はじめに
近年、オウンドメディアを運用する企業が急増しています。調査によると、8割以上の企業がオウンドメディアに「とても注力している」または「注力している」と回答しています[1]。しかし、その一方で、3割近くのオウンドメディアが「過去に運営していたが現在は運営していない」または「持っているが更新されていない」状態にあるのも事実です[2]。実際、開始から半年以内で65.5%のオウンドメディアが更新を停止しているというデータもあります[2]。
参考
オウンドメディア運用に関する調査2021 | 株式会社宣伝会議
2022年オウンドメディアに関する調査 | 全研本社株式会社
本記事では、オウンドメディア運営で失敗する企業の特徴を15個挙げ、それぞれについて詳しく解説します。また、成功のための8つの戦略についても具体的に説明していきます。オウンドメディアの運用でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
オウンドメディア失敗の15の特徴
1. 目的・ゴールが曖昧
オウンドメディアを始める際、「とりあえずやってみよう」という安易な考えでは失敗のリスクが高まります。アクセス数やシェア数といった表面的なメトリクスを追うのではなく、自社にとってどのような意味や価値があるのかを明確にすることが重要です。オウンドメディアの運営には時間も労力もコストもかかるので、それに見合うだけの明確な目的・ゴールが必要不可欠だといえるでしょう。
2. ターゲットが明確でない
オウンドメディアを立ち上げる際は、誰に向けた情報発信なのかを明確にしておく必要があります。ターゲットが曖昧だと、読者のニーズに合わないコンテンツになったり、逆に対象が広すぎて専門性に欠けるコンテンツになったりするリスクが高まります。ペルソナを具体的に設定し、ターゲットの悩みや関心事を詳しくリサーチしておくことが成功への第一歩といえるでしょう。
3. 自社の強みを活かせていない
オウンドメディアは自社の強みを活かすことで、他社との差別化を図ることができます。しかし、多くの企業が自社の強みを十分に理解・活用できておらず、他社と同じような一般的な内容のコンテンツを発信しているのが現状です。自社にしかない独自の視点やノウハウ、リソースをフルに活用して、ユニークで価値の高いコンテンツを提供することが求められます。
4. 記事の質が低い
オウンドメディアの成否を分けるのは、そのコンテンツの質だといっても過言ではありません。読者を引きつけ、行動を促すためには、情報の正確性や信頼性はもちろん、分かりやすさや読みやすさにも気を配る必要があります。自社の商品・サービスの説明に終始するのではなく、読者にとって役に立つ情報を提供することを心がけましょう。また、画像や動画などを効果的に使うことも重要です。
5. SEO対策が不十分
せっかく良質なコンテンツを作っても、検索エンジンから評価されなければ、読者に届けることができません。オウンドメディアではSEO対策が非常に重要な要素となります。キーワードの選定や見出しの設定、メタタグの最適化など、基本的なSEO対策は必須です。また、外部リンクの獲得やソーシャルメディアでのシェアも、SEOに大きく影響します。
6. 更新頻度が低い、継続しない
オウンドメディアは継続することで効果が出てくるものです。しかし、多くの企業が更新頻度の低さや、途中で更新を停止してしまうことが問題となっています。週に1本以上の記事を更新し、少なくとも半年から1年は継続的に運営していく覚悟が必要です。コンテンツのネタ切れを防ぐためにも、事前にコンテンツカレンダーを作成しておくのがおすすめです。
7. 記事数が少なすぎる
オウンドメディアでは、一定量以上の記事数を確保することが重要です。記事数が少なすぎると、検索エンジンからの評価が低くなったり、読者に十分な情報を提供できなかったりするリスクがあります。最低でも30〜50本程度の記事を用意してからオウンドメディアを立ち上げることをおすすめします。ただし、質を犠牲にして量を追求するのは本末転倒なので注意が必要です。
8. コンテンツの訴求力が弱い
オウンドメディアのコンテンツは、読者の興味を引き、行動を促すだけの訴求力を持っている必要があります。単に情報を羅列するだけでは、読者に響かない可能性が高いです。読者の感情に訴えかけるストーリー性や、説得力のあるデータの使用、具体的な事例の紹介など、コンテンツの訴求力を高める工夫が求められます。
9. 記事に独自の視点がない
オウンドメディアが他社と差別化するためには、記事に独自の視点や切り口が必要不可欠です。他のメディアの受け売りや、誰もが知っている一般的な情報では、読者の興味を引くことができません。自社ならではのオリジナリティを打ち出すことで、他のメディアにはない価値を提供することができます。社内の知見を活用したり、専門家の意見を取り入れたりするのも効果的でしょう。
10. ソーシャルメディアとの連携ができていない
