本記事は、弊社CEO 宗像淳と、執行役員 平田継一郎の共著による書籍『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』の第7章「これからのマーケターに必要なスキルセット 」の内容をQ&A形式でお届けする特別企画です(※第6章は具体的なケーススタディのため、本企画の記事化はおこなっておりません)。
AI時代だからこそ、これからは人間ならではの「考える力」がより問われます。本記事では、これからのマーケターに必要不可欠なスキルを6つの視点から提言します。
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目次
TABLE OF CONTENTS
Q. AI時代、マーケターの仕事はどうなっていくのでしょうか?
A. データ整理やアイデアの拡張、文章のたたき台の作成などの「単純作業」は、生成AIの進化で急速に代替されつつあります。これまで人間が時間をかけていた作業は、AIを使えば数分で完了する時代なのです。
こうした中、AI時代のマーケターには、AIには代替できない領域で強みを発揮することが求められます。AIは効率性やスピードの面で力を発揮する一方、文脈の理解や責任ある判断は苦手です。だからこそ、AIを効率とスピードの面で使いこなしつつ、人間にしかできない思考や判断のスキルを磨くことが、マーケターにとって不可欠な武器となります。
Q. これからの時代、マーケターが磨くべきスキルは何ですか?
A. 人間にしかできない思考や判断のスキルとして、以下の5つが挙げられます。
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情報を集める力
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分析思考力
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顧客インサイトを読み解く力
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顧客を主語に組織を導く力
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ブランドを構築する力
Q.「情報を集める力」とは何ですか?
A. 膨大な情報の中から「判断に使える情報」を見極める力です。
マーケティング活動は、常に意思決定が伴います。どの市場で戦うか、誰にどのようなメッセージを届けるか……そのすべては「情報」に基づく判断の積み重ねです。もし前提となる情報が誤っていれば、どれほど巧みな戦略設計も空回りします。逆に、正確で深い情報を持つことで、意思決定の精度は飛躍的に高まるのです。
大量かつ玉石混交の情報があふれる現代において、マーケターには情報の良し悪しを見極め、取捨選択し、適切に活用する力が欠かせません。それこそがマーケターの重要な役割です。
AIによる情報収集は非常に便利ですが、本シリーズで繰り返し述べている通り、AIは時に誤った回答を示すことがあります。ファクトチェックは必ず人間が責任をもって実施した上で情報の取捨選択をしましょう。
Q. 「分析思考力」とは何ですか?
A. 数字の裏にある「人間の意思や感情」を読み解き、仮説を立てる力のことです。
生成AIの発達により、マーケターが活用できるデータ野亮は飛躍的に増えています。これまでWebサイトのアクセス数やコンバージョン数などはツールで把握するに留まりましたが、生成AIを使えば、より手軽に可視化し、比較・分析することも可能になりました。
ただし、注意すべきはデータはあくまで「結果」の記録であり、そうなった「原因」を語ってくれるものではないということです。さまざまなデータは数字で表現されますが、その数字を生み出しているのは、あくまで人の動きや心理の変化であることを忘れてはなりません。
Q. 「顧客インサイトを読み解く力」とは何ですか?
A. 顧客行動の奥にある「本人も明確には意識していない行動の理由」を見抜く力です。
顧客を理解しているつもりでも、実際には「表面的なニーズ」を捉えるにとどまっているケースが少なくありません。顧客ニーズとは、「安いものがほしい」「導入が簡単なツールがいい」といった、顧客自身が言葉にできる表面的な欲求です。
一方で「顧客インサイト」は、本人も明確には意識していない行動の理由であり、「失敗したくない」「違いが分からないから無難な選択をしたい」といった感情の奥に潜む本音です。顧客インサイトは顧客自身も明確に言語化できていないことが多く、単なるアンケートや数値分析だけではなかなか見つかりません。重要なのは「なぜそうした行動を取ったのか?」「その行動の背景にどういった気持ちや状況があるのか?」を想像し、仮説を立てて確かめていく姿勢です。
つまり、顧客行動の奥にある動機を見抜くことこそが、顧客インサイトの理解につながります。
▼表面的なニーズとその裏にあるインサイト

