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イノーバマーケティングチーム2024/04/07 14:28:017 min read

CMSの種類を徹底的に解説!各CMS種類の特徴とメリット・デメリットを比較する

CMSとは?Webサイト運営に欠かせないCMSの役割と導入メリット

CMSの基本的な機能と役割

CMSとはContent Management Systemの略で、Webサイトのコンテンツを一元管理するためのシステムを指します。 具体的には、記事の作成・編集・公開、デザインテーマの適用、メニュー構造の管理、権限管理など、Webサイト運営に必要な機能を提供します。

例えば、企業のコーポレートサイトを考えてみましょう。 トップページ、会社概要、製品紹介、採用情報など、さまざまなページがあり、定期的な更新が欠かせません。 その際、Webサイトのコンテンツ全てをHTMLで直接コーディングしていては、運用コストがかさむだけでなく、メンテナンス性も低下してしまいます。

一方、WordPressなどのCMSを導入すれば、在庫情報や価格改定など、頻繁に更新が必要なページでも、ブラウザから簡単に編集が可能。 マーケティング部門やカスタマーサポート部門など、Webの専門知識を持たないスタッフでも、サイト運営に参画できるようになります。

また、CMSでは、デザインとコンテンツを分離して管理できるのも大きな特徴です。 テンプレートと呼ばれるデザインのひな型を用意しておけば、コンテンツ制作者は文章や画像だけを投稿するだけで、見栄えの良いページを量産できます。 サイトのリニューアル時も、テンプレートを変更するだけでサイト全体のイメージを刷新できるため、運用の自由度が格段に高くなるわけです。

さらに、ユーザーアカウントに応じて細かく権限を設定できる点も見逃せません。 編集者、公開承認者、管理者など、役割に応じたアクセス制御を行えるため、記事の質を担保しつつ、安全にサイト運営を行えます。

CMSの役割を示す図解
図1:CMSの役割(コンテンツ管理、デザインの適用、権限管理など)

CMSを導入するメリット

続いて、CMSを導入することで得られるメリットを具体的に見ていきましょう。

一つ目は、Webサイトの運営・更新が簡単になることです。 冒頭で触れたように、CMSを使えば、HTMLの知識がなくてもコンテンツの編集や投稿が行えます。 記事の執筆はもちろん、写真のアップロードや、動画の埋め込みなども、直感的な操作で完結。 アナログな感覚で扱えるので、Webの専門知識がない人でも、十分にサイト運営に参加できます。

実際、当社が手がけたB2Bメーカー企業のコーポレートサイトでは、WordPress(CMS)の導入により、 事務職の女性スタッフがニュースリリースを担当。わずか1時間の講習で記事更新をマスターし、2日に1本のペースで情報発信を続けられるようになりました。

二つ目は、コンテンツ管理の効率化とチームでの協業が進むことです。 CMSには、記事の下書き保存機能や、公開スケジュールの設定など、コンテンツ管理に役立つ便利機能が数多く用意されています。 共同編集機能を使えば、原稿の執筆・校閲・公開までの一連の流れを、オンライン完結で行うことも可能。 ブログ記事1本の制作フローを30分短縮できたという事例もあります。

また、CMSを活用すれば、デザインの統一感を保ちつつ、ブランドイメージの強化も狙えます。 テンプレートには、社名ロゴ、企業カラー、お問い合わせボタンの配置など、サイト全体で統一すべきデザイン要素があらかじめ組み込まれているため、 ページ間の視覚的なブレを防ぎつつ、ブランドの一貫性を担保できるのです。

そのほか、CMSの多くは、レスポンシブWebデザインをサポート。 CMSテーマを利用すれば、PC、タブレット、スマートフォンなど、あらゆる画面サイズでの最適表示が簡単に実現できます。 コンテンツ制作者が、個別にデバイス対応する手間が省けるので、業務の効率化が期待できるでしょう。

メリット 解説
Webサイトの運営・更新が簡単になる HTMLの知識不要。直感的な操作で記事の投稿や編集が可能
コンテンツ管理の効率化とチーム協業の促進 下書き保存や公開スケジューリングなどの管理機能で業務効率化
デザインの統一とブランディングの強化 テンプレートの活用でサイト全体の一貫性を維持
マルチデバイス対応の簡易化 レスポンシブデザイン対応のテーマを使い、タブレットやスマホ表示を最適化

CMS導入事例と活用シーン

ここからは、CMSの導入事例を業種別に見ていきましょう。

まず、BtoCビジネスでは、コーポレートサイトやブランドサイトでの活用が一般的。 商品ラインナップの紹介、ブランドストーリーの発信、キャンペーン情報の告知など、マーケティングの主戦場としてCMSが欠かせません。 店舗情報の検索機能など、ユーザビリティを高める工夫も凝らせるでしょう。

また、BtoBビジネスでは、ニュースリリースやIR(投資家向け広報)サイトでの採用例が目立ちます。 決算情報、株主総会の案内、財務データなど、速報性や正確性が問われるコンテンツを、迅速かつ確実に開示できるのは、CMSならではの強み。 投資家の投資判断を助けるための、充実した情報提供が実現できます。

製品の利用ガイドや、オンラインマニュアルにCMSを活用するケースも増えています。 ユーザー目線に立ったわかりやすい説明を心がけつつ、頻出の質問をFAQとしてまとめるなど、探しやすさにも配慮が必要。 CMSの検索機能やタグ付け機能を生かせば、ユーザーの問題解決をサポートできるでしょう。

もちろん、自社サイトに限らず、キャンペーンサイトやLPの制作にもCMSは大活躍。 スピーディーな立ち上げと、期間限定の運用に適しています。 TwitterやFacebookとの連携も簡単なので、ソーシャルメディア経由の集客も狙えるはずです。

実際、当社では、大手食品メーカーのキャンペーンサイトで、WordPressを使ったタイアップ広告を実施。 たった1週間の制作期間で、10万人規模の購買体験キャンペーンサイトを実現しました。 通常は構築に1ヶ月以上かかる案件でしたが、CMSのおかげでスケジュールを大幅に短縮。 クライアントの期待を上回る成果を生み出せました。

このように、CMSの導入シーンは広範囲に及びます。 読者の皆さんも、自社のビジネスに当てはめながら、CMSの可能性を探ってみてはいかがでしょうか。

当社では、長年にわたり、業界・業種を問わず、数多くの企業サイトの制作・リニューアルを手がけてきました。 皆さまのCMS選定から、設計、開発、運用に至るまで、ワンストップでサポートいたします。 ぜひ一度、お問い合わせください。

CMSの種類①オープンソース型CMS

オープンソース型CMSとは

それでは、代表的なCMSの種類について、詳しく解説していきます。 まず取り上げるのが、オープンソース型のCMSです。

オープンソースとは、ソフトウェアのソースコード(プログラムの設計図に相当)を誰でも自由に閲覧・改変できる形で公開する手法を指します。 ソフトウェア開発者のボランティア精神に支えられた共同開発モデルといえるでしょう。

