回す際は、改善施策の優先順位付けも重要なポイントです。オウンドメディアの課題は多岐にわたるため、優先順位を明確にしないと、施策が散漫になってしまいます。優先順位を付ける際は、課題の重要度と施策の実現可能性を軸に判断。ROIが高く、早期に効果が見込める施策から着手しましょう。
効果的なオウンドメディア運営のポイント
全社的な巻き込みの仕方
オウンドメディア運営を成功させるには、組織全体の巻き込みが欠かせません。オウンドメディアの目的や価値を社内で浸透させ、各部署の協力を取り付けることが重要。経営層から現場まで、オウンドメディアへの理解と参画を促すための社内コミュニケーションを強化しましょう。
部署間連携のマネジメント
オウンドメディアは、コンテンツ制作、SEO対策、効果測定など、様々な領域が関わる複合的な取り組み。部署間の連携なくしては、真の成果は望めません。マーケティング、営業、カスタマーサポートなど、関連部署の担当者が一堂に会する定例会議を設けるなど、部署間のコラボレーションを促進しましょう。
オウンドメディア効果測定のチェックリスト
効果測定のステップ
オウンドメディアの効果測定は、以下のようなステップで進めます。
- KGIとKPIの設定
- 効果測定ツールの選定と設定
- データの収集と集計
- データの分析と解釈
- 改善施策の立案と実行
- 効果検証とPDCAサイクルの実践
抑えるべき指標
オウンドメディアの効果測定で抑えるべき指標は、以下の通りです。
- オーガニック流入数
- 直帰率
- 平均ページ滞在時間
- コンバージョン率
- リード獲得数
- 検索順位
- ソーシャルシェア数
見落としがちなポイント
効果測定で見落としがちなポイントとしては、以下のようなものがあります。
- マイクロコンバージョンの設定
- 外部サイトからの流入の把握
- ユーザーフィードバックの収集
- ABテストの実施
- 競合サイトとのベンチマーク
まとめ:効果測定を起点とした成果の出るオウンドメディア運営
オウンドメディアの効果測定には、以下の点がポイントとなります。
- 事業目標とKPIの紐付け
- 運用段階に合わせたKPIの設定
- スマートKPIの設計とバニティメトリクスの排除
- 効果測定ツールの戦略的な活用
- 効果測定を通じた継続的な改善
これらのポイントを押さえ、オウンドメディアの成果を最大化していきましょう。
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