この記事では、BtoBマーケティングに取り組む上では欠かせない、ホワイトペーパーの活用方法について解説します。
ホワイトペーパーは、企業が自社のWebサイトで問い合わせを獲得するために欠かせないコンテンツの1つです。
特に法人向けのBtoBビジネスでは、Webサイトへの集客や良質なリード獲得のための施策として重宝されています。
弊社イノーバでは、自社で100冊、クライアントワークで数百冊のホワイトペーパーを制作した実績があります。
本記事ではホワイトペーパーの目的・種類の説明から、作成のポイント・活用方法まで、自社で長年培ったノウハウをすべて開示いたします。
【目次】
- ホワイトペーパーとは?
- ホワイトペーパーの目的や効果・メリット
- ホワイトペーパーの種類
- 営業資料・サービス資料との違い
- ホワイトペーパーの作り方
- ホワイトペーパーの基本構成
- ターゲットを引き込む、ホワイトペーパーの作り方6つのポイント
- クリックしたくなるタイトルにする
- ストーリーテリングを活用して自社の製品や企業のファンをつくろう
- 視覚的要素を高めてより分かりやすい資料に
- レイアウトを工夫して顧客の興味を引こう
- 行動喚起(Call to Action)は数に注意!
- 理想のページ数を把握しておこう
- 購買ステップ別、ホワイトペーパーの構成ポイントまとめ
- ホワイトペーパーの活用方法
- ホワイトペーパーの参考・活用事例
- まとめ
ホワイトペーパーとは?
ホワイトペーパー(whitepaper)とは、英語で「白書」、「白紙」という意味を持ち、もともとは欧米で政府が政治に関する問題解決のために発行していた公式文書の呼称です。
現代では、その由来の通り、企業がターゲット顧客層の悩みや問題に関するソリューションを伝える文章として制作されており、主にBtoB(法人向けビジネス)領域における企業のコンテンツマーケティングのツールとして重要視されています。
実際の活用例があった方が分かりやすいので、弊社のホワイトペーパーの掲載ページのキャプチャをご覧ください。
フォーム入力ページの例
企業がホワイトペーパーとして情報提供を行う代わりに、ユーザー側にはフォームに個人情報を入力してもらいます。このように、ホワイトペーパーはリード(個人情報)獲得の手段として用いられているのです。
CMI(Contents Marketing Institute)が2021年におこなった調査では、B2Bバイヤーの54%が購入時のリサーチにホワイトペーパーを参照するというデータがあるように、ホワイトペーパーは購買決定の重要な要素の1つです。また、新規見込み顧客を獲得したり、その見込み顧客を購買に向けて育成したりするためのツールとして使うこともできます。
実際、イノーバの顧客も商談前にホワイトペーパーを数冊ダウンロードしていることが多く、商談化に貢献する重要施策として力を入れて取り組んでいます。
以下の画像は弊社の商談顧客の、イノーバのサイト上の行動履歴です。資料請求のような直接的なCVだけではなく、商談前の段階で複数冊のホワイトペーパーを閲覧されていることが分かります。
ホワイトペーパーの目的や効果・メリット
効率的にリード獲得できる
先述の通り、ホワイトペーパーはリード情報を獲得するための施策として活用されることが多い施策です。
ホワイトペーパーを提供する側の企業は、無料で業界の情報やノウハウを提供する代わりに、サイトに訪れた見込み顧客のリード情報を獲得できるというメリットがあるわけです。
一定の検討が進んでいないと「お問い合わせ」や「資料請求」はできませんが、ホワイトペーパーは商品やサービスを買う気が無くても、興味関心があればダウンロードいただけます。
結果、「お問い合わせ」や「資料請求」よりも、コンバージョン数の発生件数が多い、というのも特徴です。例えば、イノーバであれば、お問い合わせや資料請求は毎月100件程度ですが、ホワイトペーパーダウンロード件数は500件ほどと、5倍以上の数字を叩き出しています。