オープンソースのメリットは、なんといってもコストの低さ。 ソフトウェア自体を無償で入手できるうえ、世界中の開発者の助力を得られるので、自前での開発に比べて、圧倒的に低コストです。 機能追加や不具合修正も、コミュニティの貢献を通じてスピーディーに行えます。

また、オープンソースは、特定のベンダーに依存しないのも魅力。 仕様やロードマップの意思決定プロセスに、ユーザー企業の意見も反映されやすいのが特徴です。 ベンダーロックインのリスクを避けつつ、ユーザー目線のシステム構築が望めるでしょう。

一方、オープンソースの欠点は、保守・運用面の負担の高さ。 無償で手に入る代わりに、自社でしっかりとメンテナンスしていく必要があります。 セキュリティ面の脆弱性が見つかった際のアップデート対応など、システム管理の専門性が求められます。

とはいえ、大規模なコミュニティに支えられているので、情報収集や問題解決は比較的容易。 オンラインのフォーラムなどを活用すれば、多くの場合、運用課題をクリアできるはずです。 中小規模のWebサイトで、なおかつ、社内にエンジニア人材がある場合は、オープンソース型CMSが適しているといえるでしょう。

代表的なオープンソース型CMS

それでは、代表的なオープンソース型CMSを見ていきましょう。

  • WordPress(ワードプレス):世界的に最も普及しているCMS。オープンソースの中では群を抜いて使いやすく、初心者に最適。
  • Drupal(ドルーパル): 高度な技術力を必要とするCMSだが、カスタマイズ性と拡張性に優れ、大規模サイトに向く。
  • Joomla!(ジュームラ):多言語サイト構築に適したCMS。コンポーネント指向で高い柔軟性を持つ。
  • MODX(モデックス):デザインの自由度が高いCMS。Web制作者に人気が高い。
  • concrete5(コンクリートファイブ):直感的な操作性が売りのCMS。開発言語としてPHPを採用。

選定の際は、サイト構築の目的や、要求される機能、制作チームのスキルセットなどを見極めたうえで、最適なCMSを選ぶことが肝心です。 自社の事情にマッチしたCMSを採用することで、Webサイト運営の効率化と内製化を推し進められるはずです。

オープンソース型CMSのメリット

ここで、オープンソース型CMSのメリットを整理しておきましょう。

最大の利点は、無料で利用できるためコストメリットが大きい

無料で使えるため、初期導入コストを大幅に抑えられます。 中小企業や個人事業主、スタートアップなど、予算が限られている場合に特に強力なメリットとなるでしょう。 コストを削減しつつ、本格的なWebサイトを立ち上げられるのは、オープンソースCMSならではの魅力です。

2つ目のメリットは、カスタマイズの自由度が高いこと。 オープンソースのCMSでは、ソースコードがオープンになっているため、開発者は内部構造を自由に書き換えられます。 デザインのカスタマイズはもちろん、機能追加やシステム連携など、さまざまな改修が可能。 自社の要件に合わせて、思い通りのWebサイトを構築できるわけです。

例えば、ECサイトを構築する際、商品検索機能や、レコメンデーション機能を自作したいと考えたとします。 オープンソース型CMSなら、フリーのプラグインを組み合わせたり、APIを駆使して外部サービスと連携させるなど、 工夫次第で様々な機能を盛り込むことができます。 1からすべてを自前開発するよりも、圧倒的に工数を削減しつつ、高度な要件を実現できるでしょう。

3つ目は、大規模なコミュニティによる情報の豊富さも見逃せません。 オープンソースのCMSは、世界中の開発者やユーザーによって、日々活発に議論が交わされています。 機能の使い方、カスタマイズのノウハウ、トラブルシューティングのコツなど、ありとあらゆる知見がフォーラムに集積されているのです。

実際、当社がお手伝いしたあるスタートアップでは、Drupalを使ってWebメディアを立ち上げました。 Drupalは難易度が高いCMSとして知られていますが、コミュニティのサポートを受けることで、スムーズに機能を実装。 たった2人の少人数チームでしたが、1ヶ月足らずでサイトを軌道に乗せることができました。 情報の宝庫であるコミュニティの存在は、オープンソースCMSを使ううえで、何物にも代えがたい強みだといえます。

4つ目のメリットは、多様なテーマやプラグインのエコシステムが築かれている点。 オープンソース型CMSの代表格であるWordPressを例にとると、無料・有料含めて5万点以上のプラグインが公開されています(2021年9月現在)。 ブログ機能、コンタクトフォーム、SNSシェアボタン、SEO対策ツールなど、Webサイト制作に必要な機能の多くは、プラグインを導入するだけで実現可能。 ゼロベースでの自己開発は不要なので、本当に差別化に必要な部分に注力できます。

加えて、デザインテーマの種類も豊富。 ビジネス、ポートフォリオ、ブログ、ECなど、あらゆる用途に対応したテンプレートが揃っており、 HTML・CSSのコーディングをほとんどせずに、洗練されたWebデザインを構築できます。 フロントエンド開発のハードルが大幅に下がるので、より多くの企業がCMSを活用できるようになったのです。

このように、オープンソースCMSのメリットを挙げていくとキリがありません。 コストの低さ、カスタマイズ性の高さ、豊富な情報、充実のエコシステムなど、 まさにフリーミアムモデルのパワーを地で行くメリットの数々。 自社の要件を満たせそうなら、ぜひ一度、オープンソース型CMSの導入を検討されてはいかがでしょうか。

では今度は、オープンソース型CMSのデメリットについて解説します。

オープンソース型CMSのデメリット

オープンソースのCMSは、無料で使えるうえ、自由にカスタマイズできる半面、いくつかのデメリットも抱えています。

まず、導入や運用が全て自己責任となる点は覚悟が必要。 有償製品と異なり、ベンダー側に問い合わせ窓口やサポートデスクは用意されていません。 トラブルシューティングはもちろん、バグ修正やバージョンアップ対応など、すべて自前で行わなくてはならないのです。

オープンソースコミュニティから十分な支援を得られる場合は問題ありませんが、 マイナーなCMSだと情報が少なく、問題解決に時間を要することも。 運用体制や社内リソースを見極めたうえで、導入可否を判断する必要があります。

2つ目のデメリットは、セキュリティ面の脆弱性に自分で対処しなければならないこと。 オープンソースのシステムでは、ソースコードが公開されているため、世界中のハッカーから常に狙われています。 機密情報の漏洩や、Webサイトの改ざんなど、大きなリスクと背中合わせだといっても過言ではありません。

したがって、常に最新のセキュリティパッチを適用し、細心の注意を払ってメンテナンスする必要があります。 プラグインに含まれる脆弱性にも目を光らせ、アップデートを欠かさないことが肝要。 システム運用のスキルと習熟度が問われるところだといえるでしょう。

さらに、カスタマイズを重ねるとアップデートの互換性に問題が出る点にも注意が必要です。 プラグインを複数組み合わせたり、ソースコードを直接改変していると、 CMSの本体をバージョンアップする際に、それらの変更が失われるリスクがあるのです。

