BtoBコンテンツマーケティングで案件を創出するために不可欠な3つのアプローチ

BtoBマーケティング
日本国内においても、大手企業やIT系企業を中心に取り組みが進みつつあるコンテンツマーケティング。オウンドメディア(所有するWebサイト)へのトラフィック拡大、つまり集客には効果を認めつつも、特にBtoB企業の場合では、必ずしも期待するリード獲得や案件創出につなげられているとはいえないようです。
その問題を解決するための3つのアプローチをご紹介します。
目次
1.CTA(eBookやホワイトペーパー)の開発・活用
一般的に、BtoB企業が狙うターゲットの母数は、BtoCのそれと比べると大幅に限定されます。仮に良質のコンテンツを継続的に配信してサイトへの集客を果たしても、コンバージョン・ポイントがいわゆる「お問い合わせ」のみですと、期待していたほどのリード獲得は望めないものです。
このように期待したリードが得られない理由は、訪問してくる見込客の興味度や(購買)検討段階はさまざまであるためです。お客さまサイドの課題が明確になっていない、あるいは商材に対する情報収集や理解が進んでいないと、具体的なアクションには至りません。
また、BtoBの購買プロセスにおいては、個人の好き嫌いや衝動買いで購買には至らず、各社の課題解決を関係者に対して論理的に説明・共有できる状態でないと、予算化すらされない背景があります。
そこで、eBookやホワイトペーパーとよばれるCTA(行動喚起)の開発・活用がおすすめです。BtoBマーケティングにおけるeBookやホワイトペーパーとは、特定のテーマの情報をまとめたPDF資料です。ニーズ醸成あるいは案件化を目的としたコンテンツという意味ではブログ記事と役割は同等です。
eBookやホワイトペーパーの企画・開発の方法
例えば、TV会議やWeb会議システムを提供している企業における、顧客ニーズ分析とコンテンツ企画の簡易的な例をあげて説明しましょう。
サービスの概要:
TV会議やWeb会議システムとは、映像や音声のリアルタイム双方向通信や多拠点通信を可能にするツールです。?
ニーズ:
- 一般的に遠隔地にいる人とミーティングや会議を行うために用いられる。
- 移動時間や出張費を削減するために検討されるケースが多い。
- また、新規開拓や顧客フォローを目的とした導入や、Webセミナーなどの社外向けの利用も増えている。
これらのニーズをもれなく洗いだして、お客さまの検討段階や購買プロセスに応じたコンテンツ開発を進めていくことが求められます。
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上の図は、総務・管理部門が中心となって、経費削減や業務効率化、あるいは社員満足向上に興味・関心や課題をもつターゲットに対して、購買ステージごとのeBook(ホワイトペーパー)を用意したケースです。
コンテンツを企画するにあたり、明確なターゲット設定やペルソナ作成は絶対にはずせません。既存顧客がなぜ当社の製品・サービスを購入したのか、あらためて調査・分析するところから実施したいものです。
eBook(ホワイトペーパー)を活用するメリットとして以下の5つがあげられます。
- 相手にとっての選択肢を増やせる(満足度向上)
- 関係者間で共有・回覧されやすい
- 公開されている情報と比べ、特別感を演出できる(知りたいと思わせる)
- 資料の請求(ダウンロード)時に個人情報を獲得できる(能動的なフォローが可能に)
- 請求された資料の内容から、興味対象や見込度(検討段階)を推測できる?
