マーケティングを進める際には、役立つフレームワークを利用することがおすすめです。
フレームワークを使うことでマーケティングに関わるデータを分析したり、足りない要素を見つけてカバーしたりといったことが可能となりますので、マーケティングの効果を最大限に引き出すためには、フレームワークを上手に活用することがポイントになります。
こちらではマーケティングに役立つフレームワークをいくつか紹介するので、この機会に自社にどのように活用できるか検討してみましょう。
マーケティングのフレームワークとは?
マーケティングにおけるフレームワークとは、問題解決や意思決定のために使用される枠組み・ツールのことです。
マーケティング活動を進めるなかで何か問題が起きたときや、プロジェクトの方向性を決定するときなどにフレームワークを参考にすることで、現状に必要な最適解を発見しやすくなります。
フレームワークを導入することで、マーケティングにおいて以下のような多くのメリットを得られます。
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マーケティングに関する考え方や目標が明確になる
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説得力を持ってプレゼンができる
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問題解決までのスピードがアップする
そのほか、フレームワークは常に分析の基準や方法が統一されているため、誰が使用しても結果がブレない点が特徴です。
また、フレームワークはその分野の専門家によって生み出され、これまでに多くの実績を残してきた手法であるため、その内容に信頼をおくことができます。
自社のメンバーで解決策を生み出せないときには、積極的にフレームワークを使っていくことがおすすめです。
マーケティング戦略の立案に役立つフレームワーク
マーケティングをはじめる際には、まず具体的な戦略を立てる必要があります。
以下からは、マーケティング戦略の立案に役立つフレームワークを紹介します。
PEST分析
PEST分析とは、以下の4つの要素によって成り立っているフレームワークです
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Politics(政治)
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Economy(経済)
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Society(社会)
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Technology(技術)
自社を囲う外的要因を分析し、マクロ視点でリスクを洗い出すのが特徴です。
外的要因によってさらされる可能性のあるリスクを、事前に把握して対策を行うことができます。
3C分析
3C分析とは、以下の3つの情報を集めて自社の立ち位置を明確にするフレームワークです
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Customer(市場)
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Company(自社)
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Competitor(競合他社)
各情報を収集してマーケティングを行うことで、より具体的な行動計画を立てやすくなります。
4P分析
4P分析とは、以下の4つのポイントを参考に顧客にアピールできる自社の強みや他企業との違いを明確にするフレームワークです。
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Product(製品・サービス)
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Price(価格)
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Place(流通)
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Promotion(販売促進)
自社ブランドの信頼性、市場における適正な価格、流通(集客方法)の厳選、販売を促進・継続するための戦略を具体的に提案します。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析とは、自社企業を取り巻く外的環境を把握して、それぞれの関係性や脅威をチェックするフレームワークです。
ファイブフォース分析で導き出される結果が強いほど、自社の利益は低くなりやすいと言えます。
その場合は事項で紹介するSWOT分析を使い、より深く外的要因による強みと弱みを把握して対策を取ることがポイントです。
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ファイブフォース分析とは?具体例を挙げながらわかりやすく解説
SWOT分析
SWOT分析は、自社企業が持つ弱み・強みを分析する方法です。
弱みと強みは「内部環境」と「外部環境」によってそれぞれ定義され、問題を分類しやすいのがメリットになります。
自社の弱みを解決するための対策や、強みを活用する施策を考案するために使用されます。