営業ツールとして活用することができる
顧客との面談時に、その顧客が抱えている課題やニーズに応えられるホワイトペーパーを営業ツールとして活用することで、信頼関係が強化され受注率を高めることができるでしょう。
リードナーチャリングに活用できる
ホワイトペーパーのダウンロードを通じてリード情報を獲得した後は、メールマーケティングやインサイドセールス・営業部門からのアプローチなどを行っていくことで、リードを育成し商談・購買に繋げていく形で活用されていきます。
商品・サービスをいきなり売り込んでしまうと、購入を検討していない人からは嫌われてしまいますが、見込み顧客の興味関心のありそうなホワイトペーパーを提供することは受け入れられることが多いです。見込み顧客が欲しい情報(ホワイトペーパー)を定期的にお届けすることで、定期的に接点を持つことができ、リードナーチャリングに一役買えるというわけです。
ホワイトペーパーの種類
ホワイトペーパーは提供する情報の種類によっていくつかのパターンにわかれます。イノーバの制作実例を元にご紹介しますので、参考になさってください。
- 課題解決方法やノウハウ提供する
「●●を解決するための5つのポイント」といった形で、見込み客が抱えている課題を明確にし、課題に対するソリューションや事例を提供するものです。特にニーズが顕在化していない層に効果的で、業界問わず幅広く使用される手法になります。
(弊社ホワイトペーパー『BtoB営業の新たなトレンド バイヤー・イネーブルメントを理解する』)
変化の激しい業界の中で、新しく登場した概念や用語(例:デジタルトランスフォーメーション、バイヤーイネーブルメント)などのトレンド情報について解説するのも有効です。最新の情報をわかりやすく提供していくことで、業界における専門性の高さや先見性を示すことができます。
- 導入事例集
自社の商品・サービスの導入事例を集めて紹介します。ただ単に事例を紹介するのではなく、「顧客がどのような課題を抱えていて、どのように解決したか」を示すことが重要です。
コーポレートサイト上に事例ページを作成している企業も多いでしょう。ページの内容をPDFにまとめ、ホワイトペーパーとしてダウンロード可能な状態にしておくことも有効な一手です。PDFの状態だと顧客社内間でシェアされやすく、より大勢の方に自社の事例を知ってもらうことが可能になります。
- レポート・アンケート調査
自社で収集したアンケート結果等を公開することで調査系のホワイトペーパーとして公開することも有効です。自社で収集した情報(一次情報)のため、品質が高く、ユーザーの満足度も高い傾向があります。
また、競合他社が自社の調査系ホワイトペーパーを参考にする際、被リンクを獲得するケースもあり、SEOの観点でも有効な一手と言えるでしょう。
注意点としては、調査系ホワイトペーパーは情報は古くなりやすいため、定期的なメンテナンスが必要になることです。テーマにもよりますが、数年に一回は更新が必要ということは念頭に置いておきましょう。
- テンプレート・チェックシート形式
見込み顧客の方が、日々の業務に使えるテンプレートを用意して顧客自身に活用してもらうテンプレート形式です。ノウハウ系や調査系のホワイトペーパーとは異なり、日々の業務で使用するため実用性が高い特徴があります。
テンプレート系は「業務で使える」ため、人気のホワイトペーパーとなっています。例えば、イノーバであれば、以下のようなテンプレート系ホワイトペーパーを作成しています。
営業資料・サービス資料との違い
ホワイトペーパーって営業資料やサービス資料と何が違うの?と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
一般に、営業資料やサービス資料は、商品・サービスへの興味関心が明確な「顕在層」に対し、その機能や特徴、料金などを紹介する目的で、企業側の視点に立って作成される資料です。
