アウトバウンドマーケティングとは?インバウンドマーケティングとの違い
アウトバウンドマーケティングの定義
アウトバウンドマーケティングとは、企業側からの一方的な情報発信によってプロモーションを行うマーケティング手法の総称です。具体的には、テレビCMやダイレクトメール、営業の電話などが該当します。情報を受け取る側の意思に関わらず、マーケッターがメッセージを届ける点に特徴があります。
インバウンドマーケティングとの比較
一方、インバウンドマーケティングは、オウンドメディアやSNSを通じて有益なコンテンツを発信し、興味を持った見込み客を自社サイトに誘導する手法です。アウトバウンドが一方通行なのに対し、インバウンドは顧客との対話を重視する点が大きな違いと言えるでしょう。
プッシュ型とプル型の違い
アウトバウンドマーケティングは「プッシュ型」、インバウンドマーケティングは「プル型」とも呼ばれます。つまり、アウトバウンドはマーケッターから積極的に情報を押し出す(プッシュする)のに対し、インバウンドは見込み客を引き寄せる(プルする)イメージです。購買意欲の高い層をターゲットにできるインバウンドに比べ、アウトバウンドは効率が悪いと言われることもありますが、認知拡大には欠かせない手法と言えます。
アウトバウンドマーケティングが有効なケース
製品やサービスの認知度が低い新規事業の立ち上げ期や、大量のリードを短期間で獲得したい場合など、アウトバウンドマーケティングが効果を発揮するシーンは少なくありません。インバウンドの施策だけでは、認知やリーチの面で限界があるのです。BtoBビジネスでは特に、展示会への出展といったアウトバウンド活動が重要な役割を果たします。
アウトバウンドマーケティングの主要手法と特徴
広告(マス広告、ターゲティング広告)
新聞や雑誌、テレビ、ラジオなどのマス媒体を使った広告は、アウトバウンドマーケティングの代表格です。近年はインターネット広告の発達により、リスティング広告やディスプレイ広告などターゲティング可能な手法も増えています。ただし、広告はあくまで「買う」という顧客アクションの入り口に過ぎず、その後のフォローが重要になります。
ダイレクトメール・FAX・メールマガジン
ダイレクトメールは、宛名や住所を指定して送付するオーソドックスなアウトバウンド施策です。封書のほか、はがきや冊子、商品サンプルなども活用されます。ターゲットを絞れる一方、制作や送付のコストがかかるのがネック。最近はFAXやメールといったデジタルツールを使ったダイレクトマーケティングも増えており、コスト面のハードルは下がりつつあります。
テレマーケティング(テレアポ、インサイドセールス)
見込み客リストに対し、電話でアプローチするテレマーケティングもアウトバウンドの主要手法の一つ。アポイントを取るテレアポから、商談までつなげるインサイドセールスまで、様々な目的で用いられます。人的コストがかかる半面、声のトーンや会話を通じて人間味のある接点を作れる強みがあります。
展示会・イベント・セミナー
オフラインでの出会いの場も、アウトバウンドマーケティングに欠かせません。自社ブースの出展や、セミナー・イベントの開催により、見込み客との直接的な接点を持つことができます。商談やデモに発展しやすいのも魅力。リアルな場だからこそ、事前の告知や集客施策が成否を分けるポイントになるでしょう。
営業代行
自社の営業リソースだけでは手が回らない場合、営業代行を活用するのも一案です。アウトソーシング先のスタッフが、自社サービスを売り込む営業活動を行います。固定費を抑えつつ、一定の営業力を確保できるメリットがある一方、ブランドイメージが損なわれるリスクには注意が必要です。
訪問販売・飛び込み営業
アポなしで直接顧客を訪問し、売り込みを行うスタイルです。当然ながら断られるケースも多く、効率は高くありませんが、狙ったターゲットとの対面接触が実現できる点は魅力。ただしあまりに強引なセールスは、トラブルのもとにもなります。事前準備を綿密に行い、顧客の反応を見ながら慎重に進めることが求められます。
