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イノーバマーケティングチーム2024/04/05 13:20:044 min read

案件創出とは?営業が知っておくべき基本と実践法

案件創出の意味と重要性

案件創出の定義

案件創出とは、潜在顧客を見つけ出し、その顧客との関係を構築しながら、最終的に受注に繋げていくプロセス全体を指します。単に新規顧客を開拓するだけでなく、既存顧客に対する追加提案やクロスセルなども案件創出に含まれます。

具体的には、自社の製品・サービスに価値を感じる可能性が高い企業や部門、個人を特定し、それらの潜在顧客との接点を持つところから始まります。そして、顧客の抱える課題やニーズをヒアリングし、自社の製品・サービスがその解決に資することを提案。受注獲得に向けて、競合との差別化ポイントを訴求しながら、粘り強く交渉を進めていきます。

こうした一連の営業活動を通じて、新規案件を創出していくのです。

なぜ案件創出が重要なのか

案件創出は、企業の成長と存続に直結する重要な営みです。新規案件を継続的に獲得することで、売上・利益を拡大し、市場におけるプレゼンスを高めていくことができます。

特に、昨今の厳しい経済環境下では、新規顧客の開拓や既存顧客の深耕なくして、企業の成長は望めません。また、顧客ニーズの多様化や技術の進歩に伴い、自社の製品・サービスの陳腐化のスピードも速まっています。常に新しい価値を提供し続けるためにも、案件創出は欠かせない取り組みと言えるでしょう。

加えて、案件創出は営業の生産性を高め、効率的な企業運営に寄与します。優良案件を積み上げることで、一人当たりの売上・利益を向上させ、限られた営業リソースを最大限に活用することができるのです。

案件創出のプロセスと方法

案件創出の基本的なプロセス

潜在顧客の発掘と理解

案件創出の第一歩は、自社の製品・サービスに価値を感じる可能性が高い企業・部門・個人を特定することから始まります。

例えば、IT システムの導入支援を手掛ける企業の場合、

  • 業績が好調で、IT 投資に積極的そうな企業

  • 基幹システムの老朽化が進んでいる企業

  • DXへの関心が高い企業

  • 同業他社に先んじてIT活用を進めたい企業

などが、有望な潜在顧客になり得るでしょう。

こうした企業をリストアップするためには、自社の製品・サービスの特性をよく理解し、それがどのような企業の、どのような課題を解決するのかを明確にしておく必要があります。また、対象業界の動向やトレンドにも詳しくなっておくことが大切です。

潜在顧客を特定したら、次はその企業や部門、意思決定者の詳細を深く理解します。具体的には、

  • 組織構造

  • キーパーソンのプロフィールや特性

  • 予算規模や予算サイクル

  • 競合の動向

  • 過去のIT投資の状況

  • 現在抱えている課題 など

これらの情報を、公開情報や自社の営業データベース、外部の企業データベースなどから収集・分析します。加えて、実際に顧客との接点を持つ中で、ヒアリングを通じて情報を深耕していきます。

顧客との関係構築

潜在顧客を理解したら、いよいよ実際のアプローチを開始します。

この際のポイントは、「売り込み」ではなく「関係構築」を心掛けることです。初回アプローチの段階から、がつがつと商品の説明をするのではなく、顧客の話に耳を傾け、顧客の事業や課題への理解を示すことが大切です。

例えば、展示会で名刺交換した後に、「先日はありがとうございました。御社の××という取り組みを伺い、大変感銘を受けました。詳しくお話をぜひ直接伺いたく、ご連絡させていただきました。」といったメッセージを添えてアポイントを取るなど、顧客の関心事に触れつつ、真摯な姿勢を示すことを意識しましょう。

アポイントが取れたら、顧客の課題や要望を丁寧にヒアリングします。その上で、自社の製品・サービスを使うとどのような価値が得られるのか、具体的なメリットは何かを分かりやすく説明します。併せて、過去の類似案件の実績や他社事例などを交えて、信頼感を醸成していくことも効果的でしょう。

こうしたコンサルティング的なアプローチを通じて、徐々に顧客との関係性を築いていきます。

提案と受注

信頼関係の構築と課題の明確化が進んだら、具体的な提案を行います。その際は、顧客の課題を解決するソリューションとしての製品・サービスの特長を、明確なロジックを持って訴求することが重要です。

