コンテンツ制作を始める前に理解しておきたい基礎知識

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングは、Webマーケティングを進めていく上で、もはや避けては通れない存在になり、『コンテンツこそがマーケティングの鍵を握る』という意見も多く聞かれるようになりました。

この記事では、マーケティング担当者の方が、コンテンツマーケティングの主役である『コンテンツ』の制作に関して、ぜひ覚えておきたい基本的なポイントについてご紹介します。

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コンテンツ制作とは

そもそもコンテンツ制作とは何かを理解しておきましょう。

「コンテンツ」を訳すると” the information contained in a website, considered separately from the software that makes the website work ” (ロングマン英英辞典)、つまり、「Webサイトに含まれる情報であって、Webサイトを機能させるソフトウェアとは切り離して考えられるもの」とあります。すなわち、様々なメディアやプラットフォーム向けに発信されるテキストや画像、音声、動画などの情報を指します。Webサイトの記事だけでなく、SNSの投稿やブログ、メルマガ、音楽、広告など様々な形式のコンテンツがあります。

コンテンツ制作とは、これらWeb上にアップされるコンテンツを制作することです。

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは、企業やブランドが顧客を獲得するために、ターゲットとする潜在顧客に対して有益なコンテンツを提供することで商品・サービスを購入に繋げるマーケティング戦略のことです。最終的にはファンとして定着させることを目指す一連のマーケティング手法です。ポイントは「有益なコンテンツを作る」こと、「顧客を育てる」こと、そして「ファン化する」の3つです。

広告のように直接的に商品を売り込む手法とは違い、まだニーズが顕在化していない潜在顧客に対し、コンテンツを通して自社の存在を認知してもらい、段階的に購買へとあと押ししていくことに重きを置くのが特徴です。

それではコンテンツ制作を始める前に理解しておきたい基本的なポイントについて解説します。

Webマーケティングで扱うコンテンツ

はじめに、Webマーケティングで取り扱うコンテンツの種類をおおまかに押さえておきましょう。

インターネット上での「コンテンツ」はもともと『電子的に利用可能な情報』を指して用いられる言葉で、テキストや画像、音声、動画、アプリケーションなど、様々な種類のコンテンツがありますが、中でもWebマーケティングにおいて特によく利用されているものとしては、Webコンテンツ(Webページ)、動画、アプリ、ホワイトペーパー(e-Book)などを挙げることができるでしょう。

コンテンツのタイプ

主なコンテンツの概要は以下の通りです。

記事コンテンツHTMLで記述。テキストや画像、音声、動画などを埋め込むことができ、表現力の高いコンテンツを作成可能。
動画コンテンツWebサイトに埋め込む他、動画配信サイトにアップロードして活用されることも多い。
アプリ(ソフトウェア)スマホアプリやWebサイト上で提供されるソフトウェア。特にスマホアプリはユーザーとの接点として活用シーンが広がっている。
ホワイトペーパー(e-Book)特定のテーマに沿って書かれた記事や画像をPDF形式にまとめた小冊子的なコンテンツ。特にBtoBマーケティングにおいて、リードの獲得・育成のために活用される。

これらコンテンツの種類によってそれぞれ特徴があり、利用シーンにも向き・不向きがあります。それぞれの特徴をきちんと理解した上で、場面に応じて適切なコンテンツを利用することが大切です。

なお、コンテンツの種類とそれぞれの特徴については、以下のページで詳しくご紹介しています。

参考記事:コンテンツを制するものはWebマーケティングを制す! ~今だからこそ知っておきたい「コンテンツ」のイロハ~

Webコンテンツ制作のメリット

Webコンテンツ制作のメリットは多岐にわたりますが、主なメリットについて紹介します。

長期的な集客効果

コンテンツをWebサイトに公開すれば半永久的に閲覧することができるため、長期間にわたる集客や潜在顧客の獲得が可能です。また、蓄積されたコンテンツは会社の資産になります。

顧客との信頼関係の構築

質の高いコンテンツを制作することによって、顧客の共感を呼び、顧客の満足度や幸福に繋がり、ひいては顧客との信頼関係を構築します。さらに、複数のコンテンツを活用して効果的なブランディングも可能です。

顧客の獲得と維持

コンテンツページに商品や販促、問い合わせ、資料請求ページ等への導線を効果的に設置することで、コンテンツ経由で見込顧客にアプローチし、顧客を獲得、顧客の増加に繋げることができます。また、自社商品・サービスの既存顧客向けの様々なコンテンツを提供することで、ユーザーの満足度を向上させ、リピーターにするアプローチができ、顧客を維持することができます。