コーヒーブレイクコラム:宗像が物申す!「インバウンドか、アウトバウンドか、それが問題だ」
多くのお客様とお話していて、皆さん悩まれているのが、自社のビジネスにとって、アウトバウンド系の施策が良いのか、インバウンド系の施策が良いのか、その判断に迷うというものがあります。
実際、アウトバウンドか、インバウンドかというのは、私のようにマーケティング支援業を長年やっていても、判断が難しいところがあり、マーケティングに慣れていない会社さんでは、猶更大変だろうと思います。
以下に、私がお客様にアドバイスする時に考慮しているポイントを提示します。
インバウンドマーケティングの効果
・製品やサービスの認知度が高く、潜在顧客がすでに問題意識を持っている場合、インバウンド施策で十分な効果が見込めるため、アウトバウンドの優先度は下がります。
・反対に、市場の認知度が低く、顧客の潜在ニーズを喚起する必要がある場合は、アウトバウンドによる積極的なアプローチが有効です。
営業対象の企業規模
・大企業をターゲットとする場合、意思決定者へのリーチが難しく、アウトバウンド手法による直接的なアプローチが効果的です。
・中小企業の場合は、意思決定者へのアクセスが比較的容易なため、インバウンド施策との組み合わせでカバーできる可能性が高いです。
業種特性
・規制の厳しい業界(金融、医療、官公庁など)では、担当者レベルでの意思決定が難しく、トップダウンアプローチが必要なケースが多いため、アウトバウンドが適しています。
・IT、コンサルティングなどの業界では、担当者主導の意思決定が多く、インバウンドとの組み合わせが有効です。
製品・サービスの特性
・新しい概念やイノベーティブな製品の場合、市場の教育が必要なため、アウトバウンドによる直接的な説明が効果的です。
・一方、汎用性の高い製品やコモディティ化した市場では、インバウンドによる効率的なリード獲得が適しています。
営業リソースの状況
・アウトバウンドは手間とコストがかかるため、十分な営業リソースが確保できない場合は、インバウンド施策を中心に展開すべきです。
・反対に、営業チームの規模が大きく、高いスキルを持つメンバーが揃っている場合は、アウトバウンドを積極的に活用できます。
顧客の購買プロセス
・製品やサービスの選定に長期間を要する場合(多額の投資判断が必要な場合など)、アウトバウンドによる継続的な関係構築が重要です。
・一方、購買決定サイクルが短い場合は、インバウンドによるタイムリーな情報提供と効率的なリード獲得が適しています。
以上、複数の判断基準を総合的に評価する必要があるのです。結局、それぞれの会社のビジネス特性に合ったアプローチを選択するのが重要だという事です。
また、アウトバウンドとインバウンドは二者択一ではなく、両者を適切に組み合わせることで、より高い効果を生み出すことができる点も覚えておいてください。例えば、セールスフォースでは、大手企業の役員はCXOレターでアウトバウンド施策を行い、中堅中小企業は、マーケティング活動からのインバウンド施策です。
なお、イノーバでは、Ahrefsなどの 海外製のSEO 分析ツールを活用し、お客様の事業領域に関連するキーワードの調査と、その検索ボリュームの把握を行っています。この分析により、以下のような観点からインバウンドマーケティングの適合度を診断することが可能です。
関連キーワードの有無
・お客様の製品やサービスに関連する検索キーワードが存在するか
・それらのキーワードは、顧客の抱える課題や悩みに紐づいているか
・競合他社がターゲットとしているキーワードとの差別化ができているか
検索ボリュームの分析
・関連キーワードの月間検索回数は十分にあるか
・検索ボリュームの推移から、市場の関心度や季節変動を把握できるか
・検索意図の強いロングテールキーワードが存在するか
ターゲット顧客との親和性
・検索しているユーザー属性(企業規模、業種、職種など)と、ターゲット顧客像が合致しているか
・検索キーワードから推測される顧客の課題や興味関心と、自社の提供価値がマッチしているか
検索上位表示の難易度
・関連キーワードで検索上位を狙うことは現実的か
