はじめに
BtoBビジネスにおいてコンテンツマーケティングの重要性が高まっています。しかし実際にどのように取り組めば良いのか、何から始めれば良いのかと悩むマーケターの方も多いのではないでしょうか。本記事ではBtoBコンテンツマーケティングの基本的な考え方から、戦略の立て方、実践のコツ、さらには成功事例までを徹底的に解説します。この記事を読み終えれば、明日からすぐにでもコンテンツマーケティングに着手できるはずです。
BtoBコンテンツマーケティングとは?
BtoBマーケティングにおけるコンテンツの重要性
BtoBビジネスでは、製品やサービスの購買プロセスが長く、意思決定者も複数存在するのが特徴です。この複雑な購買プロセスにおいて、コンテンツはビジネス課題の認知から、ソリューションの検討、ベンダー選定に至るまで、一貫して重要な役割を果たします。
- 課題認知フェーズ:課題やニーズに合ったコンテンツで関心を喚起
- ソリューション検討フェーズ:自社の強みや手法を訴求するコンテンツで選択肢に入る
- ベンダー選定フェーズ:事例やお客様の声で信頼感を醸成し選ばれる
このようにコンテンツは購買プロセスに沿って見込み客の背中を押していく重要なアセットなのです。
BtoB購買プロセスとコンテンツの関係性
前述の通り、BtoBの購買プロセスは一般的に以下のようなフェーズを経ると言われています。
- 課題認知
- ソリューション検討
- 要件定義
- ベンダー選定
- 購入・導入
この5つのフェーズに対して、どのようなコンテンツを提供すべきかを整理したのが下図です。
- 課題認知フェーズ:インダストリーレポート、トレンド情報、ハウツー記事等
- ソリューション検討フェーズ:ソリューションガイド、比較記事、チェックリスト等
- 要件定義フェーズ:TemplateやWorksheet、サンプルRFP等
- ベンダー選定フェーズ:事例、お客様インタビュー、FAQ等
- 購入・導入フェーズ:製品ガイド、チュートリアル、ユーザーコミュニティ等
コンテンツマーケティングではこうしたコンテンツを通じて見込み客との接点を持ち、リレーションを築いていくのです。
BtoBコンテンツマーケティングの基本戦略
ターゲットペルソナの設定方法
BtoBコンテンツマーケティングで最も重要なのはターゲットペルソナの明確化です。ペルソナとは誰に向けてコンテンツを発信するのかを具体的にイメージした人物像のこと。特にBtoBの場合は以下の3つの視点でペルソナを整理することが有効です。
- 役職:経営層、マネージャー層、担当者層等
- 職種:経営企画、情報システム、営業、マーケティング等
- 業種:製造業、流通、サービス、金融、公共等
自社にとって理想の顧客はどんな業種・職種の、どういった役職の方なのか。より具体的にイメージしペルソナを文書化することが肝要です。
カスタマージャーニーマップの作成手順
ペルソナが明確になったら、次はカスタマージャーニーマップを作成します。カスタマージャーニーとは見込み客が抱える課題から、情報収集、検討、意思決定に至るまでのプロセスを可視化したもの。このジャーニーに沿ってどんなコンテンツを提供すべきかを設計するのがポイントです。
カスタマージャーニーマップの作成手順は以下の通りです。
- ペルソナの課題や目的を書き出す
- 情報収集〜意思決定までのプロセスを時系列で整理
- 各フェーズでどんな情報を求めるか、どこで情報収集するかを明確化
- 各フェーズに適したコンテンツを設計
コンテンツ設計のフレームワーク
カスタマージャーニーに沿ったコンテンツ設計を行う際は、以下の4つの視点を持つと良いでしょう。
Goal(目的):そのコンテンツを読んで、見込み客に何をしてほしいのか
Audience(ターゲット):誰に読んでほしいのか、ペルソナは明確か
Topic(テーマ):見込み客の課題解決や目的達成に貢献できるテーマか
Format(形式):テーマや目的に合った最適な形式か(記事、動画、資料等)
このGATFフレームワークに基づいてコンテンツを設計することで、見込み客視点のコンテンツを揃えられるはずです。
BtoBコンテンツマーケティングの種類と特徴
続いて、BtoBコンテンツマーケティングでよく用いられるコンテンツの種類と特徴を見ていきましょう。形式はさまざまですが、それぞれ見込み客との接点を持ち、ゴールへと導く重要な役割を担っています。
オウンドメディア/ブログ
オウンドメディアは自社で運営するWebメディアのこと。見込み客との長期的な関係構築に向け、自社の専門性を訴求するのに効果的な施策です。
メリット:自社の考え方や強みを直接的に訴求できる。SEOでの集客が狙える。
