Skip to content
イノーバマーケティングチーム2024/02/05 10:46:561 min read

本質的なインサイドセールスとは何か?顧客ニーズを探り続けるための重要性

(こちらの記事は、同タイトルのイノーバマーケティングチャンネルより書き起こしています。元の動画はこちらYoutubeにリンクします)

本日は「本質的なインサイドセールスとは何か?」について、お話しします。今は、コロナで外出自粛ということもあり、いろいろな会社さんがリモートワークをされています。そういった中で、お客さまに訪問しようと思っても、なかなかアポイントがいただけない、あるいはお客さまに電話をかけてもつながらないというケースが出てきているかと思います。

そういった中で、今までの対面営業を見直してインサイドセールスを取り入れようと、いろいろな取り組みがありますが、インサイドセールスを本来的にはどのような形で運用すべきかを、ぜひお話しさせていただければと思っています。

2種類のインサイドセールス

こちらではアウトバウンドの本質的な問題点について書いております。今までにインサイドセールスをやられたことがある方も、ない方もいらっしゃるかと思いますが、やり方は大きく2種類に分類されます。一つは、とにかくお客さまにどんどん連絡を取って、たくさんアプローチすることでアポイントを取ろうとするというものです。これは大量テレアポ型で、このグラフでいうと右下です。とにかく電話の件数を多くするために、1件1件の準備にはそれほど時間をかけないやり方です。

もう一つは提案型テレアポと呼んでいますけれども、事前にしっかり準備をして、お客さまの会社が持っている課題や課題に対して自分たちの会社がどういった形で役に立てるのか、課題に対する解決策をしっかり考えた上でお電話をかけるパターンです。一体、どちらが受注の金額が最大化されるのかが今回の一つのテーマです。

なぜテレアポ型は避けるべきなのか

実は、多くの会社がやっているのが大量テレアポ型です。なぜかというと、やはり一つは効率がいいからです。事前にいろいろ調べるのにも時間がかかりますし、調べている時間があるのだったら、もっとかけてしまったほうが手っ取り早いという話もあります。

ただ皆さんに考えていただきたいのは、もし自分が電話を受ける側だった場合、全く準備なくかかってくる電話を、果たして本当に取ろうと思うかどうかです。もちろん答えは明白で、調べないでかけてきたなというのは、すぐに分かってしまいます。なので、受ける側がある程度察しのいい人であれば、テレアポ型の電話のかけ方はやめてくれというものでしかないと思います。

なぜこういうテレアポ型が良くないのかという話をすると、今までであれば自分たちの商品サービスに独自性を持っていて、商品を案内する、あるいはサービスを案内するだけで、お客さまにある程度の価値を感じてもらえたということがあるかと思います。「最近はやっているんですよ。ちょっと事例をご紹介したいんですけれど」というトークだけで、お客さまに聞いてもらえるという部分です。

ところが、だんだん世の中が複雑化してきていますので単純に商品やサービスを紹介するというよりは、会社が抱えている課題をどう解決するのかという、ソリューション型のアプローチ、提案型のアプローチをしなければ、なかなかお客さまに届きにくくなっているのが実情です。

それに加えて、やはり人は信用している人から商品を買いたいという気持ちがありますので、そういう意味でも、テレアポ型アプローチの限界が出てきています。

家電量販店のジレンマから学ぶアウトバウンド営業の問題点

ここで一つ皆さんにエピソードをお話しさせていただきます。家電量販店のビジネスモデルを考えてみていただきたいと思います。もともと家電量販店はどういうところから出てきているか、歴史をさかのぼっていくと戦後にいろいろな家電メーカーがどんどん登場してきます。しかし、松下、東芝、日立といったメーカーは出てきても、販売する店舗がありませんでした。そういった中でまずやったのは、いろいろな地方にある地元のお店をチェーン店化していって、自社の系列店をつくるということです。松下系列店や東芝系列店が出てきました。そのような地元の電気屋さんは、商品を扱っているだけでお客さまを集めることができ、お客さまも喜んで買っていったという時代です。