・競合サイトの被リンク数や運営年数などから、上位表示の難易度を把握できるか
・難易度の高いキーワードに対し、どのようなコンテンツ戦略が必要か
イノーバでは、これらの分析結果を基に、お客様のインバウンドマーケティングの適合度を多角的に診断します。逆に、インバウンドの適合度が低ければ、アウトバウンドの可能性が高くなるという訳です。
イノーバのインバウンドマーケティング診断に関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。
アウトバウンドマーケティングを成功に導く5つのステップ
ステップ1:ターゲット選定とリストアップ
アウトバウンドマーケティングの成否は、誰にアプローチするかで9割方決まると言っても過言ではありません。製品の特性や、過去の類似顧客の傾向から、コアターゲットを明確にしましょう。業種、職種、役職、従業員規模、所在地など、できる限り具体的にペルソナ設計を行うのが理想です。その上で購入可能性の高い見込み客リストを作成します。自社の顧客データベースを活用するほか、リストの購入やレンタルも選択肢の一つ。質の高いリストこそがアウトバウンドマーケティング成功の鍵を握ります。
ステップ2:アプローチ手法の選択
リストアップした顧客のタイプ、施策の予算や目標に合わせ、適切なアプローチ手法を選択します。スモールビジネス向けならダイレクトメールやテレアポ、大企業の場合は展示会出展や広告出稿など、ターゲットの規模や嗜好性に合わせた手法の見極めが重要。トライアルキャンペーンによって少数のリードに複数の手法を試し、最も反応の良かった手法に絞るのもお勧めです。
ステップ3:メッセージ設計とクリエイティブ作成
アウトバウンドは「どれだけ魅力的なオファーができるか」が勝負の分かれ目。顧客の興味を引き、アクションを促すキャッチーなメッセージを用意しましょう。自社の強みを踏まえつつ、顧客のニーズに寄り添う提案型のアプローチを心がけます。ダイレクトメールなら読まれるタイトル、広告ならクリック率の高いバナー、テレアポではトークスクリプトの作成など、狙ったアクションにつながるクリエイティブが必要不可欠です。
ステップ4:キャンペーンの実施と運用
入念な準備を経て、いよいよキャンペーンを開始します。設計したスケジュールに沿ってメールを配信したり、広告を出稿したりと、確実に施策を実行に移すのがこのステップでの肝。時期や時間帯など、細かな条件設定にも注意を払いましょう。テレアポなどの場合は、トークスクリプト通りに会話ができているかのモニタリングも大切です。リアルタイムで施策の進捗を把握し、状況に応じて軌道修正を図ることが求められます。
ステップ5:効果測定と最適化(KPI設定、PDCAサイクル)
キャンペーン実施後は、速やかに効果検証を行います。予め定めたKPI(広告のクリック率、メールの開封率、テレアポの商談化率など)の達成度を評価し、目標との差異を分析。うまくいった点、課題となった点を洗い出し、次の施策に反映させることが重要です。マーケティングの成果は一朝一夕では表れません。仮説検証を重ね、PDCAサイクルを回しながら、継続的な改善を図りましょう。
アウトバウンドマーケティングの最新トレンドと事例
デジタル×リアルの融合
デジタル全盛の時代ですが、リアルな接点の重要性も再認識されつつあります。特にBtoBマーケティングでは、デジタルとリアルの融合によるハイブリッド型のアプローチが注目を集めています。オンラインセミナーで関心を引いた見込み客を、リアルなイベントに招待するなどの施策が効果的。デジタルの利便性とリアルの親密性、両者の強みを活かすことが求められます。
オムニチャネル化の進展
アウトバウンドマーケティングの文脈でも、オムニチャネル化の波は避けられません。メール、電話、訪問など複数チャネルを連携させ、シームレスな顧客体験を提供することが大切です。例えば、ダイレクトメールで問い合わせのあった顧客に、営業担当からフォローの電話を入れるなど。顧客接点の可能性を広げ、ターゲットの好みに合わせた最適なチャネルでアプローチできる体制づくりが欠かせません。
