顧客主導のマーケティングの変化とは?

デジタルマーケティング

インターネットの普及やSNSの台頭、スマホ所有の一般化などを受けて、顧客の購買行動は従来と大きく変化しました。顧客ニーズは多様化し、かつてのように企業が一方的にモノやサービスを売り込む時代は終わりを告げようとしています。

マーケティングの主流は従来のマス・マーケティングから顧客主導の手法へとシフトし、Webでの行動履歴やSNSから得られるビッグデータの解析などに基づいて「顧客の考えや行動を読む」ことに重点が置かれるようになってきました。

2011年Googleが提唱した新しい概念「ZMOT」と顧客購買行動の変化とは

このような背景のもとで、ぜひ押さえておきたいキーワードの一つが「ZMOT」です。
ZMOTは「Zero Moment of Truth」の頭文字を取って並べたもので、2011年にGoogleが提唱したマーケティングに関する新しい概念です。

「Moment of Truth(真実の瞬間)」という言葉は、もともとは「闘牛士が牛に対してとどめを刺す瞬間」を表す語として使われていたもので、これをマーケティングの世界に持ち込んだのは、スカンジナビア航空のCEOであるヤン・カールソン氏でした。ヤン氏は自社の従業員が顧客と接する平均15秒の時間を「真実の瞬間」として定義し、この貴重な瞬間に最善を尽くして顧客にサービスを提供することで、劇的な経営改革を成功させました。

その後、2005年にP&GのCEOであるアラン・ラフリー氏により「FMOT(First Moment of Truth)」という概念が提唱されます。FMOTは顧客の意思決定に関するマーケティングモデルで、簡単にいえば、「消費者は店頭に並べられた商品を目にして数秒の間に購入するかどうかの決定を下す」という考え方に基づくものです。

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当時、消費者の意思決定はテレビや新聞などのマス広告から受ける刺激(Stimulus)によってほぼ固められてしまうと考えられていましたが、実際にはそうではなく、店頭に並ぶ商品を目にしてから3~7秒の間に購入する商品を決めているということがP&Gの調査の結果判明したのです。これを受けて、商品のパッケージやディスプレイの方法、店員による接客といった店頭におけるプロモーションの重要性が見直されることになりました。

Googleの提唱するZMOTもFMOTと同じく消費者の購買意思決定に関するメンタルモデルで、冒頭で述べたような消費者の購買行動の変化を前提としています。具体的には、広告による刺激と店頭で商品を目にする瞬間(FMOT)との間にもう一つの「真実の瞬間」があるとする考え方で、実質上、「インターネットによる情報収集」がこの「真実の瞬間」にあたります。

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出典:ZMOT: The New Mental Model of Marketing|Think With Google

インターネットやスマホがごく当たり前にそばにある時代となり、消費者は思いついた瞬間にすぐ検索エンジンで情報を収集したり、TwitterやFacebookに質問を投げかけて助言を求めたりすることができるようになりました。たとえば新しいノート型パソコンを買いたいと思った時、候補となるパソコンをインターネットの比較サイトですぐに比較することができます。あるいは、TwitterやFacebookに質問を投稿すれば、あっという間に有益な情報を集めることもできるでしょう。メーカーのサイトを閲覧して詳しいスペックを調べることもできますし、レビューサイトで実際に製品を購入した人の意見を参考にすることも可能です。

かつてのように企業の側から一方的に与えられる情報を黙って受け取るだけでなく、消費者が自分から必要な情報を探しに行き、自分の力で獲得した情報に基づいて意思決定をする時代が訪れたのです。

Googleの調査によれば、アメリカ人の70%が商品やサービスの購入を決める前にいわゆるレビューを参照し、消費者の79%が商品の購入や情報収集にスマホを活用し、83%の母親がテレビCMで関心を持った商品についてより詳しい情報をオンラインで収集しているといいます。これからのマーケティング戦略は、こうした変化を念頭において構築していく必要があります。

業種・業態・商材を問わずZMOTを意識すべし

なお、ここまでの説明で「消費者」という言葉を多用してきましたが、ZMOTはBtoCに特化した考え方というわけではありません。むしろ企業間の商取引(BtoB)でこそ、ZMOTを強く意識してマーケティング戦略を設計すべきです。