機能追加とセキュリティ対策のトレードオフに悩まされるのが、オープンソースCMSの宿命ともいえます。 アップデートによって既存の改修が失われないよう、慎重にカスタマイズ範囲を見定める必要があるでしょう。

こうしたデメリットを考えると、オープンソースCMSの導入は慎重に検討すべきだといえます。 コスト面のメリットに目が行きがちですが、運用時の負荷やリスクもしっかりと見極めることが肝心。 自社に最適なCMSを選ぶためにも、オープンソースのメリット・デメリットをバランスよく理解しておきたいものです。

オープンソース型CMSはこんな企業におすすめ

ここまで、オープンソース型CMSの特徴を詳しく見てきました。 それでは、オープンソースのCMSは、どのような企業に向いているのでしょうか。

端的に言えば、Webサイトの構築・運用コストを抑えたい企業に最適といえます。 初期費用を最小限に抑えられるのは、中小企業やスタートアップ、個人事業主にとって大きなメリット。 予算の制約が厳しい中でも、凝ったデザインの高品質なWebサイトを作れるでしょう。

加えて、自社でしっかりカスタマイズしたい企業にもおすすめ。 ソースコードをフルオープンにできるため、自社の開発チームで手を加えやすいのが利点です。 創造力を存分に発揮できる環境といえます。 機能要件が複雑で、パッケージ製品では要件を満たせない場合は、オープンソース型CMSの選択肢も検討に値するでしょう。

さらに、社内に技術者リソースを抱えている企業も適しているといえます。 オープンソースCMSを効果的に運用するには、それなりのIT人材が不可欠。 セキュリティ対策やトラブルシューティングのノウハウがあれば、その分、コストを抑えつつ、安定的なサイト運営ができるはずです。 開発体制が整っている企業なら、ぜひ候補に入れてみてはいかがでしょうか。

一方、そうした技術的な対応力がない場合は、パッケージ型CMSやクラウド型CMSを選ぶのが賢明です。 保守運用の手間を避けつつ、安定性と利便性を手に入れられるでしょう。 自社の体制を客観的に見据えたうえで、最適なCMSを選択することが肝要だといえます。

CMSの種類②パッケージ型CMS(商用CMS)

パッケージ型CMSとは

次に紹介するのが、パッケージ型CMS、いわゆる商用CMSです。 特定のベンダーが開発・提供しているCMSで、ライセンス料を支払って利用するタイプのシステムですね。

パッケージ型CMSの最大の特徴は、機能の充実度の高さ。 長年の製品開発によって、Webサイト運営に必要な機能を網羅的にカバーしているのが特徴です。 ブログ、フォーム、会員管理、スケジュール管理など、あらゆる用途に対応したモジュールが提供されており、 それらを組み合わせるだけで、高度なWebサイト機能を実現できます。

また、ベンダーによる手厚いサポートも大きな魅力。 システムの導入や設定、エラー発生時のトラブルシューティングなど、専門スタッフが手厚くサポート。 自社にシステム運用のスキルがなくても、安心して利用を始められるわけです。 セキュリティ面の更新プログラムの提供も定期的に行われるため、その点のメンテナンス負荷も大幅に軽減できるでしょう。

一方、パッケージ型CMSのデメリットは、やはりコストの高さ。 初期のライセンス費用に加えて、月額の利用料がかかるのが一般的。 機能が豊富な分、学習コストもある程度覚悟が必要です。

加えて、カスタマイズの自由度はオープンソース型に比べると制限されます。 パッケージならではの操作性を犠牲にしてまで、画面デザインや機能を変更するのは難しいケースが多いでしょう。 その代わり、標準機能をフル活用することで、効率的で使い勝手の良いWebサイトを構築できる点は大きなメリットといえます。

代表的なパッケージ型CMS

それでは、代表的なパッケージ型CMSをいくつか紹介しましょう。

代表的なパッケージ型CMSのロゴ
図2:Sitecore、Adobe Experience Manager、Contentfulなど、代表的なパッケージ型CMS

海外CMS市場では、以下のような製品が高いシェアを誇っています。

  • Sitecore Experience Platform
    • .NET環境の大規模Webサイト構築に実績多数。マーケティングオートメーション機能が特徴。
  • Adobe Experience Manager
    • 統合型のデジタルエクスペリエンスツール。コンテンツ管理とアセット管理機能を兼ね備える。
  • Contentful
    • APIファーストのヘッドレスCMS。コンテンツをクラウドで一元管理し、あらゆるチャネルに配信可能。

一方、国内市場を見渡すと、以下のようなCMSが代表格として挙げられます。

  • Movable Type
    • 国内シェアNo.1の定番CMS。標準機能が充実しているのが特徴。
  • NOREN

    純国産CMSとして人気。直感的な操作性と柔軟なカスタマイズ性が売り。

  • a-blog cms
    • オープンソースながら商用利用可能。35,000サイト以上の実績を誇る。
  • Joruri CMS
    • 自治体サイト向けの定番CMS。アクセシビリティ対応に注力。

どの製品を選ぶにせよ、自社の要件を明確に定義したうえで、各CMS製品の機能を比較検討することが肝心です。 提供元の実績やサポート品質、将来の製品ロードマップなども見極めたいところ。 綿密な調査を経て、最適なCMSを選定することが大切だといえるでしょう。

パッケージ型CMSのメリット

パッケージ型CMSの最大のメリットは、充実した管理・運用機能が標準で利用できる点。 ページ作成はもちろん、ワークフロー管理、バージョン管理、アクセス制御など、 Webサイト運営に不可欠な機能が体系化されており、導入後すぐに活用できます。

自社での内製開発に比べて、圧倒的に工数を削減できるのは大きな魅力。 少ない要員でも、本格的なWebサイトを短期間で立ち上げられるでしょう。 機能面の網羅性という意味では、オープンソースよりも優れているといえます。

2つ目のメリットは、手厚いサポートと安定した保守・アップデートが受けられること。 商用CMSでは、初期導入から運用フェーズまで、ベンダー側がトータルでサポートしてくれるのが強み。 操作方法がわからない、エラーが発生した、といったトラブルにも、専門スタッフが迅速に対応。 自社のリソース不足を補えるわけです。

バージョンアップ時の互換性チェックなども万全で、アップデートによる不具合の心配が少ないのも大きなメリット。 オープンソースのように「アップデートしたら、カスタマイズが無効になった」といった事態に悩まされる必要もありません。

加えて、セキュリティ面の安心感も見逃せないポイントです。 商用CMSベンダーでは、日々刻々と変化するWebの脅威に備え、常に最新のセキュリティ対策を施してくれます。 パッチ提供も迅速で、ほぼ自動的にセキュリティホールが塞がれていくイメージ。 オープンソース利用時のように、脆弱性対策に神経をすり減らす必要はないでしょう。

