マーケティングオートメーション(MA)の運用で、担当者の頭を悩ませる課題の一つがシナリオ設計です。マーケティングオートメーションの導入を検討しているものの、シナリオ設計のイメージが湧かずに二の足を踏んでいるケースも多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、特にBtoB企業がマーケティングオートメーションで成果を上げるための大きな課題である、シナリオ設計について、設計の手順やヒントをお伝えします。BtoB企業のマーケティング担当者の方はぜひ、参考にしてください。
マーケティングオートメーション運用の大きな課題であるシナリオ設計
マーケティングオートメーションを導入したものの、思ったように使いこなせない。導入の検討をしているが成果が上げられるかどうかが不安。マーケティングオートメーションの活用で成果を上げる企業がいる半面、うまく成果が上げられずに悩まれている担当者は少なくないでしょう。
成果を上げている企業を見ると自分たちだけが使いこなせていないと思いがちです。しかし、実際には多くの企業が似たような悩みをかかえています。その悩みこそが「シナリオ設計」です。
実際、クラウドサーカス株式会社が2021年11月に公開した「マーケティングオートメーション意識調査」において、「マーケティングオートメーションで難しいと感じる機能は」という問いで、もっとも多かった回答は「シナリオ設計(25%)」です。
参照:「マーケティングオートメーション意識調査」|エムタメ調査
この結果から、マーケティングオートメーションを導入した企業の4社に1社は、シナリオ設計を難しく感じていることになります。逆にいえば、シナリオ設計を上手く使いこなせれば、マーケティングオートメーションで成果を上げられる可能性も高まるといえるでしょう。
マーケティングオートメーションにおけるシナリオとは
マーケティングオートメーションにおけるシナリオとは、自社の商品・サービスに興味を持った見込み顧客に対し、効果的なアプローチを継続して行い、購入意欲を喚起させるためのものです。
特にBtoB企業の場合、BtoCのような衝動買いの可能性はほぼありません。時間をかけ段階を踏みながら顧客との関係性を構築していく必要があるため、シナリオ設計がしっかりできていないと成果を上げるのは非常に困難です。
マーケティングオートメーションにおけるシナリオのメリット
マーケティングオートメーションの運用で、シナリオを活用する最大のメリットは業務効率化による機会損失の回避です。通常のマーケティング施策では、顧客の行動に応じた対応をリアルタイムで行っていく必要があります。対応が遅れれば、顧客は競合に流れてしまう可能性もあるため、担当者は常に顧客の行動を注視しておかなくてはなりません。
しかし、マーケティングオートメーションでシナリオを設計しておけば、相手の行動に応じて最適な対応を自動かつリアルタイムに実施します。そのため、常に迅速な対応が実現し、機会損失の回避が可能です。
商品を販売する側のタイミングではなく、見込み客のタイミングで最適な対応を行えるのはシナリオ設計の大きなメリットといえるでしょう。
シナリオ設計が難しいと感じる理由
多くの企業がマーケティングオートメーション運用の課題として挙げるシナリオ設計。実はシナリオ設計を難しくしている原因はシナリオ設計自体ではなく、準備段階にある可能性も少なくありません。具体的には次の2つが考えられます。
自分たちが伝えたい情報を優先してしまう
マーケティングオートメーションにおけるシナリオ設計のメリットは、基本的に見込み客のタイミングで顧客が求める情報を伝えられる点です。そのため、自分たちが伝えたい情報を優先して伝えようとしても上手くいく可能性は高くありません。
たとえば、メールマガジンの購読を申し込んだ段階の見込み客に突然、商談を持ちかけても興味を持ってもらうことは難しいでしょう。企業側の視点で見込み客の段階を考えずにシナリオ設計をすれば、当然、成果は上がらず、シナリオ設計自体を難しいと感じてしまうのではないでしょうか。
