職種別・業態別にみる効果的なKPI設定例6選

経営・ビジネスハック

KPIの重要性はわかっていても、実際に設定しようとすると何を指標にするのが業務改善や効率化に本当に良いのか、悩むことがあるかもしれません。今回は、そんな方のためにさまざまな職種別・業態別のKPIの例を集めました。

営業のKPI

営業部門にとって効果的なKPIとしては、以下のようなものが考えられます。

  • アポイント件数
  • 訪問件数
  • 成約率
  • リピート率
  • マネジメント方針への理解度 など。

営業部門の目標設定としては、新規顧客の獲得件数や既存顧客の売上増が代表的な指標となるでしょう。ただし、マネジメントとしてはそうした直接的な実績だけではなく、営業活動のプロセスに踏み込んで課題を抽出・目標を達成しやすいKPIを設定できることが望ましいといえます。たとえば、新規顧客獲得件数が過去半年で毎月2件だったとしても、その真因が何なのかはさまざまに考えられるでしょう。アポイントの件数が少ないのか、それとも成約率が悪いのか、あるいは1人が担当している顧客数が多すぎて何度も訪問できないことが原因かもしれません。このように、売上目標を達成する助けとなる項目をKPIに設定して取り組むことは、担当者のモチベーションアップにもつながります。

また、少し違った角度で営業パーソンの事業方針への理解度といったKPIも考えられます。実際に顧客に対して事業のあり方や自社の魅力を語ることは有効なセールストークとなり、反対に自社についてよくわからないまま外回りを続けていてもモチベーションの低下や商材への理解にも影響してきます。実施にあたっては、説明会やトレーニングを設け、そのフィードバックやアンケートからKPIとの比較ができる仕組みをつくっておきましょう。

もちろん営業部門だけに限らず、こうした全方位的なKPI設定は単純な目標達成にとどまらず、事業改革にもつながっていく可能性を秘めています。

システム開発のKPI

KPIというと、どうしてもマーケティングや営業部門での数値管理というイメージが強いのですが、システム開発においてもKPIの設定・管理は効果的です。以下のようなKPIが考えられます。

  • (進捗を測るための)テスト終了レポート件数
  • エラー数
  • 標準化の度合い など。

開発部門でKPI管理を実施する最大の効果は、やはり製品としての質を確保するためだといえるでしょう。そのために、テスト終了レポートをKPIとして開発を常に「見える化」し、最後になって「納期を優先させたために当初目標としていた機能の一部を実装できなかった」ということを防ぐのです。エラー数も完成度を測るための指標として有効でしょう。こうしたKPIとの比較を積み重ねていくことで、チームとしての課題抽出やノウハウを蓄積することにもつながります。標準化の度合いをKPI管理することも同様に、工数やトラブルシュートを減らすような、チームとしての開発業務効率化に貢献するKPIです。

購買(調達)のKPI

バックオフィス(管理)部門の1つとして、購買(調達)部門のKPIについて考えてみます。以下のようなものがKPIとして設定可能でしょう。

  • CR(コストダウン)率
  • 納期遵守率
  • VOS(Voice of Supplier、取引先評価) など。

購買部門にもっとも求められるのはCR、つまり調達コストや製品原価の低減です。このため、この部分が目標として掲げられがちですが、これだけでは営業部門に「売上が上がったかどうかだけで評価する」といっているようなもので、必ずしも効果的とは言えません。調達は市場に大きく左右される分野なので、サプライヤからの大幅値上げがあった場合は活動内容にかかわらず達成できないことがあるためです。

購買ネットワーク会が作成した資料(日本能率協会作成のものがベース)では、CRや納期遵守率以外にもVOS(取引先評価)をKPIとして挙げています。これは、購買とは単に安値を追求するだけの業務ではなく、長期的にサプライヤ・バイヤの双方がWin-Winの関係となり、安定供給が守られる重要性を考えてのことです。このような取り組みをKPI化することで、購買部門の担当者のモチベーションアップにも有効でしょう。

WebマーケティングのKPI

WebマーケティングはKPI管理においても代表的な分野で、数多くの手法が紹介されています。マーケティングツールとしてのWebサイトの効果を測定するためには以下のようなものが使われます。

  • ページビュー数
  • リピーター数
  • 平均セッション時間
  • 直帰率 など。

どういったページ、あるいはコンテンツが好まれているのか、どういった経由で流入があったか、といった点をKPIで管理していくことで、より実際の売上につながるWebの改善が可能になります。

製造業のKPI

ここからは業種として見た場合のKPIを考えていきます。1つ目は製造業。さまざまな業種の中でも、ものづくりの現場を持っている製造業は他とは違うKPI設定が必要になります。代表的なものは以下の通りです。

原価率

不良品数

時間稼働率

事故発生件数 など。

製造業のKPIは、特に現場を「見える化」する文脈でよく語られます。製造現場の可視化はトライ&エラーの地道な作業でもあるので、できるだけ短期で測定でき継続的にデータがとれる項目をKPIに設定するとよいでしょう。大きく分けると2種類のKPIがあります。1つは生産品目(モデル・アイテム)毎のKPIです。原価率や不良品率、製造リードタイム、加工にかかった工数などを計画値と実績値を比較することで課題が見えてきます。一方、モデルではなく設備や製造ユニット単位での改善につながるKPIもあります。それは生産量そのものであったり設備をどれだけ効率的に使えているかを示す時間稼働率のようなKPIで測ることができるでしょう。

これに加えて、事故発生件数といったルール厳守やそのためのトレーニングの徹底といった作業環境に関するKPIも、生産性に直結していることもあり、製造業の場合はとりわけ大切になってきます。

ホテル業のKPI

最後にご紹介するのはホテル業でのKPIです。以下のようなものが考えられます。

  • 客室平均単価
  • 稼働率
  • 摂食率 など。

ホテルの経営における用語として、RevPAR(Revenue Per Available Rooms、つまり客室に対しての売上)があり、室料からの総売上を客室総数で割ったり客室平均単価×稼働率で算出したりします。これが代表的なKPIといえるでしょう。ただし、これも中身をよく見ていかないと経営状態の正しい可視化にはなりません。とりわけ、ホテル業は固定費が大きいビジネスの代表といってもよく、このため稼働率を可視化しコストとのバランスをとっていくことが非常に大切です。また、重要な収益源であるレストランを利用した客数や客単価をKPIとして設定することも有効でしょう。

正しいKPIは常に「自社に合った」指標

今回は職種別・業態別にいくつかの具体的な例を挙げました。現在はWebで検索すると役立つ情報がたくさん手に入り、数多くのKPI例を見つけることができます。しかし、注意しておきたいのは、自社にとって効果的なKPIは事例のコピーだけではできない、ということです。会社ごとに製品や業界での位置づけも違えば、解決すべき課題や優先的に取り組む分野も異なってきます。KPI管理が事業運営に効果的なのは、その策定の段階で自社の本質的な課題と向き合うことができるからです。この記事で挙げたような例を参考にしながら、ぜひ真の課題を解決するKPIを探してみてはいかがでしょうか。

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