BtoB、toCに関わらず、企業が認知度を高め、顧客との関係性を構築する手段としてブランディングは欠かせない要素の一つといえるでしょう。しかし、欠かせない要素であるからこそ重要になるのが、自社のブランドをどう伝えるかです。あらゆる業種でコモディティ化が進むなか、商品やサービスの質だけで差別化を図るのは簡単ではありません。そこで注目を集めているのが、顧客の感情に働きかけられる情緒的な付加価値の発信を行うストーリーブランディングです。今回は、特にBtoB企業が行うストーリーブランディングのメリットや作り方を見つつ、顧客に伝わるブランドストーリー作成のポイントをお伝えします。
ストーリーブランディングに欠かせないストーリーテリングとは?
ストーリーテリングとは、他者に何かを伝える際に「物語」を使って伝える方法を指すものです。ストーリーブランディングを実施するには、このストーリーテリングについて理解しなければなりません。
一般的にブランディングとは、自社のポリシーやミッション、企業ロゴ、キャッチフレーズなど多様な要素を組み合わせ顧客に訴求することで、ブランドを形成していく活動です。そして、ストーリーブランディングは、訴求する手段としてストーリーテリングを活用します。
たとえば、単純にミッションを伝えるのではなく、なぜ、そのミッションを掲げるようになったのかを物語として伝えれば、より伝わりやすいメッセージになるでしょう。
企業側が発信するメッセ―ジに物語という情緒性を付加したものがブランディングにおけるストーリーテリングであり、ストーリーブランディング作成の基本です。
BtoB企業がストーリーブランディングを行うメリット
消費者を対象としてブランディングを行うBtoC企業であれば、ストーリーブランディングは有効であるが、BtoB企業には必要ないと思われるかもしれません。しかし、BtoB企業であってもストーリーブランディングの実施によりさまざまなメリットが得られます。具体的には次のとおりです。
認知向上・競合との差別化につながる
多くの業種で市場が成熟し、製品・サービスのコモディティ化が進んでいる現在、単純に製品やサービスの質だけでは認知も得られず、競合との差別化も困難です。特にBtoB企業においては、BtoCのように衝動買いの可能性は低いうえ、すでに競合と長期的な関係性を構築している企業に態度変容をしてもらわなければなりません。
そのため、単純にメッセージを伝えるのではなく、独自の物語としてストーリーを伝えることで、気づいてもらいやすくなり、競合との差別化にもつながります。
わかりにくい商品の価値を表現できる
BtoB企業が提供する商品やサービスは専門的な知識を必要とするケースも多く、単純に機能や価値を訴求するだけでは伝わらない可能性があります。そこで、ストーリーブランディングを活用すれば、製品やサービスがどのように役立つのか、どのような問題を解決できるのかをわかりやすく伝えられるようになるでしょう。
顧客と感情的な関係性が構築できる
ストーリーを語ることで顧客に強い印象を与え、感情的な共感を生み出せやすくなり、顧客との関係性強化にもつながります。顧客がブランドのストーリーに共感すると、ブランドとのつながりを感じられるようになり、その結果、長期的な関係性を構築も期待できるでしょう。
ブランドストーリーの作り方
BtoB企業がブランドストーリーを作成するには、まず、ストーリーを構成する要素を策定し、次にそれぞれの要素がどのような役割を持つかを決める必要があります。ここでは、ブランドストーリーに必要な主な要素である、「キャラクター」「プロット」「舞台設定」「テーマ」について、それぞれの役割について見てみましょう。
キャラクターの概要と役割
- キャラクターとは?
ストーリーブランディングは、物語であるため必ずキャラクター(登場人物)が必要です。社長、現場の社員、製造担当者など誰の目線でストーリーを語るかはストーリーブランディングの作成においてもっとも重要なポイントになります。
- それぞれのキャラクターの役割
社長:企業のリーダーとして、企業の理念やビジョンを伝える役割です。企業を創業した背景、企業の成長過程、社長自身の信念や価値観を伝えることで企業のブランドイメージを形成します。
現場の社員:企業の製品やサービスの品質や提供する価値を伝える役割です。製品やサービスの開発過程や、顧客とのやり取りなどを伝えることで、顧客との共感を呼び起こすことも可能になります。
製造担当者:企業の製品やサービスの製造過程における物語を伝える役割です。製品やサービスの品質を高めるための工夫や製造の裏話を伝えることで、企業の技術力や品質管理の高さをイメージづけられます。
プロットの概要と役割
- プロットとは?
プロットとは、創業のきっかけや困難を乗り越えたエピソード、製品やサービスの開発過程など、ストーリーの筋書きや展開を指すものです。プロットがしっかりとしていないとストーリーが伝わりにくくなるため、起承転結を軸に構成していく必要があります。
- プロットの役割
プロットの最大の役割は、ストーリーをわかりやすく伝えることです。また、企業側のメッセージだけをわかりやすくするのではなく、顧客にとってのメリットや価値をわかりやすくするのもプロットの重要な役割といえます。
舞台設定の概要と役割
- 舞台設定とは?
