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イノーバマーケティングチーム2024/02/05 15:24:012 min read

企業のマーケティング機能を見える化するKPI

これまで、日本企業ではマーケティング部門は間接部門として位置づけられることが多かったため、コスト(支出経費)以外の目標数値に関する進捗の説明責任がそれほどシビアには求められてきませんでした。
しかし、今日では、ビジネス活動におけるマーケティング機能の重要性の高まりに伴い、マーケティング部が企業の経営目標に対して、どのように関与しどれほど貢献しているのかを、定量的な情報で報告することが求められるようになってきています。

経営や企業のビジネス活動におけるマーケティング部の存在意義を明確に定義し、部内、部外、経営層にそのプロセスを、論理的に高い納得感をもって説明することができる手法がKPI設定です。KPIやKPIマネジメントについて正しく理解し、実行に移すことに成功すれば、部門間の軋轢の要因となりやすいマーケティング部の存在意義の問いに答えるプレッシャーから解放されるメリットもあります。

ここでは、KPI設定のメリットや、マーケティング部でよく使われるKPIの具体的な指標、実際にKPI設定する際のコツを解説します。

イノーバでは、戦略に紐づいた目標設定 (KPI)を含めBtoBマーケティングを中長期に渡ってトータルでサポートする、伴走型マーケティング支援サービスを提供しております。よろしければご一読ください。

 

マーケティング現場でKPIを使う3つのメリット

まずは、マーケティング現場でKPI設定を実施するメリットについてご紹介していきます。

理解しにくいマーケティング業務の見える化

マーケティング部は、企画、開発、販売、販促に至る全体のプロセスに関わり、全社横断的に様々な部署と関わり活動をします。にもかかわらず、マーケティング部署の具体的な活動やその成果が、見える化されることがない、部門によってはその活動意義を理解できず、協力的になれないといった問題点を抱えています。

KPI設定のプロセスで作成するKPIツリーをご存知でしょうか?
詳細は、「成功達成の道筋を一目でわかる地図にしよう!KPIツリーの基本情報と作り方」をご覧ください。

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上記のようなKPIツリーを作成することによって、マーケティング部が企業の経営目標や、部門の大目標となる、「売上xxxアップ」といったKGI(Key Goal Indicator:重要目標指標)を達成するために、どういった業務を実施しているかが見える化されます。そして、この数ある指標の中から選ばれたKPIがマーケティング部の活動において重要なタスクであり、マーケティング部が達成しなければいけないことが何であるかがロジカルに明示されるようになります。
 

マーケティング部門と関係部署との親和性を生みだす

マーケティング部門のKPIを少し工夫して設定すると他部門との親和性が生まれます。例えば、ウェブマーケティング部のKPIの1つに「成約したリードの件数」を設定したとします。この指標であれば、リードを受け取る営業部門が目指す、受注・成約といった目標とも関連性が深く、営業部への貢献度の高さが計測できます。

もし、ウェブマーケティング部が「リードの獲得率」をKPIの1つに設定すると、自然と「リードの精度」はおざなりになります。結果、精度の低いリードを営業部門にどんどん引き渡し、優先度の低いリードは営業部門で放置されゴミクズリストと化していきます。こうなると、マーケティング活動が、多くの企業が経営目標に掲げる売上の部分と連携しにくくなります。
 

KPIがPDCAを回す期間とタイミングを明確化する

PDCAの回す回数が多いほど、マーケティング戦略の精度はアップしていきます。しかし、これがなかなかできないのは、どの期間内にPDCAを回すかが明確化されていないことが1つの原因です。

ここで役立つのがKPIです。例えば、プロジェクトの計画(Plan」の段階で、毎月●月?日にKPIの測定(Check)を実施するのかを具体的に決めます。次に、目標数値をクリア出来ていなかった場合の別案(Action)の方向性を3つくらい決めておきます。KPIの計測(Check)が終わった段階で、すぐに次のステップ(Action)に進むことが重要だからです。業績がなんとなく下がってきたから、PDCAするのではなく、「決まったタイミングで、KPIを計測する」と決めることで、PDCAサイクルを何回も回していくことが可能になります。

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マーケティングの現場で使われる KPI

KPIをさらに具体的にイメージしていただくために、どういった数値がKPIになり得るのかを見ていきましょう。ここでは、マーケティング部門全体、ウェブマーケティング、Eメールマーケティングの3つのシチュエーションに分けてご紹介していきます。
 

