BtoBサイト完全マニュアル――戦略から制作、運用まで、実利を生むWebサイトの作り方

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BtoB(法人向けビジネス)のWebマーケティングには、BtoC(消費者向けビジネス)とは異なるポイントが多々あります。それらを理解することなくBtoBのWebサイト構築に着手すると、どれだけ人手やコストをかけたとしても、望む成果につながりません。

本マニュアルでは、これからBtoBのWebサイトを構築しようと考えている方、あるいは既存のBtoBサイトのリニューアルやテコ入れをお考えの方を対象に、ぜひとも押さえておきたいポイントを「戦略編」「構築編」「運用編」の3つに分けて詳しく解説します。

目次

【第1部】BtoBサイト戦略編

成功するWebサイトには「戦略」が必要です。この章ではBtoBのWebサイトの戦略を構築する上で押さえておくべきポイントを解説します。

BtoBマーケティングの難しさ

BtoBのマーケティングはBtoCとは異なる性質を持っており、同じやり方が通用しない部分もあると言われています。その理由は、ターゲットとなる顧客が消費者個人ではなく「企業」であることに起因します。

消費者は「個人」であるのに対して、企業は「集団」の性質とともに、それを構成する複数の「個」の集合体であるという性質を併せ持っています。これが個人と企業の間の大きな違いです。BtoBマーケティングを考える場合は、このことを常に念頭に置いておくべきです。

企業には「集団」としての大きな目的があり、その目的を達成するための行動指針を持っています。そういう意味では、企業も個人と同じ「1つのターゲット」としてみなすことが可能ですが、企業の場合は「その先」があるという点が個人と大きく異なります。企業に属する役員や従業員(以下、構成員)も、究極的には「企業としての目的」に沿って活動します。

しかし、実際には各自の責務や役割によって、さまざまな思惑が入り混じるのが現実です。

BtoBの特性

たとえば、ある企業が販促のためにノベルティを製作する計画を立てたとしましょう。その最終的な狙いは、「(ノベルティの力を借りて)売上と利益を向上すること」です。この最終目的は、プロジェクトに関与するすべての人が共有します。

しかし、その中でも経営層の関心は「かけた費用に見合う利益が期待できるか」というところに帰結するでしょうし、担当部門の責任者は「あらかじめ定められた予算と製作期限を守れるか」に最大の関心を抱くでしょう。企画立案の担当者の頭の中には、「話題になるノベルティを製作するために必要な情報を効率的に集めたい」という思いが強くあるかもしれません。

このように、さまざまな「個」の利害関係や思惑が入り乱れる組織に対してマーケティングするには、「個」それぞれのニーズに的確に応えていくことも求められ、それがBtoBのマーケティングの難しさになっています。

もう1つ、企業の「買い物」は個人のそれに比べて時間がかかるというのもBtoBの重要なポイントです。

企業が何らかの製品やサービスを購入する場合、かならずそこには何らかの目的が存在するものです。一部の特殊な例外を除き、企業がその場の思い付きで衝動買いをすることはありません。社内のパソコンが老朽化したから新しいパソコンを購入する、社員が増えたからデスクや椅子を購入する、ビジネスの進め方が変化したから社内システムを作り替える……というように、何か必要性があってはじめて購買・調達のプロジェクトが始動するのです。

そして、ワンマン社長が1人ですべてを采配しているような企業でない限り、企画の立案から始まって、予算取り、情報収集、対象製品の選定、社内稟議の起案、部長や社長の決裁……といったいくつものプロセスを経てようやく成約に至るのです。ファーストコンタクトから成約までには数週間から数ヶ月、場合によってはそれ以上の長い時間がかかります。この間、検討のプロセスが進むにつれて顧客の検討内容は具体化していきますが、それにつれて顧客が求める情報の性質や粒度が変わっていきます。

こうした複雑性を理解した上で、適切なターゲットに適切なタイミングで適切な情報を提供するための戦略を練る必要があります。

BtoBのWebサイトは営業の一翼を担うものと心得る

加えて理解しておきたいのは、「BtoBのWebサイトは営業活動の一翼を担うものである」ということです。

クラウド型アプリケーション・ツールの申し込みサイトのような一部の例外を除き、BtoBでは最終的なクロージングを営業部門が担当するのが一般的です。BtoCのネットショップでは、訪問者が購入ボタンをクリックしたところで取り引きが成立しますが、BtoBのWebサイト上で訪問者が起こす「問い合わせ」や「見積依頼」といったアクションは、あくまでも「ビジネスの入り口」でしかないのです。

Webサイトから問い合わせを送信した訪問者は「見込み客」として管理され、営業担当者による訪問、提案活動などを経てようやく成約に至ります。つまり、BtoBのWebサイトの役割は、営業部門の活動の源泉となる「見込み客」を生み出すことにあるのです。

BtoBのWebサイトの戦略を考える際には、このことを正しく理解しておく必要があります。

たとえば、SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)リスティング広告をがんばって大量の見込み客を自社Webサイトに誘導し、桁外れの数の問い合わせを獲得することができたとしても、その問い合わせが最終的に契約につながらないようなものであっては意味がないばかりか、却って営業部門の足を引っ張ることにもなりかねません。たとえば、動ける営業担当者が2人しかいないところへ毎日100件の問い合わせを受け付け、その対応を全て営業部門に回していたら、営業部門がパンクしてしまうのは目に見えています。

要するにBtoBではWebサイト単独ではく、見込み客の獲得から成約までを1つの流れとして捉え、自社の状況と照らし合わせた上で、総合的な戦略を練ることが非常に重要なポイントとなるのです。マーケティングと営業は異なる活動ですが、1本の線でつながっており、BtoBのWebマーケティングが営業活動を補佐するものであることは否めません。このことをまず念頭に置いておくようにしてください。

自社の営業プロセスを明確にする

戦略とは、ひとことで言えばなんらかの目的を達成するための計画です。

戦略を構築する際に、達成すべき目的が何であるかを明確にしなければ始まらないのは言うまでもないことですが、もう1つ重要なのは、「現在の状況」を正しく把握するということです。

