eメールによるマーケティングと聞くと、「いまさらメルマガ?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、メールマーケティングはリーチが広い、効果検証ができる、コストが安い……など、他のマーケティングツールと比較しても有利な点がいくつもあります。今回は、メールマーケティング完全ガイドとして、概要や具体的な実施方法、コツなどについて解説していきます。
メールマーケティングとは?
メールマーケティングとは、その名の通りeメールを使ったマーケティングのことです。もう少し詳しくいえば、企業が目的とする行動をユーザにとってもらうためにメールを使うマーケティング手法のことを指します。潜在層に対して役立つコンテンツを配信して興味関心を高めたり、既存顧客に対して自社製品の強みをさらに訴求してリピートしてもらったり、こうした目的のためにメールを使う手法を総合的にメールマーケティングと呼んでいると理解すると良いでしょう。当然、顧客のメールアドレスがすでに入手できていることが前提となりますが、情報を届けたい顧客にダイレクトに届く分、予想以上に効果的なマーケティング手法であることが分かっています。
メルマガとの違い
メールマーケティングと聞いてほとんどの人が連想するのは、メールマガジン(メルマガ)ではないでしょうか。メルマガとは、同じ時間に同じ内容を一斉に多くの登録者に送るマーケティング手法です。メルマガはメールマーケティングの1つの種類ですが、メールマーケティングはこれだけではなく、以降で紹介するように他にもいくつもの手法があります。傾向としては、メールマーケティングといった場合には、メルマガとの区別のためにこうした個別のメール配信でマーケティング効果を上げるものを指して呼ぶことが多いようです。
なぜ今あらためてメールマーケティング?
現在、電子メールは世界中でもっともよく普及しているビジネスツールの1つです。メルマガについても、これまで受け取った経験がないという人はほとんどいないのではないでしょうか。あまりにも一般的なツールだからこそ、メールマーケティングといっても「今さらメール?」という疑問がわくのは当然のことといえます。しかし、メールマーケティングにはいくつもの注目すべきメリットがあるのです。以下で見ていきましょう。
低コストで気軽に始められる
メールを使う強みの1つが、そのコストの低さです。担当者が通常のメーラーだけで行うことはさすがに厳しいでしょうが、それでも基本的な配信と分析のツールを導入するだけで始められます。広告の印刷もイベントブースの設置も必要ないのです。また、日常的なツールを使うため、複雑なスキルが担当者に求められるということもありません。これは少人数のチームですぐに始められるという利点にもつながります。こうした手軽さとコストの低さは他のマーケティングツールを圧倒しているといえるでしょう。
マーケティングツールとしての利便性
それでいてメールはマーケティングツールとしての高い利便性を備えています。原則的にはメールアドレスさえあれば年齢や性別はもちろん、世界中のどのようなユーザにもリーチ可能です。また、内容のパーソナライズの容易さ、受信したメールの情報からわずか数クリックで購買にまでつなげられるという点もマーケティングツールとしては特筆すべきポイントでしょう。
後者については、興味深いデータが公表されています。2017年のマイボイスコム社による調査では、メルマガに記載されているURLをクリックしたことがあるという回答は55.6%、さらにメルマガをきっかけに購入に至った回答の割合は29.7%という結果になりました。つまり、メールを読んだ半数以上が実際にURLをクリックし、3割もの人が購入に至ったということになり、マーケティング効果としては驚異的な数字といえます。インターネットの普及によって消費者や企業の行動が変化する中、簡単でほとんどの人が日常的に使っているeメールを使うメールマーケティングは効率的な手法といえるのです。
分析が容易
開封率やクリック、コンバージョンを定量的に追うことが容易です。これは担当者の人数やスキルに依存しないという点、さらには効果測定から問題点を把握しやすいというメリットにつながります。すでに書いたようにパーソナライズを含めたカスタマイズの容易さもあり、運用の中で施策を柔軟に組めるということになります。
加えて、柔軟性という面では他のマーケティングツールとの併用が容易という点も見逃せません。Webで公開した動画コンテンツをメールで顧客に配信するといった手法は、すでに多くの企業が実践しているものです。
高いROIが期待できる
低コストということは初期投資が少ないということなので、そもそもROIが上がりやすい手法であるともいえますが、メールマーケティングは他の手法よりもコンバージョンの率も高いことが特徴です。というのも、配信する顧客はすでにメールアドレスを入手しているため、一定の基準をクリアした顧客が多いからなのです。
SNSとの比較
Webマーケティングといえば、現代もっとも話題になるのがSNSです。もちろん、現代においてSNSが極めて重要なマーケティングツールであることは間違いありません。しかし、実際にはいくつかの点でメールマーケティングはより効率的なツールあるといえるでしょう。すでに見てきたように、どのような層にも簡単で確実にリーチできることや内容のカスタマイズに特殊なスキルを必要としないこと、さらに実際の購買行動までのリードタイムの短さなど、どれもSNSでは発揮できないものです。
さらに、ターゲットの使用率の高さについても注目すべきでしょう。総務省情報通信政策研究所による「平成29年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(平成30年7月)を見ると、コミュニケーション系メディアの中で30代以降の世代ではメールがもっともよく利用されています。10・20代のトップはSNSで利用率は年を追うごとに伸びてはいますが、メールは今でも“現役バリバリ”のツールだといえるでしょう。世間に広く浸透しビジネスでも常に使われているメールは、より多くの人にとって身近な存在であり、これがメールによるマーケティング効果が今でも認められている理由なのです。
BtoBではもっと効果あり!?