さらに、マーケティング基盤としての拡張性も大きな強み。 大手の商用CMSでは、デジタルマーケティングツールとのAPI連携が標準的に用意されています。 サイトの行動データを分析基盤に送ったり、CRMシステムと顧客情報を同期するなど、 マーケティングオートメーションの実現に大きく寄与します。

これは商用CMSならではの付加価値で、コンテンツ管理だけでなく、顧客育成や販促施策にも役立つ先進機能だといえるでしょう。

もちろん、こうしたメリットを享受するためには、それなりの対価が必要。 オープンソースに比べて、導入時のハードルは高くなります。 しかし、長期的な運用コストや作業工数、セキュリティリスクなどを考慮すると、 パッケージ型CMSのメリットは十分に見合うものだと考えられます。

そのため、自社の人的リソースやスキルセットを見極めつつ、 中長期的な視点でCMS導入の是非を検討することが肝要。 安易にオープンソースに走るのではなく、パッケージ型CMSのメリットもしっかりと比較考量したうえで、 最適なCMS選定を進めていただければと思います。

パッケージ型CMSのデメリット

一方、パッケージ型CMSには、以下のようなデメリットもあります。

まず、導入コストが高くなる傾向があるのは否めません。 オープンソースが無料で手に入るのに対し、パッケージ製品では初期のライセンス費用がかかります。 100万円単位の初期費用は決して珍しくありません。 中小規模のWebサイトでは、費用対効果を慎重に見極める必要があるでしょう。

また、カスタマイズの柔軟性については、標準機能の範疇での改修に限定されるのが一般的。 パッケージCMSでは、ベンダーが想定した利用シーンに最適化された画面設計がなされているため、 そこから大きく外れるデザインや機能の実装は、技術的にハードルが高くなります。

オープンソースのようにソースコードをゼロベースで書き換える、といった大胆なカスタマイズは難しいというわけです。 「色々と自由にカスタマイズしたい」というニーズが強い場合は、パッケージ型CMSではやや不向きかもしれません。

パッケージCMSを選ぶ際は、自社の要件とCMS製品の適合性を見極めることが肝要。 どこまで標準機能でカバーできるか、綿密な検討が欠かせません。

さらに、ベンダーロックインのリスクも無視できません。 特定のCMSに強く依存することで、他システムへの移行が困難になるおそれがあるのです。 今後、サイトの拡張が見込まれる場合、ベンダー変更の柔軟性という点で不利になりかねません。

「数年後にシステムリプレイスを控えている」「サイトの成長に合わせてCMSも柔軟に変えたい」 といったケースでは、十分に注意が必要だといえるでしょう。

このように、パッケージ型CMSにもデメリットはあります。 しかし、メリットが自社の要件に合致しているなら、積極的に選択を考えてもよいはず。 コストや機能の制約はあれど、確実に品質の高いWebサイトを立ち上げられる点は魅力的だといえます。

パッケージ型CMSはこんな企業におすすめ

ここまでの説明を踏まえると、パッケージ型CMSは主に以下のような企業に適しているといえます。

一つは、できる限り堅牢で信頼性の高いシステムを導入したい企業。 パッケージCMSは、長年の運用実績に裏打ちされた製品が揃っています。 セキュリティ面の安全性も高く、トラブル発生時の対応力も申し分ありません。 Webサイトの品質と安定性を何よりも重視する企業に、うってつけのソリューションだといえるでしょう。

二つ目は、社内リソースを割かずにWebサイトを運営したい企業。 パッケージ型CMSなら、社内にCMS運用の専任者を置く必要はほとんどありません。 ベンダーのサポートに頼りつつ、限られた要員で効率的なサイト運営が可能です。 人員不足に悩む中堅中小企業などで、大いに力を発揮してくれるはずです。

もう一つ、デジタルマーケティングの高度化を志向する企業にもおすすめ。 大手CMSベンダー製品の多くは、マーケティングオートメーションツールと親和性が高いのが特徴。 サイトの行動データを分析基盤に連携させたり、CRMシステムとID統合したりと、 顧客理解に基づくマーケティング活動を展開しやすいのです。

顧客接点の拡充・最適化を進めたい企業、ECサイトの売上アップや購買頻度の向上を狙う企業などで、 パッケージ型CMSの導入価値は一段と高まるでしょう。

いずれにしろ、システムの堅牢性、運用効率、マーケ活用など、 自社にとって重要な要素を見極めつつ、パッケージ型CMSの採用是非を判断したいものです。 先入観にとらわれず、多面的な評価軸でCMSを比較検討する。 その積み重ねこそが、最適なCMS選定への近道だと信じて疑いません。

CMSの種類③クラウド型CMS(SaaS型CMS)

クラウド型CMSとは

最後に紹介するのが、クラウド型CMS、別名SaaS型CMSと呼ばれるタイプです。 SaaSとは「Software as a Service」の略で、ソフトウェアの機能をクラウドサービスとして提供する形態を指します。 サーバー構築や運用管理は一切不要で、ブラウザさえあれば、どこからでもシステムを利用できるのが特長ですね。

従来、Webサイトを立ち上げるには、サーバーの調達・構築から始める必要がありました。 OSやミドルウェアのインストール、各種環境設定、セキュリティ対策など、 サイト公開までには多大な準備が欠かせません。

またサイト公開後も、サーバーの監視や、ソフトウェアのアップデート、 トラブル発生時の復旧作業など、地道な運用業務が続きます。 こうしたシステム管理の負荷が、Webサイト運営の足かせになっているのは言うまでもありません。

そこで注目を集めているのが、クラウドで提供されるCMSサービスです。 サーバーはクラウドベンダーが用意するため、利用者側に管理負担は一切ありません。 CMSの画面にログインするだけで、今すぐにでもWebサイト構築を始められるのです。

しかもクラウドならではのメリットとして、柔軟なスケーラビリティも見逃せません。 サイトへのアクセスが急増しても、その都度サーバーを増強する必要はありません。 クラウドの設定変更だけで、負荷変動に応じて自動的にサーバーリソースが最適化されるのです。 まさにストレスフリーなWebサイト運用が実現できるわけです。

このように、煩雑なシステム管理から解放されるクラウド型CMS。 今や、中小規模のWebサイト構築の主流になりつつあります。 自社でシステム運用するスキルも人的リソースも持たない企業にとって、 強力な選択肢になることは間違いないでしょう。

代表的なクラウド型CMS

それでは、代表的なクラウド型CMSを見ていきましょう。

  • WordPress.com
    • 言わずと知れたオープンソースCMS「WordPress」のクラウドサービス版。ブログ作成に最適。
  • Wix
    • ドラッグ&ドロップ操作で直感的にサイトが作れるクラウドCMS。豊富なデザインテンプレートが魅力。
  • Shopify
    • ECサイト構築に特化したSaaSサービス。越境EC機能など、多彩な販促機能を提供。
  • Squarespace
    • デザイン性の高いWebサイトを、誰でも簡単に作れるクラウドCMS。ポートフォリオサイトに人気。
  • HubSpot CMS Hub
    • MA機能を統合したクラウド型CMS。コンテンツとマーケティングの一元管理を実現。

