成功達成の道筋を一目でわかる地図にしよう!KPIツリーの基本情報と作り方

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングを実施する中で、「効果が見えにくい」「効果をはかる指標がない」「効果をはかる方法がわからない」という声をよく耳にします。Google Analyticsやメールマーケティングソフトから得られる分析データのそれぞれの指標は知っていても、その指標が達成したい目標数値とどのような因果関係があるのか未だ不明瞭な方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

KPIツリーは、そのようなもやもやとした頭の中の整理整頓を強力に支援してくれます。KPIツリーは、「売上拡大」のような大目標に向かってどんな指標を追っていけばいいのかを一目で理解できる地図のような役割を果たします。チーム禅院が共有の地図を手にすれば、日々の細々としたやり取りをせずとも、強固なチームプレーが実現できます。

 

ここでは、KPIツリーの基本情報、KPIツリーの作り方と事例を解説し、実践で使えるKPI作成無料ツールもご紹介します。

 

KPI ツリーとは

KPIツリーとは、KGI(Key Goal Indicator: 重要目的達成指数)という大目標を構成する要素を一階層ずつ分解し、文字通りツリー型に可視化した図です。この分解した要素の中からKGIを達成するために重要とされる要素であるKPI(Key Performance Indicator: 重要業績評価指標)を特定することを目的としているため、KPIツリーと呼ばれています。

 

こちらがECサイトのKPIツリーの簡易版です。

KPI_ツリー_1.png 

ここでは、「売上金額」がKGI、「サイトへの訪問者数」と「サイト訪問者」の「商品購入率」をKPIに設定しています。KPIは1つという決まりはなく、複数の設定が可能です。また、フェーズによってKPIを変更していく場合もあります。

 

KPI ツリーを作る意味

KPIツリー作成への障壁はまだ高く、なかなか手付かずである企業も多いようです。しかし、KPIツリーを作成することで、これまで企業やチームや担当者の方が抱えていた多くの悩みが一挙に解決される可能性があります。その効果をまとめてご紹介します。

 

成功に必要なプロセスを読み解き、共有する

KPIツリーは、別名ロジックツリーとも言われています。つまり、大目標であるKGIをある一定の法則に則ってロジカルシンキングで整理、分析していく作業です。KPIツリー作成によって、マネージメント層、プロジェクト実行部隊全体で目標達成までのプロセスをロジカルに理解するきっかけになります。また、可視化されることで共通認識が醸成されやすくなります。

 

ボトルネックを特定し、施策提案の意思決定に役立つ

KPIツリーは、KGIやKPIが伸び悩んだときの課題抽出を容易にします。例えば、商品購入率が伸び悩んでいる場合は、この母数要素を構成している子要素の数値を大要素から順に検証していけば、なにが原因になっているかを特定することができます。

KPI_ツリー_2.png

ここでは、青枠内の「商品購入ページの訪問セッション数」、「注文完了率」、「回遊率」、「カート到達率」、「カート完了率」の数値がどう推移しているかを検証していきます。検証した結果、データ数値が低い、もしくは停滞している数値を見つけることができれば、それがボトルネックになっている可能性が高い要素です。改善策を提案する際にも、このKPIツリーがあれば上司やチームへの共有もしやすく、意思決定を促しやすくなります。

 

各メンバー、チームの責任が明確になる

チーム内の担当者の業務や職務によっては、KGIである売上金額を目標指標に掲げられても、ピンとこない人もいます。例えば、ECサイトのサイト構築担当者は、売上金額を伸ばせ!と言われるよりも、「カート完了率」や「回遊率」といった数値を向上するように改善して欲しいと言われたほうが、自分の仕事との関係性が高く、具体的な施策がイメージがしやすいのです。KPIツリーには、それぞれの担当者に深く関連するKPIが散りばめられており、KGIを達成するために、自分がどういったプロセスに関わっていて、どの指標に責任を負うべきか、目の前の課題が明確になるというメリットがあります。

 

 

KPIツリーの作り方

KPIツリー作成の5つのルール

KPIツリーの作成手順をご紹介する前に、KPIツリーを正しく作成するための基本ルールに触れておきます。

 

ルール1:要素の分解は、四則演算で成り立つ

  1. 掛け算:母数要素=要素×要素
  2. 割り算:母数要素=要素÷要素 
  3. 足し算:母数要素=要素+要素
  4. 引き算:母数要素=要素+要素

ただし、掛け算と足し算が母数要素の分解では多く使われています。また、おおまかな傾向として、行動の分解は掛け算、ユーザー数などの分解は足し算で構成されています。

 

上記でご紹介してきたKPIツリーも、このような四則演算で成り立っています。

KPI_ツリー_3.png  

ルール2:単位に注意

ここで注意しておきたいのが、要素と要素をかけ合わせた結果の母数要素の単位です。上図の括弧の中の単位をご覧ください。実際の、数値を入れてみれば間違えることはないのですが、言葉の要素で分解していると、四則演算が成り立っていない場合があります。KPIツリーの作成に慣れていない方は、単位も一緒に記載しながらKPIツリーを作成すると間違いがないでしょう。