一方でホワイトペーパーは、見込み顧客の興味関心・課題発見をテーマに作成されるもので、その解決策として自社のソリューションが活用できることを示します。あくまで自社の商品・サービスを売り込むとことが目的ではなく、顧客の課題解決のために有益な情報を提供するということが主目的で、顧客の購買段階を先に進めるための補助的な資料という扱いです。
ホワイトペーパーは当然ながら、お問い合わせやサービス資料請求などより顕在層向けのCVポイントに比べると、受注につながる割合が低くなりますが、ダウンロード件数を月間数百~数千まで伸ばすことが可能であるため、結果として売上にインパクトを出すことに繋がります。実際にイノーバでも、お問い合わせや資料請求は月平均100件前後であるのに対し、ホワイトペーパーは月に500件程度ダウンロードいただいています。
ホワイトペーパーの作り方
ここからはホワイトペーパーの書き方のポイントについてみていきましょう。
ターゲットの設定
まずはターゲットの設定です。ここでいうターゲットとは業種や会社規模など大雑把なものではなく、マーケティング戦略におけるペルソナ設定と同様、上記のサンプルのように詳細の人物像を設定しておくことをおすすめします。ターゲットを明確にすることで、ホワイトペーパーの作成内容、方向性もより明確になります。
ターゲット像を描く際は以下の2点を特に明確化することをおすすめします。
- 商品・サービスの購入意向:いますぐ欲しいのか、それとも個人的に情報収集しているのか等
- 役職:社長・取締役・CxOといった役職付きの方に読んでほしいのか、それとも現場レベルの方を想定しているのか等
ホワイトペーパーのテーマ設定
先に設定したターゲットに対して、自社のノウハウがどのように貢献できるのかという観点で、ホワイトペーパーが扱うテーマを設定しましょう。
この際、プロダクト・アウトでテーマを考えるのではなく、ユーザーがそのホワイトペーパーを読んだあとにどうなってほしいか?を明確にすることが重要です。イノーバではこれを「望ましい態度変容」と呼んでいます。
具体例でご紹介します。イノーバの実践例でいうと、「はじめてのBtoBマーケティング、何から取り組むべきか?」というホワイトペーパーでは、「自社の営業活動の非効率さに悩んでいる。マーケティングに関心があるが何からどう手をつければいいかわからない」という人が多いため、「マーケティングの有用性をしっかり認識する」「自社で採りうる選択肢を理解・整理できる」状態に進めること「望ましい態度変容」として設定し、作成しました。
目標の設定
ターゲットと「望ましい態度変容」が決まれば、ホワイトペーパーの目標を設定します。
目標は定量的に、具体的な数値に落とし込んで設定することを推奨します。
ホワイトペーパーは一般的に以下の3経路からダウンロードが発生します。
- コーポレートサイトに訪問した人からのダウンロード
- メルマガからのダウンロード
- 広告からのダウンロード
そのため、サイト訪問者やメルマガ配信件数・広告予算が分かれば、そこから逆算してある程度精度の高い予測が出来るでしょう。以下図を参考にしながら、どの程度のダウンロード数が見込めそうか?目標値として設定できそうか?を考えてみてください。
ホワイトペーパーの基本構成
ターゲットが決まり、扱う課題と目標を設定できたら、いよいよホワイトペーパーの構成づくりです。今回は「課題解決・ノウハウ提供型」の構成について解説していきます。
ホワイトペーパーの構成では、5パラグラフの法則という、エッセイや論文を書く際の基本を用いると作りやすくなります。それでは、5つのパラグラフを構成する内容について解説していきましょう。
第1パラグラフ:イントロダクション/要約
イントロダクションには2つの役割があります。