クラウドCMSの機能や価格帯は実にさまざまですが、総じて初期費用を抑えつつ、 最短即日でサイトを立ち上げられる手軽さが売りです。 本格的なWebサイト運営に不可欠な基本機能は一通り揃っているので、 小規模サイトなら、これだけで十分にカバーできるでしょう。

また、ここ数年は、ヘッドレスCMSと呼ばれるタイプのクラウドサービスも増えてきました。 コンテンツをAPIで管理し、Webサイトやアプリに柔軟に配信できるアーキテクチャが特長です。 マルチデバイス展開やサイト高速化に有効で、次世代のCMSとして注目を集めています。

クラウド型CMSのスペックやラインナップは年々拡充されており、 その導入メリットは増す一方。 選択肢の一つとして、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

クラウド型CMSのメリット

クラウド型CMSの最大のメリットは、初期費用を大幅に抑えつつ、スピーディーに導入できる点にあります。 サーバー構築の手間もコストも一切不要で、ブラウザからすぐに利用開始できるのは非常に魅力的。 社内の稟議を通すのに時間がかかる場合も、数週間~1ヶ月程度で新サイトを立ち上げられるでしょう。

しかも、月額数千円から利用できるサービスも多いため、初期投資を最小限に抑えられるのも大きな利点。 オープンソースのようにサーバーを自前で用意する必要もなく、商用パッケージのような高額なライセンス料も不要。 低リスク・低コストで、Webサイト運営をスタートできるわけです。

クラウド型CMSのもう一つの強みが、システム運用の手間が一切不要という点。 サーバーの監視やメンテナンス、セキュリティ対策などは、すべてベンダー側が行ってくれます。 ソフトウェアのアップデートも自動で適用されるため、常に最新の状態を保てるのです。

Webサイト運営者にとって、悩みの種だったシステム管理から完全に開放されるメリットは計り知れません。 コンテンツ制作や更新業務に集中できるので、サイトの鮮度を保ちつつ、効果的な情報発信が続けられるでしょう。 オープンソースのようにセキュリティホールに悩まされる心配もありません。

さらに、どこからでも管理画面にアクセスできる高いアクセシビリティも見逃せません。 外出先からスマートフォンで記事を更新したり、取材先からリアルタイムで写真を投稿したり。 場所を選ばずコンテンツ配信できるので、よりタイムリーな情報発信が可能になります。

在宅勤務やリモートワークが浸透した昨今、 クラウドで手軽にサイト更新できるメリットは、ますます大きくなりそうです。

その一方で、クラウド型CMSにもデメリットがあることは事実。 機能面の制約や、カスタマイズ性の低さなどが代表例として挙げられます。 そうした弱点も見極めつつ、自社に本当に適したCMSを選ぶことが肝心だといえるでしょう。

クラウド型CMSのデメリット

クラウド型CMSの最大のデメリットは、提供される機能に制限がある点です。 標準で利用できる機能は、ベンダーがあらかじめ用意したものに限られます。 Webサイトに必要な機能が十分にカバーされているかどうか、慎重な見極めが欠かせません。

自社の要件に対し、機能面で過不足がある場合、思うようなWebサイトが作れない可能性も。 コンテンツ構成の自由度や、マーケティング施策の幅が狭まるリスクもあるでしょう。 中にはブログ機能すら提供していないサービスもあるので、導入前の入念なチェックが欠かせません。

クラウド型CMSのもう一つの弱点が、細かなカスタマイズができない点。 サイトのデザインや機能を自由に拡張したい場合、クラウドサービスでは対応に限界があります。 テンプレートの範囲内でのレイアウト調整はできても、ゼロベースのフルカスタマイズはほぼ不可能。 「他社と差別化した独自のWebサイトを構築したい」というニーズには応えきれないでしょう。

また、ベンダー側のシステム障害が発生すると、自社Webサイトまで影響を受けるリスクも。 ローカル環境でシステムを管理できないため、ダウンタイムの際は、ベンダー側の復旧を待つしかありません。 「Webサイトを止めるわけにはいかない」、高い可用性が求められるケースでは、 クラウド型CMSの採用は慎重に検討する必要がありそうです。

さらに、ベンダーの継続性リスクを負う点も忘れてはなりません。 万が一、クラウドサービスが終了してしまうと、別のシステムに移行せざるを得ません。 コンテンツのポータビリティが低いと、移行時の手間やコストが膨大になるおそれも。 ベンダー選定の際は、サービスの継続性という観点も大切になるでしょう。

このように、クラウド型CMSにはデメリットも少なくありません。 自社Webサイトを預けるにふさわしいサービスなのか、メリット・デメリットを天秤にかけながら、 慎重に見極めていく必要があります。

ただ、制約の中で工夫すれば、それなりの成果は得られるはず。 「妥協できる点は妥協しつつ、Webサイト運営の実質を高めていく」 クラウド型CMSに適したマインドセットだと言えるでしょう。

クラウド型CMSがおすすめの企業タイプ

では、クラウド型CMSは、どんな企業に適しているのでしょうか。 ズバリ、導入スピードと運用効率を重視する企業に最適だと言えます。

新規事業の立ち上げや、期間限定のキャンペーンなど、 「いますぐWebサイトを構築したい」というニーズにも、クラウド型CMSなら即座に応えられます。 オンプレミスでシステムを調達・構築する時間的余裕がない場合も、強力な選択肢になり得るでしょう。

同時に、クラウド型CMSは、予算を抑えつつ、できる限りローコストでWebサイトを運営したい企業にもぴったり。 初期費用も運用コストも、他のCMSに比べて格段に低く抑えられます。 中小企業はもちろん、スタートアップ企業やNPO団体など、予算規模の小さい組織でも導入しやすいでしょう。

また、必要十分な機能で用が足りる企業にもおすすめ。 クラウド型CMSは機能面である程度割り切ることも必要ですが、 本当に必要な機能さえ備わっていれば、無理に高機能なシステムを導入する必要はないはず。 クラウドの機能で賄える範囲なら、料金的にもメリットが大きいといえます。

加えて、ITリソースに乏しい企業にもクラウド型CMSはうってつけ。 自社にシステム運用のスキルがなくても、クラウドサービスならストレスなく使いこなせます。 専任の担当者を置かずに済むので、少人数でのスリムな運営体制が敷けるのです。

一方、以下のようなケースでは、クラウド型CMSの導入は控えめにすべきかもしれません。

  • 独自のWebサイト要件が数多くある
  • 定型の機能では要件を満たせない
  • 高度なセキュリティ対策が必要である
  • 365日24時間の高可用性が求められる

外的要因に左右されずに、確実にサイトを運営したい場合は、 オンプレミス型のCMS、つまりオープンソース型やパッケージ型の選択肢も視野に入れましょう。 機能性と自由度、セキュリティ、可用性を担保しつつ、Webサイト運営に臨むことができるはずです。

いずれにしろ、自社の体制や予算規模、機能要件などを総合的に勘案しながら、 クラウド型CMS活用の是非を見極めていくことが大切だと言えます。 選択肢の一つとして、ぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

