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イノーバマーケティングチーム2024/03/28 13:19:493 min read

【2024年最新】CRM市場の最新動向と業界予測 - DXとAIがもたらす変革

はじめに

 

CRMとは何か - 基本概念と機能の再確認

 

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客関係管理を意味するビジネス用語であり、企業が顧客との関係を管理・改善するためのプロセスやシステムを指します。その目的は、顧客満足度の向上、営業やマーケティングの効率化、売上拡大など、顧客を起点とした経営の実現にあります。

 

基本的なCRMの機能としては、以下のようなものが挙げられます。

- 顧客情報の一元管理(連絡先、取引履歴、コミュニケーション記録など)

- 営業支援(リード管理、商談管理、売上予測など)

- マーケティングオートメーション(キャンペーン管理、メールマーケなど)

- カスタマーサポート(問い合わせ対応、ナレッジ管理など)

- 顧客分析(セグメンテーション、行動分析、NPS調査など)

 

これらの機能を通じて、様々な顧客接点から得られるデータを統合し、ビジネスの意思決定に活用することが、CRMの本質といえるでしょう。

 

デジタル時代のCRMの重要性と本記事の目的

 

近年、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進む中で、CRMはますます重要な役割を担うようになっています。デジタル技術の発展により、顧客との接点は多様化し、データの量も爆発的に増加。それらを適切に管理・分析し、パーソナライズされた顧客体験を提供することが、競争優位性を左右する時代となりました。

 

特にコロナ禍をきっかけとした非対面・非接触のビジネス様式への移行は、この流れに拍車をかけています。オンラインでの顧客対応やリモート営業が当たり前となる中で、デジタルとアナログの融合、つまりオンラインとオフラインの垣根を越えたシームレスなCX(顧客体験)の実現が急務となっているのです。

 

本記事では、CRMを取り巻くこうした環境変化を踏まえ、市場の最新動向を詳しく解説します。単なる数字の羅列ではなく、トレンドの背景にある本質的な意味合いにも言及しながら、これからのCRMの在り方を展望していきます。CRM導入を検討している企業はもちろん、すでに導入済みの企業にとっても、今後の運用改善やシステム選定の参考になれば幸いです。

CRM市場の現状と規模 - 拡大を続ける市場

 

世界のCRM市場規模と成長率 - 2023年で656億ドル (9.8兆円超)

 

世界のCRM市場は、堅調な成長を続けています。米調査会社のGrand View Researchによると、2023年の世界のCRM市場規模は656億ドルに達し、今後も2024年から2030年にかけての年平均成長率(CAGR)は13.9%と高い伸びを示すと予測されています(出典:Grand View Research "Customer Relationship Management Market Size, Share & Trends Analysis Report")。企業のDXを支える不可欠のシステムとして、引き続き需要は拡大基調で推移するとみられます。

 

地域別に見ると、現時点では北米が最大の市場を形成しており、全体の約4割を占めています。次いで欧州、アジア太平洋と続きます。ただ、成長スピードで見ると、アジア太平洋地域、特に中国やインドの伸びが著しく、今後のシェア拡大が期待されるところです。新興国でのスマートフォン普及やeコマース市場の拡大を受け、CRMに対する需要は今後ますます高まると考えられます。

 

日本のCRM市場規模と成長率 - クラウドシフトが牽引

 

一方、日本国内のCRM市場については、IDC Japanのデータを見てみましょう。それによると、2022年度の国内CRM市場は2,174億円規模に達し、前年度比17.0%増と高い成長を記録しました(出典:IDC Japan「国内CX/CRMアプリケーション市場予測、2023年~2027年」)。今後も二桁の高成長が続くと予想されています。

 

この成長をけん引しているのが、クラウド型CRMの普及です。

 

クラウド型CRMの普及 - コスト面と柔軟性で導入加速

 

クラウド型CRMとは、CRM機能をクラウドサービスとして提供するもので、自社でサーバーやシステムを構築・運用する必要がありません。初期投資を抑えられるため、導入のハードルが下がることに加え、アップデートも随時行われ、スケーラビリティも高いことから、利用企業が増加しているのです。

 

デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社の調査では、2022年度にクラウド型CRMの市場規模は、オンプレミス型を逆転しました(「マーテック市場の現状と展望 2023年度版 クラウド型CRM市場編」)。DXやリモートワーク推進の流れともマッチし、大企業からスモールビジネスまで幅広い企業で支持されるようになりました。

 