ポイント:ペルソナの課題に寄り添う視点と、自社の専門性や uniquenessをどう組み合わせるかがカギ。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、専門的な情報を報告書の形式でまとめたコンテンツのこと。課題の所在や、その解決策について論理的に説明することで、自社の専門性への信頼を獲得できます。
メリット:専門性の高い見込み客の理解を得やすい。リード獲得にも有効。
ポイント:説得力のあるデータや事例を盛り込むこと。見込み客の意思決定を後押しする内容に。
ウェビナー/セミナー
オンラインとオフラインの両方を含む、講演会形式のコンテンツです。聴講者との双方向のコミュニケーションを通じて、見込み客の理解度や興味関心を知る機会にもなります。
メリット:インタラクティブなコミュニケーションで見込み客の反応がわかる。認知拡大にも有効。
ポイント:講演内容はペルソナ像を意識し、わかりやすく実践的な内容に。アンケートの活用も有効。
メールマガジン
定期的にメールで有益な情報を届けることで、自社ブランドへの親近感を高められます。見込み客のリアクションを測定しやすいのも利点の一つです。
メリット:見込み客の反応を測定しやすい。リードナーチャリングに有効。
ポイント:ターゲットに合わせた配信設計がマスト。クリック率や開封率等の指標もこまめに追うこと。
事例/導入事例
実際のお客様の声は、見込み客にとって最も説得力のあるコンテンツの一つです。課題解決のプロセスや成果をストーリー化することで、自社への信頼を獲得しやすくなります。
メリット:実例ベースだから説得力抜群。自社の強みを裏付けられる。
ポイント:数値データを示すなど、具体性が大事。お客様の声も引用すると良い。
以上、BtoBコンテンツマーケティングの種類と特徴を見てきました。どの種類のコンテンツにも一長一短ありますが、ペルソナ像に合わせて使い分けていくことが肝要です。
BtoBコンテンツマーケティングの運用プロセス
魅力的なコンテンツを揃えるには戦略だけでなく、運用面での工夫も欠かせません。ここからはBtoBコンテンツマーケティングの運用プロセスについて解説します。
コンテンツ制作の内製化とアウトソーシング
コンテンツ制作は自社で抱え込むか、外部リソースを活用するか。それぞれにメリット・デメリットがあります。
- 内製化のメリット:自社にナレッジが蓄積される。制作コストを抑えられる。
- 内製化のデメリット:リソース確保が難しい。専門性が不足しがち。
- 外注のメリット:専門性の高いコンテンツが作れる。リソースを柔軟に確保できる。
- 外注のデメリット:コストがかかる。ナレッジが社内に蓄積されにくい。
- 自社の強み・リソース・予算など、トータルな視点で判断することをおすすめします。ミックス型で進めるのも一つの手です。
コンテンツSEOの考え方
オウンドメディアを中心に、検索エンジン経由でオーガニックにユーザーを集めるには、SEOの視点が欠かせません。BtoBコンテンツSEOのポイントは以下の3つです。
- ペルソナがよく検索するキーワードをリサーチする
- キーワードを適切に盛り込んだタイトル・見出し・本文を設計する
- 読みやすさ・情報の信頼性を担保し、ユーザー体験を高める
- 機械的なキーワードの詰め込みは逆効果です。あくまでユーザーファーストで、質の高いコンテンツを心がけましょう。
コンテンツ配信とプロモーション
せっかく良いコンテンツを作成しても、見込み客の目に触れなければ意味がありません。自社メディアはもちろん、外部メディアも活用した多面的な配信が効果的です。
- 自社メディア:オウンドメディア、ソーシャルメディア、メルマガ等
- 外部メディア:業界メディア、ニュースサイト、SNS広告等
加えて、営業との連携も重要なポイント。担当顧客に合ったコンテンツを営業担当者から直接シェアしてもらうことで、情報の到達率を高められます。
リードジェネレーションとナーチャリング
コンテンツマーケティングの大きな目的の一つがリードジェネレーション、すなわち見込み客の獲得です。獲得したリードは適切にナーチャリング(育成)し、確度の高い見込み客へと育てていく必要があります。
- リード獲得:コンテンツ内のCTAを通じて、問い合わせやダウンロードを促す
- リード育成:獲得したリードにPersonalized Contentを提供し、自社への興味関心を高める
- リード評価:各リードの属性・行動を分析し、営業担当へ引き継ぐリードを判断する
こうしたリードマネジメントを適切に行うには、MAツール(Marketing Automation)の活用が有効です。
コンテンツのPDCAサイクル
最後に、BtoBコンテンツマーケティングの PDCAサイクルについて触れておきます。PDCAを回すことで、施策を継続的に改善し、成果につなげることができるのです。
- Plan(計画):コンテンツ戦略の策定、KPIの設定
- Do(実行):コンテンツの制作、配信、プロモーション