ABM(アカウントベースドマーケティング)との連動
アカウントベースドマーケティング(ABM)は、企業単位でターゲットを絞り込み、専任チームによる深耕的なアプローチを行うBtoBマーケティング戦略です。個人ではなく「アカウント」を軸に据える点に特徴があります。アウトバウンド活動においても、ABMの考え方を採り入れることで、より戦略的で緊密な顧客づくりが可能に。martech(マーケティングテクノロジー)などを駆使し、効率と効果を両立するアプローチにつなげましょう。
AIを活用したインテリジェントなアプローチ
AI(人工知能)の進化により、アウトバウンドマーケティングにも新たな可能性が拓けつつあります。例えば、膨大な顧客データから購買確度の高いターゲットを自動抽出したり、メールの文面を最適化したり。加えて、チャットボットによる問い合わせ対応の自動化など、業務効率化に向けた取り組みも活発化しています。テクノロジーを味方につけることで、アウトバウンド活動の精度と生産性を飛躍的に高めることができるでしょう。
アウトバウンドマーケティングの課題と対策
コストと工数がかかる
アウトバウンドマーケティングの最大の課題は、施策実行にコストと手間がかかること。DM作成や発送作業、テレアポの人件費など、施策の規模に応じて予算を要する点は見過ごせません。対策としては、スモールスタートを切るなど、自社に合ったペースでの活動が重要。無理のない範囲でトライ&エラーを繰り返しつつ、徐々に体制を整えていくのが得策と言えるでしょう。
ターゲティングの精度が低い
アウトバウンドの施策では、興味関心の低い見込み客にもアプローチが及んでしまう恐れがあります。送客の母数が多い分、無駄打ちのリスクは常につきまといます。可能な限り顧客インサイトを深掘りし、ペルソナの具体化を図ることが重要。業種、職種、役職、企業規模など、ターゲットを限定する軸をしっかりと固めましょう。クリエイティブのパーソナライズなども有効な一手です。
効果測定が難しい
アウトバウンド施策の成果は、インバウンドと比べて可視化しづらい側面があります。オフラインの営業活動などは、定量的な効果把握が難しいのが実情。データ基盤の構築を進め、できる限り数値化を図ることが求められます。オンラインの施策に関しては、UTMパラメータなどを用いて効果測定の精度を高めましょう。一方で、認知度向上といった定性的な成果にも着目。短期的な数字だけでなく、長期的な視点で活動の意義を捉えることも大切です。
押し売り感による顧客離れ
執拗なセールスによって、顧客に不信感を与えてはいけません。アウトバウンドには「押し売り」のイメージがつきまとうだけに、配慮が欠かせません。見込み客の反応を見極め、嫌がる素振りがあれば即座にストップするなど、節度を持ったアプローチを心がけましょう。「売る」というよりも「提案する」「課題解決する」という姿勢が重要。引く手あまたの選択肢がある現代においては、顧客の共感を得ることが何より優先されるべきです。
脱法ハガキ問題など不適切事例
悪質な事例の代表格が、いわゆる「脱法ハガキ」の問題です。あたかも公的機関を装い、同意なく商品の送りつけを行うなどのトラブルが相次ぎました。こうした違法行為は論外ですが、グレーゾーンのアプローチも問題視されるべきでしょう。ビジネスにおいて重要なのは、顧客からの信頼。コンプライアンス意識を高く持ち、適切な手段での活動を徹底することが求められます。
オプトアウトへの対応
アウトバウンドマーケティングでは、顧客のオプトアウト(販促拒否)にも適切に対応する必要があります。連絡を望まない見込み客には、迷惑をかけないよう細心の注意を払いましょう。意思表示があれば速やかに対象リストから除外。加えて、メールの配信停止ボタンなど、オプトアウト手段を整備しておくことも重要です。望まない営業活動は、顧客満足度を下げるだけでなく、ブランド価値の毀損にもつながります。顧客の意思を尊重し、適切な距離感を保つ姿勢が問われると言えるでしょう。
インバウンドマーケティングとの使い分けと融合
インバウンドマーケティングとの長所短所比較
