米国で盛り上がっているサブスクリプション型コマースとは?

EC(Eコマース)

最近、米国を中心にサブスクリプション・コマースと呼ばれる新しいタイプのEC(ネット通販)が盛り上がりを見せている。Shoedazzleなど急成長するベンチャー企業が現れ、ベンチャーキャピタルのお金も流れ込んでいる。

サブスクリプション・コマースとは?

さて、このサブスクリプション・コマースとは一体何なのか?日本語でいうと、定期購入、頒布会だ。
定期購入、頒布会といってしまうと全く新鮮味がないが、米国でここ数年盛り上がっているのは、新しいタイプの定期購入サービスである。

アパレルのサブスクリプション・コマースが人気

代表格は、ShoeDazzle、Justfab、Beachmintなどである。これらは、ファッション商品を月額課金でユーザーに届けるというモデルである。日本だと、カタログ通販のフェリシモのモデルに近い。

セレブとパートナーを組む

これらのサービスのもう一つの特徴は、セレブとパートナーを組んでいるという事である。日本でいうと、東京ガールズコレクションを活用して、Eコマースを展開しているファッションウォーカーのようなイメージになるだろう。

多数のベンチャー企業がサブスクリプション・コマースに参入

ShoeDazzleが大成功をおさめたので、多くの会社がそのビジネスモデルをコピーしている。Manpacks、Babbabox、Foodzieなどがそうだ。
そして、さらに高度なモデルは、定期購入にキュレーションの要素を持ち込んだのがBirchBoxだ。

サブスクリプションコマースが盛り上がっている背景は?

定期購入モデルというのは、昔からある販売手法だが、なぜ今になって、定期購入型のサービスが多数登場しているのだろうか?
その理由の一つは、消費者が情報過多に苦しんでいるという事があると思う。

商品数を増やしたい楽天、Amazon

これまで、楽天やAmazonは商品数(SKU数)を増やすことでビジネスを拡大してきた。商品数が多いと検索エンジン経由でアクセス数を獲得できる。商品数が多ければ多いほど、売上が拡大するのがインターネットショッピングビジネスの大原則なのだ。

ただ、売上を追求するために、商品数を増やしていった結果、欲しいものがなかなか見つからないという状態も作りだしている。ZOZOタウンなども、元々セレクトされた商品を並べるECサイトだったが、商品数が増えてくるにつれて、探せない、見つからないという問題が発生している。

選択肢が多いと決められない

実は、探せない、見つからないという問題以外にも、もっと大きな問題がある。そもそも、人間は選択をするのが苦手であるという事実だ。一般的に、選択肢が増えれば増えるほど、意思決定できなくなる。これは行動ファイナンスの分野で示されている事実である。シーナ・アイエンガーという人が、スーパーでのジャムの試食を題材に行った実験が非常に興味深い。
「6種類」のジャムの試食(選択肢・小)と、「24種類」のジャムの試食(選択肢・大)
どちらの試食が、より多くの人を集めるのか? そして、どちらが購入に結びつくのか?
その結果は…、
来店客の60%が、選択肢の多い24種類を試食し、選択肢の少ない6種類のほうを試食したのは来店客の40%に留まった。つまり、選択肢が多いほど、より多くの人々が集まったのである(1.5倍)。
ところが、24種類の試食の「購入率」は、たった3%。それに対して、6種類の試食の購入率は、なんと30%(割合としては10倍)

選択肢が増えると一見便利なようだが、消費者は迷ってしまって逆に買えなくなるという事なのだ。

商品をあえて絞り混む

今回紹介したサブスクリプション型のサービスは、逆にセレクトされた商品を提供することで、消費者にメリットを提供している。本当にいい物だけを厳選して販売するのだ。本来の小売りのあるべき姿だと言えるだろう。

日本でも盛り上がるサブスクリプションコマース

日本でも、Sakelife、Glossyboxなどの新しいサブスクリプション型のコマースが始まりつつあり、要注目だ。
ただ、注意しなくてはならないのは、米国のサブスクリプション型のコマースで成功しているのは、ごく一部だという事。
結局Eコマースの本質は、満足してもらってリピートしてもらえるかということであり、商品の選定やプライシングによって、どれだけ消費者に価値を提供できるかということがポイントになるだろう。
出典:Box It Up – The Rise of Subscription Commerce
Photo: Some rights reserved by ielshareef, flickr