たとえば「東京へ行くための計画」を立てる時、出発地点が埼玉なのか大阪なのか、あるいは米国のニューヨークなのかでその内容は全く変わってきます。BtoBマーケティングも同様で、スタート地点である現在の状況を明らかにしておかなければ、正しい戦略を構築することはできません。

とりわけBtoBのWebサイトについて考える際には、自社の営業プロセスを明確にしておくことが大切です。どのように見込み客を獲得し、どのような手順を踏んで成約へ持ち込むのか。そこを明らかにして初めてWebサイトが支援すべきポイントが見えてきます。

自社の課題を認識する

「目的地」と「現在地」が明確になったら、次は目的地へ到達するために何が障害となっているのかを明らかにします。言い換えると、目的達成のために乗り越えなければならない「課題」を明確化する、ということです。

言うまでもなく、この課題は企業や組織によって千差万別です。そして、抱えている課題によって、取るべき戦略も変わってきます。

たとえば、目標は同じ「売上の増加」であったとしても、創業したばかりで既存顧客数が少ない企業と、成熟市場で競合との激しい戦いを繰り広げている企業とでは、課題の性質が異なります。課題が異なれば、当然ながらそれを解決する方法も違ってくるはずです。

自社がどのような環境でどんなビジネスをしていて、現在どのような状況にあり、目的を達成するために何が妨げとなっているのか。もし、この問いに答えられないようなら、3C分析や4P分析などのフレームワークを用いて現状を把握してみましょう。まずは自社が現時点でどのような課題を抱えているのかを明確にした上で、その課題を解決するためにどのような対策を打てばよいかを考えていきます。

3C分析と4P分析については下記リンク先の記事で詳しく説明していますので、ぜひご一読ください。
ホームページ制作における「3C分析」活用方法
ホームページ制作における4P分析

営業プロセスのどこに問題があるのか?

自社の課題を洗い出すにあたって、1つのポイントとなるのは「営業プロセスのどこに問題があるのか」という視点で考えてみることです。

既に説明したように、BtoBでは長く複雑なプロセスを経て最終的な成約に至ることがほとんどです。そのうちのどこがボトルネックとなっているのかを明らかにすることで、課題解決の方向性が見えてきます。

BtoBの営業は、一般に次のような流れで進んでいきます。

図1 BtoB営業の一般的な流れ.jpg

こうした流れのうちの「どこ」が問題となっているかによって、取るべき対策が違ってくるのは容易に想像がつくでしょう。

たとえば(1)の見込み客獲得の段階でつまずいているのなら、そこを改善する必要があります。一定数の見込み客は獲得できていて訪問までは到達するものの、なかなかその先に進めないという場合は、営業担当者のスキル不足か見込み客リストの品質に問題があるかのいずれかである可能性があります。商談化はするが成約に至らない場合は営業担当のスキル不足か、もしくは製品そのものに問題があるのかもしれません。競合が強すぎて勝てない、といったケースもあり得るでしょう。

そもそも集客ができていないなら集客活動に力を入れるべきですし、見込み客リストの品質が悪いというなら、顧客の育成と絞り込みにテコ入れをする必要があります。このように課題ベースで検討した結果、それを改善するためにWebサイトがどのような役割を果たすべきかを考えます。


抱えている課題の性質によっては、Webサイトの出る幕はないという結果になる場合もあるでしょう。たとえば製品そのものに問題があるなら、まずはそこからクリアしなければ本質的な問題解決につなげることはできません。

Webサイトが担う役割

前段で紹介した営業プロセスのうち、一般にWebサイトが担当することになるのは(1)の見込み客獲得の部分です。Webサイト上に商品説明や導入事例などのコンテンツを掲載して見込み客を集め、資料請求や問い合わせを通じて見込み客のリストを収集する、といった部分を担います。

資料請求をする人の中には「すぐにでも訪問してほしい」というホットな顧客候補から、「すぐに購入する予定はないが、とりあえず情報収集のために」という温度感の低い人まで、さまざまな層が含まれます。これを全て営業部門に回していては、前述したように営業担当者の足を引っ張ることになりかねません。

そこで、獲得した見込み客の状態を推し量りつつ、メールや電話、セミナーへの勧誘などを通じて顧客を「育成」する活動を行いますが、最近ではこの育成活動の一部をWebサイトが担当するケースが少なくありません。Webサイト上に顧客の役に立つさまざまなコンテンツを掲載し、顧客の状況に応じて適切なコンテンツを提案したりして、製品やサービスに関する啓蒙活動を行うのです。

こうした育成活動の結果、営業が訪問して商談に至る可能性が高まった見込み客を営業部門に引き渡します。

ちなみに、「商談に至る可能性が高まった」かどうかの判定には、しばしばスコアリングという手法が用いられます。見込み客の属性情報(業界、職種、企業規模、予算、など)と行動情報(特定コンテンツを閲覧した、資料を請求した、問い合わせをした、見積りを依頼した、セミナーに参加した、など)に応じてスコアを加減していき、一定以上のスコアに達した見込み客だけを営業部門に引き渡すわけです。このような手順を踏むことで、手間がかかる営業訪問の効率を改善できます。

なお、見込み客の獲得から育成、絞り込みまでを自動化するためのツールとして、昨今注目を浴びているのがマーケティング・オートメーションです。マーケティング・オートメーションについては下記リンク先の記事で詳しく説明していますので、ぜひご一読ください。
マーケティング・オートメーションとは何か?機能と導入のメリット


【第2部】BtoBサイト構築編

第2部では、実際にBtoBのWebサイトを構築していく上で押さえておきたいポイントを、ターゲット設定やデザイン、サイト構造、コンテンツなどの視点から解説します。

製品とターゲット顧客像を明確にする

自社の課題を洗い出し、その解決のためにWebサイトを活用する方針が明確になったら、Webサイト構築の具体的な計画を立てていきます。その際に忘れてはならないのは、自社が提供する製品・サービス、およびそのターゲットとなる顧客像をあらためて明確にしておくということです。

