今さら聞けないオウンドメディアの意味とは?

オウンドメディア
最近、オウンドメディアマーケティングに取り組む企業が増えています。オウンドメディアを提案するウェブ制作会社や広告代理店も増えていて、オウンドメディアが大流行していると言っても過言ではないかと思います。しかし、私は、流行っているからと飛びつくのではなく、その中身をしっかりと理解し、自社に合うかどうかを十分に検討すべきだと思っています。
本記事では、オウンドメディアとは何か? どのようにオウンドメディアマーケティングに取り組むべきなのか? について、分かりやすく説明します。
オウンドメディアの立ち上げに関しては、ダウンロード資料「オウンドメディアスタートブック」もおすすめです。
また、イノーバのBtoB企業専門のWEB サイト制作サービスにご興味がありましたら、こちらもご覧ください。
目次
1. オウンドメディアとは何か
1-1. オウンドメディアの定義の確認
オウンドメディアとは何でしょうか?
オウンドメディア(Owned Media)は、広義では、自社が所有する(Owned)メディアを意味します。例えば、ホームページ、ブログ、ツイッターアカウントなどです。狭義では、企業が運営するウェブマガジンやブログをオウンドメディアと呼んでいます。日本では、一般的には狭義で使われており、企業が運営するウェブマガジンを指すことが多いです。
1-2. オウンドメディアのトレンドを知ろう
オウンドメディアが注目されるようになったのは、SNSが普及したためです。2011年~2014年にかけて、FacebookやTwitterなどの海外製のSNSが普及し、ユーザーを多く集めました。それをビジネスに活用しようと、ソーシャルメディアマーケティングとは呼ばれるブームが起きました。
その後、ソーシャルメディアだけでは自社のビジネス成果につながりにくいことが分かり、自社のウェブサイトをコンテンツメディア化して、検索エンジン対策(いわゆるSEO)やSNS対策も併せて実施する手法が登場しました。それがオウンドメディアが伸びてきた背景です。(2015年7月にジャストシステムが行った調査によれば、オウンドメディアという言葉を認知している人が回答者全体の約4割になっています。)
オウンドメディアの事例について詳しく知りたい方はこちらから
1-3. トリプルメディアとは何か? (オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディア)
オウンドメディアに関連して必ず出てくる言葉が、「トリプルメディア」です。トリプルメディアとは、企業が見込み客にメッセージを伝えるために利用するメディアを分類するための考え方です。その性質に合わせて、オウンドメディア(Owned=自社が所有するメディア)、ペイドメディア(Paid=広告費を払うメディア)、アーンドメディア(Earned=SNSなど自然拡散するメディア)と3分類できるので、トリプルメディアと呼ばれています。(トリプルメディアに関する詳しい解説はこちらの記事から!⇒成功事例で学ぶ!トリプルメディアの特徴と連携戦略のポイント)
従来、企業は広告(=ペイドメディア)中心で広告宣伝をしてきましたが、今の時代は、SNS(=アーンドメディア)や、自社サイト(=オウンドメディア)を組み合わせて使いこなすのが大事だという考え方です。以下の図を参考にしてみてください。

オウンドメディア施策においては、一般的には、オウンドメディア(ウェブマガジン)を企業が発信する情報のハブとして活用します。ウェブマガジンの内容をSNSに投稿してファンの間での自然な口コミを狙ったり、外部のペイドメディア(ネイティブ広告など)を活用したりして、新規ユーザーの増加を図るのが一般的な活用方法です。
参考:マーケティングオートメーションとは何か?機能と導入のメリット
1-4. オウンドメディアの強みと弱みとは?
オウンドメディアをしっかりと理解したい方に向けて、3種類のメディアそれぞれの特徴や役割を下記に示します。
一般的には、オウンドメディアは、育てるのに時間がかかりますが、自社のメディアとして永続して利用できるのが特徴です。ペイドメディアは、即効性はあるものの、消費者への説得力が弱いのが特徴です。また、アーンドメディアは、企業がコントロールするのは難しいですが、良い口コミを起こせれば企業の信用度が増すので、メリットがとても大きいチャネルです。それぞれの強み・弱みを把握して、組み合わせて使うのが重要です。
1-5 オウンドメディアとコンテンツマーケティング、インバウンドマーケティングの関係は?
