進化する「Moment of Truth(真実の瞬間)」とは?<マーケティング用語解説>

デジタルマーケティング

Moment of Truth(真実の瞬間)とは、米国で主流になっているマーケティング概念の1つです。1980年代と古くから提唱されている概念ですが、その中身は時代とともに進化し続けています。

2011年にGoogleがデジタル時代における新しいMoment of Truthの概念である「Zero Moment of Truth(ZMOT)」を提唱し、早5年が経ちました。

本稿では、コンテンツマーケティングとソーシャルメディアがMoment of Truthの概念にどういった影響を与えるかを紹介します。

Moment of Truthとは

マーケティング用語としてこの言葉を最初に取り上げたのは、1980年代初頭にスカンジナビア航空のCEOにわずか39歳で抜てきされたヤン・カールソン氏でした。

カールソン氏が唱えたMoment of Truthの考え方はこうです。すなわち、同航空会社でお客さまに直接応対するスタッフの当時の平均応接時間が15秒であり、そのわずかな時間にお客さまが判断するサービスの質が同社の成功を決めるというもの。実際に同氏は、この考え方に基づいてさまざまな施策を打つことで、当時経営危機に陥っていたスカンジナビア航空をわずか1年で立て直しました。

さらに、2005年に米国Procter & Gamble(P&G)のCEOであったアラン・ラフリー氏は、2つのMoment of Truthを提唱しています。P&Gは1837年創業の老舗企業であり、世界最大の生活用品メーカーですが、2000年代当時は深刻な経営不振に陥っていました。

ラフリー氏が唱えたMoment of Truthには、First Moment of Truth(FMOT)とSecond Moment of Truth(SMOT)があります。まず、第1の瞬間(FMOT)は、消費者が店頭に陳列されている商品を目にして、数秒の間に意思決定を下す(購入するかどうかを決める)瞬間です。第2の瞬間(SMOT)は、購入後に実際に商品を使用する瞬間を指しています。

なぜ、ラフリー氏はこのマーケティング概念を提唱したのでしょうか。そこには、当時マス広告がプロモーションにおいて重要視されていたという背景があります。商品が主役であり、プロモーションは作り手本位のプッシュ型マーケティングでした。

ラフリー氏は、消費者と売り手が直接の接点を持てる店頭こそが、お客さまの声を聞いてブランドの付加価値を提供できる、最も重要なプロモーションの機会であると提唱。同氏は、いち早く「お客さま目線」のマーケティング戦略へ舵を切ったのです。実際に、店頭においてほかのブランドに乗り換える買い物客は高い確率で存在します。P&Gは店頭プロモーションを戦略的に実施することで、成功をおさめました。

Googleが提唱した新しい概念「ZMOT」

2011年に、Googleが新しいMoment of Truthを提唱しました。それがZero Moment of Truth(ZMOT)です。インターネットの普及とともに、消費者の購買行動が変化し、店頭に足を運ぶ前にまずは商品を検索エンジンで検索するなど、オンラインでの情報収集が起点になりました。ZMOTは、そのようにオンラインで事前にブランドと接触する瞬間のことを指し示しています。

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当時の記事に「アジア圏の女性を対象に調査したところ、78%が商品を購入する前に情報を収集している」とあることから、米国のみならず世界的に消費者の行動に変化が起きていることが調査結果から読み取れます。

また、Googleが消費者5,000名を対象に実施した調査によると、消費者が購入前に集める情報の件数は2010年に5.27件、2011年には10.4件と約2倍に増えていることがわかりました。

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上の表は消費者の購買決定に至るまでの情報検索数を消費財の種別ごとにまとめた結果です。レストランは5.8件、自動車など高価な耐久消費財には18.2件の情報源を調べる傾向が出ています。

では、ZMOTの情報源にはどのようなものがあるでしょうか。

  • 検索エンジンでの検索結果
  • 家族や友人からの情報
  • オンラインでの商品比較
  • ブランドやメーカーのWebサイト
  • 商品のレビュー
  • 記事のコメント欄
  • ブランドのソーシャルメディアページをLike!(いいね!)したり、フォローしたりすることで届く情報

上記を見てわかるように、オンラインから得られる情報は、商品を比較検討し、意思決定に至るまでの過程で重要な役割を担うようになりました。特に、ショップのオンライン製品情報、検索エンジンの検索結果は、多くの人が情報源として利用しています。

また、消費者の4人に1人が購入後の感想をソーシャルメディアに共有しているという調査結果も。ZMOTとSMOTにおいて、コンテンツマーケティングやソーシャルメディアでの戦略が売り上げに影響を与えることは、もはや自明でしょう。

Moment of Truthのマーケティング概念に役立つコンテンツマーケティングとソーシャルメディア

では、実際にZMOTとSMOTにおいて、どういったコンテンツやソーシャルメディアを活用すべきかを具体的に紹介します。

ZMOT

  • ブログで、消費者の質問や疑問に対する答えを発信
  • YouTubeを使って、商品の使い方やサービスの動画を配信
  • InstagramやPinterestに、商品の特徴や形状、大きさのわかる写真を投稿
  • SlideShareで、商品やサービスに関するブローシャーやパンフレットを共有
  • Twitterのハッシュタグを使った投稿
  • Facebookページからブログ記事をシェア

ZMOTにおいて、消費者が情報源とするオンライン情報を思い返してみましょう。

  • 検索エンジンでの検索結果
  • オンラインでの商品比較
  • ブランドやメーカーのWebサイト
  • 商品のレビュー
  • 記事のコメント欄
  • ブランドのソーシャルメディアページをLike!(いいね!)したり、フォローしたりすることで届く情報

検索エンジンで上位に表示されるには、キーワード設定やコンテンツの質が重要なポイントです。消費者がどういった疑問を検索エンジンに入力するのかを想像してキーワード設定を考えてみてください。ZMOTのステップでは、消費者の疑問に対する回答が効果を生み出すコンテンツのキーになります。

SMOT

第2の瞬間は、リピート客を獲得する絶好のタイミングです。消費者は実際に商品を使用した体験からその商品を記憶し、商品やブランドに対する信頼感を高めていきます。そうして得られる信頼感が高いほど、企業はエンゲージメントの高い優良顧客を獲得し、長期的で安定的な売り上げを実現できるのです。

SMOTのステップを対象としたコンテンツ

  • 購入者向けの商品の使用方法を紹介した動画
  • ユーザーガイド
  • 購入者向けユーザーフォーラムへの招待
  • コミュニティサイトへの招待

ソーシャルメディアでは、購入者からの投稿(質問)に対してアクティブに回答するアプローチが有効です。購入者にとって、企業やブランドとのインタラクションは、有益な情報であるとともに、その企業やブランドへの信頼度を高める要素でもあります。

まとめ

消費者の8割近くがオンラインで情報を収集する現代において、企業やブランドがコンテンツマーケティング活動で発信するコンテンツは、消費者にとって「なぜ?」に応えてくれる最適な情報源といえます。

コンテンツは、商品やブランドの伝えたい情報だけではなく、消費者が本当に知りたい情報を提供したり、消費者の「なぜ?」に耳を傾けて、誠実に答えたりしていくことが重要です。

消費者の共感と信頼関係を高め、強固なファンを獲得することで、彼らが“歩く広告塔”となり、新たな優良顧客の獲得につながっていきます。

参考: