ファネル作成のステップとポイントとは? 購入の先につなげるために

コンテンツマーケティング

マーケティングでは、しばしばファネルを利用して顧客へのアプローチを行います。ファネルは古いアプローチの仕方だといわれる場合があるものの、現在でも十分通用する手法です。

しかしファネルを活用して効果を上げるためには、ファネルの作成や利用方法について、よく理解しなければなりません。ここでは、マーケティングファネル作成の手順や、ファネルを活用するためのポイントについて紹介します。

ファネルとは

ファネル(funnel)とは、もともとは「漏斗」という意味で、マーケティングで顧客を育成する際に使われる考え方です。「マーケティングファネル」「パーチェスファネル」とも呼ばれます。顧客が商品を認知してから商品を購入するまでの流れを、漏斗型の図で示したものです。

従来。訪問や電話を主体とした、相手と直接接触する営業活動がメインでした。しかしIT技術の進歩やインターネットの普及で、WebやSNSなどを使ったマーケティングが増え、ファネルの重要性も増してきたのです。コロナ禍もそれを後押ししています。

ファネルの詳細は、次の記事を参考にしてください。

マーケティングファネル、3つの種類と具体的な活用方法を解説

BtoBマーケターなら知っておきたい「ファネル」の基本

またファネル分析については、次の記事を参考にしてください。

「ファネル分析のやり方とは?ツールやファネル分析のポイントと事例を紹介」

ファネル作成のステップ

ファネルは、次のようなステップで作成します。

1.ターゲットを理解する

どんな層を商品やサービスのターゲットと見なして顧客にしていくのかを決定し、ターゲット(みなし顧客)を理解する段階です。

まず「ターゲットはどこから自社の情報にコンタクトしているのか」を知りましょう。そこから、ターゲットの属性やデータを収集します。データを収集するために使われるのは、次のような手段です。

  • 顧客インタビュー
  • 顧客とのこれまでのやり取り(自社を知った経緯、問い合わせ内容、営業の対応など)
  • 顧客から直接フィードバックされたこと
  • 大規模なアンケートやユーザーに絞った調査
  • SNSやショッピングモール、レビューサイトでの口コミ
  • Web解析
  • キーワード調査

また今後の施策のため、個人用メールアドレスといった情報も収集します。

2.ファネルのフェーズを定義する

認知、興味・比較検討、行動などの各フェーズと、それらのフェーズで顧客はどのような状態にあるのかを定義します。

  1. 認知・興味

ブランドや、商品やサービスを知ってもらい、ターゲット層での認知度を高めます。商品やサービス、ブランドの第一印象となる部分です。さらに商品やサービスへの関心を喚起し、興味を持ってもらいます。

  1. 課題・比較検討

何らかの課題によって、顧客が自社の商品やサービスに関連するニーズを認識します。この時点では、どの商品やサービスを購入するか、まだわかりません。顧客は、購買行動のためにいくつかの商品についての情報を集め、比較検討します。

扱う商品やサービスにより検討する項目や内容は異なるでしょう。よって顧客に対し、自社の商品の価値や優位性をアピールし、購買行動につなげます。さまざまな販促活動やコンテンツの作成も必要です。

  1. 行動

販促活動の結果、商品やサービスの購入(コンバージョン)に至ります。従来、マーケティングファネルは、購入のフェーズまでで完結しました。最近はさらにその先、顧客のフォローからロイヤルカスタマー育成までを含める場合も多いです。

  1. ロイヤルカスタマー育成

購入後の顧客をフォローし、喜んでもらって、商品や自社のファンになってもらいます。自社のファンになった顧客は、優先的に自社製品を購入したり、家族や友人・知人に自社製品を勧めたり、良い口コミを残してくれたりするのです。