ターゲットを明確にする

「製品・サービス」について理解する

BtoB企業のWebサイトは、自社と自社の製品・サービスを探している顧客との接点を作るための「場」の1つであると捉えることができます。自社がどんな製品・サービスを販売していて、誰がそれを探しているのかがはっきりしていなくては、両者が出会う「場」を作ることはできません。

「自分の会社が何を販売しているのかをまったく知らない」というWeb担当者はあまりいないかもしれませんが、製品の特長や価格体系、導入のメリット、他社製品と比較した際のセールスポイントなどを営業担当者と同じレベルで説明できるかと問われたら、思わず口ごもってしまう人は少なくないはずです。

しかし、これらはBtoBのWebサイトを構築する上で非常に重要なポイントとなります。ここを曖昧にしたままではWebサイト構築の戦略を立てることなどできません。可能な限り情報を整理し、理解するよう努めてください。関係者全員が最低限同じレベル以上の知識を共有することが、Webサイト構築プロジェクトを成功に導く秘けつとなります。

「顧客」について理解する

製品・サービスについて理解するのと同時に、顧客に対する理解を深めることも大切です。

「貴社の顧客は誰ですか?」という問いに、迷わず答えられますか?

「●●の購入を検討している企業」というような漠然としたものではなく、その企業の売上や人員の規模はどのくらいか、エンドユーザーは誰で、導入を主導するのはどの部門なのかといったところまで、具体的に掘り下げて「顧客像」を明確化しておく必要があります。

また、先にも少し触れたように、顧客は何かしら目的があって製品やサービスを購入するものです。この目的は「何らかの課題を解決すること」と言い換えることができるでしょう。たとえばパソコンが老朽化したので買い替える場合、「古いパソコンでは新しいソフトウェアが動かせない」といった課題があり、それを解決するために新しいパソコンを購入するわけです。

ターゲットとなる顧客がどのような課題を抱えていて、自社の製品やサービスがどういった形でそれを解決できるのかを明らかにしておくことで、Webサイトに掲載すべき情報や導線設計の方針などが見えてきます。

加えて、顧客が製品・サービスを購入するまでにどのような行動をとるのかを整理しておくと、Webサイトの設計に役立つ情報が得られます。代表的な顧客の行動パターンが分かれば、それにあわせてより成果の上がるWebサイトを設計できるからです。

なお、こうした顧客の行動パターン分析にしばしば用いられるのが、カスタマー・ジャーニー・マップと呼ばれるツールです。カスタマー・ジャーニー・マップについては下記リンク先の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
カスタマー・ジャーニーとは?意味とマップの作り方を徹底解説

カスタマー・ジャーニー・マップ テンプレート

ペルソナ活用でコンテンツマーケティングの効率アップを図ろう!

BtoBサイトデザインの勘所

ここでは、BtoB企業のWebサイトのデザインについて、押さえておくべきポイントを紹介します。

見た目より中身を重視せよ

近年、HTML5などの技術を利用したハイセンスなWebサイトが目につくようになりましたが、BtoBのWebサイトは「見た目より中身」が重要だと心得ておきましょう。

人目を惹く美麗なデザインやあっと驚くような奇抜なギミックなどを取り入れるより、「狙ったターゲット」に対して「伝えたいメッセージ」を的確に届けるということに重点を置いてデザインすべきです。

清潔感と信頼感が大切

企業が取引相手を選ぶ際に何より重視されるのは、「この会社は信頼できるのか」ということです。

ことさらに見た目の美しさを追求する必要はないとはいえ、少なくとも「ちゃんとした会社である」ということが伝わる程度に、清潔感と信頼感のあるデザインを心がけましょう。

「ブランドカラー」にこだわりすぎない

大手企業や長い伝統を持つ古株企業でない限り、Webサイトの構築時にいわゆる「企業のイメージカラー」をことさらに重視する必要はありません。特に、製品・サービスのマーケティングの場としてWebサイトを位置付ける場合、「ブランディング」という観点に引きずられて本来取るべき方向性を見誤ることのないように注意しましょう。

もちろん、Webサイトとして全体的に統一感を持たせるのは大切なことです。その統一感の根拠を「自社のブランドイメージ」ではなく、「製品・サービス」を主軸に据えて考えるべきだ、ということです。

ファースト・ビューで的確にメッセージを伝える

休日にのんびりネットサーフィンをする一般消費者とは異なり、企業の担当者は限られた業務時間の内で情報を収集します。特に新規事業立ち上げプロジェクトなどでは、メンバーは通常業務との兼務という形で任命されることが少なくありません。担当者は本来の業務をこなしつつ空いた時間で情報収集を進めなくてはならず、短い時間で効率よく情報を集めたいと考えます。このため、Webサイトはとにかく「分かりやすさ」を重視して構築することが望まれます。

「分かりやすさ」と一口に言ってもさまざまな切り口がありますが、よく言われるように、「ページを開いて3秒で、何をしている会社なのかが分かる」というのが1つの目安となるでしょう。具体的には、ターゲットが抱えている「課題」を理解した上で、「その課題を解決する方法がここにありますよ」ということをファースト・ビューで伝える工夫が求められます。

たとえば、トップページ上部の目につく場所に大きなバナー画像や動画などを設置するのは、しばしば用いられる手法ですが、ここにどのようなメッセージを掲載すべきかについては念入りに検討する必要があります。

「お客さまの笑顔が私たちの喜びです!」といったスローガンのようなメッセージを掲げている企業もありますが、見込み客獲得という目的に照らし合わせて考えると、これはあまり良い策とはいえません。また、「目立つ場所なのだから気の利いたキャッチコピーを……」とばかりに、詩的だったり情緒的だったりするばかりで、見込み客が知りたいことにまったく答えていないコピーを掲載してしまうケースも少なくありません。

