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コンテンツマーケティングとは?
潜在顧客に「見つけてもらう」仕組みをつくる
コンテンツマーケティングとは、読者にとって価値あるコンテンツの制作・発信をとおして見込み顧客のニーズを育成、購買を経て、最終的にはファンとして定着させることをめざす一連のマーケティング手法です。
このページでは、コンテンツマーケティングを理解し実践するために必要な知識や考え方を解説しています。ここで解説している内容を理解し、実践して頂けば、ホームページへの問合せを増やしたり、メールマーケティングを活用して商談を生み出したりすることができるようになります。(顧客育成を上手に行う会社は、商談開拓のコストが33%削減でき、営業のアポイントが1.5倍に増えるという統計データがあります)※米フォレスター調べ
1-1 コンテンツマーケティングとは何かを理解しよう
コンテンツマーケティングとは、読者にとって価値あるコンテンツの制作・発信をとおして見込み顧客のニーズを育成、購買を経て、最終的にはファンとして定着させることをめざす一連のマーケティング手法です。ポイントは「価値あるコンテンツを作る」こと、「顧客を育てる」こと、そして「ファン化する」の3つです。
商品に対するニーズが顕在化した「今すぐ客」をターゲットとする従来手法とは異なり、まだニーズが顕在化していない「潜在層」に対し、コンテンツをとおして自社の存在を認知してもらい、段階的に購買へとあと押ししていくことに重きを置くのが特徴です。コンテンツマーケティングとは単一のツールや手法を指し示す言葉ではなく、下の図のような段階的なマーケティングプロセスを構築するための「概念」であり「考え方」と理解するといいでしょう。
1-2 コンテンツマーケティングの成功事例を研究しよう
コンテンツマーケティングを理解するためには、自社と同じ業界、近い業界の事例を勉強するのが近道です。また、事例を勉強することで、どのようなコンテンツを出していけばいいのか?どのように顧客のニーズを育てていくのか?自社には向いているのか、向いていないのか?などの多くの気付きを得ることができます。
1-3 情報化によって訪れた 「売り込み型」マーケティングの限界
企業があたりまえに行っていた、テレビCMのようなマス広告、バナーなどのネッ ト広告、テレアポ型のセールスなど、「売り込み型」の宣伝手法が通用しなくなってきています。近年のネットの普及で、消費者は、知りたいコトや欲しいモノに関する情報 を「自分から積極的に探す」ことがあたりまえ になりました。「新商品情報の入手経路」はテレビ広告や店頭よりもネット検索が多いと発表されています。
いわゆるBtoBではこれまで「できるだけ多く顧客に会う」ことが大事とされていました。しかし今や、「忙しいから」と断られたり、逆に「なぜ用事もないの来るのか?」と心証を悪くされるようになりました。かつてはこうではありませんでした。買い手企業は営業マンと会うことで情報を収集していた からです。ところが、今や多くのことはネットで調べれば事足りてしまいます。ご機嫌うかがいや、御用聞き営業の時代は終わったのです。
CMがスキップされ、バナー広告がクリックされず、メールマガジンも読まずにゴミ箱行き。広告だと思うと無視する習慣ができてきています。ここで、米国でのコンテンツマーケティングの権威であるジョー・ピュリッジ氏の言葉を紹介しましょう。皆さんが考えるべきは「顧客は何に関心をもっているのか?」です。
1-4 これからのマーケティングに欠かせない 「ZMOT」を理解しよう
最近登場してきた消費者の購買モデルがあります。ZMOT(ジーモッ ト、Zero Moment of Truth の略)で、「ゼロ個めの真実の瞬間」という意味で す。この ZMOTの考え方によると、消費者の購買モデルは、刺激、「情報収集」、棚、体験という4ステップの行動になり ます。この情報収集の段階で、買い手は非常に多くの情報を集め、自らの意思で、自分の集めた情報に基づき意思決定を行っていることが明 らかになったのです。
1-5 コンテンツマーケティングのメリットとは?