かつてはBtoBの営業というと、営業担当者による直接訪問が主な顧客接点でした。しかし、近年では顧客企業側担当者の大半が事前の情報収集をインターネットで行うようになっています。まずはネットで情報収集を行い、購入する商品についてある程度目星を付けたうえで、はじめて営業担当者に連絡を取る。したがって、担当者がインターネットで情報検索を行うタイミングで顧客との接点を作れなければ、そもそも比較検討の土俵にすら乗れなくなってしまう恐れがあるのです。

BtoB商材の導入検討における情報収集のフェーズは、「Moment」と呼ぶにはやや長い時間軸にも思えるかもしれません。けれど、実際に商品に触れる前の段階で顧客が自主的に情報収集を行い、そのタイミングに重要な顧客接点が生じるという点はZMOTの概念に重なるものがあります。

ZMOTは企業規模の大小や業態、取り扱う商材に関わらず、すべての企業が意識すべき重要な購買意思決定のファクターだといえるでしょう。

消費者のZMOTを引き寄せるマーケティング

このような購買行動の変化を念頭におき、これからのマーケティングはZMOTの瞬間を的確に捉えることに重点を置いていかなくてはなりません。でも、実際問題としてどのような工夫をすればよいのでしょう?

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消費者のZMOTを最適化するうえで重要な鍵を握るのは、「コンテンツ」の整備です。

顧客がインターネットで情報検索を行うとき、サーチエンジンの結果ページを経由して顧客が最終的に目にするのは何でしょう? それはWebページであり、そこに掲載される商品説明や動画、画像であり、ブログ記事やカタログといったさまざまな形の「コンテンツ」です。顧客が検索をかけたそのタイミングで適切なコンテンツを提供することができれば、そこに自社と顧客との接点が生まれます。

自社の潜在顧客が事前の情報収集時においてどのような疑問や関心を持っているかを読み解き、顧客のニーズに応えるコンテンツをあらかじめ用意しておけば、ZMOTの瞬間に顧客から「見つけてもらう」ための土台が整います。また、そうしたコンテンツがSNS上でシェアされるなどして認知度が高まれば、SNS経由でZMOTの瞬間をとらえることも可能となるでしょう。

SEO的な観点からいうと、潜在顧客が情報検索時に使用するであろうキーワードを予測し、それらのキーワードで検索された際にヒットするようなコンテンツを用意しておくことで、ZMOTの瞬間に顧客を自社へと引き寄せられる確率が高まります。もちろん、個々のコンテンツに対して適切なSEO対策を行っておくことも重要です。

同じ商品であっても、消費者の属性(年齢層、性別)や購入の目的、購買意欲の成熟度合いなどによって検索キーワードは異なります。たとえば同じデジタルカメラでも、鉄道写真を撮りたい50代男性とInstagramに乗せるスイーツの写真を撮りたい20代の女性、子供の成長記録を撮影したいママとでは製品に求めるものが微妙に変わってくるでしょう。

あるいは、「CMを見てなんとなく商品に興味を持った」という段階の人と、既に比較サイトなどで検討を行ったうえで最終的に決め手となる情報を探している人とでは、必要とする情報の質や内容が異なります。求めるものが異なれば検索キーワードも変わりますから、個々のペルソナのニーズに沿ってキーワードを抽出し、コンテンツを設計していく必要があります。

「見つけてもらう」仕組みを作るコンテンツマーケティング

以上、この記事ではGoogleの提唱するZMOTについて紹介し、ZMOTを自社に引き寄せるために今後、企業が考えていくべきことについてお話しました。

一人一台のスマホを手にし、いつでもどこでもネットワークに接続して情報検索を行える時代。顧客ニーズも多様化し、誰もが「自分だけの特別な何か」を求めてインターネット上にあふれる情報の海を日夜サーフしています。

この本格的なデジタル時代において、真に求められるマーケティングとはどんなものでしょう?
その答えは一つではありませんが、前述のような購買行動の変化を正しく理解したうえで、「顧客の側から見つけてもらう」ための仕組みを構築することが重要なキーとなるのは間違いのないところです。

Webサイトやブログなどを通じて顧客に有用なコンテンツを提供し、「顧客の側から自社を見つけてもらう」ための仕組みを作るマーケティングの手法を「コンテンツマーケティング」と呼びますが、今後はこのコンテンツマーケティングの重要性がますます高まっていくことでしょう。

コンテンツマーケティングの概要と効果的な導入方法については、下記のページで詳しくご紹介しています。本記事とあわせて、ぜひご一読ください。

参考:コンテンツマーケティングとは?潜在顧客に「見つけてもらう」仕組みをつくる :: 株式会社イノーバ

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