アウトバウンドとインバウンド、それぞれの長所と短所を比較しておきましょう。アウトバウンドの最大の強みは「能動性の高さ」。コンテンツの受け取りを顧客に委ねるインバウンドと異なり、企業側から積極的に情報を届けられる点は大きな武器になります。また、インバウンドでは獲得しづらいリード層にもリーチできる可能性があるのも魅力。一方、インバウンドには費用対効果の高さという利点が。加えて、自然な形で顧客との関係性を築けることから、購買意欲の高いリードが見込めるのも強みです。
それぞれの特性を踏まえ、自社の置かれた状況に合わせて手法を選択することが重要と言えます。
ファネルステージに合わせた使い分け
マーケティング・セールスのファネルにおいて、アウトバウンドとインバウンドをどう使い分けるか。この観点での整理も大切なポイントです。一般的には、見込み客の獲得や興味関心醸成といった「トップオブファネル」では、インバウンドの手法が有効とされます。問題意識が芽生え、能動的に情報収集する顧客の心理と親和性が高いためです。他方、商談や成約に向けたアプローチとなる「ボトムオブファネル」では、アウトバウンドの出番が増えてきます。
インサイドセールスやフィールドセールスと連動し、双方向のコミュニケーションによってディールを加速させる効果が期待できます。
リードナーチャリングにおけるアウトバウンドの役割
顧客育成の文脈でも、アウトバウンドの果たすべき役割は小さくありません。いきなり営業を仕掛けるのではなく、まずはメール施策などでリードと関係性を温めておくことが大切。ホワイトペーパーの案内や、セミナー招待メールなどを起点に、ゆるやかな接点を重ねていきます。こうしたリードナーチャリングによって「営業の芽」を育てつつ、適切なタイミングで商談アプローチにつなげていく。インバウンド主導の施策展開においても、アウトバウンドの手法を効果的に織り交ぜることがポイントになります。
インバウンドとアウトバウンドを組み合わせた施策例
理想的なマーケティング戦略は、インバウンドとアウトバウンドのベストミックスにあると言えるでしょう。オウンドメディアによるコンテンツマーケティングの認知向上効果と、営業からの直接的なアプローチを組み合わせることで、強固なファネル構築につなげられるはずです。
施策の具体例としては、以下のような取り組みが考えられます。
Webサイトからの資料ダウンロードをトリガーに、インサイドセールスから商談を提案
セミナー参加をきっかけに、参加者フォローのメールを展開しつつ、営業担当が個別に連絡
展示会で名刺交換した顧客に対し、オウンドメディア記事を案内すると同時に電話でコンタクト オンラインとオフライン、プッシュ型とプル型。多様なチャネルとアプローチを組み合わせ、戦略的に顧客接点を設計することが重要です。
アウトバウンドマーケティング成功のための8つのヒント
ターゲティングの精度を上げる
前述の通り、ターゲティングの正確さはアウトバウンドマーケティング成功の大前提。属性情報やWeb行動履歴などのデータを統合し、より緻密な顧客像を描き出すことが重要です。リスト選定の基準やペルソナ設計は、定期的にブラッシュアップを重ねましょう。この地道な取り組みの積み重ねが、無駄打ち率の低減と高い反応率の確保につながります。
多角的なアプローチで接触頻度を上げる
アウトバウンド施策の効果を高めるには、顧客との接点を増やすことが重要。DMの送付だけでは反応が得られなくても、セミナー案内やテレアポを重ねることで、徐々に関心を引き出せるかもしれません。単一の手法に頼るのではなく、あらゆるチャネルを複合的に活用。接触回数を重ねることで、見込み客の記憶に残るアプローチを仕掛けていきましょう。
コンテンツの質を高める
アウトバウンド施策で使用するコンテンツは、クオリティの高さが何より大切。ありきたりな内容では、顧客の心に響くことはできません。自社ならではの専門性を打ち出し、顧客目線で「役に立つ」「印象に残る」情報を発信すること。読み手の興味を引きつける的確なメッセージと、洗練されたビジュアルデザインを意識しましょう。機械的な営業活動ではなく、顧客に真摯に向き合う姿勢がにじみ出るコンテンツ作りを心がけることが重要です。