オウンドメディアの記事を拡散するために、ソーシャルメディアとの連携は欠かせません。記事にソーシャルシェアボタンを設置することはもちろん、自社のソーシャルメディアアカウントからも積極的に記事を紹介しましょう。また、SNS広告を活用することで、より多くの読者にリーチすることができます。オウンドメディアとソーシャルメディア、両方の特性をうまく生かすことが重要です。
11. サイトのユーザビリティが悪い
オウンドメディアのサイト自体の使いやすさも、読者の滞在時間や再訪率に大きな影響を与えます。記事の読みやすさはもちろん、サイト内の導線やページ表示速度、モバイルフレンドリーであるかどうかなど、ユーザビリティに関わる要素をチェックしましょう。読者にストレスを感じさせるようなサイトでは、いくら良質な記事があっても、十分な効果を得ることはできません。
12. コンバージョンの導線設計がない
多くの企業がオウンドメディアを集客の手段として活用していますが、肝心のコンバージョンにつなげる導線設計ができていないケースが少なくありません。記事の最後にCTAを設置したり、関連商品へのバナーリンクを貼ったりするなど、読者を次のアクションに誘導する工夫が必要です。オウンドメディアでの集客をビジネスの成果につなげるための戦略的な設計が求められます。
13. 広告頼みで集客できていない
オウンドメディアの集客は、SEOによるオーガニック流入が理想的ですが、記事数が少ない初期の段階では難しいのも事実です。そのため、多くの企業が広告に頼りがちですが、広告だけでは継続的な集客は見込めません。広告とオーガニック、両方のバランスを取りながら、中長期的に安定した集客を実現していくことが重要です。
14. PDCAサイクルを回せていない
オウンドメディア運営では、PDCAサイクルを回して継続的に改善していくことが重要です。アクセス解析の数値を見て、改善点を見つけ、実行に移す。この一連のサイクルを高速で回していくことが、成果につながります。しかし、多くの企業がPDCAを回すことの重要性を理解していなかったり、体制が整っていなかったりするのが現状です。
15. 運営体制が脆弱
オウンドメディアの運営には、様々な役割と専門性が求められます。戦略立案、SEO対策、編集・ライティング、デザイン、コーディング、マーケティング、データ分析など、多岐にわたるスキルが必要とされます。しかし、多くの企業では十分な体制が整っておらず、一人の担当者に全てを任せているケースが少なくありません。外部リソースも活用しながら、強固な運営体制を構築することが求められます。
【コラム】オウンドメディア運用を外注する際の選定ポイント
自社でオウンドメディアを運営するのが難しい場合、外注するという選択肢もあります。しかし、オウンドメディア運用の外注先を選ぶ際は、慎重に検討する必要があるでしょう。
まず、外注先の実績や事例を確認することが重要です。オウンドメディアの運営経験が豊富で、成果を上げている実績があるかどうかを確認しましょう。また、自社と同じ業界や規模の事例があるかどうかも重要なポイントです。
次に、外注先の体制や専門性をチェックします。戦略立案からライティング、SEO対策まで、一貫して対応してくれる体制が整っているかどうかを確認しましょう。また、各分野のスペシャリストが在籍しているかどうかも大切なポイントです。
最後に、コストパフォーマンスを検討します。安かろう悪かろうでは意味がありませんが、かといって高額すぎるのも避けたいところです。複数の会社から見積もりを取り、費用対効果を比較検討することをおすすめします。
ただし、外注ですべてを任せきりにするのは避けましょう。自社の方針や要望をしっかりと伝え、密なコミュニケーションを取ることが重要です。外注先と協力しながら、自社のオウンドメディアを育てていくという姿勢が必要不可欠といえるでしょう。
オウンドメディア成功のための8つの戦略
オウンドメディアを成功に導くための8つの戦略を紹介します。
1. ペルソナを具体的に設定する
オウンドメディアのターゲットとなるペルソナを具体的に設定することが重要です。年齢、性別、職業、趣味、悩みなど、できる限り詳細にペルソナを描きましょう。ペルソナを明確にすることで、ターゲットのニーズに合ったコンテンツを作ることができます。また、ペルソナを社内で共有することで、組織全体でオウンドメディアの方向性を統一することができるでしょう。
2. 自社の強みを棚卸しし、差別化する
オウンドメディアで他社と差別化するためには、自社の強みを明確にする必要があります。自社の商品・サービスの特徴や、ターゲットの悩みを解決するためのノウハウなど、自社ならではの強みを棚卸しましょう。そして、その強みを活かしたオリジナルのコンテンツを発信することで、他のメディアにはない価値を提供することができます。
3. SEOを強く意識したコンテンツ設計
オウンドメディアではSEO対策が非常に重要になります。キーワードの選定は、ターゲットのニーズや自社の強みを踏まえて行いましょう。また、記事の見出しや本文中にキーワードを自然に配置することも大切です。SEOを意識した構成で記事を書くことで、検索エンジンからの評価を高めることができます。
