先日のブログ記事「日本を変えるために絶対必要な3つの事」(※公開終了)の中で、僕の3つめのゴールとして、「日本を変える人材を育てる」事を掲げました。これは明治維新の時の松下村塾、適塾のように、同じビジョン、想いを共有する仲間のための学び舎(まなびや)を作りたいと思っているのです。
今回は、僕がこの「人材を育てる」というビジョンのもと開催している読書会を紹介します。もともとは、Zen Readingと称して開催していた洋書の読書会を行っていたのですが、最近、「イノベーションを起こす人達の会」と改名しています。
会の目的としては、以下の3つ。
- ビジョンを掲げ、それを実行するための方法論を身につける。
- 参加者の英語力を向上させ、グローバルに活躍できる人材を輩出する。
- 共に日本を変えていく想いを共有する仲間を作る。
洋書を読みはしますが、英語力は問いません。それよりは、ビジョン、想いが大事です。
会としては、月に2回(第2、第4水曜日)に集まって、課題図書を題材にディスカッションを行います。持ち回り式の発表形式になっています。
参加者は、僕が個人的に声をかけているのですが、ファンドマネージャー、弁護士、会計士、起業家、外資系人事部、日系メーカーの海外営業、外資系メーカーのエンジニア、ビジネススクールの学生、大学生などと非常に多岐にわたっていて、年齢も21歳~40歳位までと幅広く、いつも活発な議論が展開されます。
今までには、名著イノベーションのジレンマで有名なリチャード・クリステンセンが共著しているInnovators DNAを読みました。現在は、イスラエルをテーマにしたStartup Nationという本を読んでいます。
昨日も、まさにStartup Nationをテーマに読書会をやりました。昨日のテーマは、なぜイスラエルが、シスコやIntel、Google、マイクロソフトなどの世界的なテクノロジー企業のR&Dセンターとして機能しているのかです。実は、案外知られていないのですが、イスラエルは、グローバル企業の研究開発センターとしての役割を担っているのです。
そして、驚くべきストーリーとしては、イスラエルは、第二次大戦後ゼロから国作りを行った訳ですが、その中で、ある伝説のエンジニアが大活躍するというストーリーでした。
ある人は、アメリカからこっそりと航空機の技術を盗み取り、自国の航空機産業をわずか数年で立ち上げました。(敵国に囲まれるイスラエルにとって、自国の航空機産業を持つ意味は非常に大きいのです)また、あるエンジニアは、アメリカのベンチャー企業で大出世し、技術担当重役になった上で、イスラエルに研究開発センターを誘致しました。
このように、世界のR&Dセンターとしてのイスラエルを作り上げてきたのは、使命感を持ち、幾多の困難の中で国を作り上げてきた人材である事が非常に印象的でした。
そして、ディスカッションの中でも、「日本とイスラエルは案外共通点が多く、イノベーションを生み出すのが得意なのではないか?」とか、「日本はこれからイノベーションを生み出していく時代に突入しているのではないか?」という非常に面白い意見が出されました。
キーワードとしては、「日本企業のアンチエイジング」、「もしも、ソニーの盛田さんが生きてたら」、「オープン・イノベーション」などが飛び出してきて、非常に刺激される2時間でした。
日本企業に勤務する多くの人にとって、「イノベーションを生み出す」「日本を再生する」などのテーマに関して、なかなか議論する場はないのではないかと思っています。気がつくと日々の仕事に忙殺されていて、僕たちが本当にやりたい事、やるべき事を見失いがちなのだと思います。
そして、メディアに登場する批評家が、日本の将来に対する悲観論をばらまきます。人間は危機を感じると内向きになり、なかなかクリエイティブなアイディアは出てきません。日本が変わらない理由の一つは過度な悲観論にあると思っています。
確かに、日本は大変な状況にあるけれど、僕は悲観をしていません。歴史を振り返れば、戦国時代、明治維新などと、優秀な人材を多数輩出し、大きな社会変革たびたび成し遂げている国です。しかも、社会変革を他国に強制されるのではなく、危機に際して、みずから自発的に行うというのが日本人の強みなのです。
昨日のディスカッションでも、不思議と日本の未来を悲観する議論は出ませんでした。むしろ、メディアや経済界の人達の過剰な悲観論に対する疑問が多く出ていました。こういう人達の力を結集すれば、日本の未来は変えられるなと実感した2時間でした。