- Check(評価):KPIの達成度合いの評価、効果の検証
- Action(改善):施策の改善、次なる施策の立案
PDCAは一度きりではなく、継続的に回していくことが重要です。仮説検証を繰り返し、より効果の高い施策につなげていきましょう。
BtoBコンテンツマーケティングの成功事例
ここまでBtoBコンテンツマーケティングの考え方や実践方法について見てきましたが、実際にどのような事例があるのでしょうか。ここでは3つの成功事例を紹介します。
テックタッチ株式会社(イノーバ事例)
テックタッチ株式会社は、Webシステムの入力をアシストするDXプラットフォーム「テックタッチ」を提供しています。同社は潜在層への訴求に課題を抱えていましたが、イノーバの支援によりオウンドメディア「Techtouch journal」を立ち上げ、流入数を対前年比200%まで成長させることに成功しました。質の高いコンテンツ制作により、検索上位を獲得し、ユーザーとの接点創出に寄与しています。
株式会社インテック(イノーバ事例)
株式会社インテックは、トータルソリューションを提供するIT企業です。同社は旧来の営業スタイルからの脱却を目指し、Webサイトを活用した情報発信に注力。イノーバの伴走支援により、オウンドメディア「Bizコラム」のセッション数を3倍以上に伸ばし、課題解決を目的とした流入を増やすことに成功しました。
株式会社インテージ(イノーバ事例)
株式会社インテージは、マーケティング支援企業への転換を目指す中で、自社の総合力を周知するためにイノーバのCloud CMOを活用してオウンドメディア「インテージ知るギャラリー」を立ち上げました。同メディアの運用により、想定以上のアクセス数を獲得。また社内向けサイトの運用にもCloud CMOを活用し、社内のブランディングにも役立てています。
株式会社ウェディングパーク(イノーバ事例)
株式会社ウェディングパークは、「結婚あした研究所 by Wedding Park」を立ち上げ、結婚に関連する多様な情報を発信。開設から2年で5~6倍のアクセス数を達成しました。イノーバのサポートにより、一定のクオリティを保ったメディアを構築。社員のSNS活用も盛んで、新しいコンテンツの紹介にも役立っています。
株式会社ミック(イノーバ事例)
株式会社ミックは、ECサイト「バッジマンネット」のコンテンツマーケティングをイノーバに依頼。サイトを公開後わずか1週間でPV数が2倍に増加しました。改善ポイントについて的確なアドバイスをもらえることで、質を落とすことなくコンテンツを充実させることができています。
どの事例に共通しているのは、ペルソナ像を明確にした上で適切なコンテンツを設計し、地道な施策の積み重ねを続けている点。参考にすべきポイントが多数あります。
BtoBコンテンツマーケティングの成功のカギ
最後に、BtoBコンテンツマーケティングの成功のカギについてまとめておきましょう。
組織としてのコンテンツマーケティングの位置づけ
コンテンツマーケティングを成功させるには、組織としての明確な位置づけが不可欠です。トップのコミットメントを得て、部署横断的にメンバーを巻き込んでいく体制づくりが求められます。
マーケティングオートメーションツールの活用
MAツールの活用は、コンテンツマーケティングのパフォーマンスを飛躍的に高める鍵となります。リードの見える化、スコアリング、ナーチャリングなどを自動化し、マーケティングの高度化を図りましょう。
セールスとの連携
コンテンツで育成した見込み客を確度の高い商談につなげるには、マーケティングとセールスの連携が欠かせません。リードの評価基準を事前にすり合わせ、意思疎通を緊密に行うことが成果の最大化につながります。
まとめ:効果的なBtoBコンテンツマーケティングのために
BtoBコンテンツマーケティングは購買プロセスが長く複雑なBtoBビジネスにおいて、極めて有効な手法です。見込み客のペルソナ像を明確にし、カスタマージャーニーに即したコンテンツ設計を行うこと。加えて、制作・配信・育成・改善のサイクルを回し続けることが成功への道筋となるでしょう。
イノーバは豊富な実績に基づくコンサルティングと、先進のマーケティングオートメーションツールの提供を通じて、御社のコンテンツマーケティングを強力にサポートします。コンテンツ戦略の立案から、制作・運用プロセスの設計、成果の分析に至るまで、ワンストップでお手伝いいたします。マーケターの生産性を高め、営業との連携を促進し、継続的に見込み客を獲得するための仕組みづくりを共に進めていきましょう。
イノーバのソリューションについて詳しく知りたい方は、ぜひお問い合わせください。コンテンツマーケティングの専門家が課題をヒアリングし、御社に最適な解決策をご提案いたします。
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