第1の役割は、ホワイトペーパーの内容の一部を資料の冒頭で提示し、読者を引きつけることです。読者が最も気にする点は、「この資料は私のどんな問題や悩みを解決してくれるのか?」です。また読者は「私にどんな有益な情報を提供してくれるのか」も、早く見極めたいと思っています。第1パラグラフは、この2点を意識して記述しましょう。
第2の役割は、ホワイトペーパーを流し読みする読者に向けて、要約を提示することです。読者によってはホワイトペーパーの全文を読まずに、第1パラグラフのイントロダクションと最終パラグラフの結論だけに目を通す場合もあります。そうした読者も含めて、さまざまなタイプの読み手を意識し、読みやすさを高めるテクニックを駆使してライティングすることが最も効果的だとされています。
第2パラグラフ:問題提起
このパラグラフでは、読者が抱える問題や悩みを掘り下げ、彼らの深層心理を見極めます。読者に自分では意識していなかった課題を気づかせたり、共感を呼び起こしたりする文章を書きましょう。ここで読者の心をしっかりつかめば、この先のパラグラフであなたが提示する解決方法や、その解決方法を具体的に提供する自社製品への読者の納得感が高まります。
第3パラグラフ:解決策
ここでは、第2パラグラフで掘り下げた読者の問題や悩みに対する解決策を明示します。事実性の高さとロジカルである解決策、実際にあったケースを証左として読者の納得感を高めるようにしてください。解決策を淡々と書き連ねるだけではなく、ストーリー仕立てにする手法も有効です。読者の共感を高め、記憶に強く残すことができるでしょう。ストーリーテリングは、欧米ではライターに求められる重要なテクニックです。
第4パラグラフ:製品やサービス情報
このパラグラフでは、前段の第3パラグラフで示した解決策を実際に提供する手段として、自社の製品やサービスについて触れます。
ただし、読者である見込み顧客が現在、購買に至る道のりのどの位置にいるか(購買ステップ)によって、このパラグラフで自社製品・サービスをどこまで訴求するかを調整する必要があります。ここでは購買ステップを大きく2つに分けて、訴求の仕方を紹介します。
- 読者が購買ステップの認知段階/興味段階にいる場合
あなたの製品を読者が使うメリットや、事例、実際のユーザーの声などの客観的情報が有効です。事例や第三者の見解は、ホワイトペーパーやそれを提供している企業への信頼を高める効果があります。これは、この購買ステップにいる読者は客観的な業界情報を求めている傾向があるためです。
- 読者が比較・検討段階にいる場合
製品やサービスの細かいスペックを記述すれば、他社と比較するための有益な情報になります。ここでのポイントは、自社製品の優位性をアピールすることです。自社製品が他社に絶対に負けないスペックや、あなたの企業のポジショニングを説明するのも良いでしょう。そして、見込み顧客が得られるメリットについても明確に押し出す必要があります。
Forbes.comとTechTargetが実施した調査によると、調査対象者の42%が「ホワイトペーパーを購買意思決定の参考資料として使っている」と回答しています。つまり、数ある競合製品のなかから「なぜこの企業の製品を選ぶべきか」という理由付けは、読者側も求めている情報なのです。
第5パラグラフ:結論
「なぜこの解決策がベストなのか?」を読者が簡単に理解できるような文章が有効です。第1パラグラフで説明したように、イントロダクションとこの結論を読んだだけでも、ホワイトペーパー全体の内容が分かるようにしましょう。
巻末に必要に応じてつけるべき情報
- 行動喚起(Call To Action)
ホワイトペーパーを作る目的の1つは、読み手に次の購買ステップに進んでもらうことです。どういった行動に移ってほしいか(Call To Action)を最後に明示することを忘れてはいけません。ページの最後に、「問い合わせページ」や企業のウェブサイト、ランディングページなどのリンクを貼りましょう。
- 会社概要