加えて、競合他社との差別化ポイントや、自社を選んだ場合の具体的なメリット(コスト削減効果、業務効率化、リスク低減など)を強調し、顧客の購買意欲を喚起します。

値段の交渉も並行して進めていきますが、安易な値引きは避けるべきです。その代わりに、顧客に「この課題は、この製品・サービスでしか解決できない」と納得してもらえるよう、丁寧な説明を心掛けましょう。

最終的な受注獲得に向けては、スピード感を持って交渉を進めることも大切です。長期化すると、顧客の決断が鈍る恐れがあります。とは言え、拙速に結論を急ぐのも禁物。意思決定者との信頼関係を大切にしながら、適切なタイミングで合意形成を図っていくことが肝要と言えます。

案件創出のための営業戦略

ターゲティング

案件創出を効率的に進めるには、自社の製品・サービスの強みが発揮できる領域に、営業活動を集中させることが大切です。

例えば、金融機関向けの事務処理システムに強みを持つシステム開発会社の場合、金融業界の中でも、

  • 基幹系システムの刷新を検討中の地方銀行

  • フィンテックへの対応に課題を抱える証券会社

  • 海外拠点とのシステム統合が急務の保険会社

など、自社の強みが活きるターゲットを絞り込むことで、高い成約率を期待できます。

一方、全く別業種の企業、例えば小売業や飲食業といった業態へのアプローチは、知見不足から案件創出も困難になりがちです。

このように、「市場の魅力度」と「自社の競争力」の2軸で事業領域を定め、リソースを重点配分することが、案件創出の成功確度を高めるポイントになります。

顧客分析と価値提案

案件創出を成功に導くには、顧客の業界動向や競争環境、経営課題を的確に把握し、それを踏まえて自社の価値提案を行うことが不可欠です。

例えば、製造業向けのIoTソリューションを手掛けるベンダーの場合、

  • 製造業の業界動向(市場規模、成長率、技術トレンドなど)

  • 競合他社の動向(提供ソリューション、導入実績など)

  • 製造業の共通課題(コスト削減、品質向上、納期短縮など)

  • ターゲット顧客の個別課題(設備の老朽化、熟練技術者の引退など)

といった情報を整理した上で、自社のソリューションの強みを、顧客の課題解決に直結する形で訴求します。

「当社のIoTソリューションを導入することで、設備の予知保全が可能になり、計画外のラインストップを80%削減。生産性の向上とコスト削減を同時に実現できます」

といった具合です。

このように、顧客の実情を踏まえた価値提案を行うことで、自社の製品・サービスの有用性を顧客に納得してもらいやすくなります。

また、この価値提案をパワーポイント資料などに落とし込み、営業部門で共有することも効果的です。営業担当が、顧客に合わせて資料をカスタマイズできるよう、わかりやすいストーリー立てにしておくと良いでしょう。

営業・マーケ連携

営業部門が案件創出に注力する一方、マーケティング部門がリードジェネレーションを担う、いわゆる「営業・マーケ連携」の取り組みも、近年その重要性が増しています。

具体的には、マーケティング部門が、

  • 展示会やセミナーの企画・運営

  • ホワイトペーパーや事例資料などのコンテンツ作成

  • メールマガジンやSNSを通じた情報発信

などを通じて、潜在顧客との接点を持ち、問い合わせ(リード)を獲得。獲得したリードは、MAツールなどを用いてスコアリングし、有望度の高い見込み客のみを営業部門に引き継ぐ、といった流れです。

このように、営業とマーケが密に連携し、役割分担を適切に行うことで、営業部門は、より効率的かつ効果的に案件創出に取り組めるようになります。MAツールやSFAツールを連携させることで、リード管理や顧客とのコミュニケーション履歴の一元管理も可能となるでしょう。

ツールの活用例としては、

  • MAツールでリードのオンライン上の行動履歴を分析。ホワイトペーパーのダウンロードや問い合わせなど、一定のアクションを取ったリードに対して、オートメーションでスコアリングを行い、営業担当へ通知する