このように顧客と良好な関係を維持すると、長期的な利益につなげられます。

3.フェーズごとの施策を設定する

各フェーズで、必要な施策は異なります。

  1. TOFU(Top of Funnel)

認知段階の施策です。顧客に商品や社名を認知してもらうため、不特定多数に向けた施策を行います。たとえば、次のようなものです。

  • 情報発信
  • プレスリリース
  • 広告・口コミ配信
  • SNSでの告知
  • 広告配信
  • オウンドメディアでの配信(コンテンツSEO)
  1. MOFU(Middle of Funnel)

興味・関心段階の施策です。顧客に関心を持ってもらい、商品やサービスを評価してもらうため、ターゲットを絞った施策、パーソナライズされた施策を行います。たとえば、次のようなものです。

  • SNSでの顧客とのやり取り
  • 顧客インサイト(顧客の潜在的なニーズ)の理解・可視化
  • より専門的なコンテンツの提供
  • それぞれの顧客にパーソナライズしたWebページ
  • ホワイトペーパー
  • ウェビナー
  1. BOFU(Bottom of Funnel)

比較検討・購入段階の施策です。購入を促し、背中を押すための施策を行います。たとえば、次のようなものです。

  • 詳細な情報提供
  • 限定的なオファー
  • 顧客のニーズを掘り下げた提案
  • 詳細なレビュー
  • サポート力の提示

ファネルをマーケティングに活用するためのポイント

ファネルをマーケティングに活用する際、重要となるのは、各フェーズにおいて顧客が「どういう状態か」を明確にすることです。

フェーズ毎の態度変容を設定する

各フェーズに到達する前と、施策を行った後での顧客の状態を設定します。

例:認知・興味段階の前は、商品を知らなかった→認知・興味段階の施策により商品について知り、興味を持った

これによって、どのような施策が必要なのかが決まります。

フェーズ毎のコンテンツの方向性を設定する

上で設定した「ファネルの前後での顧客の状態」を実現するためには、どのようなコンテンツが必要なのかを検討し、設定します。

例:課題・比較検討段階では、商品に興味を持ってくれた顧客に対して、他社との比較・検討を行い、購入を促すための情報を提示する→そのためには、顧客に合わせてパーソナライズして商品の魅力をアピールする

フェーズ毎の移行条件を定義する

施策が次のフェーズに移行するのは、顧客がどういう状態のときかを設定します。顧客がどのフェーズにいるのかを評価するためには、顧客の育成段階を客観的に評価する基準が必要だからです。

そのためには、顧客の関心度を数値化するため、基準となるパラメーターと基準値を設定します。

例:認知・興味のフェーズから課題・比較検討のフェーズに移行する基準→顧客からの問い合わせ、資料申し込み、ホワイトペーパーのダウンロードなど

フェーズ毎の離脱率を確認する

それぞれのフェーズで、一定数の顧客は離脱するものです。しかしなかには離脱する顧客の多いフェーズもあります。そこが「フリクションポイント」、つまり全体または各フェーズでボトルネックとなっている部分です。ファネルを作成すると、フリクションポイントがどこにあるのかを可視化できます。

例:「認知・興味」「行動」での離脱率はそれぞれ10%だが、「課題・比較検討」での離脱率は30%→「課題・比較検討」フェーズが「フリクションポイント」となっており、このフェーズでの施策に問題があると考えられるので、改善する

目的は、ファネルを利用して購入後も顧客の維持・育成を行うこと

従来、マーケティングファネルは、顧客を購入行動まで導くためのものでした。

しかし最近は「購入で終わり」ではなく、購入後のフォローにもファネルが使われるようになってきています。購入後も顧客の維持・育成のため適切なフォローを行うと、顧客をリピーターからロイヤルカスタマーに育成できるからです。

長期間継続した取引を行えば、LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)を最大化し、より大きな利益につなげられるでしょう。LTVの最大化を実現するには、購入で止まらず、顧客のフォローを欠かさずにロイヤルカスタマーまで育成できるような施策が必要です。

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