ファースト・ビューで的確にメッセージを伝えるためには、一見愚直なようでもシンプルでわかりやすいフレーズを採用すべきです。

無駄な情報を省く

前述の「分かりやすさ」を補足するテクニックとして、「無駄な情報を省く」というのも有効な考え方です。

画像やアイコンは適度に使えば効果的なツールとなりますが、むやみやたらに散りばめすぎるとユーザーの目移りを誘ってしまい、結果として「分かりにくい」サイトと認識されてしまう懸念があります。

次の項であらためて説明しますが、サイトを訪れたユーザーが迷うことなく情報にたどり着けるように整備することが何よりも大切で、その目的を妨げるような無駄な情報は極力省くよう心がけましょう。

奇をてらいすぎない

これは、デザイン面・コンテンツ面に共通して言えることですが、特殊な事情がない限り、BtoBサイトにおいては必要以上に奇抜なアイデアは必要ありません。というのも、BtoBの顧客は「必要なものを手に入れる」ためにWebサイトを訪れているのであって、Webサイトの仕掛けで楽しみたいと思っているわけではないからです。

競合他社との差別化は必要ですが、奇をてらいすぎて本質を外してしまわないように注意してください。

なお、会社の戦略としてユニークさを売り物にしている場合などは、この限りではありません。ユニークであることが戦略であるなら、Webサイトもそれにあわせてユニークな作りにするというのは理にかなっています。

東海バネ工業株式会社は、完全受注生産方式で金属バネを製造・販売しているユニークな企業です。

トップページのデザインはBtoBサイトにしてはやや奇抜にも思えますが、同社のこだわりを余すところなく表現した設計は非常に参考になります。

バネ・ばね・スプリングの東海バネ工業株式会社

SC東海バネ工業.png

BtoBサイトの導線設計

導線設計とは、Webサイトの訪問者をコンバージョンに導くための道筋を設計することです。

コンバージョンは「成果」というような意味で用いられている言葉で、BtoBサイトの場合、資料請求や問い合わせ、見積もり依頼などをコンバージョンとして設定することが多いでしょう。つまりBtoBサイトの導線設計とは、サイトを訪問した見込み客に資料請求や問い合わせをしてもらうための「道筋」を設計する作業だと言い換えることができます。

BtoCとBtoBの違い

導線設計の基本的な考え方については、BtoCとBtoBで大きな違いはありません。ターゲットユーザーが何を求めてどのような経路でWebサイトを訪問するかを整理した上で、パターン別にコンバージョンに至るまでの道筋を描きます。

BtoCとBtoBで大きく異なるポイントとしては、BtoBではWebサイト上でのコンバージョンが最終的なコンバージョンにならない場合が多いという点が挙げられます。BtoCのECサイトであれば、ユーザーがサイト上で「購入する」のプロセスを完了したところでほぼ売上が確定します。

一方、BtoBの場合は「資料請求」だけで物が売れるわけではありません。資料請求した訪問者は見込み客となり、その後の長い営業プロセスを経て、ようやく最終的な成果である「売上」に至ります。訪問者の視点で考えると、資料請求の段階では金銭の支払などが発生するわけではないため、ECサイトで物を購入するのに比べて心理的な抵抗が低いという違いがあります。このため、BtoCに比べてWebサイト上でのアクション(資料請求ボタンを押してもらうなど)を起こさせるまでの難易度は低い傾向にあります。

また、企業側には訪問者からできる限り多くの情報を引き出したい、というニーズがあります。Webサイトから資料請求をしてきた訪問者がすぐにでも営業アプローチをかけられる相手なのか、ある程度時間をかけて育成する必要があるのか、あるいは単なる冷やかしなのかを判別できれば、その後の営業活動を効率よく進めることができるからです。

しかし、個人情報保護の意識が高まりつつある近年において、そうした詳細情報を入力してもらうのは簡単なことではありません。そこで、導線設計の中にこうした抵抗を取り除くための工夫を盛り込むことが求められます。

なお、前述したようにWebサイトに複数のターゲットがいる場合は、ターゲットのパターン別に想定されるシナリオを描いて個別に導線を設計するようにしてください。

「迷わせない」ための工夫をする

導線設計にはさまざまなポイントがありますが、BtoBサイトの導線設計で特に重視すべきなのは、訪問者が道に迷わないように工夫をこらすことです。

先にも説明したように、BtoBサイトを訪問する担当者は多忙な中で効率よく情報収集したいと考えています。加えて、通常は何らかの商品を購入する際、複数の類似商品を比較検討するものです。

たとえば、「社員が増えたからグループウェアを導入しよう」という場合、「グループウェア」などのキーワードでインターネット検索をかけ、表示されたページの中で目に止まったところを順にチェックしていくことになるはずです。商品名、価格、特徴、販売会社の連絡先といった情報を表に記録していき、全体をざっと比較した上で、候補となる数件を選び出すことが多いのではないでしょうか。この時、求める情報がサイト内でどこにあるかがさっぱり分からなければ、担当者はそのサイトにさっさと見切りをつけて次へ行ってしまうかもしれません。

また、比較検討の結果、製品に関心を抱いたとしても、さらなる情報を得るためにどう行動すべきかが分からなければ、やはりそこで脱落してしまう懸念が高まります。

よくある例として、1つのサイトに「資料請求」「問い合わせ」「見積依頼」などの複数のボタンが設置されているにも関わらず、クリックするとすべて同じフォームにジャンプするというものがあります。フォームの選択肢も整理されておらず、どれを選択するとその先何が起こるのかがよくわからず、そこで手を止めて離脱してしまうことになります。

また、商品に複数のラインナップがある場合に、どれを選ぶべきかの指針を示すのも重要なポイントです。製品のエディションごとの価格や特徴を一覧表にして掲載するのはよく用いられる手法ですが、比較の軸にどのような項目を設定するかは、ターゲット顧客の視点になって選ぶことが大切です。

いずれにしても、BtoBのWebサイトにおいては、とにかく「迷わせない」ための工夫をすることが大切です。無駄な選択肢を見せず、次に取るべきアクションを明確にするなど、細かい部分に配慮をしたいものです。

なお、BtoBサイトの導線設計については下記リンク先の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
BtoB企業サイトの導線計画―押えておくべき10のポイント―