代表的なクラウド型CRMとしては、SalesforceMicrosoft DynamicsOracle CX Cloudなどが挙げられます。いずれも世界的なシェアを誇るメガベンダーで、機能の豊富さと使いやすさから高い人気を博しています。

 

CRM市場のシェア動向 - 寡占化と新興勢力の台頭

 

大手ベンダーのシェア - SalesforceMicrosoftOracleが牽引

 

世界のCRM市場を牽引するのは、言うまでもなく大手ベンダーです。米国の調査会社IDCによれば、2023年時点で、トップ5ベンダーでCRM市場全体の約40%を占めています(出典:IDC "Worldwide Semiannual Software Tracker, November 2023")。

 

首位はSalesforceで、同年の市場シェアは22.1%。Salesforceは、世界で初めてクラウド型CRMを提供したパイオニア的な存在で、現在も高い競争力を誇ります。営業支援だけでなく、マーケティングやカスタマーサービス、コマース機能も包括的に提供し、ワンストップでの顧客管理を可能にしています。

 

2位はMicrosoft5.7%、3位はOracle4.7%、4位はSAP3.8%と続きます。いずれもエンタープライズ市場に強みを持つメガベンダーですが、近年はクラウド事業へのシフトを鮮明にし、CRM領域にも注力しています。中でもMicrosoft Dynamicsは、Office 365などとの連携で利便性の高さに定評があり、存在感を高めつつあります。

 

新興ベンダーの躍進 - ZendeskHubSpotFreshworksなどが急成長

 

一方で、こうした大手勢に加えて、新興ベンダーの躍進も目立ちます。中でも、ZendeskHubSpotFreshworksなどは、近年、導入企業数を急速に伸ばしています。

 

Zendeskは、カスタマーサポートに特化したクラウドサービスを提供する企業で、チャットやSNSなどのマルチチャネル対応が特徴。問い合わせ対応の自動化やナレッジ管理機能が充実しており、中堅・中小企業を中心に人気を集めています。

 

HubSpotは、インバウンドマーケティングの考え方に基づいたマーケティングオートメーション機能が売りで、ブログやソーシャルメディア、ランディングページなどの運用を支援。営業支援機能も備え、見込み客の育成からカスタマーサクセスまで、一気通貫での顧客管理を実現します。

 

Freshworksは、インドのベンチャー企業を母体とするCRMベンダーで、Freshsalesという営業支援特化型のツールが主力。シンプルで直感的な操作性とAIを活用した機能が特徴で、スタートアップなどを中心に支持を集めています。

 

これらの新興ベンダーの特徴は、とにかく「使いやすさ」を追求している点です。直感的なUIや必要十分な機能で、業務に合わせて柔軟にカスタマイズできるところが、導入企業の心を掴んでいるようです。今後は、AIやビッグデータ分析など先進テクノロジーを積極的に取り込み、さらなる成長を遂げることが期待されます。

 

CRM市場の成長要因と背景 - DXUX向上が原動力に

 

ここまで見てきたように、CRM市場は堅調な成長を続けています。その背景には、いくつかの要因が考えられます。ここからは、CRM導入を後押しする環境変化や企業ニーズの高まりについて、詳しく見ていきましょう。

 

デジタルシフトによる顧客接点の多様化 - オンラインとオフラインの融合

 

第一に、企業のデジタルシフトの加速が挙げられます。スマートフォンやSNSの普及に伴い、顧客との接点は飛躍的に増加。オンラインサイトやアプリ、SNSでの情報発信やコミュニケーションは、もはやマーケティングに欠かせない存在となりました。

 

さらに、コロナ禍をきっかけとしたオンラインショップの拡大や、オンライン商談・オンライン顧客サポートの浸透で、顧客との接点はますますデジタル化。オンラインとオフラインの垣根は年々曖昧になり、あらゆるチャネルで得られる顧客データを一元管理し、シームレスな顧客体験を提供することが求められるようになりました。そのためのプラットフォームとして、CRMの重要性が増しているのです。

 

カスタマーエクスペリエンス(CX)重視の高まり - 顧客生涯価値の最大化

 

こうしたデジタルシフトの進展と同時に、企業のマーケティング戦略自体も変化を遂げつつあります。従来の「商品・サービス起点」の発想から、「顧客起点」「体験起点」へとシフト。顧客の声に耳を傾け、顧客視点でビジネスを変革する、いわゆる「カスタマーエクスペリエンス(CX)」重視の機運が高まっているのです。

 