その次に、今度は商品を置いているだけではなく少しでも安い値段で買いたい、あるいはもっとたくさんの品ぞろえの中から選びたいということで出てきたのが家電量販店です。当然ながら消費者のニーズとしては、1社の商品を比べるのではなく、2~3社を比較して、その中でも一番いいものを一番安く買いたいというところにあり、そこで出てきたのが家電量販店なのです。

ところが、現在の家電量販店がどうなっているかというと、ネットの普及で一気に競争力を失っているという状況です。何か新しいものを買うときに、まずネットで調べてから実際にお店で実物を確認して、最後はネットで買うということが起きています。なので、現在、家電量販店が生き残りを懸けて何をしているかというと、お店に商品知識を持った専門性の高い人を置いて、お客さまへのフレンドリーなサービス、使い方へのアドバイスができるように売り方をシフトさせていっています。

これをわれわれのビジネスに当てはめて、どの時代のサービスをやっているのかを考える必要があります。最初の、家電系列店に商品があるだけでお客さまが来ている、そういう時代にいるのか。あるいは品ぞろえ、ラインナップ、安さで売る家電量販店時代にいるのか。あるいはその後のプラスアルファ、お客さまへの課題解決力、ソリューション力で売る時代なのか。当然ながら最後のフェーズが、われわれのビジネスが直面している状況です。

ビジネスは常にネット化のリスクにさらされている

その中で改めて皆さんに考えていただきたいのは、今は商品を見せれば売れる時代ではないということです。さらにネットは基本的に、どんどん中抜きをしていくことになりますから、付加価値の低い営業活動は、そもそも人がやらなくていいのではないかという話になりやすいです。

例えば、今すごく盛んにいわれていることとして、BtoBの企業間取引の中でもEC化、Eコマース化がものすごく進んでいくという予測が立っています。どのようなところがEC化されていくかというと、いわゆるルートセールスと呼ばれているもので、お客さまのもとへ定期的に通って発注せざるを得ないもの、例えば、印刷会社さんで定期的な発注が来る、何か消耗品を発注しなければいけないなど、どんどんECで完結するようになってきているということが、課題として挙げられます。

人手不足の現代におけるインサイドセールスの問題点

加えて、一つテレアポ型インサイドセールスの最大の問題点は、やっている若い人たちがどんどん辞めていきやすいことです。今、よくあるパターンとしては、第二新卒の子たちや大学生のインターンを雇って、インサイドセールスの電話をかける。あまり商品知識も高くないし、お客さまの業界課題を当然ながら理解していないけれども、とにかく元気で活動量を出せるので、そういう子たちに電話をかけてもらいます。

ただ、インサイドセールスの言葉自体は横文字で格好いいですからはやりになっていますが、実は一皮むけばテレアポではないかとなると、仕事をしている人たちにノウハウがたまりませんし、ノウハウがたまらない仕事の仕方だと、その後のキャリアも一切見えてきませんので、どんどん人が辞めていきます。

この少子高齢化の時代に、一番企業成長、事業成長のボトルネックになるのが、やはり採用、人手不足ですから、そもそも人が集まらない、人が辞めるような職種の回し方は、かなり問題があります。

真のインサイドセールスとは

ここで皆さんにもう一度、真のインサイドセールとは何を考えなければいけないのか、こちらをご覧いただきたいと思います。私の大先輩に当たる経営者の方で、インサイドセールスのパイオニアとして立ち上げていらっしゃる沼澤さんという方がいらっしゃいます。その方にインサイドセールスとは、こういう考え方なのだと教えていただきました。

まず端的にいうと、お客さまピラミッドを時間をかけてしっかり育てていくことが、まさにインサイドセールスのやるべきことです。ほとんどの会社は、自分たちの集めた名刺、展示会で集めたリードの、分類がほぼできていない状態です。お客さまも混じっているし、恐らくそこにアプローチは掛けるのだけれど、ただどのお客さまにどれぐらいの見込みがあるのか、半年後に買ってくれそうなお客さまはどれぐらいなのか、1年後に買ってくれそうなお客さまはどれぐらいなのか。あるいは買ってもらえそうなのだけれど、もっとお客さまに課題の認識や啓もうをしなければいけないお客さま、この図でいう「まだまだ客」がどれぐらいいるのか。ほとんどの会社さんが聞かれても答えられません。そういう状態だと、当然ながらピラミッドを育てていくことはできない状態になります。