ここまではどちらかといえばBtoC寄りのメリットを見てきましたが、前述の統計から見ても、特に社会人にとってはメールがもっとも日常的なツールといえそうです。このため、メールマーケティングはBtoBでも効果を発揮します。
近年、B2Bの分野で見込顧客が購買までにかける時間は長期化しているといわれています。これは、インターネットの普及により、企業がさまざまな情報を自ら収集し検討できるようになったことが背景にあります。このため、見込顧客をいかに実際の購買まで「育てていくか」がより重視されるようになりました。これをリードナーチャリングといいます。実は、ここで重視されているのがメールによる情報提供です。見込顧客に対して適切なタイミングでメールによる情報提供ができれば、自社のメリットをアピールしたり顧客の理解を助けたりすることができます。実は、ターゲットとする顧客に直接届けられるのマーケティングツールは多くありません。このような「プッシュ型」でなおかつ「低コストで大量発信が可能、効果測定が容易」といった効率を備えたメールはB2Bマーケティングでも有用なのです。
◆ リードナーチャリングについてはこちらの記事もご参照ください。→ 「リードナーチャリングとは?注目の理由と成功するためのノウハウをご紹介!」
メールマーケティングにはどんな種類がある?
ひと口にメールマーケティングといってもさまざまなタイプがあります。ここからは具体的なメールマーケティングの種類について見ていきましょう。
メールマガジン
メールマーケティングの代表が、いわゆる「メルマガ」です。メルマガとは、文字通りメールで届けられる雑誌であり、同じ内容がすべての購読者に向けて一斉配信されることを特徴としています。古くからある手法のため、「(現代の環境にはそぐわない)過去のもの」と誤解している人もいるかもしれません。しかし、マスに情報を配信するという手法のため、発信者のブランドや商品の認知や定期的なエンゲージメント維持には現在でも有効な手段です。その反面、一斉配信という特性から内容のパーソナライズが行いにくいことはデメリットで、直接の購買には結びつきにくいという指摘もあります。
ターゲティングメール(セグメントメール)
ターゲティングメールとは、見込客を一定の条件ごとにセグメント分けし、そのセグメントごとに内容を変えてメールを配信するという手法です。このため、セグメントメールと呼ばれることもあります。この手法は内容がそれぞれターゲットごとに最適化されているので、よりターゲットのニーズに即した情報を配信できるという強みがあります。メルマガに比べれば配信できる数が減ってしまいますが、その分開封率を上げることができます(イノーバの事例では開封率が3~4倍になりました)。ターゲティングメールの目的は、単なる認知にとどまらず、見込み客の行動を喚起することです。セグメントは年齢や性別、住まいや職業といった属性や、「製品Aを購入した」「資料請求をすでに行った」といったステータスによって分類することもできます。それぞれにペルソナを設定することも有効でしょう。
ステップメール
ステップメールとは、個々のユーザのアクションに応じて関連性のある複数のメールを配信する手法です。たとえば、資料請求をトリガーとして1週間後に興味の有無の確認、翌週に関連商品の紹介、さらに翌週には別の課題に関しての役立ち情報、といった形で段階的(ステップ)に情報を届けます。ステップメールの目的はリードナーチャリング。これらのメールは通常CRMや配信システムを使って自動的に配信されるよう設定されますが、こうした定期的に接触することで検討期間が長い顧客とも信頼関係をつくることができるのです。ステップを踏むことで最終的には具体的な製品購入への問い合わせや営業パーソンとのアポイントメント獲得を目指します。このプロセスをスムーズに行うには、顧客の行動や思考を図式化した「カスタマージャーニー」に基づいて次のアクションにつなげるためのトリガーとなるメールの内容をよく検討する必要があります。このため、手間がかかることはデメリットといえるでしょう。また、どれだけよく練られたステップメールを作成できても、最初のアクションが行われなければ効果がないという難しさもあります。
◆ カスタマージャーニーについてはこちらの記事もご参照ください。→ 「カスタマージャーニーとは?意味とマップの作り方を徹底解説」
トリガーメール