CXを差別化の源泉ととらえ、顧客との長期的な関係構築によって、顧客生涯価値(LTV)を最大化する。そのためには、単なる営業支援ツールの枠を超え、マーケティングやカスタマーサクセスとも連携した包括的な顧客管理基盤としてのCRMが不可欠となります。製品・サービス、チャネル、部門の垣根を越えて顧客データを統合し、エンゲージメントを高める施策につなげる。それがCX時代のCRMの役割だといえるでしょう。

 

コロナ禍によるテレワーク需要の拡大 - リモートワークを前提としたCRM

 

CRM市場の拡大を後押ししているもう一つの要因が、コロナ禍で急速に広がったテレワークの浸透です。

 

オンライン商談やリモート顧客サポートの常態化

 

非対面・非接触でのビジネスが求められる中、オンラインでの営業活動やカスタマーサポートが常態化しつつあります。Web会議ツールを使った商談、チャットやメールでの問い合わせ対応など、顧客とのコミュニケーションはますますデジタルチャネルにシフト。そうした中で、場所を選ばずに顧客情報にアクセスし、スムーズなコミュニケーションを可能にするクラウド型のCRMの価値が再認識されるようになりました。

 

バーチャルコールセンターやAIチャットボットの普及

 

コールセンターの分野でも、テレワークへの移行が進んでいます。自宅から顧客対応ができるバーチャルコールセンターの導入が増え、クラウド型のCTI(コンピュータ・テレフォニー・インテグレーション)やチャットツールとCRMとの連携が進んでいます。

 

また、問い合わせ対応の自動化・効率化を目的に、AIを活用したチャットボットの導入も広がりつつあります。定型的な質問への自動応答はもちろん、顧客情報に基づいたパーソナライズされた対応も可能に。24時間365日の対応を実現しつつ、オペレーターの負荷軽減にもつながるため、CRMとの連携によるチャットボット活用は今後ますます拡大すると考えられます。

 

CRM市場のトレンドと新潮流 - AIとデータ活用が変革のカギに

 

これまで見てきたように、コロナ禍によるDXの加速や、CX重視の流れを受けて、CRMの役割はますます重要になりつつあります。その中で、CRMの分野でも、AI(人工知能)やビッグデータ分析など、先進テクノロジーを活用する動きが活発化。CRMのあり方自体にも変革が求められる時代になったといえるでしょう。

 

ここからは、CRMの導入・活用を検討する上で欠かせない、最新のトレンドや新しい潮流について詳しく解説します。

 

AIによる顧客インサイトの深化と業務自動化の進展

 

CRMの世界でも、AIの活用が大きなトレンドとなっています。膨大な顧客データを分析し、より深いインサイトを導き出すことで、マーケティングや営業、カスタマーサポートの高度化を図る試みが活発化しているのです。

 

機械学習を活用した顧客セグメンテーションと行動予測

 

従来のCRMでも、年齢や性別、購買履歴などに基づく顧客セグメンテーションは行われてきました。しかし、AIを活用することで、より多様な属性の組み合わせによる細かなセグメンテーションが可能に。加えて、過去の行動履歴などから、各顧客の次の行動を高い精度で予測することも可能となります。

 

例えば、ECサイトでの購買履歴と、サイト内の閲覧行動などを組み合わせて分析することで、「どのようなタイミングでどんな商品をレコメンドすれば購入に結びつきやすいか」といった具体的な施策につなげられます。潜在的な離反リスクが高い顧客を予測し、先回りしたアプローチを取ることで、解約防止にも役立てられるでしょう。

 

AutoMLによる営業機会のスコアリングなど意思決定支援

 

AIを活用することで、営業活動の意思決定を支援することも可能となります。例えば、AutoML(自動機械学習)と呼ばれる技術を用いて、見込み客の属性や行動履歴などから、成約確度の高い営業案件を自動で抽出・スコアリングすること。スコアの高い案件に優先的にアプローチすることで、営業効率を高められます。

 

また、商談の進捗状況や商談内容から成約確度を予測し、最適なタイミングでフォローのアクションを提案するといった活用も期待できます。こうしたAIによる意思決定支援は、データに基づく営業戦略の立案を可能にし、営業パフォーマンスの向上につなげられるでしょう。

 

RPA連携による顧客対応の自動化や情報連携

 

AIと並んで、CRMとの連携が進んでいるのがRPARobotic Process Automation)です。RPAは、定型的な業務プロセスを自動化するためのソフトウェアロボットで、バックオフィス業務の効率化などに活用されてきました。

 