お客さまに定期的にアプローチをして、時には電話、時にはメール、場合によってはセミナーのご案内をしながら、お客さまのピラミッドを大きくしていくことが、インサイドセールスの本質的な仕事です。

お客さまニーズを探り蓄積する

私がインサイドセールスに関わるきっかけになったのは、まさに自分たちの会社を立ち上げて、ゼロから営業部をつくり、インサイドセールスという仕組みをつくったときです。たまたま、われわれの会社には、セールスフォースという会社が出資してくれていましたので、セールスフォースからノウハウを入れる形で進めることができました。

私がインサイドセールスをすごく本質的だと思った理由は、定期的な連絡を取りながらお客さまの声を教えていただくという点です。今、どんな課題に困っていらっしゃるのか、現在入れている他社のソリューションには満足しているのか、不満があるのか、どういうところが検討のネックになっているのか。そういったところをお客さまから打ち明けてもらう、しかもそれを電話だけでやってしまうということが、インサイドセールスの醍醐味なのかと思っています。

実は私がもともと新卒で入ったのが富士通で、日本の工場で作った企業向けの大型コンピューターを、アメリカにある100%販売子会社に輸出して、アメリカの企業に売ってもらう海外営業という仕事をしていました。ここで直面したのが、アメリカの販売会社と日本にある事業部の意見がなかなか合わないという問題です。

なぜかというと、商品が売れている間はいいのですが少し売れ行きが鈍ってくると、アメリカの会社は商品欲がないのだ、値段が高すぎる、性能が足りないと売れない理由を説明してきます。一方で日本の事業部は、アメリカの販売会社が十分に努力していないのではないか、商品力のせいにして努力を怠っているという解釈をします。

ただ、よく考えると売れていない理由はお客さまがなぜ買っていないのかということですから、事実を突き詰めていけば一つの真実にたどり着くはずなのです。ただ現状、どうしてもお客さまの声が、会社の中にしっかりとした形でたまる仕組みが、ほとんどの会社で持てていません。

各社、セールスフォースさんをはじめとしたSFAツールを入れていると思いますけれども、多くの会社できちんと履歴や日報が残っておらず、お客さまがなぜ買ってくれているのか、なぜ買ってくれないのか、どういった課題を持っているのか、そのニーズが時代とともにどう変わっていっているのかが分析しにくい状態になってしまっています。

事業部と販売部の対立構造

今回、コロナという問題が起きた中で、われわれの会社はインサイドセールスにすごく力を入れていて、インサイドセールスのヒアリング内容を、営業、マーケティング部、制作のチームに共有する仕組みを回しています。

その中でインサイドセールスの声を基に分かった情報が一つあります。一見、コロナの影響で売り上げが落ちていくように見えている、なぜなら商談がすごく少なくなったということはあるのですが、一方でコロナをきっかけに今までぼんやりと検討していたホームページ施策を、そろそろ本当に回さないといけないと思っているというお客さまの声が、インサイドセールスを通じて複数社から上がってきているのです。

こうなるとお客さまのニーズの変化がリアルタイムでつかまえられますし、これを経営やマーケティングに反映することができます。なので、インサイドセールスという仕組みを通じてお客さまの声をデータとして残し、それを社内にしっかり取り込み、会社として商品サービス、売り方に反映することができるようになる。これが私が考える、インサイドセールスの本来の在り方だと思います。

ザッポスがホラクラシーを実践できた理由

ここで皆さんに考えていただきたいことがあります。お客さまの声を聞き続ける会社は、恐らく相当強い会社なのではないかと、私は思っています。もっと言うと、お客さまの声を徹底的に聞き続ける会社は、相当つぶれにくい会社なのではないでしょうか。