オウンドメディアとコンテンツマーケティングは何が違うのでしょうか?
コンテンツマーケティングは、顧客に価値ある情報を届けることによって、顧客との信頼関係を醸成し、自社の商品やサービスを販売、リピート化・ファン化させることを指しています。オウンドメディアは施策の一部として構築することが多いですが、メールや動画、プレスリリースなど、さまざまなコンテンツを組み合わせて実施するのがコンテンツマーケティングです。
一方、インバウンドマーケティングは、従来のプッシュ型の広告手法や販売手法ではなく、プル型のマーケティングをすべきだという考え方です。自社サイトにブログ(=オウンドメディア)を構築して検索やSNSで拡散させる点で、オウンドメディア施策と共通点があります。
コンテンツマーケティングは、手段としての「コンテンツ」に注目した考え方で、インバウンドマーケティングは、プル型かプッシュ型かという違いに注目した考え方だと言えるでしょう。

2. なぜオウンドメディアが注目されているのか?
では次に、なぜオウンドメディアに注目が集まっているのかを見ていきましょう。
2-1. 広告手法の限界
第一には、従来の広告手法が通用しなくなっているからです。消費者が広告を無視したり、広告を見ても反応しなかったりするという現象が起きています。インターネットのバナー広告は、2000年頃には10%程度のクリック率がありましたが、今では1%を大きく下回っています。さらに、今後のスマートフォンには、広告ブロック機能が搭載されつつあります。従来の集客施策の中心であった広告が機能しなくなったので、オウンドメディアの必要性が高まっているのです。
2-2. 検索エンジン対策のトレンドに対応するため
従来、検索エンジン対策(SEO)は、専門のSEO業者に頼んで、自社サイトにリンクをはってもらう、いわゆる被リンク(人工リンク、リンクファームなどとも呼ぶ)という手法が一般的でした。しかし、検索の最大手企業であるGoogleがこの手法の取り締まりを強化。特に2011年以降に、Googleは、「パンダ」や「ペンギン」、「ハミングバード」と呼ばれる多くのアルゴリズム変更を行い、現在は、質の高いコンテンツが上位に表示されるようになっています。
2-3. 広告費の適性化を図るため
これまで企業は、即効性の高いリスティングに依存してきましたが、実は、ユーザーは、広告をクリックしなくなっています。2012年時点の調査ですが、自然検索は、広告の4倍もクリックされているにも関わらず、使われているお金はリスティングの1/10にとどまっていました。現在、企業は、リスティング広告予算は抑えて、自然検索からの流入を増やすための投資を増やしています。オウンドメディアも、そのトレンドに乗っています。
2016年7月におけるSEO市場予測はこちらをご参照ください。リスティングとは違い、オウンドメディアは、投資しただけ資産になり、またオーガニックからの流入が増やせるので、今後も取り組む必要があります。
▶クロスフィニティ、「2016年度版国内SEO市場予測 (2014-2018)」を発表
https://www.crossfinity.co.jp/news/20160726_01.html
2-4. SNSやキュレーションメディアなどのトレンドに対応するため
今では日本でもFacebookやTwitterなどのSNSが広く使われるようになりました。質の高い記事は、ユーザーが自らFacebookやTwitterなどでシェアをするのが一般的となり、「口コミ」経由で、記事が伝わるようになりました。
また、最近人気のGunosyやSmartNewsなどのキュレーションメディアですが、彼らが記事をキュレーションする(まとめる)アルゴリズムは、ソーシャルのシェア数が多い記事を中心に選んでいます。オウンドメディアで質の良いコンテンツを作ることにより、SNSやキュレーションメディアなどにも表示されるようになるのです。
3. 企業がオウンドメディアに取り組むメリットとは
では次に、なぜ企業がオウンドメディアに取り組むのか、その理由を簡単にまとめていきましょう。弊社が考えるオウンドメディアのメリットは以下の通りです。
3-1. 広告宣伝費をカットできる
あなたのビジネスは広告依存になっていませんか? リスティングの費用がかさむ、ショッピングモールでの広告費支払いがかさむなど、広告依存は頭の痛い問題です。オウンドメディアに取り組む事で、この広告費依存体質から脱出する事ができます。
オウンドメディアに、コンテンツを蓄積すると自然検索での流入が増えて行きます。広告は止めてしまうと、売上が落ちますが、オウンドメディアは、ストック効果があるので、広告と違って更新を止めても、アクセスが維持されます。過去の記事であっても、検索やSNS経由で読まれるからです。オウンドメディアは、まさに、顧客を生み出すコンテンツ資産を貯める事と同じなのです。
