ECサイトこそコンテンツマーケティングを始めるべき理由

EC(Eコマース)
ECサイトを運営している方はすでに、ソーシャルメディアを駆使して販促を行っていることだろう。
しかし、自社のショッピングサイトの売り上げを継続的に伸ばすには、ソーシャルメディアでの商品宣伝という短期的なプロモーションだけでは足りない。
顧客との間に持続的な信頼関係を築き、サイトの評判を広めてもらって、新たな顧客を次々獲得していくための土壌が必要である。それを築くことができるのがコンテンツマーケティングだ。
今回は、ECサイトがコンテンツマーケティングを行うとどんなメリットがあるのか、また、それをどのように行っていけばよいかを、事例を交えながら紹介していきたいと思う。
サイトを認知してもらうために行うこと
「いいサイトだ」と見込み客や顧客に認識してもらい彼らとの良い関係を持続させ、またサイトの評判を広めてもらうためには、「そのサイトに何度も訪れたくなる何か」が常に存在していなくてはならない。
その「何か」が、「魅力的な商品群」であればいいのだが、同様の商品を提供する競合他社が多数存在する場合、+αがないと、今どきのユーザーはあえてそのサイトに何度も訪れたりしない。その+αとなりえるのが、「魅力的なコンテンツ」である。
そのコンテンツとは、ショッピングページでは説明しきれない商品の魅力を表現するものであったり、あるいは間接的に商品への関心を高める情報などであったりと、さまざまだ。
具体例として、北欧、暮らしの道具店のサイトを見ていただくと、イメージが湧きやすいと思う。北欧雑貨のECサイトだが、これまでも様々なメディアで、「コンテンツマーケティングを行うECサイト」として紹介されている。
参照:北欧、暮らしの道具店
この中の、「特集から探す 暮らしのイメージが広がる」というリンクページにある連載中のコラムや、STAFF BLOGというリンクページに、北欧旅行記や商品の使われた写真などが掲載されていて、味のあるコンテンツとなっている。
何をどんな形でどのように提供すればよいか
では、「我社のECサイトでも、これからコンテンツマーケティングを始めてみようかな」と思った場合、一体どんな形で何をコンテンツとして提供していけばいいのだろうか?
リストアップしてみたので、チェックしてみて欲しい。
まず、コンテンツの形としては次のようなものが挙げられる。(ソーシャルメディアへの投稿以外のものを挙げる)
・画像や動画
・ブログまたは記事
・図表またはインフォグラフィック
・ニュースレター
・FAQ
そして、内容としては、次のようなものが挙げられる。
・商品詳細
・商品に関する技術的な説明
・消費者または専門家のレビュー
・商品に関連すること(商品の世界観・ブランドイメージと関連すること等)
・業界情報
また、コンテンツの配信手段としては、次のようなものが挙げられる。
・Twitter、Facebook、Pinterest他のソーシャルプラットフォーム
・自社のオンラインストア内
・競合他社のオンラインストア内
・Amazonなど、自社商品を提供する他社サイトやニッチ市場向けのサイト
・ブログ投稿
・雑誌などの紙媒体やオンラインメディア(オンラインカタログや電子書籍など)
・オンライン・フォーラムやオンライン・レビュー
これらのものを組み合わせてコンテンツを制作していくのだが、それは実際どのような形で行われているのだろうか。いくつかの事例を見てみよう。
オンラインカタログで、ECサイトでは不可能なデザインを実現
LAND’S ENDはアメリカ最大級の、上質カジュアルファッションの通販ブランドである。シンプル&クラシックなアメリカン・カジュアルを提供している。同社は最近『APOSTROPHE』というオンラインカタログを立ち上げた。これには自社商品を使ったスタイリングのヒントなどが掲載されているのだが、ECサイトとは趣が異なる。
*LAND’S END ECサイト
参照:LAND’S END
*LAND’S END オンラインカタログ
参照:APOSTROPHE
『APOSTROPHE』のほうが、より洗練されたイメージである。ECサイトは商品の購入を目的として作られているためサイト設計上の制約も多く、思い切ったデザインなどを実現しにくい面もあるが、オンラインカタログでは、よりビジュアル重視のページを作ることが可能だ。そして、洗練されたものができれば、「センス」を気にするカスタマー層にもリーチできる。
動画で商品の特徴を分かりやすく表現
REIはアウトドア用品などを扱うブランドである。ECサイト上で、キャンプ用グッズやフィットネス用品などを多数販売している。同社は、例えば「Slacklining」という商品については次のような動画を制作している。
このように、「パフォーマンスを見せないと、面白みが伝わらない商品」や、「使い方を言葉で表現しにくい商品」には、動画を用いると顧客にとって分かりやすく、「自分もやってみたい!」という気持ちを喚起させる。そして、彼らの購買意欲を高めることができるのだ。
日本でも、例えばホームセンター「コメリ」の通販サイトなどは、How to に関するかなり充実したコンテンツを提供しているので、覗いてみてほしい。「暮らしの便利情報」というリンクページから、このHow to ページにたどり着くことができる。
このページは、どのHow to情報がPDFだけで提供され、どれは動画も提供しているかが一目で分かるようになっている。顧客が必要とする情報を分かりやすく提供している好例だ。
コメリはこのHow To情報を電子書籍でも提供していて、このページからダウンロードできるようになっている。
→ KOMERI.COM How To 情報 電子書籍
こちらも、必要な情報だけを選ぶことができるためダウンロードに時間がかからず、顧客にとって大変便利なサービスとなっている。
ECサイトのショッピングページでは、あまりに長い情報は載せにくいが、電子書籍のような形であれば、そのような細かな情報ニーズに対応することも可能である。
まとめ
このように、ECサイトがコンテンツマーケティングを行うと、商品の魅力をいろいろな形で表現でき、新たなカスタマー層へのリーチも可能になってくる。
また、顧客が楽しんで読める様なコンテンツを提供していけば、エンゲージメント向上にも繋がり、リピート訪問も望めるだろう。
ECサイトを運営している方は、コンテンツマーケティングを始めてみてはいかがだろうか?
参照元:
・Content Marketing for E-Commerce: 3 Great Examples
・Using Content for Ecommerce Marketing
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