ペルソナ設定やカスタマージャーニー設計ができていない
マーケティングオートメーションは、顧客の行動に応じた対応をシナリオに沿って行います。そのため、顧客がどのような行動を取るかを把握していないと適切な対応はとれません。
たとえば、製品の使い方がわからずに悩んでいる人に対し、新製品の資料ダウンロードを進めても悩みの解決にはつながらないため、高い確率で離脱されてしまうでしょう。
シナリオを作成する前に、自社の製品やサービスを求める顧客は何に悩み、課題を感じているのか、何を解決したいと思っているのかを明確にする必要があります。そこで重要になるのがペルソナ設定とカスタマージャーニー設計です。
自社の見込み客が何に悩み、解決させるためにどのような行動を取るのかを設計すれば、自ずと自社がどのような対応を取るべきかが絞られます。その結果、設計すべきシナリオも見えてくるでしょう。
成果の予測が難しい
特に初めてシナリオ設計を行う場合、どの程度の成果が上がるかの予測が難しく、予測とはまったく異なる結果が出るケースも珍しくありません。シナリオの成果は実行のタイミングやリストなどさまざまな要因により異なるため、実行してみないとわからない点も多々あります。これもまた、シナリオ設計が難しいと感じてしまう点です。
BtoB企業でのシナリオ設計の手順例
ここで、資料請求やお問い合わせがあった後で次のコンバージョンに誘導するシナリオ作成を例に、一般的な設計手順を紹介します。
- 資料請求や問い合わせがあった時点で即時、お礼と関連資料のご案内を送る
- 1週間後、無料相談や見積りのご案内
- 2週間後、無料相談や見積り案内に反応がなかった方に限定して導入事例や便利な使い方のご案内
資料請求や問い合わせを行う見込み客は、自社の商品やサービスに関心を持っているものの、検討度合いにはばらつきがあります。そのため、すぐにアクションを求めるのではなく数回に分けて対応し、反応に応じてセグメントを切り分けることで重要です。
資料請求した見込み客のなかから、無料相談や見積りにつなげることをゴールとした場合、反応のない方への対応より前に相談ニーズを優先したほうが効率的でしょう。
ほか、シナリオが必要になるリードの例としては、「商談後・セミナー後・解約後」などです。たとえば、セミナー後であれば、次のような手順での対応が考えられます。
- セミナー終了後にすぐ、お礼と商品・サービスのデモ版無料サービスのご案内
- 1週間後、デモ版に反応のなかった方に次回セミナーのご案内
- 1ヶ月後、デモ版申込みをした方に無料相談や見積りのご案内
シナリオ設計時のポイント
シナリオ設計を行い、成果を上げるためにはいくつかのポイントがあります。なかでも主なものとして挙げられるのは次の点です。
まずは簡単なシナリオ設計から始める
初めから複雑なシナリオを組もうとしても、成果を上げるのは難しいでしょう。まずは実現可能性の高い簡単なシナリオ設計から始めることが欠かせません。いきなり商談成立、売上倍増といった究極的なシナリオではなく、メルマガユーザーの●%増加、ホワイトペーパーダウンロード●件などスモールスタートが成果を上げるポイントです。
常に改善を繰り返す
一回、シナリオを作成してもそれで終わりではありません。ABテストを実施し、開封率やCTAなどの分析を行い、結果を見て成果が出なければ改めて仮説を立てABテストを行う。この繰り返しを続けながら少しづつ精度を高めていくことが重要です。
難しいシナリオ設計は専門業者に依頼するのがおすすめ
マーケティングオートメーション運用で多くの企業が頭を悩ませるシナリオ設計は、企業視点から顧客視点への移行やペルソナ設定、カスタマージャーニー設計などが重要なポイントです。
ただ、一旦、設計した後も改善が必要になるため、改善策の仮説立案や指標設定を常に行う必要があり、成果を上げるのは簡単ではありません。そこでおすすめしたいのが専門業者の活用です。
イノーバでは、多くの経験や知識を基にお客様のシナリオ設計をゼロからサポートします。マーケティングオートメーションの導入を検討している、導入したものの成果が出ないといった際は、ぜひお気軽にご相談ください。