マーケティング担当者なら誰もが感じているのではないでしょうか。コンテンツマーケティングと広告、2つの施策をどのように使い分け、組み合わせればいいのか。デジタルチャネルが多様化し、顧客との接点が増える中、効果的なマーケティングミックスを実現することが喫緊の課題となっています。
本記事では、コンテンツマーケティングと広告の基本的な違いを整理した上で、それぞれの特性を生かした戦略的な活用方法を具体的に解説します。これからのマーケティングに求められる統合的アプローチのあり方を、ぜひ参考にしてください。
コンテンツマーケティングと広告の基本的な違い
コンテンツマーケティングと広告は、一見すると似たような施策に見えるかもしれません。しかしその目的や特徴は大きく異なります。まずはそれぞれの定義を確認しておきましょう。
コンテンツマーケティングの目的と特徴
コンテンツマーケティングとは、SEOに最適化されたブログ記事や、ソーシャルメディア上で拡散されやすい動画コンテンツなど、情報価値の高いコンテンツを制作・配信することで、潜在顧客との長期的な関係性を構築する手法を指します。
具体的には、以下のような目的と特徴があります。
- 自社の専門性や独自の視点を訴求し、ブランド認知や信頼を高める
- 潜在顧客の悩みや課題を解決する有益な情報を提供し、好感度を上げる
- SEOによって検索上位表示を狙い、オーガニックトラフィックを増やす
- ソーシャルメディア上でのシェアやいいねを獲得し、口コミ拡散を促進する
- 最終的な購買行動よりも、ブランドエンゲージメントの向上を重視する
要するにコンテンツマーケティングは、受け手のためになる情報を発信し続けることで、中長期的にファンを増やし、ビジネス成果へとつなげていく戦略だと言えるでしょう。
広告の目的と特徴
対して広告は、より即効性のあるアプローチです。検索連動型広告やディスプレイ広告、SNS広告など、様々な広告手法がありますが、そのいずれもが短期的な認知獲得や販促を目的としています。
広告の特徴は以下の通りです。
- ターゲットユーザーに対して、ダイレクトにセールスメッセージを訴求する
- 手軽に大量のリーチを獲得でき、認知率の向上に有効である
- 興味関心の高いユーザーを絞り込んでアプローチできるため、コンバージョン率が高い
- 運用型広告の場合、予算とクリック単価によってコストコントロールが可能である
- 広告表現の工夫次第で、ブランドイメージを大きく変えることができる
つまり広告は、ターゲットユーザーに購買を直接促すことを目的とした、売上に直結するマーケティング施策であると言えます。
このように、コンテンツマーケティングと広告では、目指すゴールが異なります。前者は良質なコンテンツで顧客との関係性を深耕し、後者は広告で短期的なアクションを喚起する。両者の特性を理解した上で、マーケティング戦略を練る必要があるのです。
コンテンツマーケティングと広告の戦略的な使い分け
それでは、コンテンツマーケティングと広告を、どのように使い分ければよいのでしょうか。ここでは2つの視点から、戦略的な活用方法を解説します。
顧客ジャーニーに合わせた施策の選択
1つ目は、顧客ジャーニーに合わせて、適切な施策を選択するという方法です。
顧客ジャーニーとは、潜在顧客が商品やサービスを認知してから、購入を検討し、実際の購買に至るまでの一連のプロセスを指します。各段階に適した施策を展開することが、マーケティング成果を高めるカギとなります。
具体的には、以下のように使い分けるのが効果的でしょう。
- 認知段階では、広告を中心に展開し、まずはブランドの露出を高める
- 興味関心段階では、コンテンツマーケティングで課題解決に役立つ情報を提供する
- 検討段階では、広告とコンテンツマーケティングを併用し、商品の魅力を訴求する
- 購入・リピート段階では、コンテンツマーケティングでカスタマーサクセスを支援する
つまり、初期の認知獲得には広告を使い、徐々にコンテンツマーケティングへと比重を移していく。購入後のフォローまで、一気通貫でユーザーに向き合うことが肝要だと言えます。
ターゲット層や商材特性に応じた使い分け
2つ目は、ターゲット層や商材の特性に応じて、最適なチャネルや手法を選ぶという方法です。
例えばBtoBとBtoCでは、アプローチの仕方が大きく異なります。BtoB向けには業界動向や専門的なHow-to情報など、権威性の高いコンテンツが求められます。一方BtoCでは、エンタメ性の高い広告表現が功を奏するケースが少なくありません。
また商材のタイプによっても、適切な施策は変わってきます。高関与商材は購買検討に時間がかかるため、コンテンツマーケティングを軸に据えるのが得策です。対して低関与商材は、広告での価格訴求などが効果的だと考えられます。
このように、対象とする業界や顧客層、商材の特性をしっかりと見極めた上で、コンテンツマーケティングと広告の比重を最適化していくことが重要なのです。
コンテンツマーケティングと広告の相乗効果を生む施策例
次に、コンテンツマーケティングと広告を組み合わせることで、相乗効果を生み出す施策をご紹介します。両者を単体で終わらせるのではなく、連携させることがポイントです。
オウンドメディアとディスプレイ広告の連携
1つ目は、自社メディア(オウンドメディア)とディスプレイ広告の連携です。
オウンドメディアは、検索上位表示によるオーガニック集客や、ブランド価値の向上に大きく寄与します。一方、記事広告やバナー広告などのディスプレイ広告は、サイトへのダイレクトな誘導を得意とします。