当社では、多様な業種のお客様に、WordPress(オープンソース)、ferret One(クラウド型)など、 様々なタイプのCMS導入を支援してまいりました。 御社の事業フェーズや、予算感、Webサイト活用方針などをヒアリングしながら、 最適なCMSをご提案させていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。

各CMS種類の特徴比較と選び方のポイント

ここまでの内容を踏まえ、3種のCMSタイプを改めて比較してみましょう。 機能性、運用効率、コスト感など、それぞれの特性を整理しながら、 自社に最適なCMSを選ぶための指針を探ります。

機能面での比較

まず機能面では、以下のようなポイントをチェックしましょう。

  • 自社のWebサイトに求められる機能を過不足なく備えているか
  • APIの公開状況はどうか(外部システムとの連携が必要な場合)
  • 拡張モジュールやプラグインなど、機能を柔軟に拡張する手段はあるか

求める要件のレベル感によって、最適なCMSのタイプも変わってきます。 必要十分な基本機能があれば、あとは割り切ってクラウド型を選んでもよいかもしれません。 逆に高度な要件定義があるなら、カスタマイズ性の高いオープンソース型がフィットするでしょう。

CMS種類 基本機能 カスタマイズ性 API連携
オープンソース型 △〜◯
パッケージ型
クラウド型 × △〜◯

運用面での比較

次に、導入から運用までのしやすさを比較します。

  • 導入までの平均的な期間はどれくらいか
  • 社内でどの程度運用管理の体制を整える必要があるか
  • バージョンアップ対応の負荷感はどうか

オープンソース型は自己責任の運用が求められ、ある程度の習熟度が必要不可欠。 一方、パッケージ型やクラウド型は、ベンダー任せで手軽に始められるのが魅力です。 自社のリソース感に合わせて、無理のない運用形態を選びましょう。

CMS種類 導入期間 運用管理 バージョンアップ
オープンソース型 × ×
パッケージ型
クラウド型

コスト面での比較

コスト感も見逃せないポイントですね。

  • 初期構築にどのくらいの費用がかかるか
  • ランニングコストの目安はいくらか
  • 機能追加時のコスト感はどうか

トータルコストの観点では、オープンソース型が最も低コストで導入できます。 ただし自社での運用負荷を加味する必要があるため、単純に安いとは言い切れません。 長期的な費用対効果を見極めつつ、予算感に見合ったCMSを選びたいものです。

CMS種類 初期費用 ランニングコスト カスタマイズコスト
オープンソース型
パッケージ型 △〜◯
クラウド型 ×

サポート面での比較

最後に、サポート体制の充実度もチェックしておきましょう。

  • オンラインマニュアルの網羅性は十分か
  • ベンダーによる手厚いサポートが期待できるか
  • ユーザーコミュニティの活発さはどうか

マニュアル頼りで独力運用するなら、オープンソース型が向いています。 手厚いサポートを求めるなら、パッケージ型やクラウド型を選ぶのが賢明。 自社の体制やスキルレベルに合わせて、最適解を見出しましょう。

CMS種類 ドキュメント ベンダーサポート コミュニティ
オープンソース型 ×
パッケージ型
クラウド型

選び方のチェックリスト

以上の比較を踏まえ、CMS選定の際は以下のようなチェックリストを活用しましょう。

  • Webサイトの目的は何か
    • □ ブランディング
    • □ 商品・サービス紹介
    • □ 集客・マーケティング
    • □ その他(   )
  • どのような機能が必要か
    • □ 記事投稿・ブログ
    • □ イベントカレンダー
    • □ メールフォーム
    • □ 会員管理・ログイン
    • □ EC・商品管理
    • □ 多言語対応
    • □ その他(   )
  • 求められるセキュリティレベルは
    • □ 高
    • □ 中
    • □ 低
  • 社内の運用管理体制をどうするか
    • □ 専任者を置く
    • □ 各部署に担当者
    • □ 外注に委託
  • CMS導入の予算上限はいくらか
    • □ 100万円以下
    • □ 100万円〜500万円
    • □ 500万円以上

自社の要件に照らし合わせながら、理想のCMSの絵姿を描いていきましょう。 数多くのCMS製品の中から最良の一本を選び出すのは容易ではありませんが、 本記事で整理したポイントを押さえていけば、きっと最適解が見えてくるはずです。

迷ったら、ぜひ、当社にご相談ください。 長年の実績とノウハウを活かし、御社のニーズに即した最適なCMSをご提案いたします。 お問い合わせ、心よりお待ちしております。

CMSの導入プロセスと運用フロー

CMS導入を決めたら、いよいよ実際の導入・運用フェーズに入ります。 ここでは、CMSの導入プロセスと、導入後の運用フローについて解説します。

CMSの選定フェーズ

まずは入念な要件定義が肝心です。 Webサイトの目的や、具体的な機能要件、予算感などを、社内の関係者で議論しましょう。 その際、現状の課題感や、将来の理想像も含めて洗い出すことが大切。 要件定義が曖昧だと、適切なCMS選定は難しくなります。

要件が固まったら、各種CMS製品の比較検討に入ります。 機能一覧表などを作成し、それぞれの要件充足度をチェック。 関連情報をオンラインで集めたり、実際に利用企業にヒアリングするなど、 できる限り情報収集に努めましょう。

CMSベンダーの選定も重要なポイントです。 製品の完成度はもちろん、サポート体制の手厚さや、将来のロードマップ、 同業他社の利用実績なども見極めたいところ。 パートナーとして信頼に足るベンダーを選ぶことが肝要だと言えます。

ベンダー候補が絞れたら、実際の導入イメージを膨らませていきます。 サイト設計のための情報設計、画面遷移図の作成、 必要となるサーバースペックの算出など、より具体的な検討作業が必要です。 併せて、概算見積もりを依頼し、予算面のすり合わせも進めましょう。

設計・構築フェーズ

いよいよCMS導入の本格始動です。 要件定義の内容を詳細化し、Webサイトの設計を進めていきます。 サイトマップの作成、ワイヤーフレーム(画面設計)の作成、機能要件の確定など、 専門的な作業が続きます。

並行してビジュアル面のデザインも固めていきましょう。 サイトのコンセプトを体現する、訴求力の高いデザインの制作が求められます。 CMSの標準テンプレートを流用するのか、オリジナルでデザインを起こすのか、 費用対効果を考えながら方針を決める必要があります。

設計とデザインが固まったら、実際のシステム構築の工程に移ります。 CMSのインストールと初期設定、各種機能の実装、カスタマイズなどを行います。 自社で開発する場合は、担当エンジニアのアサイン・スケジュール管理がカギを握ります。 一方、制作会社に委託する場合は、緊密な連携とこまめな進捗管理が欠かせません。

構築の後半には、既存サイトからのコンテンツ移行作業が待っています。 サイトリニューアルの場合、旧サイトの記事や画像などを、CMSに移し替える必要があります。 大量のコンテンツを扱う場合は、移行ツールの利用も検討すべきでしょう。 凍結期間を設けて、計画的に移行を進めることが重要です。

