企業において「マーケティング戦略」をした上でビジネスを展開をすることは一般的です。本記事ではマーケティング戦略の概要、役に立つフレームワークを解説し、マーケティング戦略を構築した事例をご紹介します。
マーケティング戦略の概要と重要性
企業において、マーケティング戦略は不可欠なものです。まずはマーケティング戦略の概要と経営戦略との相違点、またマーケティング戦略の重要性を説明します。
マーケティング戦略とは
マーケティング戦略とは、市場や顧客を分析し、自社製品やサービスを効果的にアプローチするための戦略です。言い換えると、自社商品の「どの価値」を「誰」に「どのように」提供するかを定めることです。
- 価値
提供する商品が、顧客にどのような価値を与えるかを定めます。 - 誰(セグメンテーション・ターゲティング)
市場ニーズや価値観を、グループに分け細分化する「セグメンテーション」と、セグメント化された市場において、商品の強みを活かせターゲットを選ぶ「ターゲティング」で誰に自社製品やサービスを提供するか定めます。 - どのように
ターゲット顧客が商品を手にしやすい、最適な手段を選定します。また、ターゲット顧客にメッセージをわかりやすく伝え、良い関係性を築く方法を定めます。
マーケティング戦略と経営戦略の違いは?
マーケティング戦略は、調査や分析をもとに、自社商品の顧客や市場を創出し、アプローチすることで会社の成長を担います。一方、経営戦略は企業が安定して成長を続けるために、会社が保有する資源である「ヒト」「モノ」「カネ」を最適に社内に分配するための戦略です。しばしば同一視されますが、このような違いがあり、どちらも企業の継続的な成長には不可欠です。
マーケティング戦略が重要な理由は?
インターネットやSNSの普及と、スマートフォンなどのデバイスを持つ人の増加により、企業と顧客の接点が増えました。このような背景から、市場の細分化が進み、顧客の価値観が変化しました。つまり、高い精度でマーケティング戦略を立てることで、顧客に最適なアプローチをすることができるようになります。このことは企業の成長に大きな影響を与えるため、マーケティング戦略の重要性は今後も高まっていくと考えられます。
押さえておきたい!マーケティング戦略構築に使えるフレームワーク5選
マーケティング戦略の策定には、フレームワークに沿って論理的に分析することが重要です。ここでは、マーケティング戦略を策定するために、押さえておきたいポイントとなるフレームワークを5つ紹介します。
SWOT分析
SWOT分析は、自社の市場における競争優位性や、リスクを分析する手法です。社内の「内部環境」の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」と「外部環境」の「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」という4つのカテゴリーからなります。マーケティング戦略の立案をする時に、自社商品を提供する環境にあてはめて分析し、ブレインストーミングの材料や、仮説の検証に活用します。
3C分析
3C分析は、「市場・顧客」「競合」「自社」を分析する手法です。最初のCである「市場・顧客(Customer)」では、市場規模や成長性、顧客ニーズなど顧客の購買意欲を調査、分析します。また「競合(Competitor)」の売り上げや、社員数、市場シェアや商品の強みや弱みの分析だけではなく、競合の仕組み全体をできる限り分析します。最後の「自社(Company)」では、市場や顧客の変化を含めて成功要因を発見しましょう。
PEST分析
上記のミクロ視点での環境分析に対して、PEST分析は、マクロの視点で環境を分析する手法です。「政治(Politics)」「技術」「社会」「経済」を4つのカテゴリーに分け、それぞれの関連性を考えることで、自社商品の置かれた状況や影響を分析します。
新しい市場の創出や、ターゲット市場への新規参入のマーケティング戦略において重要なフレームワークです。
5Force分析
5Force分析は、競争要因を分析し、市場の収益性や魅力度を分析する手法です。5つの競争要因は以下です。
- 新規参入の脅威
- 売り手の競争力
- 買い手の交渉力
- 代替品の脅威
- 既存企業同士の競争
自社商品の市場において、競争優位性を分析をするために有用なフレームワークです。
4P分析
4P分析は上記の環境分析を実施した上で、より具体的にどの製品を、どのくらいの価格で、どの販路で市場に送り出すのか。また、どのようにターゲット層に情報を届けるのかという「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」4点を分析するフレームワークです。
マーケティング戦略成功事例
では、フレームワークを活用し、精度の高いマーケティング戦略を策定し、成功をした資生堂のボディケア製品「シーブリーズ」事例をご紹介します。
当時の状況
シーブリーズは、「海でマリンスポーツの後に汗を拭く20~30代の男性」をターゲットにしたデオドランドでした。しかし、海に行く人が減少したことと、ブランドが高齢化したことにより売り上げが低迷していました。
SWOT分析、3C分析など環境分析によるポジショニングの変更
環境分析により、ネームやロゴ、ブランド資産は残っていることを強みと捉え、トレンドのライフスタイルが変わり、海に行かない人が増えた外部環境の脅威としました。一方で、データリサーチにより「高校生は制汗剤を必要としている」という機会を発見しました。
そのためセグメンテーションとターゲット顧客の変更に乗り出し、ポジショニングを「部活後に好きな人に会うために汗をふく、街にいるティーンエイジャー」にしぼりました。
4P分析による訴求ポイントの変更
また、4P分析を組み立て直し、「海」や「夏」のイメージを日常シーンの使用に訴求ポイントに変えました。シーブリーズの意味の「海風」は、部活後の爽やかさと親和性が高かったことから、パッケージやブランドイメージのカラーを女子高生が好むカラーバリエーションを増やしました。
結果として売り上げが低迷時の8倍になりました。
まとめ
自社商品を販売するために、マーケティング戦略は不可欠です。フレームワークを正しく理解して、マーケティング戦略を策定し、最適な方法で最適なターゲットに商品のアプローチをし、成功するマーケティングを行いましょう。