STP分析
STP分析とは、S(セグメンテーション)、T(ターゲティング)、P(ポジショニング)の3つの要素を参考に、市場における自社の立ち位置を導き出す方法です。
基本的にS→T→Pの順番で分析を行うことで、他社企業と比較した際の自社の立ち位置を明確にできます。
立ち位置がはっきりすれば、ユーザーへのサービスの提供方法やニーズに合ったプロモーションを最適化できるのがメリットです。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は、企業の原料調達から実際に商品やサービスが到達するまでの流れを体系化したものです。
マーケティングや販売を行う「主活動」と、事業の技術や人事を管理する「支援活動」の2つに分類されます。
この主活動と支援活動が連鎖していくことで、企業の利益が生まれることが上記図を見ることで分かります。
バリューチェーン分析を使うことで、「どの部分に自社にとっての付加価値があるのか」「どこに無駄なコストがかかっているのか」といったことを分析できます。
一方で、商品やサービスの到達には配送や小売などさまざまな事業が関連するため、自社の連鎖だけを見ても正確な分析は難しいです。
取引先を含めた関連企業全てをチェックすることが、バリューチェーン分析を実施するポイントです。
VRIO
VRIOは、以下の要素を参考に自社商品・サービスの強みを分析する手法です。
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Value(価値)
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Rarity(希少性)
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Inmitability(模倣困難性)
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Organization(組織)
分析結果によってはその商品・サービスが自社のウィークポイントになるケースもあり、その場合には改良やマーケティング方針の変更などが検討されます。
状況によってはプロジェクトを初期段階から練り直し、VRIOで評価される商品・サービスを考案することもひとつの方法です。
PPM分析
PPM分析とは、市場の成長率と占有率(市場のシェア率)を参考に、商品・サービスのマーケット展開を考えるフレームワークです。
4象限で分析され、自社商品・サービスがどこに当てはまるのかで人材や資金をどれくらい導入するかが変わります。
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花形:市場成長率も市場占有率も高い
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金のなる木:市場成長率は低く、一方でシェア率は高い
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問題児:市場成長率は高い一方で、シェア率は低い
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負け犬:市場成長率もシェア率も低い
市場の成長率やシェア率は変動するため、こまめに分析し直しすことがポイントです。
マーケティングのデータ分析を行うためのフレームワーク
マーケティングに使われるフレームワークには、主にデータ分析のために用いられるものもあります。
以下からは、自社が所有しているデータの分析を行う場合に使えるフレームワークを紹介します。
クラスター分析
クラスター分析は、集団から特定の要素に注目して、グループ分けを行う手法です。
分類したグループの傾向や特徴を把握し、ターゲット分析やペルソナ分析などでマーケティングに活かせます。
クラスター分析の対象となるのは顧客だけでなく、企業や商品、イメージといった抽象的なものも該当するのが特徴です。
近年は大量のデータ群(ビッグデータ)を効率良く分析するために、AI(人工知能)の応用が進められています。より多くの対象データを参考にグループの傾向を把握できるので、精密な分析が可能となっているのです。
クラスター分析には2種類に分類され、それぞれ以下の特徴があります。
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階層クラスター分析:類似しているものから順番にグループ分けし、樹形図を作る方法です。
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非階層クラスター分析:階層を作らずに最初からまとめる数を決め、その数ごとにサンプルを振り分ける方法です。
階層クラスター分析ではクラスター数(まとまりの数)を最初から決定せず、最終的な結果を持ってあとから決めるのが特徴です。
非階層クラスター分析はクラスター数を最初から決めた上で分類するため、対象データの数が大量にある場合などに用いられます。
RFM分析
RFM分析とは、3つの要素を参考に顧客を分類して分析する手法です。
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Recency:いつ購入したか
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Frequency:購入頻度はどれくらいか