運用フェーズ

Webサイトが無事公開されたら、いよいよ運用フェーズの幕開けです。 まずは安定運用に向けて、社内の運用体制を整備することが肝心。 記事の企画・制作を担うライター、コンテンツの品質管理を行うエディター、 公開プロセスを回すディレクターなど、役割分担を明確にしましょう。 各ポジションの担当者を任命し、研修などで必要なスキルを習得してもらうことも重要です。

同時に、運用ルールの策定にも着手しましょう。 記事作成のガイドラインや校正マニュアルの整備、コンテンツ更新の頻度設定、 公開プロセス(ワークフロー)のシステム化など、運用の土台を固めていきます。 関係者全員が認識を共有しつつ、無理のない運用サイクルを定着させることが大切だと言えます。

サイト公開後は、アクセス解析を欠かせません。 サイト訪問者の属性や行動を丹念に分析し、サイト改善に役立てましょう。 ページ別のPV数(ページビュー)やUU数(ユニークユーザー)の推移、 人気コンテンツランキング、離脱率の高いページの把握など、 多角的な分析を続けることが肝要です。

アクセス解析と並行して、アクセシビリティ対応や、SEO対策など、 Webサイト品質を総合的に高める取り組みも必要不可欠。 新たに追加したい機能や、さらなるカスタマイズの要望なども、 システム改修として計画的に実施していきたいものです。

運用と改善を繰り返しながら、Webサイトを磨き上げていく。 それこそが、CMSを有効活用する上で何より重要だと言えるでしょう。

運用を成功させるポイント

CMSを使いこなし、質の高いWebサイト運用を実現するには、何が必要でしょうか。 ポイントは大きく以下の4つに集約されます。

  1. ガバナンスとルールの策定
  2. 社内教育とスキル継承
  3. 効果検証とPDCAサイクルの実践
  4. 外部リソースの有効活用

まず、運用ガバナンスを確立し、ルール化することが大前提。 サイト運営方針や組織体制、承認フロー、コンテンツ方針など、 運用における基本ルールを明文化し、関係者間で共有しましょう。 一定のルールの下で、チーム一丸となって取り組む体制を整備することが何より大切です。

そのうえで、社内の教育・育成にも力を注ぎましょう。 CMS操作のレクチャーはもちろん、Webライティングの基礎、画像選定のコツ、 アクセス解析に基づく改善手法など、運用に必要なスキルは幅広い。 自社に不足しているスキルは何か、社内で育成すべきか、外部リソースを活用すべきか、見極めが肝心だと言えます。

そして、PDCAサイクルを回すことを習慣づけましょう。 サイトの目的達成度を定期的に評価し、課題を抽出。 対策案を立案・実行し、さらなる改善につなげていく。 そうした地道な積み重ねが、Webサイトの成長を加速させるのです。 アクセス数、CVR(コンバージョン率)、エンゲージメントなど、 適切なKPIを設定し、確実に効果を検証していくことが求められます。

最後に、外部リソースも柔軟に活用したいところ。 CMS運用の専門会社やコンテンツ制作会社など、頼れるパートナーは数多くいます。 自社の弱点を補完し、運用力を最大化するためにも、 積極的にアウトソーシングを進めることをおすすめします。

当社では、CMSの導入支援だけでなく、戦略立案から運用設計、社内教育まで、 お客様の課題解決に必要なソリューションをトータルでご提供しています。 コンテンツの企画制作やアクセス解析レポートの提出など、運用フェーズでのサポートも万全。 ぜひお気軽にご相談ください。

コラム:CMSのこれからの展望

駆け足でCMSの基礎知識を見てきましたが、 最後に、CMSの未来についても少し考えてみたいと思います。

マイクロサービス化とAPI連携

CMSの世界では、マイクロサービス化の潮流が加速しています。 従来のモノリシック(一枚岩)なアーキテクチャから、 機能単位で分離された小さなサービス群で構成するアプローチへのシフト。 その背景にあるのが、API連携の浸透と、クラウドの普及です。

APIを介して疎結合に連携できるようになったことで、 CMSの機能をコンテンツ管理に特化し、シンプル化することが可能に。 認証基盤やメール配信など、周辺機能はAPIで外部サービスと連携することで実現できるようになりました。 CMS本体の肥大化を防ぎつつ、システム全体の柔軟性を高めるメリットは大きいでしょう。

ヘッドレスCMSの台頭

そうしたマイクロサービス化の流れの中で、 近年特に注目を集めているのが、ヘッドレスCMSと呼ばれるアプローチです。 コンテンツをフロントエンド(表示側)から切り離し、APIで管理・配信する仕組み。 Webサイトはもちろん、アプリやデジタルサイネージなど、 あらゆるチャネルへコンテンツを最適な形で届けられるのが特長です。

ヘッドレスCMSを採用すれば、フロントエンド側の自由度が格段に高まります。 最新のJavaScriptフレームワークを使ったUIの実装や、 ネイティブアプリでのコンテンツ活用など、さまざまな展開が可能に。 「APIはCMSから提供を受けつつ、表示はフロントエンド側で独自に設計する」 そんな柔軟なアーキテクチャが実現できるわけです。

AIを活用したコンテンツ最適化

コンテンツ制作の現場でも、AI活用が急速に進んでいます。 記事の自動生成や、画像の自動タグ付けなど、 単純作業の自動化による業務効率化が期待されています。 校正支援や、キーワードの推奨などの領域でも、AIの実力は目覚ましい。 ルーチンワークから解放されることで、人間はより創造的な業務に専念できるはずです。

また、AIを用いたレコメンデーションの高度化にも注目が集まっています。 サイト訪問者の趣向や行動を学習し、最適な記事を自動で推奨する。 パーソナライズされたユーザー体験の提供が、今やコンテンツ競争力の源泉と言えるでしょう。 記事の自動要約によるダイジェスト記事の作成など、 コンテンツ活用の幅もさらに広がっていくに違いありません。

CMS専門家の見解

CMSに求められる要件は、今後ますます高度化・多様化していくでしょう。 機能や操作性の向上はもちろん、セキュリティ対策やグローバル対応、 マーケティングツールとの連携強化など、満たすべき条件は際限なく増えていく一方です。

そうした中、CMS選定のポイントは、なんと言っても柔軟性の高さだと考えます。 要件の変化にスピーディーに対応できるシステムであること。 特定のベンダーに依存せず、いつでも乗り換えられる自由度を確保すること。 レガシーに囚われない、モダンなアーキテクチャを備えていること。 そうした観点から、ベンダーロックインを避け、 オープンかつ疎結合なCMSを選ぶことが賢明だと言えるでしょう。

もちろん、自社の文化や体制にフィットすることも大切です。 開発リソースが乏しいなら、クラウドやSaaSの活用も視野に入れたい。 セキュリティへの不安が強ければ、実績あるパッケージ製品を選ぶのも手。 カスタマイズ性や、多言語対応など、自社に不可欠な要件も見逃せません。