3-2. 圧倒的なブランディング
2つめの重要なポイントは、ブランドの構築です。オウンドメディアに専門性の高い記事を蓄積する事で、読者が繰り返し訪問して記事を読むようになります。記事による「役に立つ情報の提供」によって、皆さんの会社が「専門家」として認識され、信用されるようになるのです。米国でコンテンツマーケティングに取り組んだプールの工務店では、ブログを30ページ読んだ人は成約率が80%だったそうです。ブログでブランディングができているので、売込みが不要だからです。同様の効果は弊社も実感しています。弊社のブログや書籍を読んでくれているお客さんは、そうでない人に比べて成約率が2倍から3倍程度高いと感じています。
ペルソナを作るうえで、「顧客インサイト」は特に重要です。「インサイト」という言葉はちょっとわかりにくいので、「隠れたホンネ」といった意味でとらえるといいでしょう。「どうして買ったのか?」「ためらった理由は何か?」などを明確にすることで、顧客の興味や関心をかなり深く理解できるようになるはずです。
3-3. 顧客のロイヤルティを高められる
3つめのポイントは、顧客ロイヤルティ(忠誠心や愛着)を高められることです。顧客に役に立つ情報を出し続けると、「こんなに役立つ情報を惜しげもなく提供してくれるなんて、いい会社に違いない」という印象を与え、顧客のロイヤルティが高まっていくのです。ロイヤルティはビジネスにさまざまなメリットをもたらします。たとえば、他社との比較検討がされにくい、価格競争に巻き込まれにくい、継続発注をもらいやすいなどです。
3-4. 幅広い地域を対象にできる
4つめは、幅広い地域をターゲットにビジネスを展開できることです。オウンドメディアを活用する事で、宮崎の企業が東京の一流企業と取引をしたり、東京の会社が地方のメーカーと取引をしたりする例が出ています。また、これまで海外進出は非常にハードルの高いものでしたが、オウンドメディアを多言語で展開することで海外からの問合せを獲得する事も可能です。
ジャストシステムが2015年7月に実施したオウンドメディアの運用目的に関する調査「オウンドメディア活用実態調査2015」では、運用目的の中で回答が多いのは、ブランド認知と顧客・リードの獲得で、全体の8割弱になっています。ついで、リード育成やエンゲージメント(それぞれ50%、61%)、SEOやウェブサイトへの流入増加(44%、56%)と続きます。顧客のロイヤリティ向上や採用目的も3割弱程度いるのが興味深いところです。
4. タイプ別のオウンドメディアの事例を研究しよう
さて、オウンドメディアの概要を理解した所で、次は、オウンドメディアの事例を見て行きましょう。さまざまな企業がオウンドメディアに取り組んでいるので、全部を紹介する事はできませんが、概要をお伝えしたいと思います。
以下は、弊社が分析したオウンドメディアのパターンです。検索流入を狙う検索型、SNSでのシェアを狙うソーシャルメディア型、ブランド名やサイト名での流入を狙うブランド型、バランス良く流入を稼ぐバランス型があります。
以下の図表を参考にして、自社がどのパターンを目指すか考えてみてください。
オウンドメディアのタイプが分かった所で、次は、自社の同業他社がメディアを運営していないかどうか、運営している場合は、どのようなメディアを運営しているのかチェックしましょう。検索エンジンで「美容 オウンドメディア」、「不動産 オウンドメディア」と検索すれば、すぐに見つかりますし、オウンドメディアミー(http://www.ownedmedia.me/)などを参考にしてもいいと思います。
また、オウンドメディアの上級編の使い方としては、ライオンの暮らしの情報サイトLidea(リディア)が挙げられます。洗濯、掃除、歯とお口の健康、からだの健康・美容、子育ての5分野について、くらしの中で生じる疑問や悩みに応えるコンテンツを出しています。
DMPと呼ばれる顧客データを蓄積する仕組みを導入していて、ビックデータ解析や広告との連動なども視野にいれた大変先進的な取り組みになっています。ライオンのようなメーカーが、顧客データを直接収集する動きとして私も大変注目しています。
https://markezine.jp/article/detail/21215
弊社でも、コンテンツマーケティングの事例集をまとめていますので、ぜひチェックしてください。
オウンドメディアの事例について詳しく知りたい方は以下をどうぞ
5. オウンドメディア立ち上げから運用までのプロセス
