営業とマーケティングの連携によるリード獲得の進め方を解説。プロセス別のロードマップと実践テンプレートを提供し、リードステータスの定義、スコアリングモデルの構築、効果的なナーチャリング施策の実行など、具体的な方法論を紹介します。データとクリエイティビティを融合させ、競合他社を上回るリード獲得を目指しましょう。
はじめに
営業とマーケティングの連携は、B2B企業におけるリード獲得の成功に不可欠な要素です。しかし、実際には両部門の間に溝があり、スムーズな連携が難しいと感じている企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、営業とマーケティングが一体となってリード獲得を進めるための具体的な方法論を解説します。プロセス別のロードマップと実践テンプレートを提供することで、貴社のリード獲得の取り組みを加速させる一助となれば幸いです
営業とマーケティングの役割分担
まずは、リード獲得における営業とマーケティングの役割分担について見ていきましょう。
営業とマーケティングは、リード獲得プロセスのそれぞれの局面で重要な役割を担っています。両部門が密に連携し、情報を共有しながら、見込み客の発掘から育成、そして顧客化に至るまでのプロセスを最適化することが求められます。
リードジェネレーション(見込み客の発掘)
リードジェネレーション(見込み客の発掘)の段階では、マーケティング部門が中心となって活動します。潜在顧客のニーズや課題を捉えたコンテンツを制作・配信し、問い合わせや資料請求などのアクションを促すことで、見込み客を獲得します。一方、営業部門は展示会やセミナーなどのオフラインイベントに参加し、直接見込み客と接点を持つことで、ニーズを把握し、リードを獲得します。
リードクオリフィケーション(見込み客の評価)
リードクオリフィケーション(見込み客の評価)の段階では、営業部門が主導権を握ります。マーケティングが獲得したリードの質を評価し、優先順位を付けることで、商談の可能性が高いリードに注力します。ただし、この評価を的確に行うためには、マーケティング部門からリードの詳細な情報や獲得経緯を共有してもらう必要があります。
リードナーチャリング(見込み客の育成)
リードナーチャリング(見込み客の育成)の段階では、再びマーケティング部門の出番です。リードの関心度や課題に合わせたコンテンツを提供し、メールやSNSなどを通じて継続的にコミュニケーションを取ることで、リードとの関係性を構築し、購買意欲を高めていきます。営業部門は、適切なタイミングでリードにアプローチし、直接的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築きます。
リードコンバージョン(見込み客の顧客化)
そして、リードコンバージョン(見込み客の顧客化)の段階では、営業部門が主体となって活動します。リードのニーズに合わせたソリューションを提案し、交渉を進めることで、契約締結を目指します。ただし、この過程でもマーケティング部門の支援が欠かせません。営業活動を後押しするためのコンテンツや資料を準備することで、説得力のある提案が可能になります。
このように、リード獲得の各段階で営業とマーケティングが密に連携することが成功の鍵となります。それでは、両部門の連携をスムーズに進めるための具体的な方法を見ていきましょう。
リードステータスの定義と合意
営業とマーケティングが連携してリード獲得を進めるためには、リードの定義づけを明確にし、両部門間で合意形成することが重要です。ここでは、リードステータスの定義例と合意形成の方法を紹介します。
リードステータスの定義例
まず取り組むべきは、リードステータスの定義づけです。営業とマーケティングが共通の言語を持ち、リードの状態を的確に把握できるようにすることが重要です。
一般的なリードステータスの定義としては、以下のようなものが挙げられます。
Suspect(潜在顧客)
製品・サービスに関心を示す可能性がある個人または企業。マーケティング施策のターゲットになり得る対象です。
Prospect(見込み客)
製品・サービスに関心を示し、問い合わせや資料請求などのアクションを取った個人または企業。営業アプローチの候補となります。
MQL(Marketing Qualified Lead)
マーケティング施策により獲得したProspectのうち、一定の基準を満たしたもの。製品・サービスへの関心度が高く、購買意欲が見込まれます。
SQL(Sales Qualified Lead)
MQLのうち、営業が商談に値すると判断したもの。ニーズや予算、権限などの観点から、成約の可能性が高いリードです。
Opportunity(商談)
SQLのうち、営業が積極的にアプローチを行っているもの。提案や見積もりを提示し、契約締結を目指します。
ただし、これらの定義はあくまで一例です。自社のビジネスモデルや営業プロセスに合わせて、独自のリードステータスを定義する必要があります。
