価格戦略を徹底分析!マーケティング戦略における5W2H

経営・ビジネスハック

5W2Hは、マーケティング戦略、コンテンツ制作や社内でのプレゼンやコミュニケーションに至るあらゆるビジネスシーンにおいて使える、5W1H「When、Where、Who、What、Why、How」の派生系フレームワークです。

 

聞き手を納得させられる、説得力あるプレゼンテーションを作りたい、3C分析、STP分析、4P分析などのマーケティングのフレームワークで戦略を練るものの、思考が行き詰まってしまっている時に、この5W2Hは有用です。5W1Hに、「How much(いくらで)」という分析要素が加わり、売上目標や価格戦略を徹底的に分析したい時に、とくにおすすめのフレームワークです。5W2Hに沿って、シンプルなストーリーで、抜け漏れのない7つの論点から思考を整理することで、新たな問題解決の糸口を見出すことが可能です。

 

今回は、マーケティングにおける5W3Hの基本知識と強み、そして5W3Hを使って、3つの企業の成功事例を分析します。

 

マーケティング戦略における5W2Hとは?

5W2Hは、5W1Hに「How much」の概念を追加した下記のそれぞれの頭文字をとった略称です。

 

When: いつ

Where: どこで

Who: だれが

What なにを

Why: なぜ

How:どのように

How much:いくらで

この5W2Hには、マーケティングフレームである4P分析(Product、Price、Place、Promotionの視点からターゲット市場を分析するという考え方)が含まれています(下図参照)。

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4P分析を何度も繰り返すうちに戦略が断片化してしまった場合、この5W2Hを使って一つのまとまったストーリーで思考を整理することができます。また、4P分析や3C分析、STP分析を行き来している内に、混乱してしまった場合にも、必要な要素からシンプルに見直すことができ、問題点が明らかになります。

 

また、全てのW(問い)はそれに関連する論点に置き換えることができ、汎用性の高さが5W1H派生系フレームワークの特徴です。それでは、マーケティング戦略における、5W2Hのそれぞれの役割について具体的に解説していきましょう。

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When: 販売期間

製品の販売開始時期、販売期間や期限、キャンペーンの開始時期、消費者が製品を求めている時期やタイミングなど、あらゆる「When(いつ)」を分析します。自社製品だけでなく、競合他社の製品の販売期間やキャンペーンの期間、消費者の年間イベントに伴う消費者行動などから最適なタイミングを探し出します。

 

Where: 販売するチャネル

製品を消費者に届けるための販売チャネルや流通経路を分析します。実店舗やネット通販、または、これらを組み合わせる手法(オムニチャネル)など、ターゲットとなる消費者が利用しやすいチャネルがどこであるのか、どういった場面やシチュエーションであるのかを分析します。

 

Who: ターゲットになる人物(ペルソナ)

企業が製品をだれに売りたいのか、購買に意思決定者はだれか、どういった消費者属性を持った人物が製品を購入したいと考えるのかを分析するのが「Who」です。ターゲットのみに囚われず、プロジェクトに関わるあらゆる「Who」を分析することも可能です。製品開発チーム、マーケティングチームやセールス部門、ディストリビューターや小売店に至るまで、ターゲットの手に届くまでに関わる人物を分析することで、他のマーケティングフレームワークでは分析しきれなかった問題点やアイディアを発見することができます。

 

What: 製品・製品価値

実際に売る製品やサービスを分析する「What」です。また、現在のマーケティング戦略では、製品本体だけでなく、「製品が顧客に提供する価値」についての分析にも注目が必要です。ご存知の通り、現代の消費者は製品を買うことで自身にもたらされる価値の有無によって購買行動を起こす傾向があるため、顧客に価値を創造する「What」は重要な論点になります。逆を辿れば、企業がその製品を通じてターゲットにどんな価値を提供したいのかを明確化することになります。

 

Why:目的・ゴール、ターゲットの購買理由

製品やサービスを販売する目的やゴールを分析するのが「Why」です。製品を市場に展開する企業の背景や意義は、製品価値にもつながる論点です。顧客目線に置き替えると、市場や消費者がなぜその製品を欲しているかという論点の掘り下げであり、市場のニーズを分析することができます。

 