フォローの自動化・効率化を図る
アウトバウンドの施策では、フォローアップ業務に膨大な時間を取られがちです。反応のあった顧客に対し、迅速かつ丁寧な対応を心がけましょう。MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用し、行動トリガーに基づくメール配信などを自動化するのも効果的。加えて、SFA(営業支援システム)による商談管理の効率化も検討すべきでしょう。顧客対応の質を落とさずに業務の省力化を図ることが、継続的なアウトバウンド活動を支える鍵となります。
テストを繰り返し最適化する
アウトバウンドの手法は多岐にわたるだけに、仮説検証サイクルを高速で回すことが大切。コンテンツの表現や配信タイミングなど、施策の細部に至るまで様々なパターンを試してみましょう。A/Bテストなどを通じ、より高いコンバージョン率やROIが期待できる組み合わせを追求。適宜、見込み客の反応を見ながらブラッシュアップを行い、徐々にベストプラクティスを固めていくことが求められます。積極的なPDCAの実践が、アウトバウンド施策の成否を分けると言っても過言ではないでしょう。
リードスコアリングを活用する
リードスコアリングとは、見込み客の購入意欲や商談化の可能性を点数化する手法。行動履歴やプロフィール情報を分析し、優良顧客の特徴を明らかにしていきます。スコアリングの仕組みを取り入れることで、リソースを投下すべき顧客を的確に絞り込めるように。この精度の高いリードの選別が、アウトバウンド施策の投資対効果を大きく左右します。スコアリングモデルは常にアップデートを重ね、顧客の反応により即した形に進化させ続けることが肝要と言えるでしょう。
セールスとの連携を強化する
マーケティングとセールス、両部門の連携なくして、アウトバウンドの真価は発揮されません。定期的な情報交換の場を設け、施策の進捗や顧客の反応、改善のアイデアなどを共有。営業現場の生の声を施策にフィードバックする一方、マーケ側から営業員教育の支援なども行いましょう。さらに、KPIの設計段階から営業チームの意見を反映するなど、一体感のある目標設定も重要です。両者の活動にシームレスな連動性を持たせることで、アウトバウンドの成果は加速度的に高まるはずです。
コンプライアンスを順守する
アウトバウンドマーケティングにおいては、コンプライアンスの順守が何より優先されるべき事項。特定電子メール法や個人情報保護法など、関連法規制への理解は必須です。許諾なきメール配信や、ブラックリストへの追加など、トラブルのリスクには十分な注意を払う必要があります。社内の管理体制を整え、定期的な社員教育を通じてルールの周知徹底を。健全で誠実なマーケティング活動こそが、長期的な顧客との信頼関係を支えることを肝に銘じるべきでしょう。
まとめ:アウトバウンドマーケティングを効果的に活用するために
顧客のペルソナ設計とターゲティング、KPI設定の重要性
改めて強調したいのは、緻密なターゲティングの重要性。マーケットを細分化し、ICPやペルソナを具体的に定義づけることが大前提となります。加えて、各施策のKPIを適切に設計し、定量的な成果を追求する姿勢も欠かせません。短期的なコンバージョンだけでなく、中長期の売上貢献度やLTV(顧客生涯価値)など多角的な指標から、アウトバウンドの真の価値を捉えることが肝要。こうした地道な取り組みこそが、効果的なアウトバウンドマーケティングを支える基盤になると言えるでしょう。
デジタルシフトを踏まえたアプローチ手法のアップデート
アナログの手法が主流だった従来のアウトバウンドマーケティング。デジタル化の波の中で、そのあり方も大きく変容を迫られています。オンラインイベントやバーチャル展示会など、インターネットを介した新たなアプローチが台頭しつつあります。リアルの強みを活かしつつ、デジタルツールも柔軟に取り入れる。時代の変化を機敏に捉え、アプローチ手法のアップデートを図ることが求められます。先進テクノロジーも味方につけながら、より高度化したアウトバウンドの実践が期待されるところです。