CRMの分野では、問い合わせ対応の自動化や、他システムとの情報連携の自動化などへのRPA活用が広がっています。例えば、メールやチャットで寄せられる定型的な問い合わせに、RPAが自動で応答したり、回答に必要な情報を社内の複数システムから自動で収集・統合したり。こうした活用により、オペレーターの業務効率を大幅に高めることが可能となります。

 

SFA部分でも、提案書の自動生成、契約書の自動作成など、営業担当の事務作業負荷を軽減する用途が広がっています。人的リソースを単純作業から解放し、より付加価値の高い業務に集中させることで、営業生産性の向上にもつながるでしょう。

 

マーケティングオートメーションとセールスオートメーションの融合

 

AIやRPAの活用に伴い、CRMの機能領域にも変化が生まれつつあります。特に、マーケティングとセールスの連携は大きなトレンドとなっています。

 

リードナーチャリングからカスタマーサクセスまでの一気通貫

 

従来、MA(マーケティングオートメーション)とSFA(セールスフォースオートメーション)は、別々のシステムとして運用されるケースが多くありました。しかし近年は、リードの獲得から見込み客の育成(ナーチャリング)、営業への引き継ぎ、商談の進捗管理、成約後のフォローアップまで、一気通貫で管理できるシステムへのニーズが高まっているのです。

 

そこで、SFA機能を強化したCRMや、MASFAの統合ソリューションが登場。デジタルマーケティングの施策とリードの育成状況、営業活動の進捗を可視化し、滞りなくバトンタッチできる仕組みづくりが進んでいます。さらには、成約後の顧客フォロー(カスタマーサクセス)も含めた一連のプロセス管理への拡張も。顧客のライフタイムバリューに着目したシームレスなアプローチにより、企業とのエンゲージメントを高めていくことが重視される時代と言えるでしょう。

 

ABMとインサイドセールスの高度化

 

BtoB市場を中心に注目を集めているのが、ABM(アカウントベースドマーケティング)です。企業単位でアカウントを設定し、買い手側の購買行動や意思決定プロセスに沿った戦略的なマーケティングを展開する手法で、米国では既に主流のマーケティング手法として定着しつつあります。

 

ABMでは、ターゲットとなる企業の関係者データを統合し、その企業の課題や関心事に合わせたパーソナライズされた施策を、部門横断的に展開していきます。そのためには、SFAで管理する顧客データとMAのリードデータを統合・連携させ、一人ひとりの意思決定者の役割やニーズを把握することが重要。CRMはその基盤として不可欠な存在といえます。

 

また、ABMの考え方を営業の現場に適用し、インサイドセールス(オンライン営業)の高度化を図る動きもあります。オンラインでのリサーチやSNSなどを通じて、見込み客の関心事や課題をきめ細かく把握。最適なタイミングで、パーソナライズされた提案を行うことで、商談化率を高めるのです。この領域でも、MAで育成されたリード情報をスムーズに営業現場につなぐCRMの重要性が増しているのです。

 

バーティカル特化型CRMとローコード開発の台頭

 

MAやSFAとの融合が進む一方で、バーティカル(業界・業種)に特化したCRMにも注目が集まっています。不動産、教育、ヘルスケアなど、業界特有の営業プロセスやデータモデルを持つ分野で、その業務フローに最適化されたCRMへのニーズが高まっているのです。

 

不動産、教育、ヘルスケアなど業界特化型の成長

 

例えば不動産業界では、物件情報の管理、顧客の要望のヒアリング、現地案内や商談、契約手続きなど、独特の営業フローがあります。また、物件の写真や間取り図、設備の情報など、一般的なCRMでは管理しないデータも数多く存在。そうした業界特有のプロセスやデータに対応し、現場の営業活動を支援するCRMが求められているのです。

 

同様に、教育機関向けでは、生徒募集から入学手続き、在校生の履修管理、就職支援に至るまでの一連の業務フローをカバーするCRMが台頭。ヘルスケア分野では、患者データの管理や、医療スタッフとのコミュニケーション履歴の管理など、医療の現場に特化した機能を持つCRMが注目を集めています。

 

こうした業界特化型のCRMを提供するのは、その分野のノウハウを持つベンチャー企業であることも少なくありません。大手ベンダーの汎用CRMでは対応が難しい、きめ細かなニーズを吸収することで、急成長を遂げているのです。

 

ノーコード/ローコードでの柔軟なカスタマイズ

 

もう一つ、汎用CRMとバーティカルCRMのいずれにおいても重要になりつつあるのが、ノーコード/ローコードでのカスタマイズ性の高さです。コードを書かずに、あるいは最小限のコーディングで、業務フローに合わせてCRMの画面や入力フィールド、ワークフローをカスタマイズできるプラットフォームが増えています。