マーケティング部門全体のKPI

・ROI:(売上 ? 全てのコスト) /マーケティングコスト)
売上から全てのコストを差し引いた額をマーケティングコストで割った数値。一般的に、ROIは投資資本比率ですが、ここではマーケティングコストつまりマーケティング部への予算(投資)を投資資本としています。

・顧客獲得コスト(CAC):(営業コスト + マーケティングコスト)/新規契約数
顧客にかかったコストを算出する方法で、コストを押さえて(小さく)いくことが目的です。ターゲットを的確に絞り込み、効果的なマーケティング活動を実施できているかを知るための指標です。

・顧客生涯価値(LTV):(平均購買単価)?(購買頻度)?(継続購買期間)/(新規獲得コスト+顧客維持コスト)
一人あたりの顧客の一定期間における、顧客を獲得維持するためのコストと、顧客の購買額との差額を価値として算出する指標です。LTVの高い顧客を多く増やすことで、継続的な収益拡大が見込めることから重要な指標の1つとされています。

・ホットリード(MQL)移行率:(プロスペクトリード数/保有リード数)?100(%)
案件を創出する可能性の高いリードをMQL(Marketing Qualified Leads)といいます。その前段階にある保有リードをどれくらいMQLに移行できたかを計測する指標です。移行率は、リードナーチャリングのためのマーケティング活動が有効であるかを示しています。

・リード案件化率:(案件数/営業引き継ぎリード数)?100(%)
マーケティング部が営業へ引き渡したリードが、案件化(成約)した割合を指します。この数値が高いということは、マーケティング部門のリードの質が高いことを示します。

・売上貢献率:(リード経由の売上金額/売上(確定)金額)?100(%)
全体の売上に対して、マーケティング部門が創出したリードの売上金額の占める割合。最終的に計上された確定売上金額から算出するため、半期や年次で売上を締める期間で計測することが多い指標です。
 

ウェブマーケティングのKPI

ウェブマーケティングでは、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールから抽出される指標をが、主なKPIになります。解析ツールで計測したい数値をカスタマイズすることも可能ですので、自社独自のKPIを設定することも可能です。

・自然検索トラフィック数
Googleなどの検索エンジンから、検索キーワードを入力して流入してくるトラフィック数。

・リピーター数
2年以内に、再訪している訪問者の数。サイトファンの数値を図る指標となります。新規ユーザーの割合が高いサイトは、サイトへのロイヤリティとなるコンテンツが不足している可能性があります。

・ページビュー数
単純に、どれだけの閲覧数があるかを見る指標。サイトやコンテンツの人気度の指標になります。

・リード獲得数(例:MQLの数、SALの数、SQLの数)
ウェブサイト経由で得た、リード(氏名・メールアドレス)の獲得数を指します。メルマガ申し込みやe-Bookダウンロードなどの仕組みが主流ですが、ナーチャリングのためのシナリオやコンテンツが、有効であるという指標もなります。この数値をコンバージョンに登録し、コンバージョン率やコンバージョン件数として計測することもあります。

・リード案件化率 ※マーケティング部門で解説した指標と同様
Google アナリティクスではこの数値は測定できませんので、独自で算出する必要があります。CRMやMAなどを導入している企業では、各ツールでの算出が可能です。

★MA(マーケティングオートメーション)の活用についてはこちらの記事から⇒マーケティングオートメーション(MA)とは何か?機能と導入のメリット
 

EメールマーケティングのKPI

・開封率:(開数/メール配信数)
読者のメールへの関心度、件名での興味換気が出来ているかを計測できる指標です。

・クリック率:(URLリンクのクリック数/メール配信数)
配信メールの本文に貼り付けたリンクへのクリック数の割合。メールの内容が読者にとって有益なものであるか、次のステップに進んでもらうためのシナリオが有効かどうかを計測する指標です。

・コンバージョン率 (特定のアクション数/メール配信数)
メール経由で、特定のアクション(セミナー申し込み、資料請求など)があった割合で、メールマーケティングの目的であるアクションに到達したかを図る重要な指標です。
 

ウェブマーケティングにおける KPI 設定の3つのコツ

ここまでご紹介してきた指標を全てKPIに設置するわけではありません。これらの指標の中から、自分のチームが注力すべき重要な指標を選ぶわけですが、実際に設定する場面になると、どの数値をKPIに選ぶべきなのかという疑問に直面することがあります。直感的に指標を決めるのではなく、下記でご紹介する3つのポイントを参考にしてください。

KPIに適切な指標「SMART」であるかを確認する

KPIとして、その指標が適切であるのかを判断するための指針をSMARTと呼んでいます。KPIに設定すべきか迷った時は、この5つに該当しているかを確認してみてください。

Specific その指標は具体的で明確であるか?

