デジタル変革の中心にあるMA(マーケティングオートメーション)は、現代マーケティング戦略に欠かせないツールとしてその重要性が高まっています。
この記事では、MAツールの概念をわかりやすく説明し、さまざまなツールを比較しながら、あなたに最適なMAツールの選び方を解説します。これからMAツールの導入を検討している方や、すでに使用しているがさらに知識を深めたい方にも役立つ内容をお届けします。
1.MAの主要機能
MAのおすすめを説明する前に、簡単にMAの主要機能を確認しましょう。MAの機能は多岐にわたるため、自社のマーケティングレベルに応じて、必要な機能を検討するのがおすすめです。
ここでは、MAの主要な機能を初級・中級・上級の3段階のレベル別に紹介します。
初級レベル:
- 自動化されたメールマーケティング
- ソーシャルメディアの投稿管理
- ユーザー登録後の歓迎メール
- 製品情報の定期的な配信
中級レベル:
- リードスコアリング
- パーソナライズされたコンテンツの提供
- CRMとの統合
- 見込み客の質の判断
- 業界ごとにカスタマイズされた情報提供
上級レベル:
- 予測分析
- AIの活用
- マルチチャネルキャンペーンの管理
- データに基づいた高度な顧客分析
- 複数のプラットフォームを通じた統一されたマーケティング戦略の展開
これらの機能により、MAツールはマーケティング活動を大きく変革し、より効率的で効果的な結果を生み出すことができます。
MAツールの機能について詳しくはこちら
2.MAの重要な評価項目
MAの機能を把握した上で、次に必要なのは、MAツール選定の評価ポイントを抑える事です。自社の状況に合わせて、評価する事で、適切なツールを選定する事ができます。
マーケティングオートメーションツールを選択する際には、以下のような複数の評価軸を考慮することが重要です。
- 機能性と特徴
- 使いやすさとユーザーインターフェース
- カスタマイズと統合性
- コスト効率
- 成長への対応(拡張性)
- カスタマーサポートとコミュニティ
- データ分析とレポーティング
- セキュリティとコンプライアンス
これらのポイントを基に、あなたのビジネスに最適なマーケティングオートメーションツールを選択しましょう。
3. 目的別のMAツール一覧
デジタルマーケティングが盛んな現代では、ビジネスの規模や業界、特定のニーズに合わせて、さまざまなMAツールが提供されています。この章では、MA活用の7つのステージ別に最適なツールを紹介します。(※機能・プランについては2024年3月時点の情報)
ステージ1:基本的なメールマーケティング
基本的なメールマーケティングツールを検討し始める段階。メールの一斉送信、基本的なセグメンテーション、簡単な分析に重点を置きます。
▶おすすめツール:Mailchimp
- 概要・特徴:
- Mailchimpは世界中で人気のメール配信システムです。そのシンプルなインターフェースと豊富な機能が魅力ですが、管理画面やサポートが全て英語である点には注意が必要です。
- 主な機能:
- 無料プランではメール配信、基本的なセグメント配信、顧客管理、ランディングページ作成などが利用可能です。
- 有料プランではメール中のMailchimpロゴ削除、ステップメール機能、ABテスト、より詳細な行動分析などの機能が追加されます。
- 料金体系:
- Free:無料
- Essentials:月額1,150円~
- Standard:月額1,750円~
- Premium:月額34,500円~
- サポート体制:
- Freeプランでは30日間のサポートのみ。
- 有料プランでは、料金に応じてメールやライブチャット、電話によるサポートが提供されます。
ステージ2: ターゲットを絞ったキャンペーン
よりターゲットを絞ったキャンペーンを行う段階。基本的なリードジェネレーションとナーチャリング戦略が実施されています。コンテンツのパーソナライゼーションに向けた取り組みも。
▶おすすめツール①:HubSpot(基本プラン)
- 概要・特徴:
- 顧客管理やWebサイトの構築に役立つマーケティングオートメーションツールです。マーケティング、セールス、カスタマーサービスの機能が含まれ、多機能なプラットフォームを提供しています。無料版でも顧客管理やマーケティングの基本的な機能が利用可能です。
- 主な機能:
- 顧客情報の管理
- 見込客の獲得機能
- フォーム作成