自社についての記述は、読者の購買ステップに応じて記載します。認知段階/興味段階の読者にとって企業情報はさほど知りたい情報ではありません。一方で、比較検討段階に入っている読者にとっては、どういった企業なのかは購買を検討するにあたって必要な情報になります。
ターゲットを引き込む、ホワイトペーパーの作り方6つのポイント
イノーバではこれまで自社、クライアントワークでたくさんのホワイトペーパーを作ってきましたが、中にはヒット作もあれば失敗作もあります。これまでに自社で100冊以上作ってきましたが、成果のでないホワイトペーパーは掲載を取りやめ、現在は厳選した50冊程度をサイト上に公開しています。長年の取り組みの中で成果のあがるホワイトペーパーの作り方に関するノウハウを蓄積しました。
ここからは、ターゲットである見込み顧客が思わずダウンロードしたくなるようなホワイトペーパーを制作するための実践的なテクニックについて、イノーバの培ってきたノウハウを交えて紹介します。ポイントを抑えて、ぜひ実践してみてください。
1.?クリックしたくなるタイトルにする
ホワイトペーパーをマーケティングツールとして有効活用している欧米では、タイトルの記述を数パターンも用意してA/Bテストを重ねて、最も効果的な見出しを採用する企業もあります。ただし実際には、コピーライターでもない限り、ターゲット層の興味を引きつける印象的な見出しを考えるのは簡単ではありません。
以下は、見出しに盛り込むとクリック率が高まるテクニックです。ぜひ参考にしてください。
- 「How to(~の方法)」
例:良いコンテンツを制作する方法
- 実績を裏付ける数値データ
例:3,500社が導入しているオートメーションシステム
- 読んでもらいたいターゲット層の役職
例:CMOに求められる5つのマーケティングスキル
- ターゲット顧客層の具体的なメリット
例:成約率を20%高める6つのテクニック/経費を10%削減するオートメーションシステム
ここで、ひとつ注意があります。
認知段階や興味段階にいるターゲットに向けたホワイトペーパーには、製品名は入れないほうが賢明です。「売り込みたい」という企業の気持ちが前面に出てしまい、読者を遠ざけてしまう傾向があります。
2. ストーリーテリングを活用して自社の製品や企業のファンをつくろう
本稿の前半でパラグラフの構成方法を説明した際にも触れていますが、ストーリーテリングは欧米のマーケティングにおいて重視されているテクニックです。近年は、コンテンツマーケティングにおいてそのテクニックが紹介されていることから、日本でも頻繁に耳にするキーワードになりました。
文章の内容が、ターゲットになる見込み顧客にとって他人事に聞こえるような内容では、購買意欲を引き起こすきっかけを作れません。
見込み顧客を取り巻く状況や背景、あなたの企業がその製品を開発した背景についても説明も加えることで、ホワイトペーパーの内容を読者は疑似体験できます。「これを実際に使ったら、私にどんなメリットがあるだろうか」など、製品を使うイメージを具現化することで、読み手が購買ステップを前に進む動機を創出しましょう。
3. 視覚的要素を高めててより分かりやすい資料に
インフォグラフィックや図表を使用して、読者が視覚的に理解できるようにします。信頼できる第三者機関の図表データを挿入するのも有効です。
4. レイアウトの工夫して顧客の興味を引こう
印象的なフレーズを抜き出して引用・レイアウトする「プルクオート」や、本文の横に別枠として囲み記事をレイアウトする「サイドバー」、箇条書きなどを活用しましょう。ただひたすら文字だけが並んだ紙面は見にくく、読者の「読みたい」という気持ちを奪ってしまいます。
プルクオートの例
プルクオートを使ってあなたが強調したい部分を読者に視覚的にインプットするテクニックや、サイドバーに詳細情報を付記することで、流し読みする読者にも重要な情報をアピールし、また、詳細情報を知りたい読者にとっても有益な情報を提供できます。
5. 行動喚起(Call to Action)は数に注意!