リードステータスの定義づけは、営業とマーケティングの責任者が中心となって進めていきます。まずは両部門で定義案を作成し、それぞれの立場からの意見を出し合います。そして、議論を重ねながら定義を磨き上げ、最終的に両部門の合意を得ることが重要です。
合意形成ができたら、定義を両部門の全メンバーに共有し、徹底します。リードステータスに対する理解を深め、日々の業務の中で活用できるようにサポートしていきましょう。
リードスコアリングモデルの構築
リードステータスの定義づけと並行して進めるべきが、リードスコアリングモデルの構築です。リードスコアリングとは、リードの購買意欲や関心度を数値化する仕組みのことを指します。
スコアリングモデルを設計する際は、まず目的を明確にすることが重要です。リードの優先順位付けなのか、MQLやSQLの判定なのか、目的に合わせてモデルを最適化する必要があります。次に、スコアリングの対象となるリードの行動や属性を洗い出します。Webサイトの閲覧履歴、コンテンツのダウンロード、職種、業種など、スコアリングに使える要素を可能な限り抽出しましょう。そして、各要素に点数を割り当てます。リードの購買意欲や関心度に与える影響の大きさに応じて、適切な点数を設定します。最後に、スコアの合計点に基づいて、MQLやSQLと判定するための基準点を決めます。この基準点は、リードの質と量のバランスを見ながら、適宜調整していくことが大切です。
スコアリングモデルができあがったら、実際に運用してみましょう。リードの評価を行いながら、モデルの精度を検証し、改善につなげていきます。
リードステータスの定義とスコアリングモデルの構築は、営業とマーケティングの連携を深めるための土台となります。両部門が共通の物差しを持ち、リードの状態を的確に把握できるようになることで、より効果的なリード獲得活動が可能になるのです。
スコアリングルールの設計~リード獲得の成果測定と改善
スコアリングモデルの構築と並行して進めるべきが、スコアリングルールの設計です。スコアリングルールとは、リードの行動や属性に応じて点数を割り当てるための基準のことを指します。
スコアリングルールを設計する際は、まず自社の理想顧客像(ICP)を明確にすることが重要です。過去の顧客データを分析し、高い購買意欲を示すリードの特徴を洗い出しましょう。
例えば、ある企業では以下のような特徴を持つリードが高い購買意欲を示すことがわかったとします。
- 年間売上が10億円以上の企業
- マーケティング部門に所属している
- 過去1ヶ月以内にWebセミナーに参加した
- 自社のWebサイトを5回以上訪問している
このような特徴を持つリードに高いスコアを付与することで、優先的にアプローチすべきリードを明確にすることができます。
理想顧客像の特徴を踏まえて、スコアリングの基準を設定します。リードの行動や属性に応じて、点数を割り当てていきましょう。
スコアリング基準の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- Webセミナーに参加:+10点
- 製品ページを3回以上閲覧:+5点
- 決裁権者である:+20点
- 競合企業の利用経験がある:+15点
このような基準を組み合わせ、リードの総合的な評価モデルを構築します。そして、MQLやSQLと判定するための閾値を設定します。
ただし、スコアリングモデルは完璧なものではありません。実際に運用しながら、その効果を検証し、改善していく必要があります。リードの成約率や顧客化率などの指標を分析し、スコアリングルールの最適化を図りましょう。
スコアリングルールの設計と並行して、リードナーチャリングの施策を具体化していきます。リードナーチャリングとは、見込み客との関係性を構築し、購買意欲を高めるための活動のことを指します。
リードナーチャリングで重要なのは、リードの関心度に合わせたコンテンツを提供することです。リードの課題や関心事を的確に捉え、最適なコンテンツを届けることで、リードとの関係性を深めることができます。
そのためには、まずリードの購買検討ステージに応じたコンテンツマップを作成しましょう。リードの関心事や課題を予測し、それぞれのステージに適したコンテンツを準備します。
例えば、初期の検討段階では、課題解決のヒントとなる情報を提供し、関心を喚起します。製品・サービスの詳細な情報は、後の段階で提供するようにしましょう。
コンテンツの制作と並行して、配信方法も最適化します。MAツールを活用し、リードの行動に応じて最適なコンテンツを自動的に配信する仕組みを構築しましょう。
また、メールや電話、対面ミーティングなど、リードとのコミュニケーションチャネルを適切に選択することも重要です。リードの反応や関心度に合わせて、最適なチャネルを使い分けます。
リードナーチャリングを進める中で、営業部門との連携を強化していきます。特に、リードの関心度が高まり、商談に近づいてきた段階では、マーケティング部門から営業部門へのスムーズな引き継ぎが求められます。
