デジタル化が進み、多様化するタッチポイント。しかし「タッチポイントには何があるのか」そして「どのようにタッチポイントを導き出せばよいのか」迷う場面も多いでしょう。またタッチポイントを導き出す作業は、カスタマージャーニーマップの作成が欠かせないため、その知識も必要です。
ここではBtoBで役立つタッチポイントとカスタマージャーニーマップについて、役割や事例とともに解説します。
カスタマージャーニーマップとは?
カスタマージャーニーマップとは、カスタマージャーニーを図解化して、「見える化」したもの。カスタマージャーニーとは、「認知・興味関心・比較・検討・購買・アフターフォロー」といった、ユーザーがひとつのブランドを体験する過程を「旅」にたとえた言葉です。
カスタマージャーニーマップを作ると、ユーザー一人ひとりが今「認知・興味関心・比較・検討・購買・アフターフォロー」どの段階にあるのか、そしてどのようなマーケティング施策を取ればよいのかが、わかります。
また同時に、「マーケティング施策が有効になっているかどうか」もわかるのです。それにより、マーケティング施策の改善も進めていけるでしょう。
カスタマージャーニーマップに欠かせない「ペルソナ」
カスタマージャーニーマップ作成には、「商品やサービスを利用する対象として定められた仮想人格」であるペルソナが欠かせません。ペルソナは実際にある定量や定性データをもとに、決められていきます。
タッチポイントとは?
タッチポイントとは、ユーザーが商品・サービスと接触する地点のこと。タッチポイントは無数にあり、またユーザーの属性やタイプによっても変わるもの。よって「どのようなタッチポイントを用意すればよいか」について、予算や人手といったリソースからも考えなくてはなりません。
タッチポイントは前述したペルソナをもとにカスタマージャーニーマップを作成し、ユーザーの感情・行動パターンを考えていけば導き出せます。タッチポイントの例として挙げられるのは下記のようなものです(詳細は後述)。
- Webメディア
- ECサイト
- SNS
またタッチポイントは、UX(ユーザエクスペリエンス:ユーザーがブランドを利用するうえで得る体験のこと)にも影響します。さきほどあげた「Webメディア・ECサイト・SNS」3つのタッチポイントとUXの例を見てみましょう。
- Webメディア:「アイテムの使い方や役立てる方法が詳しく掲載されている」
- ECサイト:「どこにどのようなアイテムがあるのか、わかりやすい」
- SNS:「どのような考えを持ってアイテムを作っているのか、がわかった」
このようにタッチポイントの種類やその出来によって、UXが良くも悪くも変わるのです。
タッチポイントが持つ役割3つ
タッチポイントには3つの役割があります。それぞれどのような役割となっているのか、見ていきましょう。
- 認知
ユーザーにブランドを知ってもらうこと。知ってもらうといっても、その内容は多岐にわたります。たとえば下記のようなものです。
- ブランドの存在を知ってもらう
- ブランドの思いに共感してもらう
- ブランドが何を目指しているのか、を知ってもらう
ユーザーにブランドへ高いイメージを持ってもらうため、取り組みを進めること。ユーザーにさまざまな体験を通じて、「このブランドのイメージは良い」といった、ポジティブなイメージを構築してもらうのです。方法として、下記のようなものが挙げられます。
- タッチポイントの構築
- タッチポイントへの誘導(たとえばメルマガで「WebサイトやSNSもあると知らせる」)
- タッチポイント内部の改善(使いやすさや見やすさ)
自社のブランドイメージが高まれば、新規ユーザーの獲得や既存ユーザーのリピートも見込めます。
- 継続
ユーザーに自社商品・サービスの利用を続けてもらうために行う取り組みのこと。ここでタッチポイントに重要なのは、下記の2点です。
- ユーザーと直接つながるタッチポイントである
- ユーザーの心に寄り添う
CMはユーザーにブランドを知ってもらううえで、重要です。しかし直接ユーザーとつながりを持つものではないため、ユーザーに愛着を持ってもらうとなると、難しい点があります。
よって自社とユーザーが直接つながるタッチポイントで、ユーザーの心に寄り添う対応をする必要があるのです。たとえば下記のようなものが挙げられます。
- 実店舗での接客対応
- カスタマーサービスによる問い合わせやフォロー
またこれらの場面では、ユーザーと直接つながるため、「ユーザーがどのように思っているのか」を知っていけます。それを活用すれば、商品・サービスの改善や開発に役立つヒントも得られるでしょう。
【オンライン】主なタッチポイント
