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イノーバマーケティングチーム2024/02/05 11:57:041 min read

コストリーダーシップ戦略とは?具体的な成功事例とメリット・デメリット

企業が市場での競争優位を築くために、知っておきたいのがコストリーダーシップ戦略です。コストリーダーシップ戦略は、アメリカの経済学者マイケル・ポーターが提唱した3つの基本戦略の一つで、適切に実施すれば、企業の利益向上や顧客獲得につながります。

この記事では、マイケル・ポーターの3つの基本戦略の概要、コストリーダーシップ戦略実施で企業に求められる要素とメリット・デメリット、具体的な成功事例を紹介します。

イノーバでは、BtoBマーケティングをサポートしております。「戦略策定・計画立案」から、中長期に渡ってお客様をご支援する、イノーバの伴走型マーケティング支援サービスも是非ご参照ください。

マイケル・ポーターの3つの基本戦略

コストリーダーシップ戦略

競合企業よりコストを抑えて、商品やサービスを低価格で提供し優位性を築く戦略。
ここでいう「低コスト」は安売りや低価格戦略ではなく、「低い費用」「低い原価」を意味します。コストリーダーシップ戦略は、製品の生産コストを抑えることで、安価な商品やサービスの提供を目指す戦略です。

差別化戦略

競合企業にない自社独自の特徴を強みに他社と差別化をはかり、優位性を築く戦略。
ここでいう「製品差別化」は「顧客の認知上の価値」で、自社が価値があるといくら主張しても、顧客が認知できなければ差別化はされていません。また、製品差別化は「顧客にとって価値が増加する」ことで他社との違いが差別化されることを意味します。顧客にとっての価値向上を実現せずに、単に他社・他製品との違いを強調することは、差別化になりません。

集中戦略

特定のターゲットや市場に自社の経営資源を集中投下し、競争優位性を構築する戦略。
経営資源の少ない中小企業でも、ニッチな市場に限定して集中的に経営すれば高いリターンが得られます。

しかし、どの戦略理論でも特定のターゲットや市場への集中は必要となるため、現在、集中戦略は、基本戦略の選択肢として定義する必要性はないと考えられています。そのため、マイケル・ポーターの3つの基本戦略では「コストリーダーシップ戦略」と「差別化戦略」の2つを理解しておけば問題ありません。

コストリーダーシップ戦略に必要な5つの要素

生産規模の大きさ

低コストの実現には生産規模を拡大する必要があります。生産量が増加すればするほど、一つあたりの生産コスト(平均費用)は下がり、収益率は上がります。

経験値の優位性

生産規模を拡大して作業を分担化し、従業員の専門性を高めれば、作業効率が良くなり生産性があがります。

技術の優位性

生産規模を拡大すれば、設備投資や組織改善などにコストがかかります。生産規模の拡大にコストをかけられない中小企業でも、良質なサービスや製品をつくる優れた技術力があれば低コストの実現は可能です。

シンプルな組織構造

組織構造がシンプルだと、指示系統がわかりやすくなります。本社スタッフは数人にとどめ、少ない階層での報告構造を構築するとよいでしょう。

戦略の社内共有

コストリーダーシップ戦略の実施には、社内の情報共有や連携が必要です。経営層だけでなく、会社全体でどのような取り組みを行うか、目的や指針を共有して進めるようにします。

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コストリーダーシップ戦略のメリット・デメリット

メリット

顧客に選ばれる可能性が高くなる

低コスト実現のために生産量をあげれば、多くの商品を流通させることができ、たくさんの人が目にする機会が多くなります。同じような商品やサービスを競合他社と比較した時、低価格なら顧客に選ばれる可能性が高くなります。

利益をあげられる

販売価格が同じ商品を生産コストを抑えて生産することができれば、コストをおさえた分だけ利益率があがります。また、たくさんの人が商品を購入してくれれば、それだけマーケットシェアが拡大し利益率をあげられます。
 