では、オウンドメディアの事例を通して理解が深まった所で、次に、実際に自社でオウンドメディアに取り組むための方法を説明します。オウンドメディア立ち上げから運用までのプロセスは、以下の図のようになります。
オウンドメディアの始め方について詳しく知りたい方は以下をどうぞ
オウンドメディアの戦略について詳しく知りたい方はこちらから
[1] 目的とゴールの設定
オウンドメディアを成功に導くため、初めにすべきことはオウンドメディア設立の目的と目標を明確にすることです。
「競合がやっているから」や「流行っているから」などの目的ではなく、明確な目的で実施しましょう。
目的の例)ブランド認知度の向上、リード(見込み客)の獲得、リードナーチャリング(見込み客の育成)、エンゲージメント(顧客との接触)の増加、既存顧客のロイヤリティを高める、オピニオンリーダーになる
また、オウンドメディアで、どのような数字目標を達成するのかも合わせて設定しましょう。会社の売上目標やマーケティング目標から逆引きする事もありますし、他社の事例などを参考にこれくらいの数字を目指したいという形で設定する事もあります。
この目的をもとに、オウンドメディアのKGIとKPIを設定しましょう。以下のように、3段階で設計するのが効果的だと考えています。
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KGIの設定
ここで気をつけるべきことは、目的と合致したKGIを設定することです。例えば、「オピニオンリーダーになる」ことをオウンドメディア設立の目的にした場合、「新規受注件数」をKGIにすると合致していないことがわかります。ふさわしいKGIとしては、「SNSでのシェア回数」といったところでしょうか。
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1サイトへの流入から問合せや売上に至る経路(ファネル)を段階的に評価
全体のKPIは、以下の図のように、流入から問合せを追跡していき、どこに改善ポイントがあるのかを見つけていきます。サイトへの流入数が多くても、問い合わせが少なければ、売上は増加しません、最初から全体のKPIを設計しておくことで、改善が進むようにしておきましょう。
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コンテンツそのものの良し悪しを個別に評価するコンテンツのKPI
こちらは、ウェブ解析業界で著名な小川卓さんから伝授して頂いた考え方です。以下の4指標で個別のコンテンツを評価していきます。(詳しくはこちら!)
- 「集客力」:個々のコンテンツへの訪問者数や流入数
- 「閲覧力」:ページの滞在時間や読了率
- 「誘導力」:直帰率や離脱率
- 「成果力」:コンバージョン率(中間コンバージョン含む) コンバージョンについてはこちら!(「コンバージョン」とは? <マーケティング用語解説>)
上記の3段階のプロセスを具体的な流れが以下の図です。
目的:オウンドメディアを通じてリードを獲得し、売上を増加したい
KGI:年間売上20%増加
KPI:
- 認知獲得系コンテンツ:集客数
- 理解促進系ダウンロードコンテンツ:ダウンロードページ訪問数
- 検討促進系コンテンツ:検討アクション数
- 問い合わせ:商談化数
個別的に評価するKPI
- 集客数:PV数、UU数、直帰率、離脱率など
- ダウンロードページ訪問数:ダウンロード数、ダウンロード率など
- 検討アクション数:資料請求数、資料請求率など
[2] ペルソナ設計 (ターゲット設計)
オウンドメディアでは、想定する読者の立場に立ってコンテンツを企画・制作しなければ、価値のある情報を提供できません。想定する読者像は、「ペルソナ」として資料にし、関係者のあいだで共有します。これによって読者の関心や興味にあったコンテンツの準備につなげやすくなります。
コンテンツを作成する時も、そのペルソナがどのように反応するかと常に意識することで、効果の高いコンテンツを制作することができます。下記の例で「現在の状況」としてまとめられているように、ペルソナのニーズや課題を、ストーリーとしてまとめておくのがおすすめです。
[3] 運用体制の構築
オウンドメディアを継続するためには適切な人材の確保が不可欠です。チーム体制でオウンドメディア運用を実施していくのが望ましいでしょう。以下に、オウンドメディア運用にあたって必要なことをまとめてみました。
- 全体の進行管理
- SEO設計
- テーマ決め/コンテンツの企画
- ライティング(タイトルのコピーライティング含む)
- リサーチ
- 画像収集
- 原稿チェック(コピペチェック、事実チェック含む)
- コンテンツ公開
- SNSでの拡散