この話の中でご紹介したいのは、アメリカにあるザッポスという会社です。ここはもともと靴の通販をやっている会社で、書籍も出ていて皆さんもご存じかもしれませんが、ザッポスがホラクラシーという全く新しい組織制度の導入を数年前に行いました。これは世界中に大激震が走った出来事です。

ホラクラシーとは何かというと、従来のピラミッド型の組織を全部解体して中間管理職を全部撤廃し、全ての業務を機能で分類して、機能単位のグループでやりとりをしながら業務を探すというやり方のことです。

僕はホラクラシーの話を聞いて、「なるほど」と思った部分、「何でだろう」と思った部分の二つがあります。「なるほど」と思ったのは、やはりホラクラシーはすごく理にかなっているという点です。というのは、会社が大きくなればなるほど中間管理職と呼ばれる、係長、課長、部長、本部長、本部長代理といった人たちが、当然たくさん出てきます。それぞれの人たちが情報の集約をしたり、経営方針の落とし込みをするのです。ただ、すごく重要な機能でありながら、ものすごく高コストな構造です。中間管理職をできる人は総じてスキルが高くなければいけないですし、給料も高くないといけないので、そこのピラミッドが大きくなるにつれて、マネジメントに特化した人たちに割り当てなければいけない人件費は、かなり大きくなってしまいます。

ただ一方で、ホラクラシーは全て機能で分類して組織をつくりますから、一度つくった機能から変化しにくいというのが、私が「何でだろう」と一番疑問に思ったポイントです。恐らく、ザッポスがホラクラシーをできた理由は、お客さまの声を聞く仕組みが会社の中にしっかりと組み込めていたからなのではないかと、私は思っています。あくまで仮説です。

ザッポスは靴の通販会社ですが、カスタマーサポート、巨大なコールセンターを運営していて、なるべくお客さまと電話で丁寧にしっかりと話し合い、会話をしてお客さまと仲良くしたり、お客さまをより深く理解することを大事にする会社です。なので、自分たちの商品サービスに関連のないお客さまのリクエストにも応えるというのが、彼らのビジネスモデルになっています。実際にラスベガスに遊びに行った人がザッポスに電話をして、「今は夜中でおなかがすいているのだけれど近くにあるピザ屋さんを教えて」という、変な質問をしたことがあります。そしたら、きちんと教えてくれたのです。ザッポスは、それぐらいお客さまの声を大事にして、それを基にビジネスをするという姿勢が染み込んでいる会社です。

こうなると、ひょっとしたら今までに前例のない、一切管理職のない会社をつくったとしても、お客さまの声が常に入ってくるわけですから、それを基にみんなで話し合って商品やサービスを磨いていけば、会社は自然と自己発展的に良くなっていくのかなと、僕は今、仮説を持っています。

インサイドセールスを活用し常に発展する会社をつくる

きょうのテーマはインサイドセールスですが、インサイドセールスは単なるテレアポではありません。インサイドセールスの本当の面白さは、100年続く会社をつくれる可能性にあります。お客さまのニーズ、お客さまの声をどうやって会社に取り込むのか。それを基に自分たちのビジネスをどう発展させるのかを、皆さんにぜひ考えていただきたいと思います。

最後に、世阿弥の「住する所なきをまず花と知るべし」という言葉があります。これは能の世界においては、常に変化していかないと廃れてしまうという意味です。なので皆さんの会社も常に変化していかないと、当然ながら競争力を失ってお客さまに支持されなくなります。その変化の仕組みをどうやって組み込むのか、インサイドセールスをうまく会社の中で取り入れることができれば、まさに常に発展する会社をつくれるのではないかと、私は思っています。

きょうは「本質的なインサイドセールスとは何か?」、お話をしました。以上です。ありがとうございました。

元の動画はこちらYoutubeにリンクします)

avatar

イノーバマーケティングチーム

株式会社イノーバの「イノーバマーケティングチーム」は、多様なバックグラウンドを持つメンバーにより編成されています。マーケティングの最前線で蓄積された知識と経験を生かし、読者に価値ある洞察と具体的な戦略を提供します。