 

ルール3:KPIツリーを分解する要素は遅行指標から先行指標へ

分解する要素は、KGIの上流にいくほど遅行指標(後になってついてくる数値)になっています。つまり、右側から左側の順でユーザーの行動順になっています(下図参照)。

KPI_ツリー_4.png

「売上金額」は、右側に分解した行動やデータの蓄積によって、結果として現れる指標です。

当たり前のことですが、KPIツリーを作成した後に、このルールが成立しているかチェックすることでKPIツリーの精度が確認できます。

 

ルール4:KPIとなり得る指標

KPIの要素に共通しているポイントは、下記の5つにまとめられます。

・ 具体的に数値が設定できる指標

・ 計測が可能な指標

・ チームや部門内で合意できる指標

・ KGIに関連性のある指標

・ 期限設定が明確にできる指標

 

上記に当てはまらない要素は、KPIツリーでは原則、使わないほうがよいと判断してよいでしょう。

 

ルール5:原則、要素は重複しない

これは原則ルールであり、例外もあります。Webマーケティングのように手段や経路が複雑化するKPIツリーを作成する場合は、先行指標となる要素が重複する場合があります。

 

それでは、早速これらの5つのルールに従って、KGIを分解し、KPIツリーを作成していきます。

 

KPIツリーの作り方

 

作成手順1:KPIツリーを構成する要素を洗い出しておく

特に、ECサイトやWebマーケティングでは、構成要素が多いため、事前にGoogle Analyticsやメールマーケティングの分析データを参考に、主要要素となり得る指標を洗い出しておきます。KPIツリーを分解する過程で、直感的に要素を選択でき、主要な要素が漏れることがありません。

 

【要素の一例】

Google Analyticsデータ指標

ホームページへのアクセス数 (訪問数) / 平均ページビュー数 (PV 数) / 直帰率、 Web サイト滞在時間 / 広告種類別訪問客数 / 平均購入単価 (顧客単価 ) / 検索エンジンからの流入数 / 広告からの流入数 / 記事ごとのページビュー数数 / 資料ダウンロード数 / 資料紹介バナー表示回数、 クリック率 / 顧客転換率 / メルマガ登録フォーム表示回数、 送信率 / メールからの誘導先ページへの流入数 / メール内リンクのクリック率 / 誘導バナーの表示回数、 クリック率 / コンバージョン件数 (新規問い合わせ件数 ) / リード獲得件数 ( 新規見込み顧客獲 得件数 ) / 商談率 (セットアップ率 ) / 販売率 (営業成約率 )

 

メールマーケティングデータ指標

配信成功数 / 配信エラー数 / 開封数・率 / メール全体に対するクリック数・率

 

これらの要素を全て、ポストイットに書き出して、まず遅行指標から先行指標に時系列に羅列するだけでもだいぶイメージが湧きます。

 

また、ユーザーセグメントもKGI分解のキーになってきます。新規顧客とリピーター、口コミ客などセグメントによって経路が異なることを事前に意識しておくとよいでしょう。KPIの全体像はお客様のアクション順(KGIが最終的なアクション)で構成されていますので、カスタマージャーニーマップなどでユーザーの行動をおさらいしておくと分解がスムーズに行きます。

 

 

作成手順2:「What?」「Why?」「How?」を使って母数要素を分解する

KPIツリーを分解する作業は、はじめは簡単には進みません。行き詰まってしまった場合に、この3つの質問が役立ちます。

 

What? 

その母数要素を向上させるためには、どの要素を向上させればよいのか?

How? 

その母数要素のモノ・コトは、どうやって構成されているのか?どうやったら向上するのか?

Why? 

なぜ、その母数要素は向上しないのか?

 

例えば、KGIが「売上金額」を分解する場合、「売上をアップさせるためにはなにを(What)向上させればよいか?」が問いになります。まず、思い浮かぶのは「商品購入者数」が多ければ多いほどよい!という答えです。次に、商品購入者数と「なに」を四則演算で計算すれば売上金額が導きだされるか?と考えます。

 KPI_ツリー_5.png

という計算式が導きだされます。

 

これが、売上金額を構成している要素になり、下記のようなKPIツリーが出来上がります。

 KPI_ツリー_6.png

分解された要素を、更に分解していきます。

 

Q. 「商品購入者数」を増やすためにはどうしたらよいか?(How)

A. ECサイトへの訪問者数を増やして、高い確率で購入ボタンを押してもらうこと

これが、「商品購入者=ECサイト訪問者数×商品購入率」という計算式を導きだしています。

 KPI_ツリー_7.png

ここで分解された、「ECサイト訪問者数」を更に分解していきます。

 

Q. 「ECサイト訪問者」が、増えないのはなぜ?(Why)

A. 自然検索からの流入は安定しているが、広告、メールマガジンから流入が増えていない。

 

これが、「ECサイト訪問者数=自然検索からの流入+Web広告からの流入+メルマガ経由からの流入」という計算式を導き出しています。

KPI_ツリー_8.png

こういった手順で、要素を1つずつ分解していくことでKPIツリーがツリー状に広がり全容が見えてきます。

 

