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本記事は、弊社CEO 宗像淳と、執行役員 平田継一郎の共著による書籍『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』の第5章「運用・拡散と改善の仕組みづくり 」の内容をQ&A形式でお届けする特別企画です。
生成AIを良きパートナーにすれば、コンテンツ制作は劇的に変わります。
この記事をもとに、AIと人間の得意領域を見極めつつ、読者の心に「伝わる」コンテンツを効率よく生み出すための実践的な制作ノウハウを身に着けていきましょう!
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目次
TABLE OF CONTENTS
本記事で学べること
この記事では、コンテンツマーケティングを「一過性の施策」で終わらせないための、仕組みづくりの勘所を解説します。
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体制構築:継続的な運用を支えるチームと役割の整え方
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指標の設定:成果を正しく評価するためのKPI・KGIの考え方
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PDCAの回し方:データを活用し、次の一手を導き出す改善プロセス
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組織の巻き込み:ツール活用と社内理解の促進による「文化」の醸成
それでは、具体的なQ&Aを見ていきましょう。
Q. コンテンツマーケティングの理想的な運用体制はどんなものですか?
A. コンテンツマーケティングで継続的に成果を出していくためには、3つのフェーズ×2つのタスクという観点で運用体制ことが重要です。
まず、コンテンツマーケティングの過程には大きく分けて「①立ち上げ期」「②運用期」「③改善期」という3つのフェーズが存在します。各フェーズでは、社内の体制(チーム内)において一般的に以下のような役割が必要になります。
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フェーズ |
必要な役割 |
ポイント |
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①立ち上げ期 |
・推進役(プロジェクトリーダー) ・コンテンツ制作担当メンバー |
スタート時はプロジェクトがスムーズに立ち上がらなかったり、場合によっては挫折してしまうことも。 立ち上げ期は戦略の策定サポートなども併せて外部の専門家に伴走してもらうことで、早期の立ち上げを目指す。 |
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②運用期 |
・推進役(プロジェクトリーダー) ・コンテンツディレクター ・Webサイト運用者 ・(外部)ライター、デザイナー |
試行錯誤しながらもコンテンツを増やしていくことが必要なため、社内のリソース次第では制作実務は外部のクリエイターに委託する。 また、コンテンツをスムーズにWebサイトで公開するためのWebサイト運用者も必要。 |
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③改善期 |
・推進役(プロジェクトリーダー) ・コンテンツディレクター ・Webサイト運用者 ・分析担当者 ・(外部)ライター、デザイナー |
継続的に運用をしていく中で、各種数値を計測・改善していくための分析担当者が必要。 また、プロジェクトリーダーにはインサイドセールスや営業部門など、関連部門との橋渡しの役割が求められるようになる。 |
さらに、フェーズとは別の観点で、タスク(業務)は大きく分けて「①戦略」と「②実行」の2つに分類できます。
戦略タスクにおいては、「コンテンツマーケティングを行うための目的の決定」や「他部門との連携」など、文字通り戦略の根幹を担う方針検討や組織リソースの最適化などの業務が主軸となります。
一方の実行タスクにおいては、「コンテンツ企画」「Webサイト運用」などの効率性や制作力などが求められます。
両方のバランスを見ながら最適な体制や人員配置を考えることが重要ですが、いちばんパワーが必要なのが「立ち上げ期」です。ここで力尽きないように、最初こそ外部のプロフェッショナルを頼るのも賢い戦略だと言えるでしょう。
▶マーケティングは内製or外注?イノーバ流ハイブリッド戦略のススメ
Q. コンテンツマーケティングのKGIやKPI(評価指標)はどう考えるといいですか?
A. コンテンツマーケティングにおけるKGIやKPIは、一概に「この指標!」と決まっているわけではなく、自社の目的や目標から逆算して考えることが何よりも重要です。
例えば「1年間でWebサイトでのコンバージョン数が○件になる状態にする」といった目標がある場合、「コンバージョン数」がKGIとなり、コンバージョンの増加に寄与する「Webサイトの流入数」「コンバージョン率」「CTAの数」などの指標がKPIになりえます(KGIは指標ではなく、目標自体をKGIにすることもあります)。
このように、KGIを最終ゴールとして掲げ、そのゴールへの道のりを分解してKPIに設定することで、評価指標は単なる数字ではなく、改善のために生かせる具体的な指標や活動目標になっていきます。
▼KGIからKPIへの分解ツリー