BtoBサイトのコンテンツ開発

続いて、BtoBサイトのコンテンツ開発についてお話していきましょう。

見込み客に自社を見つけてもらう

BtoBの世界では、営業担当者が顧客企業を訪問して自社の情報を伝えるという「足で稼ぐ」やり方が長い間主流となっていました。飛び込み営業や展示会などで新しい見込み客を開拓し、営業が足しげく訪問を重ねて「口説き落とす」手法です。

しかし、インターネットの普及によって、状況は大きく変わりました。昨今では、企業の情報収集担当者の大部分が、一番初めに利用する情報源としてインターネットを挙げています。株式会社トライベック・ブランド戦略研究所の調査によれば、BtoBユーザーの約50%が企業のWebサイトを情報源として活用しているという結果が出ています。
出典:BtoBサイト調査結果分析2016

多忙な顧客企業の担当者は営業担当からしつこい訪問を受けることを嫌い、まずは必要な情報をWebサイトなどから集めます。自分のペースで情報収集と分析を行い、十分に検討が進んだところで、初めて営業担当者の訪問を受けたいと考えるのです。

こうした顧客行動の変化を受けて、いわゆる「インバウンドマーケティング」という考え方が一般的に知られるようになりました。インバウンドマーケティングとは、自社の製品やサービスに関するコンテンツをWeb上で公開し、見込み客の方から自社を“見つけてもらう”ように仕向けるマーケティング手法です。

インバウンドマーケティングではブログやeBook、ホワイトペーパー、ニュースリリースや動画といった「コンテンツ」が重要な役割を担います。このためBtoBのWebサイトにおいても、従来にも増してコンテンツ開発の重要性が高まってきているのです。

なお、インバウンドマーケティングについては下記リンク先の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
インバウンドマーケティングとは? 5分でわかる総論と実践のポイント

BtoBサイトのコンテンツは「量より質」が勝負

コンテンツマーケティングを進める上では、コンテンツの「量」が重要な場面もあります。しかし、BtoBサイトのコンテンツは量より「質」であると心得ておいてください。

もちろん、コンテンツの量が多いことそれ自体が悪いわけではありません。しかし、質の低いコンテンツをむやみに量産するくらいなら、むしろ少量であっても質のよいコンテンツをそろえる方が効果的です。

どんなビジネスでも顧客からの信頼を得るのは大切なことですが、比較的高額になりがちな企業の“買い物”においては、販売元企業の信頼性がことさら重視されます。100円のボールペンを1本買うだけなら店の信頼度はさほど気にならなくても、信用のおけない不動産会社から1億円の家を買うことはできない、というのと同じような理屈です。

企業が実際に製品やサービスを購入する際には事前に入念な調査と審査を行い、審査に通った場合のみ正式な契約に進むことができます。つまり、どれだけ魅力的に見える製品であっても、販売元の企業に信頼を置けなければ購入に至ることはありません。いうまでもなく、コンテンツの出来の良し悪しだけですべての評価が決まるわけではありません。しかし、競合サイトからのコピペで作られたような質の低いコンテンツを量産しているようでは、顧客企業の信頼を勝ち取るのは難しいでしょう。

コンテンツの量を増やして積極的にSEO対策やリスティング広告などに注力すれば、一時的にアクセス数を稼ぐことはできるかもしれません。しかし、どれだけアクセス数を稼いだとしても、それが最終的な成果=契約に結びつかなければ何の意味もありません。

BtoBのWebサイトは、ある意味、新規顧客開拓を担う営業担当者だと考えることができます。懐疑的になっている見込み客の信頼をつかみ、案件化につなげる力のあるコンテンツ開発を心がけましょう。

「質の良いコンテンツ」とは?

ところで、「質の良いコンテンツ」とは具体的にどのようなものでしょう?

文章が上手、分かりやすい、具体性がある……などなどさまざまな基準が考えられますが、何よりも大切なのは、ターゲットの求める情報をプロの視点に立って正確に伝えられているかどうかです。

どんなに流麗な文章でつづられていても、内容が不正確ではどうにもなりません。逆に、素人然とした素朴な文章であっても、プロにしか書けない貴重な情報が書かれていれば、それは良質なコンテンツとなります。そういう意味では、主役となるコンテンツは外部パートナーに委託するより、社内の有識者の手で作り上げることが望ましい場合も少なくありません。

BtoBサイトのコンテンツ構成

次に、BtoBサイトに掲載すべきコンテンツについて考えてみましょう。

BtoBサイトのコンテンツは、業種・業態やビジネスの在り方などに関わらず用意すべき「基本コンテンツ」と、自社が展開する戦略にあわせて用意する「戦略コンテンツ」の2種類に分けることができます。

【基本コンテンツ】

基本コンテンツには下記のようなものがあります。

  • 会社情報
    • 会社概要(会社名、所在地、設立年、代表者、事業内容、資本金、従業員数など)
    • 企業理念/ビジョン
    • 沿革
    • 組織図
    • 社長あいさつ
  • 製品・サービス・事業内容の紹介
    • 製品・サービス・事業の概要
    • 機能紹介
    • 価格一覧
    • 導入までの流れ

基本コンテンツを作成する際のポイントは、必要なことだけをポイントを絞って分かりやすく書く、ということです。特に、会社概要や沿革などはほぼ書き方が定型化されているため、同業他社のサイトなども参考に、提示する情報の内容を揃えておくと良いでしょう。

一方、企業理念や社長あいさつなどは自社の「色」が出る部分です。これらは、考えようによっては戦略コンテンツの一部とみなすこともできるかもしれません。ターゲットが自社を理解する手助けとなるコンテンツとして、全体的な戦略を踏まえて調整を行いたいところです。

このほかにも、上場企業であればIR情報、Web上で人材採用を行う場合は採用情報なども視野に入れて考えます。

【戦略コンテンツ】

戦略コンテンツは見込み客を惹きつけ、育成する目的で戦略的に用意するコンテンツです。戦略コンテンツという名の通り、どんなコンテンツを用意すべきかは、戦略によって異なります。

