営業組織の売上を拡大していくためには、新規開拓でどれだけ多くの案件を受注できるかが重要になってきます。しかし近年では、さまざまな理由で新規開拓営業による案件受注が難しくなっており、思うような成果をあげられないと悩む営業部門の管理者やメンバーもいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に、従来からある新規開拓営業のやり方ではうまくいかないケースが多いようです。そこで本記事では、新規開拓営業の難易度が上がっている理由を4つ解説するとともに、いま新たに取り入れたい新規開拓営業の効果的な方法3つをご紹介します。
新規開拓営業が難しい4つの理由
新規開拓営業の難易度が上がっている主な理由を4つ紹介します。
理由1:見込み客はそもそも、自社のことをあまりよく知らない
新規開拓営業では、基本的に自社のことをあまりよく知らない見込み客に向けてアプローチします。1件の新規案件を受注するには、見込み客の開拓から始まり、アポ取りや訪問、提案に向けた情報収集、提案、提案フォローといったプロセスを経なければなりません。
とりわけBtoBビジネスにおける新規開拓営業では、提案に向けた情報収集フェーズのなかで見込み客の担当者や決裁者など案件関係者と良好なリレーションシップを構築することも重要です。なぜなら、自社のことを知らない見込み客から自社が選ばれるためには、まずはフロントに立つ営業担当者自身を相手から信頼してもらうことが近道になるからです。しかし実際は、信頼関係を築くまでに一定の期間を要するので、思うように新規開拓に力を注げないケースが多いようです。
理由2:初回訪問のアポ取りが難しい
新規開拓営業で初回訪問のアポを獲得するための代表的な手法が「テレアポ」です。テレアポの場合、そもそも「どの企業にテレアポをすれば受注に結びつきやすいか」をある程度判別したうえで着手する必要があります。そうでない場合はリストの順番通りに架電するだけになるので、明らかに非効率的です。
テレアポ先の企業を決めたら、次は「どのように話題を持ちかければ興味を示してもらえるか」を策定します。それからようやく、テレアポを実施できます。
ただし、テレアポ実施の場面になっても、まだまだクリアすべき課題が残っています。具体的には「受付担当者が担当者に繋いでくれるか」「担当者が自社(または自社の商品やサービス)に興味を示してくれるか」「担当者が訪問日程を調整してくれるか」などがあげられます。
テレアポに対応する相手先も、多忙な業務の合間に電話対応をしているはずです。彼らは日々忙しい中、あまりよく知らない企業からのテレアポを簡単には承諾しないでしょう。テレアポを通して見込み客から承諾していただけるか否かは、「自分たちに価値ある製品やサービス、情報を持っていそう」など何かしらのメリットを感じてもらえるかどうかにかかっています。このハードルをクリアして初回訪問のアポを獲得することもまた、新規開拓営業を難しくさせる理由となっています。
理由3:見込み客とのリレーションシップ維持が難しい
テレアポに成功して担当者の所属や連絡先などの情報を獲得できたとしても、次は「いかにして見込み客と良好なリレーションシップを築けるか」が課題になってきます。
最初は興味本位で話を聞いてみた担当者が、その後もずっと自社に興味を持ち続けてくれるとは限りません。時間が経過すれば会ったことすら忘れてしまっている可能性もあります。
本来であれば営業担当者が見込み客へ計画的にフォローを入れられると良いのですが、日々の多忙な業務の中で成果をあげるために、つい受注確度が高かったり受注金額が高かったりする案件の決定に力を注ぎがちになります。日頃から見込み客へのフォローを入れられれば案件化までのリードタイムが短く済むところを、フォロー期間が空いてしまったばかりに、事実上ほぼ新規開拓と変わらない時間と労力をかけなければ案件化が難しい状況に変わってしまうかもしれません。
また、フォローをしていない間に担当者が異動や退職してしまい、改めて新規開拓営業に臨まなければならなくなる可能性もあります。こうした事態を回避し、常に見込み客の最新情報を把握して的確なタイミングで適切な提案ができるようにするには、一度築いたリレーションシップの維持が極めて重要な課題となります。
しかし営業の現場では売上達成を求められるために、確実に受注できる既存顧客からの案件や大規模な案件の獲得に注力しやすい傾向にあります。こうした中では、新規開拓営業によって発掘した見込み客にかける力は相対的に少なくなってしまいます。結果として、新規開拓による案件受注が難しくなってしまうのです。
理由4:意思決定者(決裁者)にたどり着くのに時間がかかる
担当者と良好なリレーションシップを築けたとしても、必ずしも案件を受注できるとは限りません。特にBtoBビジネスの場合、最初に対応した担当者が意思決定や決裁の権限まで持っているケースは極めて稀です。
案件を受注するには、担当者と良好なリレーションシップを構築・維持しながら、徐々に意思決定者(決裁者)や影響力の大きい立場の方を紹介していただけるよう働きかけることが重要なポイントとなります。ただ実際は、日頃多忙な意思決定者の方にわざわざ提案の時間を割いていただくこと自体が、新規開拓営業にとって困難なことでもあります。