『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』133ページ 図表35-2より
Q. コンテンツマーケティングの改善サイクル(PDCA)はどのように回すべきですか?
A. コンテンツマーケティングの運用においては、以下のようにPDCAの改善サイクルを小さくまわし続けましょう。
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計測すべき数値(=KPI)を正しく「計測」して数値の変化を把握する
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そこから「課題を発見」する
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改善のための「仮説」を立てる
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そのための解決策を「企画」する
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具体的なコンテンツの「制作」やページの「改善」をする
▼コンテンツマーケティングにおけるPDCAサイクル

『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』135ページ 図表36-2より
コンテンツの「正解」は、実際に世に出してユーザーの反応を見るまで分かりません。
時間をかけて完璧を目指すよりも、まずはいち早く公開し、得られた反応をもとにブラッシュアップを重ねるほうが、結果的にユーザーが本当に求める質の高いコンテンツへ早く到達できます。
Q. 目標達成に向けて何を改善すべきかわかりません。どうすればいいですか?
A. 改善の基本は「ファネルの下から上へ」です。
コンテンツマーケティングは、ニーズが顕在化する前の潜在顧客とコンテンツを通して接点を作り出し、徐々にニーズを育成して購買に結びつける手法です。これは逆に言えば、顕在層(ファネルの下)向けの改善は成果へのインパクトが「強く」、潜在層(ファネルの上)向けの改善はインパクトを「広く」できるということです。
投資対効果やリソースの効率化の観点からも、下から順に進めることで、早く強い改善インパクトを生み出すことができます。
▼ファネルの階層と改善インパクトの関係