いずれにしろ、CMSはデジタル変革を支える重要な基盤であることに変わりはありません。 自社の目指す未来像を見据えつつ、長期的な視点でCMSを選定・活用していく。 その先見性と実行力こそが、これからのデジタル時代を勝ち抜く原動力になると確信しています。

まとめ

CMSは、Webサイト運営に欠かせないシステムであり、 その理解と活用が、今やデジタルマーケティングの成否を左右すると言っても過言ではありません。 本記事では、CMSの役割や種類、メリット・デメリットから、 各CMS製品の比較、運用のポイントまで、CMSを活用する上で重要な知識を幅広く解説してきました。

冒頭でお伝えした通り、CMSには大きく分けて3つのタイプがあります。 オープンソース型は、無料で自由度が高い一方、自己責任での運用が求められるタイプ。 商用パッケージ型は、多機能で安定性が高いものの、コストはそれなりにかかります。 そしてクラウド型は、初期費用を抑えつつ、手軽に始められるのが魅力と言えるでしょう。

いずれのタイプにも一長一短があるからこそ、 自社の目的や予算規模、体制に合わせて、最適なCMSを選ぶことが肝要だと言えます。 記事中のチェックリストも活用しつつ、CMSの特性をしっかりと見極めていただければと思います。

また、CMS導入後の運用フェーズでは、 ルールの設定や組織づくりにも細心の注意を払う必要があるでしょう。 記事の企画・制作プロセスの最適化はもちろん、 アクセス解析など、PDCAを回す仕組みづくりにも注力したいところです。

その先には、CMSをマーケティング基盤へと進化させていくフェーズが待っています。 デジタルマーケティングツールとの連携を進めたり、 AIを活用したパーソナライズ化に挑戦したり。 CMSの可能性は、私たちの想像以上に広がっていくはずです。

今こそ自社のCMS活用を見つめ直し、 デジタルシフト時代の競争力につなげていく。 そんな戦略的なCMS活用を、ぜひ皆さまの組織でも実践してみてはいかがでしょうか。 当社では、CMSの設計・開発から、マーケティング活用までをワンストップでサポートしております。 お気軽にご相談ください。

読者の皆様の明日のWebサイト運営が、 より効果的で創造的なものとなりますよう、心から応援しております。 長文をお読みいただき、誠にありがとうございました。

 

 

CMSに関するFAQ

Q. CMSとホームページビルダーの違いは何ですか?
A. ホームページビルダーはソフトウェアの一種で、CMSはWebサイトを管理するシステムです。機能の豊富さや柔軟性の点で、CMSの方が優れています。

Q. ECサイト構築に適したCMSはありますか?
A. EC専用のCMSとしては、Shopifyが有名です。WordPressでもWooCommerceなどのプラグインを使えば、ECサイトを構築できます。

Q. ブログを開設するのにCMSは必要ですか?
A. 必須ではありませんが、HTMLの知識がなくても記事投稿できるCMSを使えば、効率的で便利です。

Q. 社内でCMSを運用するのに必要なスキルは?
A. HTML・CSSなどの基本的なWeb知識に加え、CMS操作や画像処理、アクセス解析などのスキルが求められます。

Q. 自社開発のCMSとオープンソース・商用CMSの選択基準は?
A. 自社開発は自由度が高い反面、コストと工数がかかります。機能要件の複雑さやコストメリット、自社の開発力などを考慮して選択しましょう。

Q. セキュリティ対策で気をつけるべきポイントは?
A. CMSやプラグインを常に最新版に更新し、脆弱性を放置しないことが重要です。不要なプラグインは削除し、ログイン画面のURLを推測されにくいものにするなどの工夫も必要でしょう。

Q. コーポレートサイトの多言語展開に適したCMSは?
A. WordPressの多言語プラグインとしてWPMLが有名です。Drupalにも多言語機能が標準で備わっています。

Q. サイト公開後もCMSのメンテナンスは必要?
A. 定期的なバージョンアップやセキュリティ対策は欠かせません。最新の脅威に備えるためにも、CMSの保守は継続して行うことが重要です。

Q. CMSデータのバックアップ方法は?
A. CMSの管理画面からデータをエクスポートする方法が一般的です。サーバー上のデータをまるごとバックアップする方法もあります。

Q. モバイルアプリでもCMSは使える?
A. ヘッドレスCMSを活用すれば、モバイルアプリにもコンテンツを配信できます。APIでシームレスにデータ連携することが可能です。

Q. メディア運営に強いCMSを教えてください
A. WordPressが代表格ですね。お手軽さと柔軟性を兼ね備えており、メディア系サイトの定番と言えます。

Q. 1ページしか作らないなら、CMSは不要?
A. 更新頻度が低いサイトなら、静的HTMLでシンプルに作るのもひとつの手です。ただ将来的な拡張性を考えると、最初からCMSで構築しておくのがおすすめです。

Q. Webサイトをリニューアルする際のCMS移行のコツは?
A. 事前の入念な要件定義と、綿密な移行計画が欠かせません。コンテンツの棚卸しと、URLの再設計など、SEOへの影響にも十分配慮しましょう。

Q. CMSのデザインカスタマイズで気をつけることは?
A. 更新時のデザイン崩れを防ぐため、編集画面側のCSSとJavaScriptは慎重に扱う必要があります。

Q. 有料テーマや有料プラグインの選び方は?
A. 評判や実績、サポート体制、更新頻度などをチェックしましょう。高価なものが必ずしも良いとは限りませんが、無料版より品質は高い傾向にあります。

Q. 会員制サイトの管理に適したCMSは?
A. WordPressの場合、Ultimate Memberなどの会員制プラグインの導入がおすすめです。DrupalやJoomla!にも会員管理機能が備わっています。

Q. CMSのアクセシビリティ対応で気をつける点は?
A. WAI-ARIAによるランドマーク属性の設定や、代替テキストの記述など、アクセシビリティを考慮したHTML構造が求められます。テーマ選定の際も、アクセシビリティへの対応状況を確認しましょう。

Q. サイトパフォーマンス改善に有効なCMS設定は?
A. プラグインを最小限に絞ることが重要です。キャッシュ系プラグインの活用や、画像の最適化、CSSやJavaScriptのミニファイ化なども効果的でしょう。

Q. ユーザビリティを高めるCMS活用の工夫は?
A. 検索機能の最適化や、ブレッドクラムの設置、ページネーションの改善などが有効です。サイト内の導線を適切に設計し、直感的な操作性を実現しましょう。

Q. 海外向けサイト制作に適したCMSは?
A. 多言語対応が前提なら、WordPress、Drupal、Joomla!あたりが無難な選択肢です。各言語のドメインやディレクトリ構造にも柔軟に対応できる点が魅力です。

 

 

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株式会社イノーバの「イノーバマーケティングチーム」は、多様なバックグラウンドを持つメンバーにより編成されています。マーケティングの最前線で蓄積された知識と経験を生かし、読者に価値ある洞察と具体的な戦略を提供します。