- チャットフロー
- 広告管理
- 顧客との関係構築
- 企業管理、取引管理
- 料金体系
- 無料ツール:無料
- Starter:月額2,399円~
- Professional:月額106,800円~
- Enterprise:月額432,000円~
- サポート体制:
- 契約内容に応じて、チャット・Eメール・電話などのカスタマーサポートを利用可能。
▶おすすめツール②:BowNow
- 概要・特徴
- 簡単に使い始められるマーケティングオートメーションツールで、複雑な設定が不要な点が魅力です。
- 主な機能
- 企業情報の分析
- サイト訪問者のアクセスログ解析
- フォーム作成
- メール配信
- ABMテンプレート
- 料金体系
- 無料版あり。
- 有料版については要問い合わせ
- サポート体制
- 1to1導入支援
- 定期開催の勉強会
- 動画コンテンツ
- 技術支援
- お役立ちメール配信
- ※契約プランに応じて異なる
ステージ3:CRMと連携して効率化
MAをより高度に活用する段階。CRMシステムとの統合によりリードトラッキングが向上。効率化のために自動化されたワークフローを活用し始めます。
▶おすすめツール①:Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)
- 概要・特徴:
- Salesforceと連携するBtoBに特化したマーケティングオートメーションツールで、リードの行動や関心具合を営業担当にスムーズに共有する機能が特徴です。
- 主な機能:
- Webトラッキング
- ランディングページ制作
- エントリーフォーム制作
- メール配信。
- マーケティングの結果をリアルタイムにレポーティング。
- 料金体系
- Growth:150,000円
- Plus:330,000円
- Advanced:528,000円
- Premium:1,800,000円
- サポート体制:
- 導入時にコンサルティング企業のサポートを利用するのが一般的。
- 無料学習コンテンツのほか、有料で初期設定支援、並走サービスなどのサポートオプションあり。(料金は要問い合わせ)
▶おすすめツール②:HubSpot(上級プラン)
ステージ2参照
▶おすすめツール③:SATORI
- 概要・特徴:
- 匿名の見込み顧客へのアプローチに強みがあります。日本国内向けに開発された使いやすいUIと充実したサポート体制が強みです。
- 主な機能:
- ウェブサイト訪問者の行動分析
- フォーム作成
- メール配信
- 資料ダウンロードやセミナー申込み管理
- 見込み顧客の育成
- 料金体系:
- 初期費用:300,000円(税別)
- 月額費用:148,000円(年間契約/税別)
- サポート体制:
- 日本人スタッフによる日本語サポート
- 各種セミナーやオンラインサポート、活用支援サイト
▶おすすめツール④:Kairos3 marketing
- 概要・特徴:
- マーケティングと営業活動をサポートするMA&SFAツールで、使いやすさと導入のしやすさが特徴。セミナー・イベント管理に強みがあります。
- 主な機能:
- 名刺情報からの見込み顧客一元管理。
- メールナーチャリング
- セミナー・イベント管理。
- 営業活動の効率化・見える化
- 料金体系:
- 初期費用:100,000円(初月のみ)
- 月額15,000~(条件によって価格が異なる)
- ユーザー料金1,000円/人
- サポート体制:
- 初期設定・操作方法の説明から専任スタッフがサポート。
▶おすすめツール⑤:Shanon
- 概要・特徴:
- リードナーチャリングを仕組化できる国産のマーケティングオートメーション。多様なマーケティングチャネルに対応しているのが特徴です。
- 主な機能:
- リード管理
- シナリオ設計
- スコアリング
- メール配信
- Webパーソナライズ
- Webトラッキング
- Zoom連携機能
- SFA機能
- 料金体系:
- 月額120,000円~(リード数や機能によって変動)
- サポート体制:
- 導入から定着に至るまでのサポートを提供。電話・メール・オンラインチャットのほか、各種トレーニングメニューなどユーザー限定コンテンツもあり。
ステージ4:高度なセグメンテーションとパーソナライゼーション
顧客の行動や嗜好に基づいた高度なセグメンテーションを活用する段階。チャネルを横断したパーソナライズされたコンテンツ配信。A/Bテストや詳細なアナリティクスを常用しています。