インバウンドマーケティングとの連携によるファネル全体の最適化
アウトバウンドマーケティングの真価は、インバウンドマーケティングとの相乗効果によって最大化されます。それぞれの特性を活かしつつ、ファネルの各ステージで有機的に連携させること。認知の獲得から商談の創出、ひいてはカスタマーサクセスに至るまで、一気通貫の顧客体験を描き切ることが重要です。加えて、スコアリングモデルなどによるインサイトの共有・活用も大切。部門の垣根を越えた「One Team」の意識を持って、ファネル全体の最適化を追求しましょう。
まとめ
アウトバウンドマーケティングは、一朝一夕で結果の出るものではありません。トライアンドエラーを辞さない継続的な取り組みが必要とされます。しかし、戦略的な施策展開と徹底した仮説検証によって、着実にその成果を手にすることができるはず。カスタマージャーニーの起点となる重要なアプローチを、ぜひ自社のマーケティングに取り入れてみてはいかがでしょうか。見込み顧客の心に響くコミュニケーションを実践し、長期的な関係性の構築と収益向上を実現しましょう。
以上、「アウトバウンドマーケティングの極意」をテーマに、BtoBマーケターに向けた情報をお届けしました。アウトバウンドの基本から最新トレンド、成功のヒントまで、網羅的に解説させていただきました。本記事が、皆様のマーケティング活動の一助となりましたら幸いです。
アウトバウンドマーケティングの実践チェックリスト
ターゲット顧客のペルソナを明確に定義できている
見込み客リストの質は十分に高い
複数のアプローチ手法を組み合わせて活用している
コンテンツのクオリティにこだわりを持っている
MA・SFAツールを導入し、施策の自動化・効率化を図っている
定期的なA/Bテストを通じて、最適化サイクルを回している
リードスコアリングによる優良顧客の絞り込みを行っている
セールス部門との連携が緊密に取れている
コンプライアンスを順守する体制が整っている
KPIを適切に設定し、PDCAサイクルを回している
よくあるQ&A
Q インバウンドマーケティングが主流の昨今、アウトバウンドの施策はまだ有効なのでしょうか。A インバウンドマーケティングの重要性が増している一方で、アウトバウンドもマーケティングに不可欠な手法です。新規事業の立ち上げ期など、認知獲得を優先すべきフェーズでは特に効果を発揮します。インバウンドとアウトバウンドを組み合わせ、適切なタイミングで適切な手法を使い分けることが肝要です。
Q 予算が限られる中で、アウトバウンドに投資する余裕がありません。費用対効果の高い施策はありますか。
A アウトバウンドは一般的にコストがかかるイメージがありますが、工夫次第で費用対効果を高められます。例えば、展示会ではブースの小間数にこだわらず、セミナー中心の出展プランを選択するなど。ターゲットを絞り込んだテレマーケティングなども、低予算で実施できます。まずはスモールスタートを切って、PDCAを回しながら徐々に体制を整えていくことをおすすめします。
おまけコラム:なぜセールスフォースは、お手紙営業をするのか?
大手企業の役員クラスにアプローチするのは至難の業。電話やメールでは容易に取り合ってもらえず、いかに相手の心を掴むかが勝負の分かれ目となります。そんな中、米国の大手CRM企業セールスフォース社が用いているのが、お手紙を活用した営業手法です。合理的な営業をしそうな、外資系の会社が、アナログなお手紙を送っているのはとても意外ですよね?
また、同社では、反応率を上げるために、和紙の封筒に手書きの宛名で送付、また、文面の細部までこだわった工夫をしています。
すなわち、「なぜ」会う必要があるのか、「なぜ今なのか」、「どう役に立てるのか」を、事前の調査に基づいて、一社一社個別の文面で送っているそうです。
経営層であれば、当然、経営レベルの悩みを抱えているものですし、有益な提案であれば、意外にアポイントに応じてくれるものです。
偉い人だから、会えないだろうというのは、思い込みなのですね。
要するに、相手の状況を考え、相手にアプローチをする、これが正解という事です。