 

営業現場のニーズは企業によって異なり、時とともに変化します。そうしたニーズの変化にスピーディーに対応するためには、専門的な開発リソースに頼らず、現場の担当者自身がCRMをカスタマイズできることが重要。ノーコード/ローコードでの開発を可能にすることで、よりビジネスに密着した使いやすいCRMの実現を支援する動きが広がっているのです。

 

今後のCRM市場の展望 - さらなる高度化と業界の再編

 

ここまで見てきたように、CRMは企業のDXを推進する上で不可欠のシステムとなりつつあります。その役割は今後ますます拡大し、ビジネスのあらゆる場面でCRMが活用されるようになると考えられます。最後に、今後のCRM市場の展望について展望してみましょう。

 

2030年に向けた市場予測 - パーソナライゼーションとオムニチャネル化の深化

 

CDPCEPなどマーテック連携の進展

 

今後のCRMの方向性を考える上で欠かせないのが、マーケティングテクノロジー(マーテック)との連携です。CRMに蓄積された顧客データを、マーテックツールを使ってリアルタイムに分析・活用する動きが加速するでしょう。

 

例えば、CDPCustomer Data Platform)と呼ばれる統合型の顧客データ基盤は、CRMとの親和性が非常に高いテクノロジーです。多様な顧客接点で収集したデータを、CDPでリアルタイムに統合・分析し、パーソナライズされたコミュニケーションに活用する。こうしたCRMCDPの連携により、One to Oneマーケティングのさらなる進化が期待されます。

 

また、CEPCustomer Engagement Platform)と呼ばれる、顧客エンゲージメントを高めるためのプラットフォームとの融合も進むと考えられます。チャットボットやSNS対応、動画コンテンツなど、顧客との接点を拡張するためのチャネルをCEPで管理し、CRMのデータを活用したよりインタラクティブなコミュニケーションが実現するでしょう。

 

メタバースやWeb3.0時代のCRMの在り方

 

さらに、将来的には、メタバースやWeb3.0の世界が本格化した際のCRMの在り方も見据えていく必要があります。バーチャル空間上でのカスタマージャーニーをどう設計し、CRMにどう統合していくのか。NFTDAO(分散型自治組織)など、Web3.0ならではの顧客コミュニティの形成にどう関わっていくのか。エンゲージメントの場としてのメタバースをどう活用し、CRMとつなげていくのか。

 

こうしたデジタル空間とフィジカルな接点をシームレスに融合し、一気通貫で顧客体験を設計・提供できるかどうかが、これからのCRMに問われるテーマとなるでしょう。バーチャルとリアルの垣根を越えた、オムニバースでのCRM活用が、次の10年の変革の鍵を握ると言っても過言ではないでしょう。

 

まとめ - DXに不可欠なCRMをいかに戦略的に活用するか

 

デジタル時代のビジネスに欠かせないCRM。本記事では、その基本的な概念から、最新のトレンドまで、広範なトピックを取り上げてきました。市場が拡大を続ける一方で、AIやビッグデータ、メタバースの登場など、CRMを取り巻く環境は大きな変革期を迎えつつあります。

 

この変化の中で、CRMをどう企業経営の武器としていくのか。データとテクノロジーを活用し、いかに顧客起点の発想でビジネスを変革していくのか。DXの中核を担うツールとして、CRMの戦略的な活用方法が改めて問われているのです。

 

CRMの導入・活用には、トップのリーダーシップと現場の創意工夫、両面からのアプローチが欠かせません。お客様との向き合い方を根本から見直し、デジタル時代ならではの顧客体験を創造する。その実践の先に、真のDXを実現する道が開けるはずです。

 

なお、CRMの導入・活用に際して、専門的なサポートを必要とされる企業様も多いのではないでしょうか。BtoBマーケティング支援のリーディングカンパニーであるイノーバでは、CRM構築支援を含む伴走型のマーケティング支援サービスをご提供しています。

 

CRMを起点としたマーケティングDXを推進したい企業様は、ぜひイノーバにご相談ください。私たちが、御社のDX実現に向けた頼れるパートナーとなることをお約束します。

 

CRM導入をご検討中の皆様のお問い合わせを、心よりお待ちしております。

 

 

 

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株式会社イノーバの「イノーバマーケティングチーム」は、多様なバックグラウンドを持つメンバーにより編成されています。マーケティングの最前線で蓄積された知識と経験を生かし、読者に価値ある洞察と具体的な戦略を提供します。