  • SFAツールに顧客の基本情報や商談履歴を蓄積。営業同士で情報共有を行うことで、担当者が変わっても案件を継続的にフォローできる

などが挙げられます。

営業・マーケが一丸となって案件創出に取り組むことで、効果的なアプローチが可能となります。

パートナー活用

自社の営業リソースには限りがあるため、代理店やアライアンス先などのパートナー企業と協力して案件創出を行うことも有効な手段の一つです。

例えば、医療機器メーカーが、自社の製品を病院に直接販売するルートに加え、医療機器商社を通じた販売ルートを開拓する、といったケースが挙げられます。商社の営業担当は全国の病院に日頃から出入りしており、現場の生の声を持っています。そうした情報を活かすことで、自社単独では見つけられなかった案件を発掘できる可能性があります。

また、ITベンダーがシステム開発で協力関係にあるSIerと共同で案件創出に取り組むケースもあります。SIerの持つ顧客基盤や業界ナレッジを活用することで、新規顧客の開拓や既存顧客への提案機会の拡大が期待できるでしょう。

パートナーとの連携に際しては、十分な事前協議を行い、役割分担や協業プロセス、収益配分のルールなどを取り決めておくことが大切です。とりわけ、案件情報の取り扱いについては、機密保持契約(NDA)の締結など、慎重な対応が求められます。守秘義務をしっかり守った上で、Win-Winの関係を築いていく必要があります。

案件創出のコツとポイント

ターゲット企業の明確化とペルソナ設定

案件創出のコツの一つは、ターゲット企業像を明確に定め、ペルソナを具体的に設定することです。

ターゲット企業像を定める際は、自社の製品・サービスの強みを再確認することが出発点となります。

  • どのような企業規模、業種、部門の企業に自社の強みが活きるのか

  • 顧客のどのような課題を自社は解決できるのか

などを整理し、いくつかの軸でセグメンテーションを行います。

例えば、クラウド型の経費精算システムを提供するベンダーの場合、

  • 中堅・中小企業向け、大企業向けなど、企業規模別

  • 経理部門向け、営業部門向けなど、部門別

  • 経費精算の工数削減、コンプライアンス強化など、解決したい課題別

といった切り口でセグメントを行い、それぞれのセグメントに最適なアプローチ方法を検討します。

さらに、セグメントごとにペルソナを設定することで、より具体的なターゲット像を描くことができます。ペルソナとは、対象顧客の一般的な特性を示した仮想の人物像のこと。次のような項目を定義していきます。

  • 年齢、役職、職責

  • 業務上の課題、関心事

  • 情報収集の傾向

  • 意思決定プロセス

例えば先のケースでは、

「中堅・中小企業の経理部長。45歳男性。月末の経費精算処理に追われており、業務効率化を急務と考えている。クラウドサービスへの不安もあるが、同業他社の導入事例などには興味を持っている」

といったペルソナを設定。このペルソナ像に沿って、効果的なアプローチを検討します。

ペルソナ設定に際しては、自社の営業データや既存顧客へのインタビューなどを基に、できる限りリアリティのある人物像を描くことが重要です。また、ペルソナは複数設定することが望ましいでしょう。様々なタイプの顧客像を想定することで、それぞれに適したアプローチが可能となります。

適切なKPI設定と継続的な改善

案件創出力を高めるには、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定し、PDCAサイクルを回して継続的に改善していくことも欠かせません。

案件創出のKPIとしては、次のような指標が一般的です。

  • 商談機会数(アポ数)

  • 商談成約率

  • 新規顧客数

  • 一人当たりの案件創出数・受注額

  • リードの反応率・コンバージョン率

これらのKPIを部門全体と個人それぞれで設定し、定期的に達成状況を確認します。

例えば、

「リードの反応率が低い」→「ターゲットの設定が適切でない可能性がある」

「商談機会数は増えているが成約率が低い」→「営業のスキル不足が考えられる」

など、KPIの変動を詳しく分析することで、課題を発見し、打ち手を考えます。

PDCAを回す際は、仮説を立てて施策を実行し、その結果を検証するという流れを意識しましょう。

例えば、

「製造業のニーズを汲んだコンテンツを強化すれば、リード獲得数が増えるはず」という仮説を立て、実際にコンテンツを制作・公開。

一定期間経過後、製造業のリード数の増減を検証し、仮説の正しさを確かめる。正しければ、さらに展開を強化。正しくなければ、別の仮説を立てて次の施策を考える。

こうした地道な積み重ねによって、案件創出力は着実に高まっていきます。

セールスコンテンツの最適化

案件創出において、セールスコンテンツの果たす役割は非常に大きいと言えます。潜在顧客の関心を引き、自社の課題解決力を訴求するためには、提案資料やホワイトペーパーなどのコンテンツを最適化する必要があります。