そこで、以下のように両者を組み合わせるのです。
- オウンドメディアで質の高いコンテンツを継続的に公開し、SEO効果を高める
- コンテンツ内にバナー広告やアフィリエイトリンクを設置し、収益化を図る
- オウンドメディア経由の来訪者をリタゲ広告でフォローし、成約率を高める
- オウンドメディアの人気コンテンツを広告で積極的に露出し、集客力を高める
メディア運営と広告出稿、2つの視点を持つことで、SEOとPPCの両面でアプローチすることができるのです。
SNS施策とソーシャル広告の併用
2つ目は、ソーシャルメディアマーケティングにおける、オーガニック施策と広告施策の併用です。
TwitterやFacebook、Instagramといった主要SNSには、多くの活用法があります。自社アカウントによる情報発信はもちろん、業界インフルエンサーとのタイアップ、ユーザー参加型のキャンペーンなど、オーガニックでのマーケティング活動は非常に幅広いものです。
そこにソーシャル広告を絡めることで、さらに大きな効果を期待できます。
- オーガニックの投稿でエンゲージメントの高い投稿を、ブーストして拡散する
- 高いオーガニックリーチを持つインフルエンサーとスポンサード投稿でコラボする
- リードジェネレーション広告で見込み客を獲得し、オーガニックで関係性を深める
- オーガニック投稿のA/Bテストを行い、より効果の高いクリエイティブを広告に活用する
ソーシャルメディアは、ユーザーとの接点を増やす格好のチャンスです。オーガニックと広告の相乗効果を意識しながら、長期的な関係構築を目指しましょう。
コンテンツマーケティングと広告の効果測定と改善
最後に、コンテンツマーケティングと広告の効果測定について説明します。データに基づくPDCAサイクルを回すことは、マーケティング活動に不可欠のプロセスです。
各施策に適した効果指標の設定
効果測定の前提となるのが、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定です。
コンテンツマーケティングの場合、以下のような指標を押さえておくと良いでしょう。
- オーガニックトラフィック数(SEO経由の流入数)
- 滞在時間、読了率、PV数などのエンゲージメント指標
- ソーシャルシェア数、コメント数などのSNS指標
- メールマガジン登録数、資料請求数などのリードジェネレーション指標
一方広告は、より直接的な成果指標が重要になります。
- インプレッション数(広告の表示回数)
- クリック数、クリック率(CTR)
- コンバージョン数、コンバージョン率(CVR)
- 費用対効果(ROI)、顧客獲得単価(CPA)
広告はコストを投じる以上、投資対効果を厳しく問う必要があります。適切な出稿設計と、精緻な効果検証を心がけましょう。
データ分析に基づく継続的な施策改善
KPIを定めたら、あとはPDCAサイクルを回すだけです。
- Plan(計画):仮説に基づいて、施策の設計を行う
- Do(実行):コンテンツの制作や広告の出稿を行う
- Check(評価):KPIの達成度を評価し、改善点を洗い出す
- Action(改善):施策の見直しを行い、次のサイクルにつなげる
この4ステップを高速で回転させることが、マーケティングの精度を高めることにつながります。
コンテンツの企画を練る際は、ユーザーの反応を想定したA/Bテストを設計しましょう。広告で使用するクリエイティブも、複数のパターンを用意して比較検証することをおすすめします。PDCAサイクルを単なるルーチンワークで終わらせず、常に深い考察を伴うものにすることが肝要です。
効果的なPDCAサイクルを回すために有用なツールも数多くあります。GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールはもちろん、BuzzSumoやSimilarWebのようなコンテンツマーケティング支援ツール、SproutSocialやHootSuiteのようなSNS管理ツールを活用することで、より科学的な効果検証を行うことができるでしょう。
まとめ:コンテンツマーケティングは腰を据えて取り組もう
本記事で述べてきたように、コンテンツマーケティングは一朝一夕に成果が出るものではありません。優れたコンテンツを継続的に制作・発信し、ユーザーとの長期的な信頼関係を築いていく。それには忍耐強さと戦略的な視点が何より重要です。
しかし、だからこそ価値があるのもまた事実。コンテンツは資産として蓄積され、ブランド価値や検索上位表示に寄与し続けます。広告と違ってコストをかけずに集客できるため、長期的に見れば非常に高いROIを期待できるのです。
コンテンツマーケティングと広告の使い分け、そしてシナジー効果の創出。一朝一夕では結果は出ませんが、戦略的に考え、地道に実行を積み重ねることが何より重要だと覚えておきましょう。
イノーバは、皆さまのコンテンツマーケティングを支援するため、様々なサービスを提供しています。オウンドメディア構築支援やコンテンツ制作代行はもちろん、効果測定や運用体制の強化まで、ワンストップでサポート可能です。
戦略立案から施策実行まで、イノーバと二人三脚で取り組むことで、コンテンツマーケティングの真価を発揮することができるでしょう。統合的マーケティングを推進し、御社のビジネス成長の原動力となるコンテンツ資産を、ぜひ共に育てていきましょう。
最後になりましたが、コンテンツマーケティングにご興味をお持ちの方は、ぜひイノーバまでご相談ください。御社の事業成長に必ずや貢献できるはずです。