How:販促や集客のためのプロモーションや手段

ターゲットに製品を知ってもらい、実店舗やサイトに訪問してもらうための最適な販売促進や集客方法について分析します。例えば、マスメディアを使った広告でのアプローチ方法、既存顧客リストを使ってDMを発送し告知する方法やソーシャルメディアを使ったキャンペーンの展開、はたまた全てのメディアを駆使したクロスメディアでのプロモーションなどその手段はさまざまです。媒体や頻度、予算や社内の体制についても最適な方法を選択するために分析し、定義していきます。

 

How much:価格戦略

高いプライシングでいくのか、値引きをするのかといった価格設定など、資金計画も含めたお金に関わる戦略を分析します。欧米では、量の要素も取り入れることがありますが、日本では価格戦略に関わる要素を分析することが主流です。料金の回収方法、支払い場所や支払い時期、支払い方法、人件費や材料費などのコストについても分析します。How muchは、5W2Hの中でも唯一収益に直接つながる要素になるため、ビジネスの継続性や成長プランと合わせて戦略を練る必要があります。

 

 

他のマーケティングフレームワークにはない5W2Hの強み 

ストーリー性のあるリアリティの高いロードマップが描ける

5W2Hでは、「Why」「Who」を交えて分析を行うため、開発者側のポリシーやコンセプトがぶれず、「だれにそのサービスを提供するためにマーケティング戦略を練っているのか」という、最も重要な要素を一緒に分析しながら、ストーリー性のある戦略を分析、立案することが可能です。

 

また、5W2Hに追加される「How much」では、利益に直結する価格戦略を分析し、設定します。マーケティング戦略に、定量的要素が加わり、より現実的なプランに進化します。提供する価格によって、プロジェクトやキャンペーンの期間が限定されたり、広告などの販促方法や期間の調整が必要になる場合もあります。達成可能な売上目標値も変わる可能性があるため、企業にとっては重要なポイントです。

 

深掘りする分析が苦手でもヒントが目に見えている

5W2Hに含まれる要素は、マーケティング戦略の大きな要素であるだけなく、それぞれの要素を分析することもできます。これは、5W2Hに限ったことではなく、派生系フレームワークに共通することです。例えば、下記の図のように、「How much(いくらで)」をその他のWとHの角度から分析していくと、1つの要素がより深く分析でき、掘り下げていくことが可能です。

 

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プランを実施したのちに、計画通りに進んでいない、作業が止まっている、思った効果が現れていないといった事態は、よくあることです。多くの原因は、戦略を実施するフェーズを具体的に想定して、プランが立てられていない場合です。そういった事態を未然に防ぐためにも、5W2Hを使って、要素を漏れなく分析する必要があります。

 

 

5W2Hを使ったケース・スタディ3選

ここまでご紹介してきた5W2Hを使って、3つの成功企業の成功要因を分析していきます。

 

ビジネススクール(グロービズ経営大学院)

日本で最大規模の大学院に成長したグロービズ経営大学院。1992年に、現学長の堀義人氏が渋谷の貸し出し教室からはじめたマネージメント・スクール事業が、たった16年という期間で日本一となった、そのマーケティング戦略について分析します。

 

Why   学ぶことの最高の楽しみ、リーダー人材、ネットワーク(同窓)、志を提供するビジネススクール。経営学を教えるのではなく、経営者(人材)を育成する。

Who   企業・官公庁等における2年以上のビジネス経験を有する人

When  通学型研修/e-learning

What  単科生制度・本科生制度・英語プログラム・企業研修

 ビジネスの第一線で活躍する教員による、考える力を養う「ケース・メソッド」

政治家・学者・経営者・マスコミを招待する合宿型カンファレンス(卒業生も参加可)

Where 日本主要都市各地、オンライン

How  本(電子書籍)・アプリ・ウェブサイト・オンラインメディアなどのオンラインの媒体を充実させ、経営に関する知識のボトムアップ、MBAやグロービズの認知度アップ

How much 創業当初は、「MBAのエッセンスを短期間に、低価格で、夜間土日に学べる学校」という安価な価格帯を打ち出す。現在も、単価制度を導入しており総額15万以内で1科目が受講可能。

 

グロービス経営大学院では、日本ではまだ少数である、e-learning(オンライン受講)を導入しています。海外在住など地理的要因や、育児中などの時間的な制約により、ビジネススクールに通えない層にも参加できるチャネルを提供し、生徒数を増やし続けています。

