【基本】STP分析とは?事例と実施のポイント

コンテンツマーケティング

最新の優れたマーケティング手法を取り入れても、ターゲットの定義があいまいなままでは、十分な効果は期待できない。

いろいろな施策に挑戦してはいるものの、目に見える効果が現れないというときは、いまいちどターゲットの定義を見直してみてはいかがだろうか。ここでは、自社のターゲットを設定するとき欠かせないSTP分析の方法を紹介する。

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STP分析とは

STPとは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の略称で、ターゲットの絞り込みと自社のポジショニングの設定をする分析のフレームワークだ。

STP分析は米国においては「7P」についで2番目にポピュラーなマーケティング手法であると言われ、多くの企業がこのフレームワークを実際の戦略立案に取り入れている。

STP分析の歴史

STP分析の起こりは、セグメンテーション(市場細分化)を唱えたGMの経営者アルフレッド・スローンである。

GMとともに

スローン氏はGMの車を購入する人々は、所得階級によって車へ求めているものが異なることに気づいた。
そしてGMは、当時からさまざまなニーズに対応できる多品種大量生産体制を構築し、成功をおさめることになる。当時すでに、STP分析の基礎となる「市場の細分化」と「製品の差別化」を実践していた

その後、1956年、ウェンデル・スミスによって、STP分析はマーケティング理論として確立する。従来のマスへ向けたマーケティング手法(大量生産・大量販売)から、顧客のニーズに応じた製品・サービスを提供する必要性が世間に認知され始めたのもこのころだ。

数十年たった今でもなお、STP分析のフレームワークは、マーケティングプランを立てるプロセスにおいてはずせない。Webマーケティングでも、STP分析でターゲットを細かく設定することが成功のカギとなる。

STP分析の方法

Segmentation、Targeting、Positioningをそれぞれ設定し、自社のターゲットを見いだす。ここからは、STP分析の具体的な方法を解説する。
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Segmentation(セグメンテーション:市場を細分化する)

セグメンテーションの部分では、市場全体を4つの変数を基にセグメントしていく。

1.地理学変数

住まい、気候、人口密度、文化、行動範囲

2.人口動態変数

年齢、性別、家族構成、職業

3.行動変数

購買活動(新規顧客、見込み客、リピーター)、購買心理(肯定的、無関心)、購買のタイミング、購買目的

4.心理的変数

ライフスタイル、価値観、趣味、パーソナリティ、購買動機

このように市場を細分化することで、市場全体にありうるセグメントを洗い出す。

人口統計学変数の一部をセグメントした一例を紹介する。

勤務エリア 東京23区/東京23区外/地方都市/その他の都道府県
社会的地位 役員/役職あり(部長・課長・係長)/役職なし
年収 600万以上/500万〜600万/500万〜400万/400万以下
職業 銀行/不動産業/コンサルティング業/官公庁/建設業/飲食業/小売業

ターゲットグループが具体的を設定するほかにも、今まで気付かなかった市場の存在や、将来のターゲットグループになりえるセグメントの存在に気付くこともある。

Targeting(ターゲッティング:ターゲットを決める)

自社製品のビジョン、ブランドイメージや価格帯がカバーしている消費者グループを選択していく。セグメントを選択することで、おのずとターゲットグループが導き出される。ターゲットは必ずしも1グループである必要はない。自社の製品でカバーでき、かつ長期的目標になることも選定のポイントだ。

Positioning(ポジショニング:自社の独自性を探る)

自社製品の独自性を押し出せるポジションを探しだす。製品やサービスの「強み」や、競合他社に負けない「独自性」が何かを追求する。強みや独自性が明確な企業ほど、長期的にポジションを確保することに成功する。その成功例がアップルであろう。デザインと使いやすさにこだわったアップルは、今や業界でも不動の地位を確立している。

この3つのどれから始めてもよい。行ったり来たりしながら議論を交わすなかで、自社の独自性が何か、また自社製品がぴったりとマッチする消費者グループはどれかが見えてくる

STP分析のフレームワークを使う目的

1. 自社製品の付加価値とマッチする消費者グループを洗い出す

STPの1つ目の目的は、自社製品の付加価値がもっとも高いパフォーマンスをあげる消費者グループを探し出すことだ。市場を細分化し、自社製品をもっとも提供したい消費者グループと、自社製品の価値をもっとも必要としている消費者グループとマッチポイントを探し出す。

2. 自社製品の独自性、差別化のポイントを明確にする

2つの目的は、業界内における自社製品の独自性、差別化のポイントを明確にすることだ。多くの場合、売り手目線の独自性は機能面に多く、ターゲット目線の独自性は目的別であることがある。ターゲット目線の分析が、STPの解を導き出す鍵になるだろう。

STP分析を使った米企業の成功事例

スターバックス ― 社会・経済的地位に焦点を当て、独自のポジショニングに成功

世界的規模のコーヒーのチェーン店、スターバックスのSTPについて考えてみよう。

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Segmentation(セグメンテーション)