セールスコンテンツに求められる要件としては、以下が挙げられます。

  • 顧客視点に立っていること

「自社の製品・サービスの機能説明」に終始するのではなく、顧客の課題は何か、その課題解決にどう役立つのかを起点にストーリーを組み立てる。

  • 明快かつ論理的な構成であること

結論から先に示すなど、わかりやすい情報設計を心掛ける。データや事例を効果的に盛り込み、説得力を高める。

  • ビジュアル的に洗練されていること

図やグラフ、イラストを活用し、理解しやすいレイアウトにする。あまり情報を詰め込みすぎない。

  • 読み手のアクションを喚起すること

次のアクションを具体的に提示する。問い合わせ先やURLを明記するなど、読み手を次のステップに誘導する。

これらを踏まえ、コンテンツの設計・制作を行います。その際、営業部門とマーケ部門が連携し、互いの知見を持ち寄ることが効果的です。

営業担当は日々顧客と接する中で、生の反応や嗜好、よくある質問などを肌感覚として持っています。

「この提案資料では、コスト削減効果の説明が不十分で、顧客の反応が今一つだった」

「お客様から、他社との違いがわかりにくいとご指摘をいただいた」

など、営業の現場感覚は、コンテンツ最適化に欠かせないインプットとなります。

一方、マーケ部門は顧客のオンライン上での行動データなどを持っており、コンテンツの効果測定に役立ちます。

「この業種のお客様は、ホワイトペーパーAよりBの方がダウンロード数が多い」

「この記事は、平均読了率が95%と高いので、提案資料にも同様の構成を採用してみては」

といった気づきは、コンテンツ改善に直結するでしょう。

こうした営業・マーケ両部門の知見を組み合わせ、PDCAを回しながらブラッシュアップを重ねることが、説得力あるコンテンツ制作につながります。

セールスとマーケの立場を超えたカスタマー目線

案件創出の成功には、自社の取り組みを「カスタマー目線」で見直すことも重要なポイントとなります。

営業担当は、ともすれば目の前の売上目標達成に意識が向きがちです。マーケ担当も、リード数の確保に注力するあまり、顧客の実情から乖離したキャンペーンを企画しかねません。

しかし、本来は営業もマーケも、自社の事情ではなく「いかに顧客の役に立つか」を起点に発想すべきはず。組織の壁を越えて、皆が顧客本位の考え方を共有することが大切だと言えます。

具体的には、

  • 常に顧客の立場で考える

顧客は今、何を求めているのか。自社の提案は、顧客のゴールの達成に寄与できているか。自問自答を繰り返す。

  • 顧客接点で得た学びを部門間で共有する

営業が現場で得た手応えや課題認識を、マーケにインプットする。逆にマーケが獲得したリードの特性などは、営業に伝える。

  • 組織の枠を越えて議論する場を設ける

営業とマーケの合同ミーティングを定例化する。カスタマージャーニーの設計などは、両者が一緒に行う。

など、日頃から「One Team」としての意識を醸成することが有用です。

これにより、提供サービスや訴求方法の検討・改善が進み、顧客課題との整合性も高まるはずです。自然と、案件獲得という成果にもつながっていくことでしょう。

案件創出の成功事例

事例1:A社のABMによる案件創出

A社は、大手製造業向けにIoTソリューションを提供するベンダーです。大企業の基幹システムに組み込まれるケースが多いため、営業サイクルが非常に長く、新規案件の創出に苦戦していました。

そこで同社はABM(Account Based Marketing)の手法を導入しました。まずは、ターゲットとなる大手製造業を100社ピックアップし、それぞれの課題状況などを詳細にリサーチ。個社ごとのペルソナを設定した上で、パーソナライズしたメッセージを発信していきました。メールやオンラインイベントに加え、経営層向けのラウンドテーブルなども企画。約1年間をかけて丁寧にリレーションを構築した結果、最終的に5社から引き合いを獲得。うち2社とは3年契約を締結するに至りました。