トリガーメールとは顧客の特定のアクションに対してあらかじめ設定されたメールを自動配信するというもの。たとえば、会員登録するとほとんどのWebサイトではウェルカムメールを送ります。ここではお礼だけではなく、現在行なっているキャンペーンや新規登録者向けのディスカウントなどの情報を知らせることが可能です。
トリガーメールとして代表的なものに「カゴ落ち」と呼ばれるカートに入れたものの顧客が購入したなかった際に送るメールがあります。このように情報を再度リマインドしたり広告したりすることで、コンバージョン率を上げることができるのです。
どのような手順でメールマーケティングを実施する?
ここまででメールマーケティングについての背景や種類について確認してきましたが、具体的にはどのような手順で実施すれば良いのでしょうか。
目標設定
メールだけではなく多くのマーケティング施策に共通することですが、まずは目標をクリアに設定することが重要です。このために効果的な手法がKGIとKPIの設定です。KGIとは達成したい最終目標のことで、「上半期の売上を前同比150%にする」のように設定されます。メールマーケティングの場合には、売上でも良いでしょうし、「ターゲティングメールによって成約(コンバージョン)数をxx件に上げる」、「メルマガによる製品資料ダウンロードをxx件獲得」なども考えられます。こうした目標を達成するために施策をブレイクダウンし細かいアクションに数値目標を張り付けたものがKPIです。代表的なものとしては、メール開封率やクリック率が挙げられるでしょう。
◆ KGIとKPIについてはこちらの記事もご参照ください。→ 「本質を理解して正しく活用したい、「KGI」と「KPI」」
ペルソナを設定
ペルソナとは自社の商品やサービスを使ってくれる典型的なユーザ像のことです。企業にとって自社製品がこのような人に使ってもらえればベストだ、という理想の具体化ともいえるでしょう。メールマーケティングでもこのペルソナ設定は有効です。架空の存在ではありますが、細かく設定することでユーザの行動をより具体的に把握でき、より深い想定に基づいた情報の設定が可能になるのです。
ペルソナの具体例は「29歳の主婦、3歳になる子どもがいる3人家族、夫は大手化粧品メーカーの主任で、大都市近郊に住んでいる。趣味はスポーツ観戦だが、最近Instagramにハマっているため週末におしゃれなカフェでママ友とランチすることが増えた」といったもの。これは「20~30代前半まで女性」のようなターゲット設定に比べて、ニーズの把握や効果的なアプローチの予想などがはるかに具体的に可能になることがわかります。
◆ ペルソナについてはこちらの記事もご参照ください。→ 「マーケティングの成否を左右する「ペルソナ」をきちんと理解しよう」
メールアドレスの獲得
メールマーケティングにとって、ある意味もっとも肝心になるのがメールアドレスの獲得です。当然のことですが、メールアドレスが手元になければマーケティングを行うこともできません。自社が保有するアドレス数が少ない場合には、まずは自社のWebサイト上にメール購読を登録するフォームを設置します。もちろん、無関係な場所ではなく、コラムや製品紹介のような関連するトピックの近くに設置することが大切です。また、顧客に関する情報の収集ではなく、メールマーケティングの起点となるアドレス獲得が目的なので、メールアドレスを入力するだけといった形でユーザの負担をできるだけ少なくすることもポイントです。これに加えて、無料のホワイトペーパー(特定のテーマについてまとめられたe-book)を配布するようなインセンティブを設けることも有効です。他にも、社内ですでにもらっている名刺を整理したり、イベントへの出展で新たにメールアドレスを獲得するという”リアルな”場面でのリスト収集は現在でも十分活用する価値があります。
オプトインとオプトアウト
メール配信にあたって必ずおさえておきたいのが、オプトインとオプトアウトという言葉です。オプトインとは、英語では「Opt-In」と綴り、選択するとか参加する、といった意味。具体的には、ユーザがメールでの広告を受け取ることを「許可する」ことで、許諾を得た相手に対してメールマーケティングを行うことになります。一方、オプトアウト(Opt-Out)は脱退するといった意味で、これは配信されるメール広告に対してユーザが「受け取らないという意思表示」をするものです。オプトアウトの場合にはメール配信停止の手続きを取らなければ自動的にメールが配信されるのに対し、オプトインの場合には最初にユーザから「配信しても良い」とされたときだけにメールを配信することができます。日本では、2002年に成立した「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(いわゆる迷惑メール法)」によって、広告メールはオプトイン方式へと変更されました。このため、企業がメールマーケティングを行う場合には、顧客から事前に許諾を得ることが必要です。
