あなたの育児経験が起業に役立つ5つの理由

経営・ビジネスハック

私が起業する際に大変参考になったビジネス書に『Built to Sell: Turn Your Business into One You Can Sell』 (売るための起業:あなたのビジネスを売却可能なビジネスに変えよう、日本語訳は未発売)という本がある。

著者であるJohn Warrillow氏は、4つのベンチャー企業を立上げ、売却した経験を持つビジネスのベテランで、米国のビジネス誌『BtoB Magazine』で、米国で最も影響力のあるマーケッターにも選ばれてもいる。

大変興味深い事に、ジョンによれば、子育てと成功するビジネスを育てることは、非常に似ているという。ジョン自身、2人の子供の父親であり、育児をした経験が、事業を育てる上で大変役だったと語っているのである。はたして、子育てとビジネスの共通点とは何なのだろうか?ご紹介したい。

あなたの育児経験が起業に役立つ5つの理由

子育てをしている人は、子どもがいない人に比べて、成功するビジネスを生み出す上で非常に有利な体験をしていると言える。子育てはビジネスよりもずっと難しい。長期に渡る献身が必要だし、親自身が精神的に成熟する事が求められるからだ。母親や父親になったことがある人は、優れた起業家になれると言えるだろう。以下、5つのポイントでさらに詳しく見ていこう。

1. 子育てをすると、長期間コミットすることの重要性がわかる

子どもをもつ決断と、起業する決断はよく似ている。両方とも、今後何年もの間、何があってもコミットし続けなくてはいけない、とわかりながらスタートすることが大事だからだ。

経験不足のスタートアップ起業家は、事業がFacebookのような成長曲線を示さないと、イライラしてしまうことがある。しかし子育て経験者は、長期間コミットし続けるということがどういうことなのかをきちんと理解している。子供の夜泣きや口答えに悩まされたとしても、親は子を交換するわけにはいかない。子育ては長期戦であり、自分で何とかやりくりして奮闘するしかないのだ

2. 自分を客観視できるようになる

私は、実際に子どもを産んだことはないが、2回の出産に立ち会ったことがある。そして、出産には混乱と苦痛、大きな感情の浮き沈みが伴うものだと感じた。一方ビジネスに関しては自ら4回の起業を体験したが、出産と似た気持ちを感じた。起業後の最初の数日間は、極度の興奮と、身がすくむような恐怖の間で、感情が大きく浮き沈みを繰り返すのだ。

しかし、子育てをしていると、自分の感情をうまく客観視できるようになる。私も父親になる前は、よく仕事の問題を家に持ち帰って深刻に考え続けていた。しかし今は、健康で幸せな子どもたちを育てることの重要性に比べたら、そうした仕事の問題が非常に些細なことに思えてしまう。子育ては、会社立ち上げで生じる感情のアップダウンを落ち着かせる視点を与えてくれるのだ。

3. 起業は地道な作業だと理解できる

新生児の育児はそんなに魅力的なものではない。慢性的な睡眠不足に悩まされながら、生まれたての赤ん坊が泣かないようにするのに、自分の時間を費やさなくてはいけない。

そして、子供がむずかり始めたら、その瞬間に原因を分析する必要がある。空腹なのか?疲れたのか?おむつを替える必要があるのか?喉が渇いたのか?飽きたのか?そうした時間を過ごすなかで、赤ちゃんがいかにか弱く、親に全てを依存した存在であるかをいつも実感するのだ。

同様に、起業後1年目の会社は非常に繊細で、細心の注意とケアを必要とする。地味な立ち上げ作業をしていても、ほめてくれる人など誰もいない。それでも、会社の登記や届出、取引口座の開設、ウェブサイトや名刺の用意など、起業に伴う全ての作業をこなすのにかかりきりになる必要がある。それはこの生まれたての小さなビジネスが将来自立するのに必要だからだ。

4. 創業時の経営の仕方が分かる

初めての反抗期として知られる“魔の2歳児”の時期を考えてみよう。幼児が歩き始め、あちこち探検し始めるこの時期になると、親は全ての階段に安全柵を設け、車のドアから包丁などが入った引出しにいたるまで全てに鍵を付ける。敏感な親は、子どもの周辺3メートルにある危険ですら察知できる第六感を身につけるようになったりもする。

一方、起業後の会社も何とか1年目を乗り切ると、徐々に創業時のミッションから道を外れ始めることがある。新しいアイデアやコンセプト、ビジネスモデルは起業家を惹き付け、迷わせ、しばしば貴重な資金を吸い取ってしまうこともある。
しかし、子育てをしたことがある親は、どこにどのタイミングでラインを引くべきかを心得ている。日々、適切なラインを引いて子供を守りつつ、子どもたちが歩きまわれるスペースをつくってあげているからだ。

5. よいコーチであることを学べる

やがて子どもは、それなりに自分のことは自分でできるようになるだろう。食事やトイレもひとりでできるようになり、しばらくの間、ひとり遊びも可能になる。親としての役割が子供に命令したり、コントロールしたりすることから、最適なタイミングで、教え、導き、間違いを正す、といった内容にシフトする。

私自身、親になって初めて、『上司』である事と、『コーチ』であることの違いを本当に理解するようになった。

まとめ

どうだろう?参考になったのではないだろうか?

僕自身、昨年起業して会社を経営しているけれど、まさに同じ気持ちである。

起業は、一部で思われているように華やかなものでは決してない。むしろ、時間と労力がかかり、大きな不安と大きな喜びを同時に体験するプロセスだ。それでも、自分が心血を注いでビジネスを育てるという事は、子供を育てるのと一緒だと思う。時間はかかるし大変だけれど、そこから得られる喜びは、なにものにも代えがたいのだから。

出典:Do Parents Make Better Startup Founders?

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