事例2:B社のリードナーチャリングの高度化

クラウドストレージサービスを手掛けるB社は、MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入したものの、リードの育成がうまくいかず、機能を十分に活用できていませんでした。

そこで、改めてペルソナ設定やリードナーチャリングのシナリオ設計から見直し、MAツールと連携した中長期的なナーチャリングプランを策定し、関心度に合わせた最適なコンテンツ配信を実現しました。具体的には、まずは興味関心を喚起するための業界動向や活用事例などの汎用的なコンテンツを配信。開封やクリックなどの反応を見ながら、徐々に自社サービスを絡めたコンテンツに切り替え、最終的には営業担当からの直接アプローチにつなげる、といった具合です。

同時に、スコアリングモデルの見直しも実施。各コンテンツの閲覧完了率などを分析し、スコア設計に反映させることで、リード判定の精度を大幅に向上させました。

こうした取り組みにより、最終的に商談化率が従来の2倍以上に高まり、B社のマーケ・営業部門から高い評価を得ることができました。

事例3:C社のMA活用による案件創出の効率化

C社は、金融機関向けに統合経費管理システムを販売するメーカーですが、属人的な営業活動に依存しており、組織的な案件創出が行えていないことに課題を感じていました。

そこで、同社はMA・SFAツールの導入支援を行うとともに、案件創出プロセスを再設計。従来バラバラに行われていたリードジェネレーション活動を見直し、イベントとオンラインコンテンツの連動、営業へのリード引き渡しルールの策定など、一気通貫のプロセスを構築しました。ツール上に顧客データを一元管理することで、マーケ・営業・カスタマーサクセスの部門間連携も強化。お客様との長期的なリレーション構築を支えるチームセールスの基盤が整いました。

ツール活用と業務プロセスの標準化により、案件創出業務を属人的なスキルに頼ることなく、誰でも一定の成果を出せる状況を実現。新人営業の立ち上がりを早められたほか、ベテラン営業の知見やノウハウの共有も進みました。

成果としては、案件創出数が50%増、商談化率も25%増を記録。営業部門からは「ツールのおかげでムダな作業から解放された」との声が上がるなど、業務効率の改善にもつながりました。

案件創出における課題と解決策

リードの質の低下と対策

案件創出における課題の一つが、獲得したリードの質の低下です。MAツールなどを導入し、リードジェネレーション活動を強化することで、問い合わせ数自体は増えたものの、営業に引き渡した案件のうち、実際に商談につながる割合が芳しくないという事態も見られます。

こうした事態を招く背景としては、

  • ペルソナ設定が曖昧で、ターゲットを絞り込めていない

  • コンテンツの内容が顧客の関心事と乖離している

  • スコアリングモデルに改善の余地がある

などが考えられます。

対策としては、まずはペルソナ像を振り返ってみましょう。自社にとって 本当に 理想的な顧客像は何か。より具体的なイメージを持つことが重要です。自社の強みを再定義し、競合との差別化ポイントを整理した上で、ペルソナ像に反映させます。

コンテンツについても、ペルソナのニーズに合致しているかどうかを検証。タイトルや記事の内容が、ペルソナの関心事とズレていないか。読み手に「この会社は私の課題をわかってくれている」と感じてもらえるような情報設計を心掛けましょう。

獲得したリードのスコアリングルールも見直します。これまでの商談結果などを分析し、どのような属性・行動特性を持ったリードが優良顧客となる傾向が高いかを洗い出します。これを基にスコアリングモデルを再構築することで、見込み度の高いリードを的確に判別できるようになるはずです。