たとえばシステムの受託開発やコンサルティングのような商材を扱う企業では、導入事例が強力な戦略コンテンツとなります。一方、機械、建材、部品などがメイン商材なら、製品のスペックを細かく記したカタログ的なコンテンツが見込み客に喜ばれるでしょう。食材を扱う会社なら、その食材を利用したレシピなどを戦略コンテンツとすることができるかもしれません。

まずは自社のWeb戦略を明確にした上で、その戦略を実践するためにどのようなコンテンツが必要になるかを考え、具体的なコンテンツ設計に落とし込んでいきましょう。

BtoB企業のコンテンツ企画・開発については下記リンク先の記事で詳しく説明しています。
BtoB企業のためのホームページコンテンツ企画・開発のポイント

営業プロセスと矛盾しないコンテンツ設計

BtoBサイトのコンテンツを考える上で重要なポイントは、営業プロセスとの矛盾を生じさせないということです。これだけでは分かりにくいと思いますので、具体的な例を挙げて説明しましょう。

前述したように、BtoBの営業は一般的に次のようなプロセスで進みます。

(1)見込み客獲得→(2)営業訪問→(3)商談→(4)成約

このシナリオにおいて(1)の見込み客獲得をWebサイトが担当する場合、見込み客はまずWebサイトを訪れ、サイト上の情報を閲覧したり、資料請求を行って製品資料やホワイトペーパーなどを閲覧することになるでしょう。

ここで顧客が求めるすべての情報を出し尽くしてしまうと、(2)の営業訪問がやりにくくなります。顧客がWebサイト上の情報で満足してしまえば「営業訪問は結構です」と断られる可能性がありますし、仮に営業訪問に至ったとしても、Webサイト上にある以上の情報を提示できなければ話が弾まず、商談に進めづらくなってしまいます。

あくまでも戦略次第ではありますが、基本的には営業プロセスが進むにつれて提供する情報の内容が「深く」なっていくような流れを意識してコンテンツを設計する必要があります。

とはいえ、「チラ見せ」を意識するあまりWebサイト上のコンテンツが薄くなりすぎてしまっては、そもそも見込み客の気を惹くことすらできなくなる恐れもあります。隠しすぎず、見せすぎずの絶妙なバランスを意識しつつ、自然な流れで営業プロセスを支援できるようなコンテンツ設計を心がけましょう。

BtoBサイト構築時のヒント

既に述べてきたように、BtoBのマーケティングにはBtoCとは異なる点が多々あります。ここでは、Webサイトの構築に際して迷いやすいポイントについて、いくつかヒントを紹介します。

BtoBサイトのターゲットは誰なのか?

【戦略編】でも述べたように、BtoBマーケティングの難しさは、ターゲットが単独の個人ではなく企業、つまり複数の人間から構成される集団であることに起因します。

製品を購入する際には、企画部門の情報収集担当者、導入を主導する部門の担当者、決裁権を持つ部門長、経営者など、複数の「人」が入れ代わり立ち代わり関与してきます。Webサイトが主要なターゲットとして相手にするのはそのうちの誰になるのかを、自社の課題と照らし合わせて明確にしておきましょう。

たとえば、現時点での自社の課題が新規顧客の獲得であれば、Webサイトがまず相手にするのは「情報収集担当者」になる可能性が高いといえます。しかし、検討が進む中で、決裁権を持つ部門長や経営層がWebサイトを訪れる場合もあるでしょう。そうした複数の人の行動パターンを整理した上で、矛盾のない形に落とし込んでいくことが重要です。

なお、BtoBのWebサイトでは、顧客以外のターゲットも視野に入れる必要がある場合があります。
上場企業なら株主がIR情報を見るためにWebサイトを訪れるでしょうし、人材採用を行う場合は採用候補者のことも考えなくてはなりません。あるいは、BtoC向け商品も併せて取り扱うメーカーなら、一般消費者もターゲットに入ります。Webサイトを設計する際には、こうした点も考慮しておきましょう。

企業と個人の双方をターゲットとする必要がある場合に、しばしば用いられるのが、トップページのファースト・ビューに「法人のお客さま」「個人のお客さま」という2種類の入り口を設ける手法です。

「ポストイット」で有名な3MのWebサイトもこの手法を採用しています。法人向けサイトと個人向けサイトとでは内容が大きく異なることが一見して分かります。

3M|3Mジャパングループ

SC3M.png

また、3Mとは背景事情は若干異なりますが、企業/個人の双方に製品を販売するDellも、同様のサイト構造を採用しています。入り口のところでターゲットを分離してしまうことで、その先のWebサイト設計を比較的シンプルにできます。

デル株式会社(Dell Japan)の公式サイト | Dell 日本

SCDELL.png

商材・サービスが複数ある場合

1つの企業がタイプの異なる複数の商品やサービスを販売することは珍しくありません。

当然ながら商品によって特徴が異なり、商品の特徴が違えばターゲット顧客も異なってきます。ターゲット顧客が異なれば取るべき戦略もそれに合わせて構築する必要があるため、このようなケースでは飛躍的に難易度が上がります。

対策はいろいろと考えられますが、(1)Webサイト自体は1つにまとめ、製品ごとにコーナーを分けて個別の戦略を適用するやり方と、(2)製品ごとに独立したWebサイトを立ち上げてしまうやり方に大きく分けることができるでしょう。後者の場合、中心となるコーポレートサイト上に製品の概略と製品別サイトへのリンクを一覧表示しておくような形でWebサイトを構成することが多いようです。

前者(1)の例としては、ECサイト構築パッケージ「EC-Orange」を販売する株式会社エスキュービズムのサイトが参考になります。

【公式】ECサイト構築実績No.1パッケージ「EC-Orange」

SCECOrange.png

同社ではネットショップを構築するためのパッケージソフトウェアを販売しています。BtoC向けのパッケージ、BtoB向けのパッケージ、オムニチャネル構築支援、といった複数の製品・サービスを1つのWebサイト内で紹介しています。