- 効果計測(SEO分析含む)/レポーティング
上記の業務を、ディレクター・編集者・ライターと分業して進められるのが好ましいです。ただ、他のマーケティング施策の実行で人手が足りないというのが現実だと思います。そこで、以下のキーポイントだけは最低限抑えて欲しいです。
- オウンドメディアの責任者を決めておくこと
- 記事の執筆とレビューは違う人が担当すること
- KPIの達成度合いを定点観測し、改善活動を行うこと
人員を確保するにあたって、まず社内から探しましょう。
ウェブサイトの運用担当者、営業資料や製品・サービスカタログの制作を経験しているスタッフやプレスリリースを書いている広報担当者、 社内報などの担当者がいれば、最適です。
社内リソースがたりない場合、社外のライターや制作会社に依頼するのもひとつの選択肢です。最近はフリーのライターに簡単に依頼できるクラウドソーシングのサービスなどもありますが、質があまり良くないので、個別にライターを探す方がいいでしょう。ライターに仕事を発注する場合の注意点としては、ライターは書くプロであり、マーケティングのプロではありません。
基本的に、コンテンツの質は発注者にかかっているという心構えが必要です。外資系の優れたマーケターは、外注に発注するときに、しっかりと発注内容や達成した目標を記したブリーフィング資料(説明資料)を作成しています。コンテンツを発注する際には、(先方が個人であればなおさら)できるだけ条件や仕事の進め方を明確にして発注しましょう。
コンテンツ制作については以下をどうぞ
誰でも簡単にできる! 地味なテーマからバズるコンテンツを生み出す方法
[4] エディトリアルカレンダーの作成と運用
エディトリアルカレンダーの作成による運用も有効です。オウンドメディアでは長期的な取り組みがなにより重要ですが、ブログの開始後しばらくして更新が止まってしまう残念な例も少なくありません。コンテンツの更新で挫折しないためには、コンテンツの公開スケジュールを月ごとにまとめた「エディトリアルカレンダー」を用意し、計画的に取り組むことが重要です。
弊社の場合は、最初から書籍を出版したいと考えていたので、書籍の目次をイメージして、エディトリアルカレンダーを作っておきました。こうしておくと、1年後にオウンドメディアの記事が溜まった所で、出版を進める事ができるので大変効率的です。このようなコンテンツの再利用は、大変有効な施策ですので、是非参考にしてください。
イノーバのエディトリアルカレンダーは下記から無料ダウンロードできます。
- 年間エディトリアルカレンダー http://innova-jp.com/library/editorial-calendar/
- 月間エディトリアルカレンダー http://innova-jp.com/library/editorial-calendar-monthly/
[5] オウンドメディアの立ち上げ
オウンドメディアを立ち上げる際のプロセスは、サイト名の決定→デザイン→ドメインの決定→構築、という流れになります。
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サイト名の決定
名前に関しては、印象に残りやすく、趣旨と一致した名前にしましょう。以下に例をあげます。
例)イノーバブログ(弊社)、くらしの良品研究所(良品計画)など
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デザイン
デザインについて、悩まれる方は多いと思います。さまざまなデザインがありますが、最近では1カラムのデザインを採用するサイトが主になりつつあります。
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ドメインの決定
オウンドメディアを作る際には、専用のドメインを取得すべきか、コーポレートサイトやサービスサイトの一部とすべきか悩まれると思います。
独立したドメインは、メディアとしての中立性を保つことができる、デザイン上の自由度が高いなどのメリットがありますが、一方で、新規ドメインとなるためSEO上の効果が弱く、記事が蓄積するまで検索流入が増えにくいというデメリットがあります。
このデメリットを回避するには、別ドメインではなく、既存サイトにオウンドメディア用のサブディレクトリを設けてそこにコンテンツを追加するアプローチが有効です。メディアとしての中立性やデザインの独自性は出しにくくなりますが、既存ドメインのSEOパワーを受け継げるメリットがあります。
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構築
