インサイドセールス導入・活用に役立つツールをご紹介

インサイドセールス

インサイドセールスはアメリカで誕生したいわゆる内勤型営業のことで、2008年のリーマンショック以降急速に導入が進みました。日本においても導入企業が増えてきており、近年の長引くコロナ禍から、より注目が高まっています。
今回は、インサイドセールス導入・活用に役立つツールとインサイドセールスから見た各ツールのメリットを紹介します。

インサイドセールスとは?

「インサイドセールス」とは、顧客のオフィスを訪問・面談する従来の外勤型営業「フィールドセールス」に対して、電話やメールなどを使い非対面で顧客との関係構築をおこなう内勤型営業です。

インサイドセールスはテレアポ(電話勧誘販売)と混合されがちですが、「商品を積極的に売り込まない」という点で、テレアポと根本的に異なります。

テレアポは架電で「沢山のアポイントメントを獲得すること」が目的ですが、インサイドセールスは「見込み客を育成し質の高いアポイントを獲得すること」が目的です。
そのため、インサイドセールスは、顧客課題解決のために情報収集と提案をしながら、長期的な関係を構築することが重要となります。

→詳しくは弊社記事「インサイドセールス とは?これからの新しい営業の形」


その始まりは諸説ありますが、1950年代にアメリカで始まったテレマーケティングが起源といわれます。
インサイドセールスがアメリカで発達・普及した背景には、アメリカで生まれたインターネットとマーケティングオートメーション(以下MA)の台頭、広大な国土があります。MAとは、マーケティングに関わる一連の業務を可視化・自動化して、効率を高めるツールです。

1960年後半にアメリカで軍事ネットワークとして誕生したインターネットは、1980年代には学術ネットワークに拡大、1990年頃には商用アクセスプロバイダが登場しました。

1990年代初頭に、アメリカでUnica社(現IBM傘下)がunicaというMAを開発。2000年頃にカナダでEloqua社(現Oracle傘下)が創業し成功したことで、MA市場への期待が高まり、2005年から2007年頃には、HubSpot社・マルケト社(現アドビ傘下)・Pardot社(現Salesforce傘下)が次々と創業し市場へ参入しました。

MAで企業が大量のリード(見込み客)を管理できるようになったのに加え、インサイドセールスが一気にアメリカで普及するきっかけとなったのが、2008年のリーマンショックです。

アメリカは国土が広いため訪問営業では、移動時間や移動費などのコストがかかります。リーマンショック後、移動時間やコストをかけずに効率よく営業活動をしたいと考える企業が増え、インサイドセールスの導入が進みました。

インサイドセールスの導入・活用に役立つツール?

インサイドセールスの日本国内の歴史は本場アメリカと比較すると浅く、インサイドセールス業務の視点で作られたツールは少ないです。また、目的に応じて様々なツールを使い分ける必要があります。ここから各ツールの概要・目的と、インサイドセールス視点からみたメリット、著名ツールについて解説していきます。

MA (Marketing Automation)

概要・目的

マーケティングに関わる一連の業務を可視化・自動化して、効率を高めるツールです。
MAでは、「リードジェネレーション(見込み客獲得)」「リードナーチャリング(見込み客育成)」「リード(見込み客)スコアリング」の3つのプロセスが自動化できます。自動化の流れは次のようになります。

まず、メール・Webサイト・SNS経由で施策を行い、リード(見込み客)を獲得。次に、獲得したリードの「興味・関心」を高めるアプローチをかけ見込み客を育成します。見込み客育成では、取得したリードを属性別にセグメントして、最適なコンテンツを自動配信する機能が活用できます。さらに、顧客のWebサイト閲覧履歴やメール開封などの行動履歴をスコアリング機能で数値化し、確度の高いホットリードを選別。選別されたホットリードは、インサイドセールスに引き継ぎ、商談へとつなげます。

インサイドセールス目線でのメリット

MAはインサイドセールスにリードを創出し、提案や商談に進む可能性が高いリードを絞り込んで渡してくれます。

インサイドセールスは顧客がなぜ商品やサービスに興味・関心を持ったかをMAの行動履歴から読み取ることができます。また、MAに蓄積されている情報があれば、インサイドセールスは顧客状況の仮説が立てやすいです。