作成手順3:一旦、仮説として運用してみる

実際にKPIツリーを作成してみると気づくと思いますが、KPIツリーでは、いくつもの分解パターンが作り出せます。例えば、上図では売上金額を「商品購入者数×一人あたりの平均購入金額」と分解しましたが、それ以外にも「新規購入者からの売上金額合計+リピーターからの売上金額合計」という切り口で分解することも可能です。どちらが正しいということはありません。実際に、仮説KPIツリーに数値を当てはめて数ヶ月運営してみると、どの数値が、KGIにインパクトを与えている指標であるかが明確になってくるため、追うべき数値であるか、ないかが必然と見えてきます。ですから、KPIツリーは一度作って完成ではなく、定期的に見直していく必要があります。

 

 

KPI ツリーの3つの事例

それでは、KPIツリーの3つの事例をご紹介します。

 

事例1:人材派遣会社のコンテンツマーケィングのKPIツリー

 KPI_ツリー_9.png

KGIは、候補者に申し込みフォームから面談の申し込みを完了してもらう件数に設定しています。KPIは、リード数とページビュー数に設定しました。

  

事例2:課金型アプリケーションのKPIツリー

KPI_ツリー_10.png 

KGIは「売上金額」。KPIは「新規ユーザー」「平均購入単価」に設定しました。

 

事例3:BtoBビジネスの営業活動

KPI_ツリー_11.png

KGIは「売上金額」。KPIは「新規案件数」と「アポ数」に設定しました。営業活動で、CRMなどを導入している企業であれば、さらに細かいデータを記録し、指標として使うことが可能です。

 

KPI ツリー作成の無料ツール5選

実は、KPIツリー作成専用の無料ソフトは英語版も含め、まだ市場には多く出回っていません。しかし、マイクロソフトの標準ソフトや、マインドマップ、デジションメイキング用のソフトで応用することが可能です。実際に、KPIツリーを作成することのできる、おすすめツール5選をご紹介します。

 

1. マイクロソフトOffice のPower Point / Excel

今のところ、もっともシンプルで汎用性が高いのが、マイクロソフトOfficeのこの2つのソフトウェアです。上図でご紹介しているKPIツリーもPower PointのSmartArt(挿入→SmartArt)で作成したものです。ExcelにもSmart Art(挿入→SmartArt)の機能がついていますので、使い慣れたソフトウェアを選んでください。

 

2. Coggle

KPI_ツリー_12.png 

Coggleは、複雑な情報を簡単に視覚化し、情報共有することを目的とされて開発されツールです。主にマインドマップの作成のために使われるソフトですが、KPIツリーの作成にももちろん使えます。ダウンロードやインストールが不要で、Googleアカウントでログインするだけで使える手軽さも魅力です。直感的に操作できるだけでなく、デザインや色調がカラフルでデザイン性があります。無料版で、PDFや画像データとして出力することも可能です。

 

3. Xマインド

KPI_ツリー_13.png 

こちらもマインドマップとして有名なオープンソースの無料ソフトです。KPIツリーの作成にも向いています。世界中に、多くのユーザーがいることが、このソフトの使いやすさを証明しています。ただ、無料版では、PDFへの書き出しができない点だけご注意ください(EvernoteやSNS上への共有は可)。

  

4. MindMaple(英語サイトのみ)

KPI_ツリー_14.png 

MindMapleもマインドマップ作成を目的としたツールですが、KPIツリー作成にも対応しています。現時点では、Windows版のみ無料版が公開されており、使用時にはソフトウェアのダウンロードが必要です。macOS版も、さほど高価ではなく$9.99で購入可能です。

 

無料版では、複数のテンプレートが使用することが可能ですが、PDFなどの出力ができません。しかし、有料プロ版では、PowerPoint、Word、Excel、HTML、TXT、image files、XMind filesなどへの出力が可能で、その他の拡張機能も高い点がその他のソフトウェアと一線を画しています。

  

5. Canva

 KPI_ツリー_15.png

Canvaはデジションツリーの作成を目的としたツールですが、簡単なKPIツリーの作成にも使用できます。選べる多種多様なデザイン、レイアウト、素材、テキスト、背景などが魅力で、PDFやJPG形式でダウンロードも無料版で使用可能です。社内のKPIツリーの作成というより、クライアントへのプレゼン、社内で可視化したいKPIツリーといった見せるKPIツリーを目的とした場合に魅力的なツールです。

 

まとめ

KPIツリーの作成は、はじめから完成型を目指すとかなり障壁が高いです。 

まずは、正しいKPIツリーを作るろうとはせず、チーム員全員で、分析データなどを突き合わせ、要素の洗い出しからはじめてみてください。それぞれの要素をポストイットに書き出し、時系列に並べることはすぐに実践できます。

 

違った立場からのさまざまな意見が、あらゆるKPIツリーを生みだすというプロセスも、KPIツリー作成の醍醐味です。完璧を求めず、気負わず、パズルゲームの感覚で楽しんでみてください。

TOP