舞台設定とは、ストーリーが展開される場所や時代、環境などです。企業の成り立ちをストーリーで語るのであれば、創業時が舞台であり、設立を決意した場所、その時の社長の状況などを舞台として設定します。
- 舞台設定の役割
舞台設定の役割は、ストーリーの背景を明確にすることです。前述した企業の成り立ちであれば、当時の時代背景をストーリーに盛り込むことで、顧客の共感を生みやすくなります。
また、製品やサービスの特徴を伝える場合、提供される場所や環境、使用される技術や素材などを舞台とすることで、製品やサービスの特徴をより明確に伝えられるでしょう。
テーマの概要と役割
- テーマとは?
テーマとは、ストーリーの中心となるメッセージです。創業ストーリーであれば、創業を決意した思い。新製品開発ストーリーであれば、製品をとおして実現したいことをテーマとします。そして、そのメッセージを伝わりやすくするために作成するのがストーリーです。
- テーマの役割
テーマの役割は、強いメッセ―ジを生み出すことにあります。テーマが明確に決まっていないと、ストーリーも曖昧なものとなり、強いメッセージを伝えられません。テーマを明確にすることで、ストーリーがわかりやすくなり、顧客へ強いメッセージを伝えられるようになります。
ストーリーブランディングの戦略立案を行うためのポイント
ストーリーブランディングの戦略立案を行うには、主に3つのポイントを意識する必要があります。具体的には次のとおりです。
ブランドのミッションやバリューを明確にする
ブランドのミッションやバリューの明確化により、企業のストーリーを作成する上での方向性も明確になります。また、明確なミッションやバリューは、ストーリーのテーマともなるため、まず取り組むべきポイントです。
ターゲット層に合わせたストーリーを作成する
ターゲット層に合わせたストーリーの作成により、顧客に自社のブランドをより魅力的に見せられるようになります。また、ターゲット層に合わせたストーリーを作成することで、顧客からの共感を得やすくなり、関係性強化にもつながるでしょう。
ストーリーをマルチチャンネルで展開する
ストーリーをマルチチャンネルで展開することで、顧客にとってアクセスしやすい形でストーリーを伝えられるようになります。テレビCMやSNS、Webサイト、イベントなど、複数のチャンネルを活用することで、より多くの顧客にストーリーを伝えることも可能です。また、マルチチャンネルでの展開が、顧客との接点増加にもつながるため、新規顧客の獲得や既存顧客の維持にもつながります。
BtoB企業におけるストーリーブランディングは今後さらに重要になる
ストーリーブランディングの重要性は今後ますます高まっていくでしょう。BtoBにおいてブランディングを成功させるには、ブランドアイデンティティとブランドコネクションの設計がポイントです。顧客との共感を生み出し、共に価値を創造していく姿勢が求められます。
イノーバは、見込み顧客を引き付け、育成し、ファンに変えていくコンテンツマーケティングのプロフェッショナルです。ブランドストーリーの設計から、Webサイト、ブログ、SNS、メルマガなどを通じた情報発信、リードジェネレーションまで、専門性の高いサービスを提供。御社のマーケティング活動に合わせて、柔軟にカスタマイズできるのが強みです。
コンテンツの力でBtoBビジネスを加速させたい企業様は、ぜひイノーバにご相談ください。ストーリー性あふれるコンテンツで、顧客との絆を深め、永続的な成長を共に目指しましょう。
ストーリーブランディングをオウンドメディア上で展開するのはいかがでしょう?よろしければ、こちらの記事を参考にお読みください。
【2024年最新】オウンドメディアとは?企業の成長戦略を加速させる最強のコンテンツマーケティング手法
ブランドコミュニケーションについてさらに知識を深めたい方は、以下の関連記事もおすすめです。
FAQ
Q: BtoCとBtoBでストーリーブランディングの違いはありますか?
A: BtoBは顧客との長期的な関係構築が重要なため、機能的価値と併せて情緒的価値の訴求がより重要になります。一方、BtoCでは独自のストーリーで一過性の関心を引くことも有効です。
Q: ストーリーブランディングで最も重要な要素は何ですか?
A: 明確なブランドのミッションやバリューです。これを軸にターゲットに響くストーリーを作り、一貫して多チャネルで伝えていくことが肝要です。
Q: ストーリーブランディングの効果はどのように測定すれば良いでしょうか?
A: ブランド認知度、ブランド連想、エンゲージメント率、NPS(顧客推奨度)など、ブランド指標とビジネス指標の両面でモニタリングするのが望ましいです。
Q: ストーリー設計のコツを教えてください。
A: 共感を生むキャラクター設定、起承転結のプロット、臨場感ある舞台、明確なテーマを押さえることです。自社にしかない真実のストーリーを、顧客視点で考えてみましょう。
Q: ストーリーブランディングに適したチャネルは何ですか?
A: 自社サイト、SNS、動画広告、イベント、営業資料など、ターゲットとの接点を総動員するのが理想です。ストーリーに合わせ、各チャネルの特性を活かした展開を。
Q: 失敗しないためのポイントを教えてください。
A: 自社に根ざしたリアルなストーリーを大切にすること。一時の話題性に惑わされず、ブランドの価値観を軸に一貫性を保つこと。地道な活動の積み重ねが功を奏します。