後者(2)の例としては、インターネット関連のサービスを多数手がけるGMOインターネット株式会社のサイトが参考になります。

 ▼GMO INTERNET GROUP

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同社はインターネットインフラ、広告、金融、モバイルエンターテイメントなどの複数の領域にまたがり数十うにもおよぶ製品・サービスを提供しています。個々の製品・サービスについては独立したWebサイトが設けられ、コーポレートサイト上の商品・サービス紹介ページからリンクされています。

どのような場合にどちらの手法を選ぶべきかは、明確な基準があるわけではありませんが、扱う商品・サービスの性質や特徴、ターゲット顧客がある程度一貫している場合は前者(1)を、製品相互に差異がありすぎて1つに集約するのが困難な場合は後者(2)の手法を検討する、というのが妥当な判断基準と言えるかもしれません。

いずれにしても、それぞれの商品・サービスとその主要ターゲットを整理した上で、最適なサイト構成に落とし込むことが大切です。作り手側でそこを正しく把握できていないと、「狙ったターゲットに適切な情報を届ける」という目的を果たすのは難しくなってしまいます。

この手のWebサイト設計は一筋縄ではいかない場合も多いため、社内担当者だけでは手に負えないと感じたら、経験豊富なWebコンサルタントの支援を仰ぐのも1つの手です。コンサルティング費用は安くはありませんが、初期投資を惜しんだばかりにその後の成果をドブに捨てるようなことになっては本末転倒といえます。

既存サイトとの連携について

最後に、これはBtoBに限ったことではありませんが、既存のWebサイトと新たに作るWebサイトとをどのように連携させるかというのも、非常に重要なテーマです。新規事業を立ち上げた時、既存の製品・サービスを拡張して新しいラインナップが加わった時などに、この問題に直面します。

考え方としては大きく2つで、既存のWebサイトに統合するか、新たなWebサイトを立ち上げるかのどちらかになるでしょう。自社のビジネスの在り方や既存Webサイトの状況などを総合的に整理した上で最適な手法を選ぶことが大切です。

【第3部】BtoBサイト運用編

Webサイトは構築し終えたところからが本番。これはBtoC/BtoBの別に関わらず言えることですが、営業と足並みを揃えて進むBtoBのWebマーケティングでは、運用フェーズは非常に重要で、かつ難易度も高くなりがちです。

ここではBtoBのWebサイトをいかに活用して営業成果につなげていくか、いくつかの観点から考えてみましょう。

BtoBサイトの運用イメージ

BtoBサイトへの集客

Webサイトを構築しても、見込み客に訪問してもらえなければ成果を挙げることはできません。既にある程度の集客ルートが確保できている既存サイトをリニューアルする場合は別として、新しいWebサイトを構築する際にはどのようにサイトへ集客するのかを併せて検討しておく必要があります。

Webサイトへの集客には、リスティング広告、アフィリエイト広告、SEO、SNSへの投稿、プレスリリース配信などさまざまな手法がありますが、商材や業態、ビジネスの性質によって適するものと適さないものがあるため、戦略と照らし合わせて適切な手法を選択すべきです。

たとえば、大規模なプラント向け工業機械の販売サイトへアフィリエイトで集客するのは無理がありますし、まだ誰も存在を知らない新製品は検索の対象にも上がりにくいため、リスティング広告だけで成果を挙げるのは困難となる可能性が高いといえます。SEOは商材や業態に関わらず地道に取り組む価値のある活動ですが、効果が出るまでにある程度の時間がかかります。

なお、何度も述べているように、BtoBサイトのターゲットは「1人」とは限りません。ターゲットが異なれば、効果的な集客法も違ってくる可能性があります。戦略上、複数のターゲットが想定されている場合は、集客の戦略や効果測定・改善なども、ターゲット別に分けて管理することをお勧めします。

BtoBの集客にSNSは使えるのか?

近年になって、SNSが重要な集客ルートとして認知されるようになりました。BtoCの領域はもちろん、BtoB企業も積極的にSNSを活用し始めています。2015年に株式会社ガイアックスが行った調査によれば、BoB企業の約7割がWebマーケティングでSNSを活用しているとの結果が出ています。
出典:BtoB企業の7割がWebマーケティングでSNSを活用。Facebookがダントツ1位│ 株式会社ガイアックス

SNSが十分に有効な集客ルートとなりつつあるのは、間違いのない事実です。一方で、すべての企業がSNS経由で効率よく集客できるかというと、そういうわけでもありません。

繰り返し述べているように、すべては戦略次第です。
一度運用を始めてしまったら、途中で投げ出すわけにはいきません。運用のための人員も確保しなくてはなりませんし、いわゆる「炎上」などのリスクに対策する必要も出てきます。
「流行っているから」「競合他社もやっているから」と安易に導入するのではなく、自社が扱う製品・サービスはSNSと相性がよいのか、ターゲット顧客はSNSを使っているのか、自社の営業プロセスと上手く連携させることができるのか、総合的に評価した上で、SNSを活用すべきか否かを判断する姿勢が求められます。

忘れてはならない「顧客育成」

BtoBマーケティングでは、見込み客を獲得し、獲得したリードを育成した上で営業部門へ手渡すところまでをマーケティング部門が担当します。

Webサイトから問い合わせをしてきた見込み客の中には、「とりあえず情報収集だけ……」という温度感の低い顧客から、「すぐにでも訪問してほしい」という成熟度の高い顧客までさまざまな状態の顧客が混在します。前者に対していきなり猛烈なアタックをかけると“引かれて”しまう懸念がありますし、逆に後者をいつまでも放置していると、タイミングを逃してしまいかねません。獲得した顧客の状況を見極め、未熟な場合は育成した上で、アポイントにつながる可能性の高い顧客のリストを営業に引き渡すのが、マーケティング部門の重要な役割です。