こうしたPDCAを地道に回していくことが、リードの質を高め、案件創出の効率アップにつながります。

セールス・マーケ間のコミュニケーション不足と改善法

営業部門とマーケ部門の連携不足も、案件創出がうまくいかない要因の一つと言えるでしょう。

  • 営業がマーケの施策内容を十分に理解していない

  • マーケが営業の現場感覚を把握できていない

  • 両部門の間で顧客情報がスムーズに行き来していない

など、コミュニケーション不足が様々な非効率を生んでいます。

この課題への対処法としては、組織的な取り組みと、日常的なコミュニケーションの活性化の両面からアプローチすることが有効です。

組織的な取り組みとしては、

  • 合同ミーティングの定例化

営業とマーケの情報共有を目的とした会議体を設け、定期開催する。互いの取り組み状況を報告し合うとともに、認識のズレがあれば早期に解消する。

  • プロジェクトベースでのタスクフォース編成

個別案件やキャンペーンごとに、営業とマーケのメンバーで混成チームを作る。共通のゴールに向かって一丸となって取り組むことで、自然とコミュニケーションも活発になる。

  • ジョブローテーションの実施

一定期間、営業担当をマーケ部門に異動させたり、その逆を行う。それぞれの職務を実際に体験することで、相手の立場への理解が深まる。

一方、日常レベルのコミュニケーション活性化には、

  • 単純な雑談の推奨

オフィスでばったり会ったときなどに、ちょっとした世間話をする。個人的な交流を深めることが信頼関係の第一歩。

  • チャットツールの活用

Slackなどのビジネスチャットツールで、部門横断のコミュニティを作る。気軽に質問や情報交換ができる場を設ける。

  • 営業同行の実施

マーケメンバーが営業担当の客先訪問に同行し、実際の商談の様子を見る。顧客の生の声を聞くことで、マーケ施策のブラッシュアップにつなげられる。

など、些細な取り組みの積み重ねが功を奏します。

経営層がこうした活動を率先して行い、社内の意識改革を促すことも重要です。営業・マーケ間の壁を取り払い、全社一丸で案件創出に取り組む文化を醸成することが、今日のマーケットでは欠かせません。

属人的な案件創出からの脱却

ベテラン営業担当の経験と勘に頼った属人的な案件創出は、今や限界を迎えつつあります。個人の力量に依存したやり方から脱却し、組織的・システム的な案件創出へとシフトすることが急務と言えるでしょう。

この課題への処方箋としては、

  • 営業プロセスの可視化と標準化

案件創出の一連の流れを明文化し、誰もが同じプロセスを踏めるようにする。商談の進捗管理などにCRMツールを活用するのも効果的。

  • ナレッジの共有と継承

ベテラン営業の知見を社内で共有する仕組みを整備する。勝ちパターンを言語化したり、ロールプレイングで後輩を指導する。

  • データドリブンな意思決定

顧客データの分析を基に、リードの優先順位付けなどを行う。営業担当の経験や感覚に頼るのではなく、データに基づいた判断を下す。

といった取り組みが考えられます。

こうした組織的な案件創出の仕組みづくりには、トップダウンのコミットメントが不可欠です。現場の慣習を変えるのは容易ではありません。経営層が本気で変革を推進する姿勢を見せることで、社内の意識改革が進むはずです。

属人的な営業スタイルからの脱却は、一朝一夕には成し遂げられません。しかし、着実に手を打つことで、必ず道は拓けるはず。イノーバでは、お客様の組織変革を伴走型でご支援いたします。ぜひお気軽にご相談ください。