『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』136ページ 図表37-1より
Q. マーケティングオートメーション(MA)は使った方がいいですか?
A. 特にBtoB領域でのコンテンツマーケティングにおいて、MAは必須のツールです。
なぜなら、BtoB領域では「リードマネジメント」、つまり、自社が保有するリードからいかに効果的に商談を生み出すかが成果のカギを握っています。MAなしでもExcelやGoogleスプレッドシートである程度のデータ管理はできますが、現実の運用にはかなりの困難が伴います。
例えば、MAなしではExcelやGoogleスプレッドシートで数千件の顧客データを管理し、一人ひとりの行動を手動で追うという想像するだけで気が遠くなる作業が発生します。ファイルごとに情報が分散し、更新遅延や重複・抜け漏れが発生するリスクもあります。
一方MAを導入していれば、名刺交換やWebサイト上でのコンバージョンなどで獲得したリードを一元管理し、各リードの行動履歴や検討ステージを常に自動で最新化することができます。
このように、MA導入には人力では困難な作業を可能にするという計り知れないインパクトがあります。いまやMAがないと効果的なコンテンツマーケティングを行うことはできないといっても過言ではないほど、その重要性は増しています。
Q. コンテンツマーケティングにおいて、経営層や他部門を巻き込むことは重要ですか?
A. コンテンツマーケティングは長期的な取り組みであり、効果がすぐには表れにくいため、短期的な成果を求める他部門からは「本当に必要なのか?」と疑問を持たれやすい側面があります。しかし、コンテンツマーケティングを進めるには、社内のさまざまな人を巻き込んで進めていくことが必要になります。
ここでは、「①マーケティング」「②広報」「③経営層」「④営業/インサイドセールス」「⑤カスタマーサポート/カスタマーサクセス」の各部門の役割と、連携のポイントを整理しておきましょう。
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①マーケティング |
コンテンツマーケティングの推進役。
顧客の「リアルな声」を社内外から集め、企画に落とし込み、配信チャネルを組み合わせて成果につなげる「ハブ役」として機能する。 |
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②広報 |
企業情報の発信役。
プレスリリースや採用広報においてもコンテンツマーケティング施策と連携をとることで、ブランドストーリーと一貫性を持たせることができ、企業全体の発信力を高められる。 |
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③経営層 |
予算や人員の確保・増強を握るスポンサー。
「その施策によってどれだけのリターンがあるか」を重視するため、ROI(投資対効果)のような具体的な数値でコンテンツマーケティングの価値を説明することが効果的。 |
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④営業/インサイドセールス |
「見込み顧客」との直接の接点を持つ窓口。
定期的に営業部門から見込み顧客の声をヒアリングする場を設け、そこから得た情報をコンテンツ制作に反映することで、提案の現場で役立つ「商談を後押しするコンテンツ」が生まれやすくなる。最重要課題は「いかに商談を増やすか」なので、コンテンツマーケティングを行って自ら接点を持ってくれた見込み顧客を増やすことは、営業やインサイドセールスにとっても大きなメリットになる。 |
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⑤カスタマーサポート/カスタマーサクセス |
「既存顧客」と直接の接点を持つ窓口。 定期的に「よくある質問」や「利用上のつまずき」「成功した/うまくいかなかった事例」を共有してもらいコンテンツに展開することで、既存顧客の満足度向上にもつながる。 |
まとめ
本記事では、コンテンツマーケティングを「作って終わり」にせず、組織の資産として育て、成果を出し続けるための運用・改善の要点を解説しました。
重要なポイントは以下の3点です。
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「小さく回す」改善サイクル:完璧主義に陥らず、コンテンツを出してみて改善実践と改善を繰り返すことでコンテンツマーケティングの精度徐々にが高まっていきます。
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「成果」から逆算した指標設定と改善の優先順位:最終的なゴール(KGI)を分解し、具体的な行動目標(KPI)に落とし込むことが重要です。改善を行う際は「ファネルの下(成約に近い層)から上へ」を基本に進めることで、いち早く効果を得やすくなります。
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ツール活用と「組織一丸」の体制構築:特にBtoB領域ではMA(マーケティングオートメーション)をフル活用し、人力では不可能なリード管理を自動化・効率化しましょう。さらに、社内で部門を超えた協力体制を作れると、長期的な成功につながります。
さらに深く体系的に学びたい方は、ぜひ『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』をご覧ください。
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コンテンツの運用・拡散と改善の仕組みづくり(本記事)
著者情報

株式会社イノーバ 代表取締役CEO
宗像 淳
福島県立安積高校、東京大学文学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻)。
1998年に富士通に入社し、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等の広汎な業務を経験。MBA留学後、楽天で物流事業、ネクスパス(現トーチライト、博報堂DYグループ)でソーシャルメディアマーケティング事業の立ち上げを担当。ネクスパスでは、事業開発部長として米国のベンチャー企業との提携を主導した。
2011年、マーケティング支援会社である株式会社イノーバを設立、代表取締役に就任。日本におけるコンテンツマーケティング/BtoBマーケティングの第一人者として、15年以上にわたり5000社以上の経営課題やマーケティング・営業課題を分析し、幅広い業界で企業の事業成長に貢献。「事業を伸ばすには実行力が重要であり、実行力とは組織・人である」という哲学で、人にこだわった支援会社づくりに取り組んでいる。 2026年2月、最新刊『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』(インプレス)を上梓。著書に『商品を売るな コンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みを作る』(日経BP社)、『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本』(インプレス)。

株式会社イノーバ 執行役員 兼 マーケティング・ソリューションセールス統括
平田 継一郎
印刷会社・広告代理店でクライアントの販売促進(SP)の支援に始まり、HRTechベンチャーでBtoBマーケティングに従事。
2015年にコンテンツマーケティングに出会い、イノーバにジョイン。お客様との窓口として、コンテンツ制作ディレクション、マーケティングコンサルティングに従事した後、自社のマーケティング・セールス部門責任者を兼務している。
これまでマーケティング支援に携わった企業は業界を問わず400社以上。現場での豊富な支援経験を活かし、10年以上にわたり企業の事業成長に貢献し続けている。
2026年2月、イノーバCEO 宗像との共著『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』(インプレス)を上梓。