デメリット

低価格競争に巻き込まれる可能性がある

競合他社がさらなる低価格での、コストリーダーシップ戦略を仕掛けてくる可能性があります。応戦しようにも、既に価格は下げていて、これ以上の値下げは無理、利益も出せなくなるかも知れません。さらにそこに、原料の高騰や仕入先の変化などの外部的な要因が重なるリスクもあります。

生産規模と経験値の獲得に時間とコストがかかる

コストリーダーシップ戦略を実現するには、生産規模の拡大と従業員の経験値を高める必要があります。生産規模の拡大には莫大な費用がかかり、優秀な従業員の育成と獲得には時間がかかります。経営資源の少ない中小企業では、戦略の実現にともなう負担とリスクを理解した上で、実施を検討する必要があります。

コストリーダーシップ戦略の成功事例

日本マクドナルド

大企業とフランチャイズチェーンの強みを生かしたコストリーダーシップ戦略をとっているのがマクドナルドです。食材の調達から販売までの過程を、効率化・省力化し、低価格での販売を実現しています。

マクドナルドはコストリーダーシップ戦略に走りすぎたせいで、低価格競争にまきこまれ業績が悪化したことがありました。

この経験からコストリーダーシップ戦略のみに力をいれるのではなく、現在は低価格帯と中価格帯をバランスよくとりいれたメニュー構成を展開しています。
また、SNSを利用して様々なキャンペーンを行い、ミッションである"FUN PLACE TO GO"「マクドナルドに行けば何か楽しいことがある」と感じさせる場をつくり、価格だけではない魅力を提供しています。

ユニクロ

SPA(製造小売業)によるコストリーダーシップ戦略をとっているのがユニクロです。SPAとは、商品の企画から製造、物流、販売までを一貫して自社で行うビジネスモデルです。

SPAにより卸売などの中間業者を排除し、競合他社よりも低コストでの生産や、各店舗での販売状況に応じた生産量の調整が可能になりました。
他にも、顧客の声をダイレクトに反映したカスタマー・クリエイションによる商品開発戦略や「シンプルで着心地のいい普段着」を全面に出し、ファッション性を重視する競合他社との差別化戦略をとっています。

シンプルで着心地のいいお手頃価格の服は、老若男女を問わない幅広い層からの支持を集め、独自の地位を確立しています。

ニトリ

物流は自社保有しないことが多いSPA(製造小売業)に物流機能を追加した「製造物流小売業」という新たなビジネスモデルで、コストリーダーシップ戦略をとっているのがニトリです。ニトリは、市場シェアを獲得する前からコストリーダーシップ戦略に挑戦し、成長してきました。

ニトリの商品ブランド戦略の核となるプライベートブランドには、「DAY Value」や「& Style」があります。
「DAY Value」は、低価格で気軽に揃えられる基本グッズのプライス・ブランド。
「& Style」は価格・質・デザイン性の価値を追求し、お客様のこだわりにフォーカスしたクオリティ・ブランドです。「& Style」では、より上質でこだわりのあるコーディネートを求める顧客層に、4つのスタイルを提案しています。

ニトリは、コーディネートを意識せずに作られる傾向があるメーカー製品に対して、トータルコーディネートを意識した商品群の企画製造を一貫して自社で行い、競合他社と差別化。コストリーダーシップ戦略を保ちながら、こだわりのあるトータルコーディーネートを提案し、さらなる顧客の囲いこみをはかっています。

まとめ

コストリーダーシップ戦略は、幅広い業界で取り入れられている戦略ですが、それだけに走りすぎると価格競争に巻き込まれる恐れもあります。コストリーダーシップ戦略の実施には企業に求められるいくつかの要素があり、戦略の選定では、自社が活用できる経営資源や業界内での立ち位置を考慮することが大切です。

コストリーダーシップ戦略の意味とメリット・デメリットをよく理解した上で、自社の経営資源を生かして市場での競合優位性を築ける戦略とは何かを考えていきましょう。

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