4. 読者目線の有益で品質の高い記事を作成
オウンドメディアで読者に価値を提供するには、有益で品質の高い記事を作成することが重要です。読者目線に立ち、読者が知りたい情報や解決したい悩みに対して、具体的で実践的な情報を提供しましょう。また、信頼性の高いデータや事例を使うことで、説得力のある記事になります。読みやすい文章や視覚的に分かりやすい図表の使用など、読者に読んでもらえる工夫も必要です。
5. 最低週1回のペースで記事を更新
オウンドメディアを成功させるためには、継続的な更新が欠かせません。最低でも週1回のペースで記事を更新することを目標にしましょう。定期的な更新は、検索エンジンからの評価を高めるだけでなく、読者との関係性を構築するためにも重要です。ただし、更新頻度を上げるために質を下げてはいけません。質を維持しつつ、継続的に更新していくことが求められます。
6. SNSを活用した記事拡散
オウンドメディアの記事を多くの人に読んでもらうためには、SNSを活用した拡散が有効です。記事にシェアボタンを設置し、読者がワンクリックでSNSにシェアできるようにしましょう。また、自社のSNSアカウントからも積極的に記事を紹介することが重要です。SNSでの拡散は、SEOにもプラスの影響を与えます。
7. サイト内回遊を促す導線とCTAの設計
オウンドメディアで読者を獲得したら、次は読者を自社の商品・サービスにつなげることが重要です。そのために、サイト内の導線を適切に設計し、効果的なCTAを配置しましょう。関連記事へのリンクや、カテゴリーページへの導線を用意することで、読者のサイト内回遊を促すことができます。また、資料請求やお問い合わせといったCTAを記事内に適切に配置することで、読者を顧客に育てることができるでしょう。
8. PDCAサイクルによる継続的改善
オウンドメディア運営では、PDCAサイクルを回して継続的に改善していくことが重要です。アクセス解析ツールを使って、読者の行動を分析し、改善点を見つけ出しましょう。どの記事が読まれているのか、どこで離脱しているのかなど、データに基づいて仮説を立て、施策を実行します。そして、その結果を検証し、さらなる改善につなげていきます。このPDCAサイクルを高速で回すことが、オウンドメディア成功の鍵といえます。
以上の8つの戦略を実行することで、オウンドメディアを成功に導くことができるでしょう。ただし、これらの戦略を一度に全て実行するのは難しいかもしれません。自社の状況に合わせて、優先順位をつけて取り組んでいくことが重要です。また、専門家のアドバイスを取り入れることも有効でしょう。
まとめ
オウンドメディア運営には、戦略と体制の構築が欠かせません。本記事では、オウンドメディア運営で失敗する企業の特徴を15個挙げ、それぞれについて詳しく解説しました。
目的・ゴールの設定、ターゲットの明確化、自社の強みの活用、高品質なコンテンツ作り、SEO対策、継続的な更新、SNSでの拡散、サイト内導線の設計、PDCAサイクルの実行など、オウンドメディア成功のためのポイントは様々です。
これらのポイントを押さえつつ、トライ&エラーを繰り返しながら、自社ならではのオウンドメディア運営を目指していきましょう。最初はうまくいかないこともあるかもしれませんが、諦めずに継続することが重要です。
当社ではオウンドメディア構築支援の豊富な実績があります。オウンドメディアの立ち上げから記事制作、SEO対策、PDCAサイクルの実行まで、一貫したサポートが可能です。
オウンドメディア運営でお困りのことがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
オウンドメディアの全体像を知りたい方は、こちらをお読みください。
オウンドメディアの失敗・リスクを知りたい方は、こちらをお読みください。
【FAQ】オウンドメディア運営によくある質問
【チェックリスト】オウンドメディア運用改善のためのセルフチェック項目
- KPI・数値目標が適切に設定されている
- ペルソナが具体的で明確である
- 競合との差別化ポイントを押さえている
- ユーザーにとって価値のあるコンテンツを提供している
- 読みやすく、分かりやすい記事を書いている
- キーワード選定とSEO対策ができている
- 週1回以上の更新頻度を維持している
- 最低限の記事数(30本以上)を確保している
- 記事に独自の視点・切り口がある
- SNSでの情報発信を行っている
- サイトの読み込み速度や使い勝手は問題ない
- CTA・コンバージョン導線の設計がされている
- 広告に頼りすぎていない
- 定期的にデータ分析・レポーティングを行っている
- コンテンツ制作・進行管理の体制が整っている
以上の15項目について自社のオウンドメディア運営を振り返り、できていない部分については改善に取り組みましょう。