マーケティングコンテンツ制作で意識すべきこと

次に、マーケティングで用いるためのコンテンツを制作する際に念頭に置いておくべきポイントを、いくつかご紹介します。

①ペルソナ

1つ目はペルソナを意識すること。

マーケティングとは「見込顧客を自社の顧客(ファン)に育てていくための一連の取り組み」だと考えることができます。そして、あらゆるマーケティング活動において何よりも大切なのは、アプローチしようとしている相手、すなわち見込顧客像を明確にすることです。

これはコンテンツ制作においても同様で、「このコンテンツは誰に何を伝えるために作るのか」ということをあらかじめきちんと理解した上で作業に着手する必要があります。

通常はターゲットとなる見込顧客像を明確化するために、通常は「ペルソナ」を定義します。マーケティングコンテンツの制作は、定義したペルソナへの情報提供を軸として進めていくことが大切です。

②カスタマージャーニー

ペルソナと並んで重要な鍵を握るのが「カスタマージャーニー」です。

カスタマージャーニーとは、ひとことでいうと「見込顧客が顧客になるまでのプロセスを示す地図」のようなもので、コンテンツマーケティングの戦略立案には欠かせないツールです。通常は前述したペルソナ一人に対して、ひとつずつカスタマージャーニーを定義します。

たとえば会計用のソフトウェアを販売する企業なら、実際にソフトウェアを使う総務部門、ソフトウェア導入を手動する情報システム部門、導入に際して最終的な決裁を行う役職者などをペルソナとして定義できますが、これらのペルソナはそれぞれ目的や求める情報が異なり、情報にたどり着くまでにたどるルートも異なります。カスタマージャーニーを定義することで、このようなルートの違いや各プロセスにおいてペルソナが求める情報などを可視化することができるのです。

①で触れたペルソナと②のカスタマージャーニーを突き合わせ、「どの段階にある誰に対してどのような情報を提供するのか」を明確にした上でコンテンツ制作に取り組むことで、より効率よく作業を進めることが可能となります。

③SEO対策

Webコンテンツ(Webページ)を制作する場合は、SEO対策(検索エンジン最適化対策)を意識することも重要なポイントです。特に新規の見込顧客獲得を主な目的とするコンテンツの場合は、SEO対策の重要度が高まります。というのも、メールマガジンなどで誘導可能な既存の見込顧客と異なり、新規見込顧客は集客の多くの部分を検索エンジン頼ることになるためです。

コンテンツ制作の具体的な流れは次の項で解説しますが、基本的には前述のカスタマージャーニーをもとに見込顧客がどのようなキーワードで情報収集を行うのかを調査し、そのキーワードをスタート地点としてコンテンツを設計していくことになります。

コンテンツ制作の流れを把握する

前項で説明したポイントを踏まえて、コンテンツ制作の流れを大まかに整理してみましょう。マーケティングコンテンツの制作は、おおむね次のような手順で進めます。

①ペルソナの明確化

自社製品・サービスの見込顧客をペルソナとして定義します。

②カスタマージャーニーの定義

定義したペルソナごとにカスタマージャーニーを定義します。

③コンテンツが必要となるポイントの割り出し

カスタマージャーニーを参考に、コンテンツが必要となるポイントを割り出し、どのようなコンテンツが必要となるかをざっくり定義します。

④対策キーワードの選定

制作するものがWebコンテンツの場合は、対策キーワードを選定します。具体的には、前述のポイントにおいてペルソナが検索に用いるであろうと思われるキーワードを洗い出します。自社Webサイトのアクセスログを分析したり、Googleのキーワードツールなどを用いたりして、可能な限り現実味のあるキーワードのセットをピックアップしましょう。

対策キーワードは、通常は複数定義されますので、検索件数の多い順に優先度付けを行い、優先度の高い方から順次コンテンツを開発していきます。

⑤テーマの決定

選定したキーワードに基づいて、制作するコンテンツのテーマを決定します。

⑥アウトラインの作成

テーマに基づき、コンテンツのおおまかな構成をアウトラインとして定義します。

⑦制作(執筆)

アウトラインに沿って実際にコンテンツを執筆・制作していきます。

⑧編集・校正

制作したコンテンツは、できれば第三者の目で内容や誤字脱字をチェックし、必要に応じて編集や校正を行います。

必ずしもすべてのプロセスを実施しなくてはならないわけではありませんが、作業の漏れを防ぐためにも、基本的なフローを意識しつつ作業に取り組むことをおすすめします。

コンテンツの分析

コンテンツは公開して終わりではありません。公開後に意味のある指標を追跡することが重要です。

  • ページまたは動画の再生数/ユーザーがウェブページまたは動画を閲覧した合計回数
  • コンバージョン率/Webページで目的のアクション (サービスの購入やサインアップなど) を実行するユーザーの割合
  • オーガニックトラフィック/検索エンジンの結果で無料の検索結果をクリックしてWebサイトにアクセスした訪問者
  • 平均エンゲージメント時間/ウェブページがユーザーの焦点であった平均時間
  • キーワードランキング/キーワードの検索エンジンの結果でウェブサイトが保持する位置
  • バックリンク/ユーザーを自分の Web サイトに誘導する他の Web サイト上のリンク
  • エピソードのダウンロード/ポッドキャストやその他のエピソードコンテンツがユーザーによってダウンロードされた回数