1. コンテンツの資産効果で広告宣伝費を抑えることができる
コンテンツマーケティングには従来型の広告にはない「蓄積効果」があり、一度発信したあとはそのコンテンツ自体の情報価値が失われないかぎり機能しつづけます。コ ンテンツを増やせば増やすほど顧客との接点が増え、費用対効果が改善していくのです。成果が出る時期やコスト削減率は業種や商材で異なりますが、取り組みを重ねるほどコスト効率が改善していくことは大きなメリットです。
2. 専門家として信頼される
2つめの重要なポイントは、コンテンツマーケティングを通じて、皆さんの会社が「専門家」として認識され、信用されるようになることです。顧客が興味を抱く情報を継続的に提供しつづけることで、「まじめな会社」「専門性のある会社」として認識されるのです。特に、ブランド力が弱い、認知度が低いなどの課題がある場合に、このメリットは重要になるはずです。
3. 顧客のロイヤルティを高められる
3つめのポイントは、顧客ロイヤルティ(忠誠心や愛着)を高められることです。顧客に役に立つ情報を出しつづけると、「こんなに役立つ情報を惜しげもなく提供してくれるなんて、いい会社に違いない」という印象を与え、顧客のロイヤルティが高まっていくのです。ロイヤルティはビジネスにさまざまなメリットをもたらします。たとえば、他社との比較検討がされにくい、価格競争に巻き込まれにくい、継続発注をもらいやすいなどです。
4. 情報を自然な形で拡散できる
4つめは、情報を自然な形で拡散できることです。検索エンジンやソーシャルメディアを通じて、コンテンツを探している人が自然に皆さんの情報を見つけ出してくれるようになります。さらにコンテンツを読んでおもしろいと思った人は、メールやTwitter、Facebookなどで知人や友人に紹介してくれるので、口コミも働くようになります。広告に頼らなくても、自然と情報を拡散していけるのは、コンテンツマーケティングの大きなメリットです。
5. 幅広い地域を対象にできる
5つ目は、幅広い地域をターゲットにビジネスを展開できることです。コンテンツマーケティングで、宮崎の企業が東京の一流企業と取引をしたり、東京の会社が地方のメーカーと取引をする例が出ています。また、これまで海外進出は非常にハードルの高いものでしたが、コンテンツマーケティングを多言語で展開することでグローバルをターゲットにでき、安価なテストマーケティングも可能になります。
2. さまざまなコンテンツの手法を理解しよう
コンテンツマーケティングというと「ブログ」での情報発信をイメージする人が多いかもしれませんが、コンテンツマーケティングで扱うコンテンツには実にさまざまなものがあります。表はおもなコンテンツを特徴ごとに整理したものです。 横軸は「ユーザーの購買フェーズ」で、左から右にいくにしたがって購買へと近づいていきます。
縦軸は「感情訴求かロジック訴求か」を整理したものです。たとえばインフォグラフィックスは「認知段階」のユーザーに対して「ロジック訴求」でアプローチするときに適したコンテンツ形態といえますし、導入事例は「ロジック訴求」ではあるものの、より購買に近いユーザーに対して最後のひと押しをする場面で有効なことがわかります。
2-1 ビジネスブログで構築するストック型メディア
ビジネスブログの最大の特徴は「コンテンツを蓄積しながらメディアを構築できること」です。ブログ記事1つひとつがWebページとしてサイト上に蓄積されていくことから「ストック型」コンテンツと呼ばれます。コンテンツ(ブログ記事)が増えれば増えるほどサイトが充実し、検索エンジンからの評価も得やすくなっていきます。安価に立ち上げられる点も見逃せないメリットです。
一方、facebookやTwitter等のSNSは投稿内容がタイムライン上をどんどん流れていく「フロー型」コンテンツと呼ばれるメディアです。コンテンツマーケティング実施にあたって「SNSだけではダメなの?」という質問をよく受けますが、「ストック型」のビジネスブログにコンテンツを公開しておいて、そのコンテンツをフロー型であるSNSでさらに多くのユーザーに広めるという使い分けがおすすめです。
2-2 ホワイトペーパーの起源と目的