両部門でリードの情報を共有し、これまでのコミュニケーション履歴を引き継ぐことで、リードとの関係性を途切れさせることなく、商談につなげることができます。
リード獲得の成果測定と改善
最後に、リード獲得の成果測定と改善についても触れておきます。リード獲得施策の効果を定量的に測定し、PDCAサイクルを回すことが重要です。
まずは、リード獲得の目標を数値化し、KPI(重要業績評価指標)を設定します。リード獲得数、コンバージョン率、獲得単価など、目標達成に向けた指標を定めましょう。
そして、個々の施策についてもKPIを設定し、効果検証を行います。獲得リード数や成約金額を投資額で割ることで、施策のROI(投資対効果)を算出します。
効果検証の結果を踏まえて、施策の改善や最適化を図ります。ABテストなどを活用し、より効果の高いアプローチを模索しましょう。
また、新たな施策にもチャレンジしていくことが重要です。市場の変化や顧客ニーズの変化に合わせて、新しいチャネルやテクノロジーを取り入れることで、リード獲得力を高めていくことができます。
リード獲得において、PDCAサイクルを回し続けることが成功の鍵となります。常に仮説を立て、検証し、改善することで、より高いレベルのリード獲得活動が可能になるのです。
まとめ
営業とマーケティングの連携は、リード獲得の成功に不可欠な要素です。両部門が一体となって、見込み客の発掘から育成、そして顧客化までのプロセスを最適化することが求められます。
本記事で紹介したロードマップやテンプレート、チェックリストを活用し、自社のリード獲得体制を見直してみてください。リードステータスの定義づけ、スコアリングモデルの構築、効果的なナーチャリング施策の実行など、一つひとつのポイントを押さえることで、リード獲得の成果を最大化できるはずです。
営業とマーケティングが手を取り合い、データドリブンな意思決定と創造性豊かなアプローチを組み合わせることで、貴社のビジネスに新たな風を吹き込むことができるでしょう。リード獲得のパワーを最大限に引き出し、競合他社を上回る成果を目指しましょう。
イノーバでは、営業・マーケティング連携によるリード獲得の支援を行っています。私たちは、豊富な実績と専門知識を活かし、お客様のビジネスに合わせたオーダーメイドのソリューションを提供します。MAツールの選定・導入から、コンテンツ制作、スコアリングモデルの構築まで、リード獲得の全プロセスをサポートします。
営業とマーケティングの垣根を越えたシームレスな連携を実現し、質の高いリードを安定的に獲得するために、ぜひイノーバにご相談ください。お客様のビジネスの成長に貢献できることを楽しみにしております。
参考:リード獲得に関してはこちらの記事もぜひおよみください。
【2024年最新】リード獲得の基本と実践 - 見込み客を増やす効果的な方法と事例
FAQ
Q1. リード獲得のために、まず何から始めるべきですか?
A1. まずは、自社の理想顧客像(ICP)を明確にすることから始めましょう。ターゲットとなる企業や担当者の属性を詳細に定義し、その特徴やニーズを理解することが重要です。次に、その理想顧客像に合わせたコンテンツやメッセージを準備し、最適なチャネルで発信していきます。
Q2. リードの質と量のバランスをどのように取るべきですか?
A2. リードの質と量は、自社のビジネスモデルや目標によって最適なバランスが異なります。一般的には、まずは一定量のリードを獲得し、その中から優良リードを見極めていくアプローチが効果的です。リードの質を高めるために、スコアリングモデルを活用し、優先順位の高いリードに注力することが重要です。
Q3. マーケティングオートメーション(MA)ツールの選定基準は何ですか?
A3. MAツールの選定では、以下の基準を考慮しましょう。
- 自社のニーズや目的に合致した機能を備えているか
- ユーザーインターフェースが直感的で使いやすいか
- 他のシステム(CRMなど)との連携が可能か
- 導入・運用コストが予算内に収まるか
- サポート体制が充実しているか また、実際にツールを試用し、自社の業務フローに適しているかを確認することが大切です。
チェックリスト:リード獲得の成功に向けて
- 営業とマーケティングの役割分担を明確にする
- リードステータスの定義を両部門で合意する
- スコアリングモデルを構築し、リードの優先順位付けを行う
- 理想顧客像(ICP)を明確にし、ターゲティングを最適化する
- 顧客ニーズに合致したコンテンツを制作・配信する
- マルチチャネルでリードとのコミュニケーションを図る
- MAツールを活用し、リードナーチャリングを自動化する
- 営業とマーケティングが緊密に連携し、情報共有を行う
- KPIを設定し、定期的に施策の効果を測定する
- PDCAサイクルを回し、継続的に施策を改善する
業界別のリード獲得戦略についてのこちらの記事もご参照ください。
- SaaS企業が効率的にリード獲得するためのポイントを解説