顧客の育成にはメールマガジンの送付やセミナーへの誘導といったさまざまな手法が用いられますが、近年ではWebサイト上のコンテンツを活用した育成手法にも注目が集まっています。通常、顧客育成のフェーズでは、資料請求や問い合わせを通じてコンタクト情報を獲得した見込み客に対して、定期的にメールや電話で連絡を入れたり、展示会やセミナーといったイベントに招待したりといった活動を展開します。昨今はこれに加えて、顧客の行動や状態に応じて半自動的に適切なコンテンツを提案するといった手法が広がりつつあります。

BtoBのWebサイト運用は、単にWebサイトそのものの面倒を見るだけでなく、Webサイト経由で獲得した見込み客の育成・絞り込みまでを視野に入れて設計するようにしてください。

BtoBサイト改善の基本姿勢

Webサイトで狙った成果を上げていくためには、定期的にアクセス状況などを解析し、課題を認識して改善するというサイクルを繰り返していくことが大切です。

Web解析時の指標として、PV(ページ閲覧数)やUU(訪問者数)、直帰率、コンバージョン率などの一般的な数値ももちろん参考にする必要がありますが、高いコンバージョン率を獲得すればよいサイトなのかというと、そういうわけでもありません。毎日100件の問い合わせがあっても、そのうちの99件が不発に終わるとしたら、それはやはり何かがおかしいのです。どこを改善すればいいのかを、Webサイトを含めた営業プロセス全体を通して吟味し、総合的な改善策を見出していくことが大切です。

もちろん、Webサイト単体での改善が必要なケースもあるでしょう。たとえば、ある広告から流入した場合のみ他と比べて著しく直帰率が高い場合、広告とランディング先のページとの相性が悪いのかもしれません。あるページからの離脱率が目立って高い場合、そのページの導線設計に問題があるのかもしれません。

そういった一般的なWebサイトの改善プロセスとBtoBならではの改善プロセスとを並行して進めなければならない点も、BtoBサイトの難しさといえるでしょう。

BtoBサイトで意識すべき指標

では、BtoBサイトの運用において、通常のWebサイトの指標とあわせて、どのような指標を用いればよいのでしょう?

一般的なBtoBの営業プロセスに照らし合わせて考えると、次のような指標を意識する必要があります。

図2 BtoBサイトの指標の例.jpg

上記はあくまでも一例であり、実際の営業プロセスによって指標の内容や組み合わせが変わることはあり得ます。たとえば、見込み客獲得から訪問までに長い育成期間がある場合、途中経過を図るための指標を挟む必要があるかもしれません。営業訪問のアポイント獲得業務を外部業者に委託している場合、訪問数とは別にアポイント獲得数を計測し、費用対効果を図る必要があるかもしれません。いずれにしても自社の営業プロセスにあわせて指標を設計し、効果測定を行うことが大切です。

こうした指標を定期的に測定し続けることで、プロセスのどこに問題があるのかが見えてきます。たとえば、訪問者数は多いのに見込み客獲得数が少ない場合、サイト内の導線設計に問題があるのかもしれません。また、十分な見込み客が獲得できているのに訪問数が芳しくない場合は、顧客育成が不十分であるか、アポイントの取り方がまずいかのどちらかであると想像できるでしょう。

大切なのは、課題認識の際に「Webサイトだけ」の問題として考えず、営業部門での活動も含めて総合的な判断を下すということです。先の例でいうと、アポインターのスキル不足が原因で訪問数が思わしくないのであれば、Webサイトにいくら手を入れても本質的な改善にはつながりません。

BtoBサイトのレポーティング

BtoBサイトの成果レポートは、前のセクションで説明したような事情を踏まえて作成するように心がけましょう。

ページの閲覧数や訪問者数、直帰率、コンバージョン率といった一般的な指標とあわせて営業プロセスに応じた指標を掲載し、自社の営業活動がどのような状況にあるのか、その中でWebサイトがどう貢献できているのか、あるいは何が課題となっていて、どのような改善を行うべきかを総合的に判断して記載します。

余談ながら、この時、営業部門とマーケティング部門との間で責任のなすりつけ合いのような事態を引き起こすのは絶対に避けなくてはなりません。営業部門とマーケティング部門が小競り合いを繰り返している組織は少なくありませんが、営業とマーケティングが手を取り合ってうまく連携できない限り、BtoBマーケティングで望む成果を収めることはできません。

以上、BtoBサイトの戦略、構築、運用について解説しました。

全体を通じてあらためて強調しておきたいのは、BtoBではマーケティングと営業との連携が非常に重要であるということです。戦略、構築、運用の全てのフェーズにおいて、このことを常に念頭に置くよう心がけてください。

【付録】BtoB企業のWebサイト制作の参考になるリンク集

BtoBサイトの作りやデザインの事例集

BtoB企業のWebマーケティング支援を手掛けるガイアックスのマーケティングサービス「MARKEiT(マーケイット)」のサイトです。BtoBサイトのデザインや考え方について参考になる事例を集めた記事を掲載しています。
BtoBサイトに関わる人はチェックしたい!お手本になるWebサイト103選
BtoBサイトデザインの最新トレンドはこれ!怒涛のデザインまとめ30選

BtoBサイトのランキング

多岐にわたる業界のクライアントに対して、ブランドやWebサイトに関する調査・コンサルティングサービスを提供するトライベック・ブランド戦略研究所は、年次の「BtoBサイトランキング」を発表しています。
BtoBサイトランキング

また、BtoB市場におけるWebサイトのビジネス貢献度を調べる「BtoBサイト調査」も年次で実施し、その結果を公表しています。
BtoBサイト調査

この他にも同社は、「Webサイト価値ランキング」「主要企業Webユーザビリティランキング」などを年次で発表していますので、ぜひ注目してみてください。

BtoBサイト成功事例

イノーバはBtoB企業に特化したWebサイト制作サービスを提供しているほか、オウンドメディア型コンテンツマーケティングに最適化した自社開発のマーケティングオートメーション・ツール「Cloud CMO」も提供しています。

ここでは、それらのサービスやツールをご利用いただいたお客さま企業のBtoBサイト成功事例を紹介します。

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ブランド認知を高める!事例訴求でのHPリニューアル

PVは6倍に、サイト経由の案件化も

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