また、サービス保証制度も、ビジネススクールでは非常に少ない価格戦略です。この保証制度の導入の目的は、顧客満足度の向上だけでなく、学校運営側の教育の質へのコミットメントを高めるために導入していると、堀学長は言っています。

 

 

オンラインショッピング事業(ZOZOTOWN)

2017年、ZOZOSUIT(採寸ボディスーツ)の無料配布で話題をさらった、ECプラットフォームZOZOTOWNは、独自のサービスを次々と提案し、売上を拡大しています。

 

Why  実店舗とECサイトの融合し、ファッション業界全体のマーケットの拡大

「人が服に合わせる時代から、服が人に合わせる時代へ。」

ブランドの世界観を尊重し、リアル店舗で購入する以上の顧客経験価値を提供する

Who   F1層(20~34歳の女性)が第一ターゲット

When  オンラインで24時間購入[r3] 可能

What  顧客層に人気のあるブランドを中心とした通販サイト

Where  オンライン

How    同社で倉庫を保有し、コストと発注〜納品リードタイムの短縮

 サイト掲載用の写真を自社内で撮影し、クオリティを管理する

 メーカーごとに異なるサイズを自社で計り直し、共通したサイズで発信

 テレビCMを使った認知度アップ

How much  テナント形式で出店している店舗から手数料を得る「受託販売」受託手数料

       送料無料で返品(サービス加入者のみ)

       ツケ払い(支払い期限最大2ヶ月)、買い替え割(下取り制)

 

「ツケ払い」とは、クレジットカードを保有しない層やクレジットカードを持てない若者層を狙った支払い方法です。この効果があってか、17年4~6月期の売上高は前年同期比4割増を記録しました。また、「買い替え制」は、注文内容の確認ページで購入履歴から「下取りに出したいアイテム」を選択することで、購入商品の割引がされるサービスで、新しい洋服が欲しいけれども、収納する場所がない、金額が高いといった悩みを解決しました。またこのサービスは、既存顧客の囲い込み戦略としても効果を発揮しています。

 

シェアードオフィス事業(WeWork)

2018年2月に、ついに日本でもサービス開始となるWeWorkは、シェアードオフィス(コーワキングスペース)を世界56都市170カ所(2017年1月時点)に展開しています。猛スピードで成長を遂げるWeWorkのマーケティング戦略を分析します。

 

Why   個人の充足感を尺度とした満足感を提供できる場所。クリエイティブで快適で、コミュニティを体験できる空間を提供する。

Who  IPOを目指すようなスタートアップ、個人事業主、スモールスターター、企業、出張者

What  オフィス、オフィス設備、カフェ、ワークショップ、グローバルネットワーク(WeWorkに入会しているネットワークを利用した人材マッチング)

When  24時間365日使用可、毎日使う人、月2週間使う人、オンデマンドも可

Where  入会しているWeWorkオフィス、世界中のWeWork(オプション)

How    WeWork専用アプリケーションを使ったネットワーク作り。定期開催されるワークショップを通じたコミュニティの育成。リファーラル制度。

How much  規模と用途に複数の月額プランを提供。オンデマンドプランも用意。日本では、赤坂・六本木・銀座・新橋などのランドマークビルを中心に6万円代〜のプラン。競合に比べて、2倍以上の価格で高めの設定。

リファーラル制度(友人紹介で12ヶ月間10%OFF制度、紹介すれば紹介するほど、割引されていく)

 

WeWorkのミッションは、世界中の会員ネットワークを利用したコミュニティの提供です。スタートアップの企業や起業家にとって、刺激を受ける仲間との出会いはビジネスをスケールさせる起爆剤にもなり、ビジネスパートナーを見つける重要な機会でもあります。月額費は、決して安い金額ではありませんが、その十分な価値を感じることのできるサービスとして評価されています。

 

まとめ

5W2Hは、7つの要素からマーケティング戦略を一つ一つ丁寧に分析することで、実現性の高い戦略の立案が可能です。3C分析、STP分析、4P分析などのマーケティングのフレームワークで思考が行き詰まってしまっている時には、5W1Hの派生系フレームワークでシンプルに一連のストーリーに沿って分析することが新たな問題解決の糸口を見出すことに繋がります。

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