例えばWebサイト閲覧履歴からは、顧客がどんな情報に興味を持っているのか、顧客課題とは何かをイメージできます。事前に話す内容をシュミレーションしてからコンタクトすることで、顧客との対話を効果的なものに高められます。

著名ツール

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Pardot

セールスフォース・ドットコムが提供するMAです。MAと、後に解説するSFA/CRMツールが分断されていると、情報重複や双方向で連携しないため二重にメンテナンス工数が発生します。Pardotの強みは、同社が提供するSFA/CRMとの親和性が高いスムーズな連携です。SFA/CRMとのスムーズな連携により、社内の複数部門をまたいで情報の共有・活用ができます。


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Marketo Engage

アドビが提供するMAです。全世界で、5,0000以上の導入実績があり、BtoB BtoC、企業規模を問わずあらゆる業種と規模の企業で使われています。LaunchPointは、パートナー企業がマーケティングソリューションを提供するエコシステムで、沢山のマーケティングツールが提供されています。提供ツールはMarket Engage上で、シームレスに動作可能です。


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Hubspot Marketing Hub

Hubspotが提供するMAです。無料ツールから始めてアップグレードすることも、有料プランを選択することもできます。同社が提供する営業支援ソフトウェアSales Hub、カスタマーサービスソフトウェアService Hub、コンテンツマネジメントソフトウェアCMS Hubと組み合わせことで、より高い効果が期待できます。


SFA / CRM

SFAとCRMは混合されやすいですが、SFAは「営業担当者の業務を効率化・改善するツール」、CRMは「顧客管理に特化したツール」です。

概要・目的

SFAは、営業支援システムともいわれるツールです。
営業が営業活動で管理すべき顧客情報と案件情報をデータ化して蓄積・分析。属人化する営業活動を可視化してチーム共有することで、営業報告の手間や時間を削減します。
管理者は、チーム全体の状況を把握しやすくなり、各営業マンには個々の記録から適切な指導ができるようになります。蓄積情報から確約率の高いアプローチ方法を摘出してノウハウを共有することで、個人の得手不得手感を減らし、勘に頼っていた営業活動の再現性が高まります。

CRMは、顧客管理システムともいわれるツールです。
CRMの目的は、顧客との良好な関係性を保ち、顧客の継続的な購買行動を促進することです。CRMでは、顧客の基本情報・購入した商品の数量と金額・販売実績と頻度・苦情や要望などの情報を蓄積し分析できます。CRMの活用により、顧客が満足する提案やフォローが実現します。

インサイドセールス目線でのメリット

インサイドセールスとフィールドセールスが営業プロセスを分業する際、SFAは、フィールドセールスの営業活動を可視化して、その状況をインサイドセールスが知る手助けになります。

インサイドセールスは、フィールドセールスの商談内容や顧客に提示した資料、それに対する相手の反応などをSFAから把握できます。属人化しやすい営業活動を誰が見てもわかりやすく共有し、双方が意思疎通をする際にかかる時間(コミュニケーションコスト)を下げられます。

また、インサイドセールスがSFAから失注・保留理由を知り、失注・保留案件にアプローチすれば、顧客の再検討期間を新たな見込み客育成活動にあてることができます。


CRMの利点は、インサイドセールスがアプローチするたくさんの顧客情報を、一元管理して顧客対応に活用できることです。顧客情報には基本情報だけでなく、これまでの購買履歴・苦情や要望・趣味嗜好も含まれます。こうした情報から、インサイドセールスは適切な顧客対応ができ、顧客満足度をあげられます。

「1:5の法則」は、既存顧客にかかるコストを1とすると、新規顧客の獲得にはその5倍のコストがかかるという法則です。商品やサービスが飽和状態となりニーズが多様化する中、新規顧客の獲得は大変難しくなっています。複数の新規顧客獲得ではなく、顧客単価をあげる売上向上策がアップセルとクロスセルです。

アップセルは、顧客が購入した商品と同種でより上位のものを提案し購入してもらうことで、クロスセルは、顧客が購入を検討する商品と別商品や、組み合わせて使える商品を提案して購入してもらうことです。どちらも顧客のライフスタイルや趣向性、購入履歴への理解が必要とされます。

アップセルとクロスセルは、しつこいと「押しつけ」と感じられてしまいますが、CRMの顧客情報を活用しながら、インサイドセールスがほどよい距離感で行うことで、顧客の継続的な購買活動を後押しできます。