これらを分析すると、何が機能し、何が機能していないかを理解することができ、改善や今後のコンテンツ制作に役立ちます。

コンテンツ制作での必須スキル

コンテンツを制作するためには様々なスキルが求められます。中でも必須とされるスキルが「企画力」「ディレクション力」「制作力」の3つです。

企画力

コンテンツを制作するためにまず必要なスキルは「企画力」です。ユーザーが求めている情報は何かを考えながら、新しいアイデアを出す力、独自性のあるコンセプトやトピックを見つけ出す力、それらをどう表現するかを考える力など、ターゲットのニーズや興味にあったコンテンツを立案する企画力は必須です。

ディレクション力

企画ができたとして、それを実現するために現場の指揮を取り、管理するスキル、「ディレクション力」が必要です。プロジェクトのアイデアやビジョンを明確に伝えた上で、コンテンツ制作のチームメンバーと円滑にコミュニケーションを取りながら、進捗状況を把握し、全体を管理し、成果物の品質を確保する役割を全うできるスキルです。

制作力

企画されたコンテンツをしかるべき指示のもと具現化するためには、記事を書く力、画像を撮影したり加工したりする力、動画を撮影したり編集したりする力など、「制作力」が必要です。質の高いコンテンツを制作するためには、制作力の高さが必須と言えます。

コンテンツ制作体制が重要

最後に、コンテンツ制作の体制についてお話しておきます。

マーケティングで用いるコンテンツは、基本的には量より質を重視して制作すべきです。Googleを始めとした検索エンジンは良質なコンテンツを評価して検索結果の上位に表示する傾向にありますので、粗悪なコンテンツを大量にばらまくくらいなら、じっくり腰を据えて良質なコンテンツを制作したほうが長い目で見てよい結果を出すことができるでしょう。

しかし、そうは言っても、実際にはある程度コンテンツの数を揃えないことには、コンテンツマーケティングの結果を実感しづらいという側面があるのも事実です。

社内に十分なリソースがなく、コンテンツ制作が遅々として進まないようであれば、制作を外部パートナーにアウトソーシングすることも検討してみましょう。

コンテンツ制作の委託には、大きく分けて次の2つのパターンがあります。

個人のライターに依頼する

1つ目は、いわゆるフリーライターとして活動している個人のライターなどをリクルートし、直接コンテンツの制作を依頼する方法です。ライターのリクルートは、クラウドソーシングのサービスを利用する、知人から紹介を受けるといった方法で行うことができます。

個人のライターに委託するメリットは、コンテンツ制作会社に依頼したときに比べて製作コストを安価に抑えられることです。逆にデメリットはというと、スキルの高いライターを見つけるのは難しいということです。このため、望むレベルのコンテンツを制作することができない恐れがあります。また、テーマの決定や執筆の依頼、原稿の受け渡しやフィードバックといった制作上の様々なやりとりを直接行う必要があり、いわゆるプロジェクト管理のコストも馬鹿になりません。

コンテンツ制作会社に依頼する

2つ目はコンテンツ制作会社に依頼する方法です。

この方法のメリットはなんと言っても、コンテンツ制作をまるごとアウトソーシングできるという点にあるでしょう。専門のディレクターがライターや編集者を取りまとめてプロジェクト進行を管理してくれるため、自社担当者の負担を大幅に削減できる可能性があります。また、基本的には企業対企業のやり取りとなるため、契約面においても個人の場合と比べて安全性は高いと言えます。

逆にデメリットはというと、やはりそれなりにコストが嵩んでしまうということです。とはいえ、アウトソーシングすることで社内の担当者が余計な作業に煩わされることなく本来の仕事に打ち込むことができるメリットを考慮すれば、こちらの方がかえって高いコストパフォーマンスを打ち出せる場合もあるかもしれません。

予算や人的リソースなど、社内の状況に応じて適切な方法を選びましょう。

基本を押さえて効率のよいコンテンツ制作を

以上、コンテンツ制作に取り組むにあたってぜひ押さえておいていただきたい事柄をご紹介しました。本記事にて解説した内容を念頭に置き、良質なコンテンツを効率よく開発して頂ければと思います。

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