意思決定者(決裁者)を紹介していただき、彼らに提案する機会を獲得するための一案として、担当者から案件化に必要な情報(悩みや課題、導入予定時期、予算など)をヒアリングし、意思決定者(決裁者)に対して具体的な提案ができる状態にまで準備しておくことも挙げられます。ただしこの方法でも一定の期間を要するために、結局のところ意思決定者(決裁者)にたどり着けないままで終わってしまうケースも多いようです。
新規開拓営業の成果を高める3つの方法
このように、新規開拓営業で案件を受注するまでのプロセスには、さまざまな困難が伴います。見込み客のリストアップに始まり、初回訪問のアポ獲得、担当者とのリレーションシップ構築と維持、具体的な案件の発掘、提案、そして受注…と、ざっとプロセスを列挙しただけでも、思わず「きつい」と感じる方が大半なのではないでしょうか。
図1:一般的な営業プロセスと新規開拓営業を難しくさせる要因の関連
実際のところ、テレアポや飛び込み営業といった従来型の「足で稼ぐ」営業スタイルは、現在においてもはや通用しなくなっています。テレアポによる受注獲得の難しさは、上述の「理由2」で述べた通りです。また「飛び込み営業」は、ビルのセキュリティ強化や受付システムの導入などの影響も受けて、今となっては極めて成功率の低い営業手法となっています。
だからといって、「今の時代、新規開拓営業ではうまくいかない」というわけではありません。近年では、新規開拓営業の成果を高めるために、オンラインを効果的に活用した方法を導入している企業や組織が増えてきています。
具体的な方法として、次の3つを紹介します。
方法1:コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、価値あるコンテンツの制作・発信を通して、潜在顧客に自社を見つけてもらって商品やサービスを認知してもらうとともに、見込み客の興味関心を高めて具体的なニーズを引き出すことを目指す一連のマーケティング手法です。
コンテンツマーケティングを取り入れると、マーケティング部門とセールス部門が連携した効果的な商談獲得フローを組み立てられるようになります。従来型の新規開拓では個々の営業担当者が実施していた見込み客獲得や彼らとの定期接触などといった提案前フェーズのプロセスは、マーケティング部門にてコンテンツマーケティングを活用した各種施策として遂行できる体制をつくれるとよいでしょう。営業担当者にかかる新規開拓の負荷が軽減され、より効率のよい営業活動を展開できることが期待できます。
方法2:自社サイトへの流入をブーストさせるためのコンテンツ制作
顧客や見込み客は、自分が欲しいと思う商品やサービスに関する情報を自らインターネットで検索する時代になっています。従来であれば営業担当者が教えていたような情報を、顧客や見込み客は既に入手しているのです。さらに、検索結果は「自分が目的を持って探し出した」情報なので、無意識に目にする広告などの媒体以上に信頼できる情報と位置付けられやすくなっています。
こうした背景を考えると、自社Webサイトやオウンドメディアで見込み顧客が興味を持ちそうなコンテンツを継続的に発信していく施策は、新規開拓するうえで大きな手助けとなるでしょう。見込み客のほうから自社の商品やサービスに興味をもってもらうように導線設計したうえで導入すると、さらに有効な施策となります。
方法3:オンライン商談
前述の「コンテンツマーケティング」や「SEOコンテンツ制作」といったオンラインによる見込み客獲得に加えて、オンラインによる商談で営業活動を効率化する方法もあります。
一般的な対面による商談とオンライン商談を比較すると、オンライン商談には次のようなメリットがあります。
移動時間削減により、より生産的な営業活動に時間を充てられる
1日あたりに実施できる商談の数が増える
移動時間や移動距離を考慮せず、案件受注から逆算して計画的に見込み客へのアプローチができるようになる
出張をしなくても商談が可能になるので、小規模で拠点数が少ない企業でも全国の見込み客と容易につながりやすい
新入社員や異業種から転職した中途採用者に対して、オンライン会議出席によるOJT育成ができるようになる
見込み客もまた、オンライン商談の実施によって次のようなメリットを享受できます。
参加者数や他の予定等を考慮して会議室予約をする必要がなくなる(内容によってはオフィスの一角でも商談が可能になる)
簡易な用件であればオンライン会議でも十分対応できるようになるので、スケジューリングしやすい
オンライン会議ツール「bellFace(ベルフェイス)」は、オンライン商談に最適なツールの一つです。BellFaceは5秒で接続開始できるという業界トップの速度をはじめ、営業に特化したさまざまな機能や仕様が評判となり、既におよそ900社で導入されています。
今の時代にあった方法を導入すれば、新規開拓営業はうまくいく!
営業組織として新規開拓にによる売上拡大を目指すなら、もはや従来型の新規開拓営業のやり方は通用しません。今の時代にあわせて、新規開拓の方法をアップデートすることが必要です。本記事では、そのだ表的な方法として3つ紹介しました。自社の新規開拓営業の力をさらに高めて成果を出すために、これらの方法を導入・活用してみてはいかがでしょうか。