サイト名やドメイン名が決まったところで、次にいよいよオウンドメディア構築に移っていきます。オウンドメディア構築にあたっては、外部のウェブ制作会社に依頼をして、専用のメディアを構築してもらう必要があります。最近はCMSと呼ばれるウェブサイトが簡単に更新できるソフトが出回っています。CMSを利用して構築してもらう事で、その後の更新を自社で簡単に行う事ができるようになります。
Wordpressを始めとする無料のCMSもありますが、セキュリティの脆弱性が難点としてあげられるため、有料のCMSの方が安心と言えるでしょう。
参考:CMSとは何か? 導入のメリットや選定で押さえるべきポイントとは :: 株式会社イノーバ
[6]コンテンツの作成
コンテンツは、対策キーワードの選定→テーマの決定→アウトラインの作成→制作(執筆)→編集・校正、の順で作成していきます。
参考:コンテンツ制作を始める前に理解しておくべきマインド・内容・体制・流れ
[7]コンテンツの拡散
コンテンツができたらそれをオウンドメディアに公開するわけですが、その際にもポイントがあります。それは、コンテンツを公開したら、とにかくコンテンツ拡散のためにありとあらゆる努力をするという事です。会社や自分のSNSアカウントでシェアをする、メールで既存の取引先や見込み客に通知をするなど。プレスリリースを発信する、あるいは業界の著名な人にメールをして、ブログで紹介してもらうのもいいでしょう。
予算に余裕があれば、Outbrain、ログリー、Yahooのコンテンツディスカバリーなどのネイティブアドに挑戦するのもいいでしょう。特に、オウンドメディアの立ち上げ直後は、知名度が低いので、プレスリリースなどを上手く活用して拡散していきましょう。
[8]改善
コロナ禍に伴う生活様式のオンライン化によって、コンテンツマーケティングに取り組む企業は急増しました。同じようなターゲットペルソナを持つ企業がいれば、当然その会社との間に競争が生まれます。日々ユーザー視点で競合となるメディアを分析し、自社のコンテンツの質を高めることが重要なのです。下記にチェックポイントをまとめました。
参考:競合サイト・ホームページを解析する方法 :: 株式会社イノーバ
1. 回遊性
コーポレート サイトとビジネスブログ間の移動が簡単であること、カテゴリーや人気記事ランキングなど記事を回覧しやすいレイアウトになっていることが必要。
2. ソーシャルメディア対応
ソーシャルメディアのシェアボタンが記事ページのわかりやすい場所に設置されていること。
3. 記事の下などにCTA(コールトゥアクション:行動喚起)が付けられている
CTA とは資料ダウンロードページや商品ページへの誘導バナーなど、オウンドメディアの読者に次に見てほしいコンテンツへの誘導バナーや誘導リンクのことです。
特に、CTAを付け忘れていたり、効果的な場所に設置されていなかったりすると、「集客できても問い合わせが増えない」とう悲しい現象が生じます。CTAに関しては、どの場所に置くのが効果的なのかを考慮して、配置して行きましょう。
オウンドメディア運営で良くある質問
Q. オウンドメディアの記事数は何本を目標にしたらいいのか? また、1記事何文字がいいの?
A. 正解はないですが、いくつかの目安はあります。ひとつはターゲットにしたい検索キーワードの数。オウンドメディアは、基本的にロングテールキーワードと呼ばれる組み合わせキーワードを狙っていきます。キーワードは5〜10個ではなく、最低100個〜200個をリストアップしておきたいところです。もう一つは、競合の記事数。意識している競合や目標としているメディアの記事数を調べて、それをいつまでに追い越すかという作戦を立てましょう。
米国のHubspotの資料によれば、記事が多ければ多い程アクセス数は増えて行くとの結果が出ています。以下は月間のブログの本数と獲得できるリード(見込み客)のグラフですが、これを見ると、週2~3本位がおすすめだと分かります。

Q. オウンドメディアのSEO対策はどうしたらいいの?
オウンドメディアのSEO対策としては、以下の点が重要になります。
- オウンドメディア構築時にGoogleがクロールしやすいサイト構造にしておくこと
- きちんとキーワードのリサーチを行い、読者が読みたくなる、内容の深い記事を書くこと
- コンテンツを公開したら、徹底的な拡散施策を行い、ソーシャルのシェアを増やすこと
- 外部内部問わず、関連する記事を紹介すること
- 画像や動画などを積極的に使うこと
基本的にコンテンツの質が重要となっていますが、いまだに被リンクは重要です。しかし、有料の被リンクは完全にNGなので、自社の関連サイトからリンクを貼ったり、あるいは、ソーシャルで拡散したりして、自然にリンクが増えていくように心がけましょう。