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Monetary:購入金額
上記の3グループに分類した上で、それぞれどのようなマーケティングが必要なのかを考えます。
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コホート分析
コホート分析とは、顧客の行動を条件ごとに分類し、実際にどんな行動を指標ごとに数値化するフレームワークです。
Googleアナリティクスからも確認可能なので、分析の基本にもなり得ます。
例えば特定日に獲得したユーザーに関して、その後一か月でどのくらいのコンバージョンを起こしたのか、ユーザーの何割がサイトに再訪したのか、といったデータを取得することができます。
アトリビューション分析
アトリビューション分析とは、主にWeb広告による効果をより詳細に把握するためのフレームワークです。
直接CVに結びついた広告だけでなく、そこまで顧客を導いた間接的なCVにも着目でき、広告効果を計測できます。
例えば上記表で言えば、アフィリエイト広告とSNS広告は、実際に顧客をCVに導いたわけではないため「間接CV」に分類されるのです。
一方で上記表のリスティング広告に関しては、顧客をCVに到達させたことから「直接CV」と呼ばれます。
アトリビューション分析を使うことで、直接CVだけでなく間接CVの重要性や効果も分析できるでしょう。
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アトリビューション分析とは?コンバージョン経路を最適化してCVを高める
ヒューリスティック分析
ヒューリスティック分析とは、Webサイトおよびアプリの使いやすさを分析するフレームワークです。
ユーザーが使いやすい環境を客観的に分析できるので、UI/UXの見直しに活かせます。
ユーザーが「使いやすい」と自然に感じられるWebサイトやアプリは、CVを妨げる原因になるものが少なく売上アップやPV数の向上につながりやすいです。
逆にユーザーにとって使いづらいシステムや操作性のままだと、サイトからの離脱率やアプリのアンインストール数の増加などにつながってしまうでしょう。
ヒューリスティック分析は分析を行う人の趣味嗜好に結果を左右されやすいため、視認性、操作性、可視性、ストレスを感じる要素など、あらかじめ項目を絞って軸がブレないようにするのがポイントです。
また、複数人のチームで分析を行ったり、Web解析の専門家に依頼したりして客観的なデータを取得するのもおすすめされます。
デシル分析
デシル分析は、顧客集団を10個のパターンに分類することで、行動の特徴や傾向をつかむフレームワークです。
来店数や購入金額などの条件で分類し、それぞれにどんな違いがあるのかを分析します。
分類することで優良顧客を絞りこんだり、スタッフの営業成績を評価したりといったことに利用可能です。
評価する指標が1つだけというシンプルな分析方法で、特殊なツールを使わなくてもExcelなどで簡単に分析作業を進められるのがメリットになります。
一方で、シンプルさゆえに細かな分析や長期的な成長戦略を立てる際には不向きとなるため、ほかのフレームワークと上手に組み合わせていくのがポイントです。
マーケティング施策の効果測定や修正のフレームワーク
マーケティングのフレームワークには、効果測定やその結果を踏まえた上での修正に使えるものもあります。
以下を参考に、効果測定と修正のためのフレームワークもチェックしてみましょう。
PDCA
PDCAは、計画→実行→評価→改善、そしてまた計画と繰り返して内容を改善していく有名なフレームワークです。マーケティングの世界においても大いに活用されています。
改善行動を継続していけるので、長期的にマーケティングの効率化や生産性向上などを考えていけるメリットがあります。
KPT
KPTとは、実行したマーケティングプロジェクトを振り返って反省する際に使われるフレームワークです。
Keep(良かったこと)とProblem(課題)をそれぞれピックアップして、課題解決の方法を考案した上で再度Try(次の挑戦)を行います。
KPTの実装はスピーディに問題解決ができるだけでなく、プロジェクトの良かった部分を把握して別の案件に活かせるのもメリットです。
マーケティング施策にフレームワークを活用する際の注意点
マーケティング施策の実行時にフレームワークを活用するのなら、いくつかの注意点があります。
以下を参考に、注意しておきたいポイントをチェックしてみましょう。
フレームワークを正しく理解する
マーケティング戦略の立案や効果分析を正確に行うには、フレームワークの内容や使い方を正確に理解する必要があります。
ただフレームワークの項目に当てはめただけでは、成果につながる分析結果を得ることは難しいです。
そのフレームワークを使うことでどんなメリットがあるのか、利用時にはどんなことに注意すべきなのかといった点を、事前に確認しておきましょう。
自社に必要なフレームワークを選ぶ
フレームワークはたくさんの種類があるため、全てを活用しようとするのは非効率です。
まずは展開している商品・サービスや、業務環境に合ったフレームワークを選別して、自社に必要なものを利用するようにしましょう。
マーケティングにおいてフレームワークの理解は必須
上記で紹介してきたフレームワークは、いずれもマーケティングの際に役立てられるものばかりです。
フレームワークを上手に活用することが、マーケティングの成否を左右することにもなり得るでしょう。
この機会にフレームワークの種類やメリットを確認し、実際にマーケティングに活用してみることがおすすめです。