Measurable 計測可能な指標であるか?

Attainable 達成可能な現実的な指標であるか?

Related 会社の経営目標やKGIと関連性のある指標であるか?

Time-bound 期限を定めて計測できる指標であるか?

簡単にまとめると、KPIは「誰にでも理解できるように明確で、かつ期限を決めて計測ができる指標であり、大目標となるゴールに関連している、実現可能な指標である」ことが必要です。

「明確」であるか、「計測可能」であるか、「期限を定めて」計測できるかという定義は、シンプルに理解できます。しかし、「関連性」があるのかとなると、人の解釈によってその答えは異なります。こういった曖昧さを回避するためにも、KPIツリーを作成しましょう。KGIを、KPIツリー作成ルールである四則演算を使って分解していけば関連性のない指標がKPIツリー上に現れることはありません。また「達成可能か」どうかという項目についてですが、必ず過去のデータを最低でも6ヶ月の数値推移を検証し、投入する人材リソースや広告費などと照らし合わせれば、達成可能な数値であるかどうかは見えてきます。
 

KPIツリーを見ながら決める

ウェブマーケティングで使われるKPIは、「リード獲得数」や「コンバージョン率」が王道でありますが、その他にどの指標を追うべきかは、プロジェクトの進行状況や課題によっても異なります。

例えば、オウンドメディアをリリースしたばかりであれば、KPIツリーの先行指標である「ページビュー数」がKPI候補になります。まずは認知してもらうこと、流入してもらうことが課題であるからです。

サイトリリースから6ヶ月程度経つと、うまく行けば訪問者がある程度見込めるようになっています。今度は少し遅行指標に位置する「リピーター数」を追うことが重要になってきます。サイトの再訪者が増えていくことが、ユーザーのロイヤリティの高まりを示す指標でもあるからです。
このように、サイトの運営期間や課題とともに、KPIはツリーの先行指標から遅行指標移行していく傾向にあります。


KPI設定数の上限を決めておく

ウェブマーケティングの場合、KPI候補となり得る指標が無数に存在します。どれも重要な数値のように見えてしまい、かつ解析ツールから自動的にデータが抽出できるため、容易に計測することが可能です。だからといって、KPIを設定しすぎてしまうと思わぬデメリットも生じます。

例えば、KPIを6個設定した場合で、考えてみます。計測の結果、5個のKPIをクリアできていて、1つのKPIが達成できていなかったとしましょう。人は、4つのKPIが好調なんだからいいじゃないかと前向きにとらえてしまう傾向があります。ですが、KGI達成のためのもっとも重要な要因は、達成できていない1個のKPIにある可能性もあります。KPIを出来る限り絞ったほうがこういった言い訳が効かなくなり運営上効果的になります。設定数を出来る限り絞って、誰もが頭の中でぱっと思い出せる程度のほうが、運営上うまくいきます。

オンラインチャネルの数やキャンペーンの種類などプロジェクトが複雑に入り組み、巨大化すればKPIは増えてしまいがちですが、KPI設定の上限数はある程度事前に決めておくことを推奨します。
  

まとめ

ここでご紹介したKPI設定のコツはとてもベーシックなものですが、必ず押さえておきたいポイントです。「成功達成の道筋を一目でわかる地図にしよう!KPIツリーの基本情報と作り方」や上記でご紹介したKPIの具体的な指標などを参考にしていただき、まずはKPIの設定にチャレンジしてみてください。

KPIもマーケティング活動同様に、定期的な見直しと改善よって最適化されるため、長期的に取り組んでいくことが必要です。ですが、KPI設定までのプロセスだけでもマーケティング活動の見える化、関連部署や企業目標への貢度や関連性が明らかになるというメリットも多く、これまでマーケティング部門が抱えていた問題の新たなソリューションとなるでしょう。

弊社では、BtoBマーケティングを「戦略策定・計画立案」から、「伴走支援」、各種コンテンツの「コンテンツ制作」まで幅広く、かつ中長期に渡ってサポートする、伴走型マーケティング支援サービスを提供しております。戦略に紐づいた目標設定 (KGI/KPI)等も支援いたします。是非、ご一読ください。 

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