▶おすすめツール:Adobe Marketo Engage
- 概要・特徴:
- 高度なB2Bマーケティングオートメーションで、マルチチャネルマーケティングとデータ分析に焦点を置いています。
- 主な機能:
- リードスコアリング
- 自動メール配信
- アカウントベースのマーケティング。
- 顧客行動トラッキング
- ターゲット化された広告キャンペーン
- 詳細なレポート機能。
- 料金体系:
- 企業規模や必要な機能に基づいてカスタマイズ可能なプラン(要問い合わせ)
- サポート体制:
- 専門家によるサポート、オンラインリソース、トレーニングプログラム。
ステージ5: 複数のチャネルを調整
複数のチャネル(Eメール、ソーシャルメディア、ウェブ、モバイル)にまたがるキャンペーンの調整を行う段階。ユーザーエクスペリエンスとジャーニーマッピングを重視しています。
▶おすすめツール:Oracle Eloqua
- 概要・特徴:
- BtoB向けマーケティングオートメーションツールで、リアルタイムな情報分析、AIによる高精度スコアリングに強みがあります。
- 主な機能:
- キャンペーン・オーケストレーション
- セグメンテーション・ターゲティング
- リード管理・スコアリング
- AI、アセット管理
- 営業・マーケティング連携
- 料金体系:
- 要問い合わせ
- サポート体制:
- エンジニアの支援サービスや、トレーニングプログラムなどを利用して、運用のアドバイスを受けることが可能
ステージ6: データ活用と予測マーケティング
ビッグデータと予測分析を活用してマーケティングの意思決定を促進する段階。高度なパーソナライゼーションやリードスコアリングの予測にAIや機械学習が活用されています。
▶おすすめツール:Adobe Marketo Engage
ステージ4参照
ステージ7: 完全に統合され最適化されたオートメーション
MAツールがすべてのビジネスプロセスと完全に統合されている段階。リアルタイムデータに基づく継続的な最適化が行われています。また、顧客エンゲージメントとエクスペリエンスマネジメントの高度な自動化も実施しています。
▶おすすめツール:Oracle Eloqua
ステージ5参照
MAツールの選択は、企業の成長段階や特定のニーズに応じて行うのがベストです。各ステージに適したツールを理解し、適切な時期に最適なツールを導入することで、マーケティング効率を最大化することができます。あなたの企業の現在の状況と将来の目標に合わせて、最良の選択を行いましょう。
主要なMAツールを比較検討したい方はこちらの記事もご覧ください
【2024年3月】おすすめのMAツール15選を比較|MAが解決できる課題や機能について紹介!
4.選んだMAツールを使いこなす
適切なツールを選んだ後は、それを最大限活用する方法を学ぶことが大切です。ここでは、選んだMAツールを導入し、効率的に使用するための基本的なステップを紹介します。
ツールの設定とカスタマイズ
初めてのMAツール導入では、設定やカスタマイズに時間をかけることが重要です。多くのツールでは、メールテンプレートの設定、リードスコアリングのパラメータ、自動化ルールの作成など、ビジネスに合わせたカスタマイズが可能です。
効果的な機能の活用
MAツールの機能は多岐にわたりますが、すべての機能を一度にマスターする必要はありません。最初は、メールマーケティング、リードナーチャリング、基本的なアナリティクス機能から始め、徐々に他の機能へと拡張していくのが良いでしょう。
継続的な学習と改善
MAツールの導入後も、定期的なレビューと改善が必要です。キャンペーンの成果を分析し、改善点を見つけ、戦略を調整することで、効果的なマーケティング活動を継続できます。
5.まとめ
この記事では、多様なマーケティングオートメーションツールの特徴と、それらを選択し活用する方法について説明しました。適切なMAツールを選ぶことは、効率的なマーケティング活動を行い、ビジネスの成長を加速させるために欠かせないステップです。
今回ご紹介した一覧を参考に、ご自身のビジネスに最適なツールを見つけ、積極的に活用してみてください。MAツールを導入するにあたって、本記事で学んだことがお役に立てば幸いです。
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