Q. オウンドメディアとFacebookとの使いわけはどうしたらいいの?
オウンドメディアは、ストック型のメディア、Facebookはフロー型のメディアです。必ず検索されるようなコンテンツはオウンドメディアを中心に載せていき、検索されないようなトレンド情報などは、Facebookの載せるといいでしょう。また、オウンドメディアに載せた記事は、必ずFacebookに投稿して拡散すること。組み合わせて使うのが大事です。
6. オウンドメディアを外注する際のポイント
オウンドメディアを外注する際には、いくつか外せないポイントがあります。
- SEO、UI/UX、問合せを最大化する事を考慮したオウンドメディア構築
- 自社のマーケティング目標を達成するための戦略立案
- ターゲット顧客やSEOを意識したコンテンツ作り
- 効果を最大化するための運用(レポート/PDCA)
最近は、オウンドメディアが流行っているので、オウンドメディアパッケージを用意している場合がありますが、安価なパッケージは、サービスの提供範囲が狭いので、注意しましょう。特に、最近では、検索流入は集まっていますが、問合せにつながっていないケースが多いと聞きます。そのような場合には、オウンドメディア自体に問い合わせへの導線が無かったり、問い合わせを作るためのコンテンツが不足していたりするケースがあるので、気をつけてください。
7. オウンドメディアについてより深く学ぶには?
では、記事の最後にオウンドメディアについて深く理解するための参考書籍を紹介しましょう。
オウンドメディアに関するおすすめ書籍
手前味噌ですが、弊社も2冊の本を出していて、どちらもオウンドメディアの活用に関して書いてあります。オウンドメディア以外のコンテンツの活用に関しても書いてあるので、ぜひ参考にしてください。「商品を売るな」は事例が中心でどちらかというと経営層向け、「いちばんやさしいコンテンツマーケティング」は実務者向けです。
特に一番やさしいコンテンツマーケティングは、本当に惜しみなくノウハウを開示しています。同業他社の方とお会いして「本読んでます」と言って頂く事もある程です。是非手に取ってみてください。
もし、翻訳書が嫌でなければ、以下の2冊もおすすめします。英語の翻訳書なので説明がくどい、概念的などの嫌いはありますが、やはり、オウンドメディア先進国のアメリカの本なので、参考になる考え方が沢山詰まっています。
より、本質を知りたい人には、少し古いですが、以下の書籍がおすすめです。
パーミッション・マーケティングは、Yahooの取締役をつとめたセス・ゴーディンの本で、インターネットマーケティングで特に大事なユーザー中心の考え方を学べる本です。グランズウェルは、SNSがどのように情報流通や購買を変えたかを数字を元に明確に語っています。ビジネスで一番大切なことの一つである、企業が陥りがちなマーケティング上の落とし穴について語ってあり、私もいつも自分を戒めるために読んでいます。
なお、弊社では、コンテンツマーケティング事例集も公開しています。またマーケティングに役立つオンラインセミナーも様々なテーマで毎月開催中です。ぜひチェックしてください。
まとめ
オウンドメディアについて理解いただけたでしょうか。オウンドメディアは従来の広告手法と違い、「予算」や「知名度」がなくても誰でも始めることができ、ユーザーの役に立つ情報を発信することで確実に成果が得られる、次世代のマーケティング手法です。ぜひこれを機に、御社のマーケティング戦略の一部に加えていただきたいと思います。
また、イノーバでは企業のオウンドメディア開設/運用に伴う企画/制作面を一手にサポートしています。
オウンドメディアを始めるにあたって、「何から手を付けていいか分からない」「業界の事例を知りたい」「費用の相場感を掴みたい」といったお悩みをお持ちの方は一度お問い合わせください。
また、イノーバでは、オウンドメディアの立ち上げや戦略、運用体制に関しては、ダウンロード資料「オウンドメディアスタートブック」、集客から見込み客の獲得や商談の創出を可能にするウェブサイトへリニューアルに関しては、BtoB企業専門のWEB サイト制作サービスをご用意しております。是非、ご活用ください。
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