メール作成
このようにメールマーケティングの環境を整えたら、次に考えたいのがいかにメールを作成するか、でしょう。具体的な内容(文章)に行く前に改めて明確にしておきたいのが、受信するターゲットです。たとえば、記号で装飾された元気いっぱいの文章は若い人には親近感が湧くかもしれませんが、ターゲットが中高年であった場合には逆効果となることも考えられます(あくまで例えです)。マーケティングの基本である「誰に」「何をして欲しいのか」を改めて意識しておきたいところです。
具体的な内容についてですが、メールマーケティングではまずは開封してもらうことが重要になります。このため、思わずクリックしてしまうような件名を作成しましょう。「★無料お試しキャンペーン開催中★」のように目立つ記号で装飾したり、「えっ!?○○は実は売上アップに逆効果!?」のように感嘆詞を使ったり逆説で意外性を出したりすることも効果があるかもしれません。さらに、「xxをご購入いただいた方限定!」のように、パーソナライズを意識してターゲットに「自分に関係がありそう」と思わせることもポイントです。なお、言うまでもないことですが、メールの文章は簡潔で読みやすいことが大前提です。情報を詰め込みすぎたり、一文が長すぎたりすると受信者も読む気をなくしてしまいます。十分注意しましょう。
HTMLメールとテキストメール
なお、メール作成時に通常のテキストメールを配信するのか、HTMLメールとするのか悩む担当者も多いかもしれません。インターネットの高速化に伴い、HTML形式のメルマガは随分増えたイメージがありますが、BtoBに関しては未だテキストメールが主流という調査結果もあります(一般社団法人日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査 2018」)。それぞれメリット・デメリットがあるので配信する情報とターゲット、狙う効果をよく検討して決めることが大切です。両者における主なポイントは以下の通りです。
- テキストメール: 受信者の環境に左右されないことが最大のメリットといえます。ただし、基本的にはテキストのみなので視覚的な効果には限界があること、さらに効果測定として重要な開封率の計測ができないことはデメリットです。
- HTMLメール: これに対してHTML形式のメールは、視覚的にリッチなコンテンツを作りこむことができること、開封率やクリック率の計測ができるというメリットがあります。しかしながら、依然として容量が重いことや受信側の環境によっては意図したとおりに表示されないことはデメリットです。加えて、当然のことですが作成には基礎的とはいえHTMLの知識が必須なので担当者への負荷にもなりえます。
メール配信時間
メールを配信するタイミングにもコツがあります。たとえば、複数のリサーチで週末や月曜日にはメールの開封率が低いという結果が出ています。休日はもちろん、月曜日も週明けで忙しくしている人が多いことが推測されます。反対に開封率が高くなる傾向にあるのは火曜日のようです。時間帯については午前10時~午後3時がメールが読まれやすいタイミングで、さらに配信から2時間以上が経過すると開封率はぐっと下がるという調査もあります。配信を行うターゲットの行動を具体的に予測して、配信時間についても考えていきましょう。
効果測定
最後に考えておきたいのが効果測定です。KPIの項でも触れましたが、メールマーケティングの施策がどの程度効果を上げたのか測定し、必要であれば改善策を講じることは非常に重要です。メールマーケティングでは、以下のようなポイントで効果測定がなされるのが一般的です。メール配信に使うツールで簡単にデータを可視化できるものもあります。すでに触れたように、テキストメールでの配信する場合には効果測定が限定されることもあるので、注意しましょう。
- 到達率: どれだけメールが届いたか
- 開封率: どれだけメールが開封されたか
- クリック率: メール内の誘導リンクはどれだけクリックされたか
- コンバージョン率: メールからどれだけ成約(購入)につながったか
メールマーケティングの事例にはどんなものがある?