タッチポイントには何があるのでしょう。まずオンラインにおけるタッチポイントの種類を見ていきます。
- Webサイト
たとえばコーポレートサイト(自社についての情報が掲載されたサイト)といったものです。
- Webメディア
自社が持つメディアです。ブログタイプ(自社での取り組みやイベントを社員が持ち回りで書くといったもの)やコラムタイプ(役立つ記事をメインにしたもの)などさまざまあります。
- ECサイト
商品やサービスを販売するサイト。「独自のポイント制を導入して、継続してもらいやすくする」「メルマガを発行する」といった取り組みとも併用できます。
- SNS
TwitterやInstagramなど。媒体によって「文字メイン」「動画メイン」など特徴がわかれるので、それに合わせた施策を取るとよいでしょう。
- アプリケーション
基本、ブラウザ上で利用するECサイトやWebメディアを、アプリケーション上で利用できるようにしたもの。情報やクーポンの発信も可能です。ただしユーザーにとっては「ダウンロードが面倒」というハードルがあります。
- LINE
公式LINEを開設して、情報やクーポンを発信するもの。ただし後述するメールも似た方法です。よって「LINEだけのクーポン」といった「LINEでしかできないこと・LINEだからこそできること」といった独自性についても、考える必要があります。
- メール
メールマガジンでユーザーに情報やクーポンを発信するもの。内容だけでなくタイトルも工夫すると、より「開封」してもらいやすくなります。読まれるタイトルの例を参考に、改善していくのもよいでしょう。
- オンラインコミュニティ
オンライン上にユーザー同士がつながっていけるコミュニティを作るもの。自社側からも発信できるため、相互のやり取りが可能です。ユーザーの声を知るよい機会にもなるでしょう。
- LP(ランディングページ)
ユーザーに商品やサービスを紹介しながら購入を促すページのこと。ユーザーの心に寄り添い、かつ「ユーザーがその商品・サービスを欲しくなる」ような文章の作成が求められます。
- ウェビナー
オンライン上で実施するセミナーのこと。ユーザーや主催者、セミナーに使う機器などが入るだけの場所を確保する必要もないため、比較的手軽に開催できます。
- 動画コンテンツ
動画で商品やサービスを紹介するコンテンツのこと。配信媒体や届けたいユーザーに合わせ、動画を作成する必要があります。
- ダウンロード型コンテンツ
あらかじめ作っておいたコンテンツを、ダウンロードできるようにした仕組みのこと。コンテンツには「ホワイトペーパー(役立つ情報が書かれたもの)」や「テンプレート」などがあります。
【オフライン】主なタッチポイント
続いてオフラインにおけるタッチポイントの種類を見ていきます。
- ストア(実店舗)
実店舗にて、店員が接客対応するものです。
- CM
テレビや新聞、雑誌やラジオで流れるCMです。多くの人の目にとまりやすい半面、コストもかかります。
- パンフレットやチラシ(紙媒体)
紙に印刷した広告です。商品・サービスだけでなく、セールやクーポンが掲載されている場合も多いです。
- 広告
駅前や街頭、タクシーに貼られた広告です。移動中の人の目に止まります。
- セミナー
自社が得意とする内容を教える場です。確保した場所へユーザーに足を運んでもらって、セミナーを実施します。ユーザーや主催、そしてセミナーに使う機器が十分に入るだけのスペースが必要です。また確保のために場所を予約したり教材や台本を準備したりと、手間もかかります。
- 展示会
大きな場所で複数の企業が集まり、テーマに沿った商品・サービスを発表するものです。ユーザーの目に止まるだけでなく、提携できそうな企業を見つけるのも可能でしょう。新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
- フリーペーパー
街中で配るフリーペーパーを作成、もしくはすでにあるフリーペーパーに広告やセール情報を掲載してもらうもの。「フリー」ゆえ、さまざまな人の目に止まる可能性も高いです。しかしフリーペーパーを配っている場所近辺のユーザーにしか届かない、というデメリットもあります。
タッチポイントそれぞれで一貫したメッセージを発信しよう!
タッチポイントは多種多様あります。そこで重要なのは「一貫したメッセージになっているか」です。一貫したメッセージであれば、ユーザーの心もつかめるでしょう。
しかしタッチポイントをメンテナンスするうちに、メッセージがそれぞれで異なってしまう可能性も高いです。定期的に「一貫した内容になっているか」、メッセージを確認するとよいでしょう。もしメッセージを変える際は、漏れがないよう一斉にタッチポイントのメンテナンスを行うとよいかもしれません。