特に、4と5の意味は大きいです。個人情報を得られることによって、こちらから能動的なアプローチが可能となります。また、相手が反応した話題やテーマを事前に把握できることで、コミュニケーションの最適化をはかることが可能です。
ちなみに、eBook・ホワイトペーパーには以下のようなバリエーションがあり、ターゲットの興味・課題や検討段階によって、アプローチ方法を検討することができます。
・事例/ケーススタディ
・課題解決ノウハウ
・話題のテーマ/最新技術紹介
・調査(業界)レポート
2.ナーチャリング(顧客育成)施策の実行
次に、ナーチャリング(顧客育成)施策についてです。
ナーチャリングの目的は、ターゲットとするお客さまの潜在・顕在ニーズに対して気づきや課題解決を促し、最終的には自社商材の購入につなげることです。
とはいえ、すべてのターゲットやリードに対して、人的リソースを投入することは困難かつ非効率でしょう。特にコンテンツマーケティングを実践するにあたっては、獲得するリードが増大するにつれ、フォロー活動の改善や工夫は不可避です。
そのため、現在、マーケティングやセールスの現場では、マーケティングオートメーション(MA)の導入や活用の必要性が叫ばれています。
ただし、目的の明確化や身の丈にあった段階的導入・活用を推奨します。
米国におけるアンケート調査によると、先行している米国でさえ、MA導入企業の85%が「実は活用できていない」と認識しているのが実態です。ツールや機能を起点に考えず、もっとシンプルに仮説・検証サイクルを回していくべきでしょう。
参照元:“失敗”から学ぶマーケティングオートメーション活用術
第4回:マーケティングオートメーション、8割の企業がつまずく「導入後」の話|ITmedia
ナーチャリング(顧客育成)の方法
例えば、先ほど紹介したeBook・ホワイトペーパーの開発のケースで考えると、それぞれの購買ステージにある(と想定できる)ターゲットに訴求したいeBookを適宜案内することで、ニーズの喚起・醸成とあわせ、お客さまの反応を推し量ることもできます。
ちなみに、MAやCRMやメール配信システムの一部はステップメールの機能も有していますので、eBookの申込み日など日付を基点にした自動配信も可能です。
ナーチャリング施策を実行することで、対象のリードをタイミングよくセールス部門へ引き渡し、最終的にはマーケ・セールス全体の生産性が改善されることが想像いただけるでしょう。
3.リード(見込客)の見極め
最後に、リード(見込客)の見極めについて取り上げます。
実は、コンテンツマーケティングを実践していくうえで一番の課題となるのがこの見極めです。
結論からいうと、BtoBのコンテンツマーケティングにおいては多くの場合「インサイドセールス」の導入・活用が有効です。
ちなみに、「インサイドセールス」とは、客先への訪問やクロージングを業務の主体とする「フィールドセールス」と対比して、電話やメールによるコミュニケーションを主体とした内勤業務あるいは役割のことです。
コンテンツマーケティングで見込客の興味喚起や案件化をサポートできるとはいえ、必ずしもすべてのお客さまに、正しい理解と個々の課題解決にあわせたナビケーションができるとは限りません。
また、営業部門では目先の売上目標(予算)達成に向けた活動に重きがおかれるのが実状で、検討状況が不明確なリードに対する動機付けも働きにくいです。すると、企業として見込客へのフォローをする機能がなく、機会損失が発生している状態になります。そこに「インサイドセールス」の存在意義を見いだせると考えています。
みなさんがイメージしやすい従来型のテレセールスにおける新規開拓では、どこかで買ってきた顧客リストをもとに、受付突破を含めたプッシュ型の営業活動を行うことが中心でした。
しかし、コンテンツマーケティングで事前にコンテンツを提供していれば、企業は認知され、多少なりとも関係性が築けた状態に持っていくことができます。この段階のリードに対するヒアリングや情報提供は、従来型のテレセールスとは大きく異なり、より付加価値の高い業務・役割に昇華できる可能性があります。
リード(見込客)の見極めの方法
「インサイドセールス」導入においては、以下の3つのポイントが重要です。
- ?どんな属性(企業規模、業種、部門、役職など)や課題(問題意識)をもったリードを対象とするかあらかじめ設定する
- ?どのようなアプローチ(ヒアリングや情報提供)を行って判断(仕分け)していくのかあらかじめ設定する
- ? 設定した評価指標(KGI/KPI)を継続的にモニタリングしながら改善を重ねる
また、インサイドセールスの機能を高めるためには、テレセールスによる見込客との接点履歴をCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)といったITツールで一元管理すべきです。接点履歴の管理は、ネクストアクションの徹底や「フィールドセールス」への引き継ぎ情報として活用できます。
ちなみに、欧米では「インサイドセールス」にこそ有能な人材を配置しており、報酬は「フィールドセールス」と同等、あるいはそれ以上のケースも多いと聞きます。
国内企業においては、訪問営業で成績をあげられない営業担当者にテレセールスを担わせることも少なくありません。『インサイドセールスで成果をあげたら、フィールドセールスに昇格してあげる』といった具合に、テレセールスを一段下に見ている傾向が強く、「インサイドセールス」を営業のサブ的な役割としか捉えていない傾向があるといえます。
しかし、コンテンツマーケティングを実践するなかで、「インサイドセールス」を取り入れたプロセス分業と仕組みづくりは時代の要請といえそうです。
まとめ
BtoBのコンテンツマーケティングにおいては、Web上の公開コンテンツを充実させるのと同時にこれらの3つのアプローチが不可欠です。
- eBookやホワイトペーパーの企画・開発
- ナーチャリング(顧客育成)施策の実行
- 見込客の見極め
有効なリードを獲得し、案件を創出するために、積極的な取り組みを期待します。
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