メールマーケティングを活用する企業の事例を見てみると、それぞれ「思わずクリックしたくなる」メールばかりであることがわかります。これは、先にも述べたメールマーケティングの持つ、コンバージョン率(成約率)の高さ、成約に至るまでのリードタイムの短さ、というメリットを踏まえた活用だといえるでしょう。たとえば、オンラインメディアサイトであるBuzzFeedのニュースレター(メルマガ)はタイトルから本文にいたるまで、非常にシンプルでわかりやすく、さらに興味を引く画像を添付することでクリックにうまく誘導しています。
他にも、シンプルでパーソナライズされたメールが配信される民泊のAirbnbのように、CTAを意識したデザインが見受けられます。CTAとは「Call to Action」の略で、「問い合わせを送る」や「資料の請求」のようなアクションを喚起させるためのボタンやテキストのことです。Webサイト製作時にもデザインのキーとなるものですが、コンバージョン率が高いメールマーケティングでも意識しておきたいところです。
加えて、注目しておきたいのがDropboxのように企業色を打ち出したメールの配信です。定期的なメールの配信はエンゲージメント維持に役立ち、そのためのデザインとしては企業のイメージが容易にわかるようなものが望ましいといえるでしょう。さまざまなWebマーケティングの実施でも知られるStarbucksも新製品の“インスタ映え”する写真や楽しいアニメーションの配信を行っています。
メール配信ツールにはどんなものがある?
最後に触れておきたいのが、メール配信ツールです。メールマーケティングは通常のメーラーだけでも理論上は実施可能ですが、手間や効果測定を行うことを考えるとツールを導入することがおすすめです。
メール配信ツール
メール配信の自動化や配信時間を設定できるシステムです。最近では、クラウド版も登場しています。配信予約はもちろん、ターゲティングメールとして紹介した特定のグループのみへの配信や、一定期間ごとに配信するステップメールの設定を行うことが可能です。また、配信ツールではHTMLの知識がなくともHTMLメールを作成することができるため、担当者の負担軽減にもつながります。分析機能についても、先に紹介した開封率やクリック率が一目瞭然なことや、あるいは配信できなかったエラーについて分析できることなど、ツール選定の際には確認しておきたいところです。
マーケティングオートメーションツール
マーケティングオートメーション(MA)ツールとは、リードの管理から各リードに対してのメールやSNSでのアクション、スコアリングなどを一元管理するソフトウェアのことです。メール配信ツールとの違いを端的にいえば、こちらはよりマクロにマーケティング活動を管理できるものだといえるでしょう。このツールの機能としては、先に挙げたメール配信ツールができることはもちろん、リード管理と連携しているので、ユーザのアクションを起点にしたメール配信が可能であることが挙げられます。とりわけ、ステップメールのケースを考えるとわかりやすいでしょう。メール配信ツールでは、最初のメールを起点にxx日後という期間を基準としたステップメールを配信するのに対して、マーケティングオートメーションツールを使った場合には、期間によらず「資料請求を行った」「事例集のダウンロードを行った」などのユーザからのアクションを基準にしたメール配信が可能です。メールマーケティングをより体系的かつ効率的に行える反面、導入の際には自社のマーケティング戦略についてより詳細な検討が求められるため、メール配信だけに絞ったツールよりもハードルが高いといえるかもしれません。
多くのメリットがあるメールマーケティング
完全ガイドとして、メールマーケティングに関してのさまざまなポイントをご紹介しました。メールは誰もが使っているもっとも身近なツールであるだけにマーケティング効果を上げやすく、さらに実施する企業側にとっての負担も少なくすることが可能です。自社が目指すマーケティング施策にメールマーケティングが活用可能か、検討してみる価値は十分あるといえるでしょう。