スターバックスは、地理的要因と人口統計要因がメインとなるSocioeconomic(社会・経済的地位)に注目してセグメントした。下記にそのセグメンテーションの内容の例を分析する。

勤務エリア 大都市/地方都市/それ以外の都市
社会的地位 役員/役職あり/役職なし
職業 銀行/コンサルティング業/建設業/飲食業/ファッション業

Targeting(ターゲティング)

上記でセグメントしたものから、自社製品のビジョンとブランドイメージにあったセグメントを選択していく。

スターバックスが選んだターゲットグループは「給料が比較的高いオフィスワーカー」であった。具体的に上記のセグメントから選択すると、「大都市に勤務する役職のある銀行員、コンサルタント」がターゲットグループに含まれる。

セグメントを細分化し、選択することで、ターゲットをより具体的に設定することができる。

Positioning(ポジショニング)

スターバックスの業界におけるポジショニングは「高価格・高品質」である。

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高価格ではあるものの、納得できる品質と、消費者を楽しませてくれる刷新的な商品開発、質の高いサービスを提供することで、コーヒー業界においてプレミアムなポジショニングを確立した。

スターバックスの創業者であるハワード・シュルツは、スターバックスを家でもなく、会社でもない、人々が集まり、リラックスして交流ができる「第三の場所」として提供したいというビジョンがあった。

ターゲットとした「給料が比較的高いオフィスワーカー」にとっての「第三の場所」を、スターバックスはターゲットの視点から以下のように分析した。

彼らは、休憩時間を使って、コーヒーショップで情報収集をしたり、ゆっくりと考えたりする時間を大切にする。安さと早さが売りのコーヒーよりも、少々値段がはっても、多少時間がかかっても、プロがいれる美味しいコーヒーを飲みたいと思う。硬くて座り心地の悪い椅子よりも、ゆったりとした座り心地のよいソファを好む。デザインや配色も重要だ。音楽はポップスよりもジャズなどの落ち着いた曲を選曲する。

スターバックスは自社のビジョンをターゲットにあわせて具現化した。スターバックスの目指したポジションと消費者グループが認識しているポジションがマッチしていたということは、スターバックスの世界的な成功が証明している。

バーツビーズ ― 時代の新しい価値観を持つ消費者グループの心理をつかむ

世界30,000店舗に製品を卸す米自然派ボディケアブランド、バーツビーズのSTPについて考えてみよう。

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Segmentation(セグメンテーション)

心理学(ライフスタイル)に注力したセグメンテーション。下記にバーツビーズのセグメンテーションを分析する。

ライフスタイル 都会的/自然派
嗜好 見た目の美しさと購入店の知名度を重視する/無農薬で、生産者にこだわる健康志向
購買行動 価格の高い豪華なものを好む/シンプルで必要以上に価格の高くないものを好む

Targeting(ターゲティング)

バーツビーツは、これらのセグメンテーションのなかから、「健康的な生活を望み、自然な美しさを求めている人物」をターゲットに選んだ。さらに細かく言えば、すでにオーガニック製品は愛用しているが、同価格もしくは少し安い価格の製品であれば購入してみたいと考えている消費者であろう。

(参考:Burt’s Bees Marketing Plan

Positioning(ポジショニング)

バーツビーツの場合、ブランドイメージの競合はニベア、ロレアル、ダヴなどが考えられる。

(参考:http://www.slideshare.net/seanpauldcu/burts-bees

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どのブランドもドラッグストアに並ぶ製品で、低めな価格帯だが、大きな差別化はこのマップを見てのとおり、たての軸にある。バーツビーズはオーガニックにこだわった自然派の製品を安価に提供するというポジショニングである。

消費者グループのイメージをさらに掘り下げていくと、自然派の製品を好む消費者は、環境問題などへの意識も高い傾向がある。バーツビーズの製品は製品だけではなくパッケージにも再生紙やリサイクル可能なガラス瓶を使用し、肌にも地球にも優しいブランドとして、消費者の欲求を満たした。

バーツビーズが創業した1980年代は、ちょうどオゾン層の破壊や、地球温暖化が騒がれはじめていた。バーツビーズは時代と相まって現れはじめた自然を愛する消費者グループの心理をとらえ、30年の間成長を遂げてきた。

独自のポジショニングに成功した結果、バーツビーズは世界30,000店舗のリテールショップに製品を卸すまでに成長。2000年から2007年の売上は23百万ドルから164百万ドルまでアップしている。2015年10月には日本再上陸を果たし、伊勢丹本店、イセタンミラー東急プラザ表参道原宿店で発売を開始した。

まとめ

STP分析のフレームワークを通して、ターゲットとする消費者グループを具体的に設定できる。ターゲットの具体的なイメージは、彼らが製品に求めている要素を掘り下げる際に役に立つだけでなく、誰もが気付かなかった新たな消費者グループを発見できることもある。新たな市場にも目を向ける機会をつくることになる。

STP分析のポイントは、自社目線だけでなく消費者目線で行うことだ。売り手は消費者にどんな価値ある製品を提供できるのか。消費者はどんな製品を求めているのか。双方が合致したときに、製品はブレイクするのだ。