著名ツール

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Salesforce SalesCloud

セールスフォース・ドットコムが提供するSFA/CRMです。Salesforce Eisteinは、Saleseforce Platformのコアになる人工知能です。SalesCloudでは、人工知能Eisteinが顧客データを分析して学習。予測スコアリング、営業活動に役立つインサイト、正確な売上予測を提供します。データ入力と予測分析を自動化できるので、営業担当者は本来の業務に集中できます。


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BALES CLOUD

スマートキャンプ株式会社が提供するインサイドセールス・マネジメントシステムです。BALES CLOUDは、同社が提供するインサイドセールス代行サービス「BALES」で培ったノウハウやナレッジをもとに開発されました。管理者・実務者・マーケターなど、どんな役割の方でも最小の学習で直感的に操作できます。


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Kintone

サイボウズ株式会社が提供する、開発知識がなくても自社専用の業務システムが簡単に作成できるクラウドセービスです。ノンプラミングで簡単に業務アプリが作成できるだけでなく、「kintoneアプリストア」から必要なアプリを選んで追加もできます。社内SNSとしての機能もあり便利です。

WEB会議・商談システム

Web上での会議・商談を可能にするシステムです。非対面で会議や商談ができ、会議室確保の手間や移動時間がかかりません。画面共有機能やチャット機能、ファイル転送機能をフル活用することで、電話やメールにはないコミュニケーションがとれます。会議や商談には、複数人で参加もできます。

インサイドセールス目線でのメリット

遠隔地の顧客とも、交通費や移動時間の制限なく、効率的にアプローチ可能。諸経費をかけずに、対面なら1日数件程度が上限だった商談を、複数件こなせます。
画面での情報共有で、顧客に情報や提案を説明しやすいです。決裁者が同席の上で説明すれば、顧客の意思決定スピードがはやまり、成約までの時間が短縮できます。録画機能があるツールなら、商談を録画して社員教育にも活用できます。

著名ツール

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Zoom

Zoomビデオコミュニケーションズが提供するオンラインweb会議システムです。パソコン・スマホ・タブレットから複数人でビデオ通話ができます。他にも、webカメラを使わないチャットや通話でのコミュニケーション、画面共有、録画なども可能です。


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bellFace

ベルフェイス株式会社が提供する法人向け営業に特化したオンライン商談システムです。
相手側で事前にインストールやIDログインは不要。公式サイト経由で発行された接続ナンバーで接続し、音声は電話回線を、画面共有はインターネット回線を利用します。音声が電話回線なので途切れることなく、簡単に誰でも接続が可能です。他にも営業活動に役立つ、名刺プロフィール機能・共有記事録機能・シンクロプレゼンテーション機能・トークスクリプト機能を搭載。録画機能もあるので、社員教育へも活用できます。


その他 (ターゲット作成に役立つツール)

ターゲット作成に役立つツールには、名刺管理ツールやABMツールがあります。名刺管理ツールは、スキャンした紙の名刺をデーター化して管理できるツールで、ABMツールは、ABM促進に役立つツールです。
ABM (Acount Based Marketing) は、BtoB企業が自社にとって最もポンテンシャルの高い顧客企業を選定して、最適なアプローチをするマーケティング手法です。

著名ツール

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FORCAS

株式会社ユーザベースが提供するBtoBに特化したABMツールです。
FORCASは145万社以上の会社の基本情報や業界区分データを保有し、企業の状況やニーズを表す独自のシナリオデータを生成。既に会社が保有している顧客企業データとFORCASの企業データを組み合わせることで、これまでにない切り口で成約確度が高い企業を特定します。CRMやMAツールとの連携で、より効率的なデータ活用が実現します。

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Sansan

Sansan株式会社が提供する法人向け名刺管理サービスです。名刺をスキャンしてデータベースに登録。名刺情報には、議事録や人物情報を付け加えて社内共有ができます。これからのオンラインビジネスで使えるオンライン名刺機能付きです。SansanはSFA、CRM、MAツールなどとAPI 連携することで、データを幅広く活用できます。

まとめ

インサイドセールスに限らないですが、「ツールを導入してみたもののほとんど使いこなせない」というのはよくある話です。導入前には、インサイドセールスの役割や具体的な運用方法を明確にすることで、ツールを効果的に活用していきましょう。


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