ホワイトペーパーを戦略的なマーケティングツールにするには、あなたが読者にとってほしい行動を明確なCTAとして記載することが重要です。企業サイトの製品情報ページや、ランディングページ、お問い合わせページ、デモページなど、読者への「道しるべ」を具体的に示します。ただし、認知段階の読者には、まず企業や製品について知ってもらうことが重要なので、CTAをしつこく記載しないほうが有益な場合もあります。
6. 理想のページ数を把握しておこう
英文では4~25ページまでが読者が飽きないページ数と言われていますが、イノーバでは8~20ページの範囲におさめることを推奨しています。
購買ステップによって、読者が求める情報量が異なるので注意が必要です。具体的なページ数については次の章で紹介しますが、ページ数が7以下だと、「わざわざ個人情報を入力したのに薄い内容しか書かれていない」と読者の期待値を下回る可能性があります。個人情報入力してもらっているので一定量以上のページ数は必要で、イノーバの実体験としては8ページ以上がボーダーであると考えています。一方、多すぎると読んでもらえないことも多いので、ページ数が多いとしても20ページが限界と考えるのがよいでしょう。
購買ステップ別、ホワイトペーパーの構成ポイントまとめ
Forbes.comとTechTargetが企業のITマネジャーを対象に実施したアンケートによると、ホワイトペーパーをダウンロードする読者の目的は下記の通りです。
- 業界のトレンド情報を知りたい (76%)
- 製品やベンダーの情報を知りたい (69%)
- 製品の比較に使いたい (50%)
- 購入決定のための参考にしたい (42%)
- ベンダー選定のためのリスト作成 (33%)
この結果を見ると、ホワイトペーパーの読者の目的は単一ではなく、複数にわたることが分かります。その目的にあわせて、ホワイトペーパーの内容を意図的に変えることが、次の購買ステップへ進んでもらう成功要因です。
これまでの内容を踏まえ、4つのターゲットを事例に、ホワイトペーパー構成のポイントを以下の図にまとめました。
これは基本的な構成の一例です。
ターゲットのセグメントをより細かくして、特定層の読者によりパーソナライズしたホワイトペーパーを制作してもよいでしょう。例えばイノーバでは、IT業界の方向けに、「IT企業がデジタルマーケティングを推進する10のポイント」といったホワイトペーパーを作成しています。
(弊社ホワイトペーパー『IT企業がデジタルマーケティングを推進する10のポイント』)
ホワイトペーパーの活用方法
ここまでホワイトペーパーの作成のポイントについて解説してきましたが、せっかくリソースを割いて作成したホワイトペーパーをただ自社サイトに掲載しているだけでは少しもったいないです。
より踏み込んだ活用方法として、以下のように他の施策と組み合わせることでその効果が倍増していきます。イノーバでは以下3つの施策を実施しています。
- メルマガ配信
ハウスリスト向けに新作や人気のホワイトペーパーを定期的にメルマガで配信しています。配信数1万件に対し平均のダウンロード数が50件超ほどあり、サービス資料のメルマガは10数件しかダウンロードされないため、比較するとその効果は明白です。
- ブログ記事へのフォーム埋め込み
関連するブログ記事にダウンロード用のフォームを埋め込むのも有効です。LPに遷移させるより、ブログ記事を読んでいるそのページでダウンロードしてもらえる環境を整えたほうが、最終的なダウンロード率があがります。イノーバでは流入の多い記事順に実装をすすめ、今では埋め込みフォーム経由のみで月30~50件の新規リードを獲得できています。
- SNS(Facebook、Twitter)への投稿、広告展開
昨今のBtoBマーケティングにおいてはSNSの運用もより重要視されています。正直イノーバはSNS運用に強みのある会社ではないのですが、実体験の中で最もおすすめしているのがFacebook広告の運用。実績としてCPA3000円~5000円と比較的安価でリード獲得を実現できており、短期に成果もみえるためリード獲得に悩んでいる企業様にはおすすめです。
ホワイトペーパーの参考・活用事例
実際にどのような内容がどのような構成で書かれているか参考にすべく、ホワイトペーパーを上手に活用している企業の事例をご紹介しますので、実際に手に取ってチェックしてみてください。
弊社のホワイトペーパー活用事例
はじめに、弊社のホワイトペーパーの取り組みを事例として紹介させていただきます。コンテンツマーケティングを軸にBtoB企業のマーケティングコンサルティング支援を行う弊社イノーバでは、現在50を超えるホワイトペーパーを公開していて、月平均でCV500件、新規リード100件を獲得しています。