『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』181ページ 図表48-1より
Q.「顧客を主語に組織を導く力」とは何ですか?
A. 顧客の行動を起点に部門間の連携を最適化し、事業の成長を促す力です。
顧客を主語にするとは、「顧客の視点で語る」ことからさらに一歩踏み出して、「顧客の行動を出発点に考える」ことです。
これまでのマーケティングは、自社が伝えたいことを軸に設計されてきました。しかし、顧客は自社の思い通りには動きません。顧客は課題を抱え、情報を探し、迷いながら意思決定をします。その一連のストーリーを理解し、顧客がどのような瞬間に何を求めているかというポイントを基点に施策や仕組みをデザインすることこそ、顧客を主語にする発想です。
つまり、主語を「自社が」から「顧客が」に置き換えるという、思考の反転が必要なのです。
▼「思考の反転」の具体例

『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』184ページ 図表49-1より
顧客を主語に考えることで、意思決定の基準が変わります。自社の目標やKPI達成だけを近視眼的に追い求めるのではなく、「顧客が課題解決にたどり着くかどうか」がマーケティングの目的であり、意思決定の判断基準になります。マーケティング、営業、カスタマーサポートなどの自社の各部門が、「顧客が成功するための事業」という目的を共有し、それぞれの役割を自覚するようになるのです。こうした「収益を最大化するために、組織横断で一貫した戦略を実行する仕組み」のことを「RevOps」(Revenue Operations:レベニューオペレーション)と言います。
Q. 「ブランドを構築する力」とは何ですか?
A. 見込み顧客に選ばれ続ける存在=強いブランドを築く力です。
ブランド構築やブランディングと聞くと「ロゴやスローガンの刷新」「大規模な広告宣伝が必要」と認知の施策を思い浮かべがちですが、ブランディングに必要なのは「認知」よりも「想起」です。
特にBtoBマーケティングでは、Webサイト訪問数やリード数などの「見える成果」に意識が向きがちです。しかし、それらのKPI以前に大事なのは、「誰に、どのような場面で思い出されたいか」を定義することです。これがブランディングの肝になります。
つまり、顧客が課題に直面した瞬間に「そういえばあの会社があった」と思い出されるかどうかが勝負なのです。
価値あるコンテンツの発信で見込み顧客との接点を重ね、強固な信頼関係を築くこと。つまり、コンテンツマーケティングにおける究極的なゴールが「強いブランドを築くこと」なのです。
▼顧客が課題を感じた瞬間に「思い出される」状態

『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』188ページ 図表50-1より
まとめ
本記事では、生成AIが当たり前になった今、マーケターが磨くべき「人間ならではの領域」について解説しました。
これからの時代、単純な実務や情報の収集はAIが劇的に効率化してくれます。だからこそ人間は、AIにはできない領域にリソースを集中し、そのスキルを伸ばすことが求められます。
書籍の本編では、それぞれのスキルを伸ばすコツや考え方も体系的に整理しました。
さらに深く体系的に学びたい方は、ぜひ『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』をご覧ください。
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著者情報

株式会社イノーバ 代表取締役CEO
宗像 淳
福島県立安積高校、東京大学文学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(マーケティング専攻)。
1998年に富士通に入社し、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等の広汎な業務を経験。MBA留学後、楽天で物流事業、ネクスパス(現トーチライト、博報堂DYグループ)でソーシャルメディアマーケティング事業の立ち上げを担当。ネクスパスでは、事業開発部長として米国のベンチャー企業との提携を主導した。
2011年、マーケティング支援会社である株式会社イノーバを設立、代表取締役に就任。日本におけるコンテンツマーケティング/BtoBマーケティングの第一人者として、15年以上にわたり5000社以上の経営課題やマーケティング・営業課題を分析し、幅広い業界で企業の事業成長に貢献。「事業を伸ばすには実行力が重要であり、実行力とは組織・人である」という哲学で、人にこだわった支援会社づくりに取り組んでいる。 2026年2月、最新刊『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』(インプレス)を上梓。著書に『商品を売るな コンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みを作る』(日経BP社)、『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本』(インプレス)。

株式会社イノーバ 執行役員 兼 マーケティング・ソリューションセールス統括
平田 継一郎
印刷会社・広告代理店でクライアントの販売促進(SP)の支援に始まり、HRTechベンチャーでBtoBマーケティングに従事。
2015年にコンテンツマーケティングに出会い、イノーバにジョイン。お客様との窓口として、コンテンツ制作ディレクション、マーケティングコンサルティングに従事した後、自社のマーケティング・セールス部門責任者を兼務している。
これまでマーケティング支援に携わった企業は業界を問わず400社以上。現場での豊富な支援経験を活かし、10年以上にわたり企業の事業成長に貢献し続けている。
2026年2月、イノーバCEO 宗像との共著『いちばんやさしいAI時代のコンテンツマーケティングの教本』(インプレス)を上梓。