FAQ

Q. 案件創出と営業の違いは?

A. 案件創出は、潜在顧客の発掘から受注までの全プロセスを指す。一方、営業は案件創出プロセスの一部で、主に商談や受注を担当する。

Q. 案件創出担当者に必要なスキルは?

A. コミュニケーション力、提案力、交渉力に加え、顧客の業界知識、自社の製品知識、データ分析力などが求められる。

Q. 案件創出の予算はどのくらい必要?

A. 規模や業種によって異なるが、人件費、MA・SFAツール費用、コンテンツ制作費用などを考慮する必要がある。

Q. 案件創出のPDCAサイクルを回すコツは?

A. 仮説を立てて施策を実行し、結果を検証して次の打ち手を考える。KPIを適切に設定し、定期的にモニタリングすることが大切。

Q. 案件創出でのAIやオートメーションの活用法は?

A. リードのスコアリングや、メールの自動配信、チャットボットでの問い合わせ対応など、業務の効率化に活用できる。ただし、AIですべてを代替できるわけではなく、人の力も重要。

Q. インサイドセールスとフィールドセールスの使い分けは?

A. リードの獲得や見込み客の絞り込みはインサイドセールスが、Face to Faceでの提案・交渉はフィールドセールスが担当するのが一般的。ただし、完全に分業するのではなく、緊密に連携することが大切。

Q. 案件創出での営業・マーケ連携の進め方は?

A. 情報共有を密にし、互いの役割を理解し合うこと。営業がマーケ施策に関与したり、マーケが営業同行することで、両者の理解が深まる。

Q. 案件創出とカスタマーサクセスの関係は?

A. 案件創出はあくまで入り口。その後、顧客がサービスを継続的に活用し、満足度を高め、ロイヤルカスタマー化することを、カスタマーサクセスがサポートする。両者の連携が欠かせない。

Q. デジタルマーケティングと案件創出の違いは?

A. デジタルマーケティングは案件創出の手法の一つで、オンライン上の施策を通じて見込み客を獲得する。ただし、案件創出はオフラインの活動も含む、もっと広い概念。

Q. リードジェネレーションとは何か?

A. 見込み客(リード)の獲得活動のこと。Webサイトでの情報発信や展示会への出展など、潜在顧客との接点を持つ取り組み全般を指す。

Q. リードナーチャリングのポイントは?

A. 見込み客の関心や課題に合わせてコンテンツを提供し、徐々に自社サービスへの興味を喚起していくこと。MAツールなどを活用し、適切なタイミングで最適な情報を届ける。

Q. ABMとは何か?

A. アカウント・ベースド・マーケティングの略。企業単位でターゲットを絞り込み、個別のアカウントに最適化したアプローチを行う手法。大企業など、大口顧客の獲得に有効。

Q. 製造業での案件創出の特徴は?

A. 製品サイクルが長く、技術的な提案力が求められる。展示会での製品アピールや、実証実験を通じた信頼構築が重要。長期的視点でのリレーション構築が欠かせない。

Q. IT業界での案件創出の留意点は?

A. 技術トレンドの変化が速いため、常に最新動向を追っておく必要がある。セミナーやWebサイトでの情報発信を通じて、自社の技術力をアピールすることが重要。

Q. 案件創出における営業イベントの位置づけは?

A. 展示会やセミナーは、潜在顧客との接点を持つ重要な機会。ただし、イベント自体が目的化しないよう、その後のフォローを適切に行うことが大切。

Q. コンテンツマーケティングと案件創出の関係は?

A. コンテンツマーケティングは、見込み客の興味を引くコンテンツを提供し、自社サービスへの関心を高める手法。リードジェネレーションやナーチャリングに効果的。

Q. インバウンドとアウトバウンドの使い分けは?

A. インバウンドは見込み客からの自発的な問い合わせを促す手法で、アウトバウンドは営業側からの能動的なアプローチ。両者をバランス良く組み合わせることが理想的。

Q. 案件創出におけるオンラインとオフラインの使い分けは?

A. オンラインは情報発信や見込み客の絞り込みに適しており、オフラインは Face to Face での信頼構築に効果的。案件の特性に合わせて、使い分けることが重要。

Q. 無形商材とITサービスの案件創出の違いは?

A. 無形商材は、サービスの有用性を具体的に示すことが難しい。利用シーンを想起させるストーリー設計や、事例の活用などが有効。 ITサービスは、技術的な側面の訴求が重要で、専門的なコンテンツ作りが欠かせない。

Q. BtoBとBtoCの案件創出の違いは?

A. BtoBは意思決定者が複数いるケースが多く、企業の購買プロセスに沿ったアプローチが必要。一方、BtoCは個人の感情や印象に訴求することが重要。ターゲット像に合わせた打ち手が求められる。

Q. 海外での案件創出で留意すべき点は?

A. 言語や商習慣の違いを踏まえたローカライズが重要。現地パートナーとの連携やネイティブスタッフの活用など、 カルチャーギャップを埋める工夫が欠かせない。市場調査を入念に行うことも大切。

このFAQでは、案件創出に関する基本的な疑問から、業界別・商材別の留意点、海外展開時のアドバイスまで、幅広くカバーしました。読者の皆様の疑問解消の一助となれば幸いです。

その他のご質問については、イノーバまでお気軽にお問い合わせください。豊富な支援実績を基に、貴社の案件創出力強化を力強くサポートいたします。

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イノーバマーケティングチーム

株式会社イノーバの「イノーバマーケティングチーム」は、多様なバックグラウンドを持つメンバーにより編成されています。マーケティングの最前線で蓄積された知識と経験を生かし、読者に価値ある洞察と具体的な戦略を提供します。