マーケティングの分野は幅広く、読者のマーケティングに関する理解度も人それぞれです。そのため弊社では、顧客の購買行動(カスタマージャーニー)に対応するようにホワイトペーパーを用意することで、購買担当者がスムーズに情報収集・比較検討できるように設計を行っています。
また、お役立ちテンプレートとして、マーケティング担当者の方々が日々の業務で使えるようなワークブックやチェックリストなども用意しています。
作成したホワイトペーパーは、インサイドセールスの電話の切口としてナーチャリングの材料にしたり、メールマガジンでの配信コンテンツとして活用しています。インサイドセールスが顧客の反応をトス上げしてくれるので、それらの声を反映して既存のホワイトペーパーを修正したり、新規に作成したりもしています。また、人気のホワイトペーパーをテーマにウェビナーを開催するなど応用的な活用のしかたも実践しています。
他社様のホワイトペーパー活用事例
ホワイトペーパーを上手に活用している他社様の事例もいくつかご紹介します。
クラウド名刺管理ツールを扱う同社では、サービス資料や活用事例とあわせて、「働き方改革」「デジタルマーケティング」等、サービスとは直接関係のないお役立ち資料という形で多数のホワイトペーパーを掲載しています。サービス資料とホワイトペーパーは何が違うのか、という点で比較がしやすく参考になります。
センサー等の精密機械メーカーとして著名な同社は、複数の事業部・商材を抱えていますが、それに対応する技術資料、カタログをコンスタントに生産しつづけています。キーエンスといえば営業力の強さが有名ですが、製品情報に繋がる形で顧客の課題解決に繋がる技術資料を複数用意することで、検索エンジン経由で圧倒的に高い集客力を実現しています。
インバウンドマーケティングおよびセールスのソフトウェア提供を行う同社のブログでは、各記事に対応するホワイトペーパーが用意されています。オウンドメディア戦略のお手本としたい事例です。
まとめ
以上、ホワイトペーパーの基礎知識から制作のポイント、活用方法まで詳しく解説してきました。ホワイトペーパーは見込み顧客の課題解決に役立つ有益な情報を提供し、リード獲得やナーチャリングに効果的なコンテンツです。購買検討のきっかけづくりや他社との差別化にも一役買います。
弊社イノーバは、自社で100冊以上、クライアントワークで数百冊のホワイトペーパー制作実績があり、その過程で培ったノウハウを余すことなく詰め込んだ記事となっています。BtoBマーケティングにおいてホワイトペーパーは必須のアイテムといっても過言ではありません。自社での制作にお悩みの際は、ぜひイノーバにご相談ください。豊富な制作実績とマーケティングのプロ集団としての知見を活かし、貴社のホワイトペーパー制作をサポートいたします。
ホワイトペーパーの基本的な知識や効果、メリットについてさらに理解を深めたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
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FAQ
Q. ホワイトペーパーとは何ですか?
A. ホワイトペーパーとは、企業が顧客の抱える課題や問題に関する情報やソリューションを提供する資料のことです。商品・サービスの機能や価格を訴求するのではなく、顧客視点で有益な情報を無料で提供し、見込み客のリード情報を獲得することが目的です。
Q. ホワイトペーパーの主な種類は?
A. 主なホワイトペーパーの種類は次の4つです。
- 課題解決方法やノウハウを提供するもの
- 業界のトレンド情報について解説するもの
- 自社の導入事例を紹介するもの
- アンケート調査やレポートを公開するもの
Q. ホワイトペーパーの作成で気をつけるべきポイントは?
A. ホワイトペーパー作成時は、ターゲットの設定、扱うテーマの選定、目標の設定を明確にすることが大切です。また、読者を引き込むタイトルの工夫、図表の活用、適切なページ数設定、行動喚起の明示なども効果的なホワイトペーパー制作のポイントといえます。
Q. ホワイトペーパーの活用方法にはどのようなものがありますか?
A. 作成したホワイトペーパーは、自社サイトでの公開以外にも、メルマガでの配信、ブログ記事へのダウンロードフォーム設置、SNSでの発信・広告等、様々な施策と組み合わせることで、リード獲得の効果を高めることができます。インサイドセールスの営業ツールとしても有効活用できます。
Q. ホワイトペーパー制作・活用で成果を出すコツを教えてください。
A. 成果の出るホワイトペーパーのカギは、ターゲットとなる見込み客のペルソナを適切に設定し、購買ステージに合わせて最適な情報を提供することです。自社の強みを活かした独自の情報・知見を盛り込むことも重要です。定期的に新しい情報を公開し、多チャネルでプロモーションすることで、ホワイトペーパーからのリード獲得を最大化しましょう。