海外と日本の革新的なコンテンツマーケティング事例10選！BtoB・BtoCそれぞれの差別化ポイントと実践テクニックとは

コンテンツマーケティングとは？成功のカギは「顧客視点」

コンテンツマーケティングの重要性が高まっています。企業からの一方的な宣伝ではなく、顧客に役立つ情報を提供し、信頼を得ることで、ゆくゆくは自社製品の購入につなげる。それがコンテンツマーケティングの本質です。市場規模を見ると、2024年には前年比9.8%増の1360億円に達すると予測されており（※1）、今後さらに加速していくことは間違いありません。

ではコンテンツマーケティングを成功に導くカギは何でしょうか。それは「徹底的な顧客視点」です。ターゲットの課題は何か、どんな情報を求めているのか。顧客のインサイトを深く理解し、そのニーズに応える良質なコンテンツを生み出し続けること。これこそがコンテンツマーケティング成功の秘訣だと言えます。

BtoBコンテンツマーケティングの特徴と押さえるべきポイント

BtoBとBtoCではコンテンツマーケティングの特性が大きく異なります。BtoBの場合、製品やサービスの専門性が高く、顧客の課題解決に直結するような情報が求められます。いわゆるホワイトペーパーやケーススタディ、ハウツーガイドなどがその典型例です。エデュケーション色が強いのもBtoBコンテンツの特徴で、自社の専門知識を惜しみなく提供することで、顧客からの信頼を勝ち取ることが大切です。

また見込み客の育成とリードジェネレーションの観点から、メールマガジンやウェビナーなどの施策と連動させ、効果的なリードナーチャリングの仕組みを構築することも重要になります。

【BtoB編】海外の先進的コンテンツマーケティング事例5選

1. HubSpotのインバウンドマーケティングブログ

マーケティングオートメーションツールの雄、HubSpot。中でも同社のブログコンテンツは圧巻の出来栄えで、SEOやソーシャルメディア、コンテンツ制作のノウハウなど、マーケター必読の情報が満載です。徹底的な顧客視点で、見込み客の悩みに寄り添う姿勢が随所に感じられる秀作揃いです。

2. Salesforceのカスタマーサクセスストーリー

CRM業界のリーディングカンパニー、Salesforce。同社はウェブサイト上に「Customer Success」と銘打ったコンテンツハブを設け、ユーザー企業へのインタビュー記事を多数掲載しています。導入効果や活用のコツが赤裸々に語られるこれらの記事は、実際の顧客の生の声を伝える説得力抜群のコンテンツです。

3. Deloitteのグローバル経営レポート

言わずと知れたコンサルティング最大手のDeloitte。同社が発行するレポートの質の高さは定評があります。中でも「Global Powers of Luxury Goods」は、世界のラグジュアリーブランドの業績分析を行った注目の一冊。オリジナルの調査データに基づく鋭い考察は、まさに同社の専門性の高さを示す好事例と言えるでしょう。

4. Freeshipのeコマース物流ブログ

アメリカの配送代行サービス、Freeship。同社は「Ecommerce Shipping Blog」という物流に特化したブログメディアを運営しています。配送コストの削減方法からリターン品の取り扱いまで、eコマース企業が抱える物流の悩みを幅広くカバーしています。顧客の課題解決に直結する実践的な情報を発信し続けている点が光ります。

5. Slackのリモートワークガイド

ビジネスチャットツールの代名詞ともいえるSlack。2020年のパンデミックを機に、同社は在宅勤務に関する様々なコンテンツを公開しました。中でも「The Ultimate Guide to Remote Work」と題したガイドブックは、リモートワークを推進する企業必携の一冊です。Slack自身の経験に基づく知見の数々は、説得力に富んでいます。

BtoCコンテンツマーケティングで顧客の心を掴む秘訣

一方、BtoCはどうでしょうか。消費財やサービスを訴求する際には、エンタメ性の高いコンテンツが効果的だと言われています。情緒に訴えかけ、ワクワクや高揚感を提供することで、ブランドへの好感度を高める狙いがあります。またストーリー性を重視し、共感を呼び起こすような内容にすることも大切です。SNS上での口コミ拡散を狙ったキャンペーン施策なども、BtoCコンテンツマーケティングならではの特徴と言えるでしょう。

【BtoC編】思わずシェアしたくなる！海外コンテンツマーケティングの秀逸事例5選

1. Appleのショートフィルム「The Surprise」

言わずと知れたApple。同社がホリデーシーズンに公開したショートフィルム「The Surprise」は、家族の絆を描いた感動作です。iPadを使って祖父母との思い出を動画に収めるストーリーに、思わず涙してしまいます。Appleならではのクリエイティビティと情緒的な訴求で、ブランド価値を高めた好事例です。

2. Nikeのアスリートドキュメンタリーシリーズ

スポーツブランドの雄、Nike。同社が公式YouTubeチャンネルで展開する「NikeDocumentary」シリーズは、トップアスリートの知られざる素顔に迫るドキュメンタリーです。栄光の裏にある努力と挫折。その真摯な姿を通じて、Nikeが提唱する「Just Do It」の精神性を見事に表現しています。

3. Airbnbの「Online Experiences」

民泊サービスで知られるAirbnb。パンデミックによって打撃を受けた同社でしたが、オンライン版の「体験」プログラム「Online Experiences」で巻き返しを図りました。ヨガ教室やライブコンサートなど、バラエティ豊かなラインナップで旅行気分を味わえます。ブランドの世界観を体験型コンテンツとして昇華させた新機軸として注目されています。

4. Uberの「ありがとうドライバーキャンペーン」

ライドシェアサービスの世界最大手、Uber。新型コロナ禍で活躍したドライバーの労をねぎらう「Thank You Drivers」キャンペーンを展開しました。ドライバーたちの奮闘ぶりを感謝のメッセージとともに伝える動画シリーズが話題となりました。ブランドを支えるドライバーの真摯な姿を通じて、Uberのサービス価値を再定義する良質なブランデッドコンテンツです。

5. プロクター・アンド・ギャンブルの「Like a Girl」

世界最大の日用品メーカー、P&G。同社の「Like a Girl」キャンペーンは、女性差別的な言葉の意味を問い直す衝撃のムービーです。「女の子のように」を蔑称とする偏見を見事に覆し、女性のエンパワーメントを訴えかけます。社会的メッセージ性の高さで注目を集め、1億回以上の再生を記録。P&Gの企業イメージを大きく押し上げた話題作です。

日本企業がグローバル市場でコンテンツマーケティングを成功させるヒント

日本企業がグローバル市場でコンテンツマーケティングを展開する際は、各国の文化や価値観への理解が欠かせません。言葉の壁を越えて伝わる、普遍的な訴求力を備えたコンテンツ作りが重要になります。また海外の優れた事例から学びつつ、自社の強みを生かす工夫も必要でしょう。現地のクリエイターやインフルエンサーとコラボするのも一案です。グローバルで通用する、ブランドならではのストーリー性を追求することが成功の鍵を握ります。

さいごに

コンテンツマーケティングはマラソンです。一朝一夕で結果は出ません。顧客視点を貫き、価値あるコンテンツを地道に発信し続けること。それが成功へとつながる道のりだと信じています。本記事が、コンテンツマーケティングの取り組みを加速させる一助となれば幸いです。