「ホワイトペーパー」の語源は英国で議会に提出される公式報告書の表紙が白だったことに由来し、長らく政府や調査機関などが定期的に発行する報告書のことをホワイトペーパーと呼んできました。日本でも内閣府が発行する「国民生活白書」や環境省の「環境白書」などを耳にしたことがあるはずです。
ホワイトペーパーが活用されるようになった目的は、調査や確たる裏付けに基づいた情報の発信による自社の権威づけと、製品やサービスの購買を促すこと。BtoB事業者のなかでも先端性が高く高度に専門的な商材を扱う会社が、非技術者である経営層に売り込むために、その将来性や市場トレンドを伝えて自然と自社商材の必要性を訴求できるホワイトペーパーを活用したのがはじまりと言われています。
2-3 継続的な情報提供で信頼を勝ちとるメールマガジン
企業による一斉メール配信(メールマガジン)は広く浸透しており、顧客にとっては新製品発表やイベントの案内、業界ニュースなどを知るきっかけのひとつになっています。メールの件名や内容が読み手にとって魅力的であれば、顧客を自社サイトに誘導することもできます
読み手の行動に依存する面はありますが、好きなタイミングで配信でき、コストをかけずに多くの顧客をサイトに呼び込めるのが利点です。メールマガジンを配信して、自社の製品やサービスに関心のある顧客と継続的に接点をもち、情報提供による関係を構築し、いかに信頼を得られるかがポイントです。プッシュ型であるがゆえの難しさもありますが、コンテンツマーケティングを実践するなら、ここは腕の見せどころです。
2-4 広がるマーケティングへの動画活用
米国における最新の調査(2015年)によると、コンテンツマーケティング実施企業のうち約BtoC企業の74%、BtoB企業の76%が動画コンテンツを活用していると回答しており、これには3つの背景があります。1つめは安価な制作ツールの普及。スマートフォン単体で4K動画が撮影・編集可能な時代です。民生機でも企業利用に充分な品質の動画を制作できるようになりました。2つめは高画質・大容量の動画コンテンツの送受信を可能にした通信回線の高速化と、それに伴う動画投稿サイトの拡大です。そして3つめがマルチスクリーン化です。テレビだけでなくスマートフォンやタブレット、また駅や公共スペースでのデジタルサイネージ導入によって、人が動画に触れる環境が多様化しています。
2-5 顧客の力で見込み顧客に購買を「疑似体験」する事例コンテンツ
事例コンテンツはその名のとおり「顧客の導入事例」を紹介するもので、BtoB業界ではよく使われるコンテンツ形態です。A4用紙1~3枚程度の分量で、顧客が「なぜサービスを導入したのか」「何に困っていたのか」「サービスを導入した結果、どのような結果を得られたのか」などを説明することで見込み顧客に購買を「疑似体験」させるコンテンツです。BtoC業界であれば「推薦の声」にあたるものです。こういった、商品にお墨付きを与えるようなコンテンツを「テスティモニアル」(証明書、推薦状の意)と呼ぶこともあります。
3. 戦略的にコンテンツマーケティングに取り組もう
コンテンツマーケティングの戦略を立てるうえでいちばん大きなポイントは、「どのようなビジネス上の課題を解決しようとしているか」です。下の図に、多くの企業がコンテンツマーケティングに取り組むきっかけとなった課題を8つ挙げました。いかがでしょうか? 自社に当てはまる課題があるか、チェックしてみてください。
3-1 コンテンツマーケティングの強みと弱み
コンテンツマーケティングが「得意なコト」と「苦手なコト」を整理してみました。コンテンツマーケティングで成果をあげている企業に共通しているのは、長期間にわたって運用していることです。一般的には、最低でも6か月、できれば1~2年くらいは腰を据えて取り組む姿勢が求められます。
大切なことは、目標(KGI:Key Goal Indicator、重要目標達成指標)をしっかりと定義し、そこにたどり着くための段階的な指標(KPI:Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を設定することです。これについては、本稿の第6章「コンテンツマーケティングの効果測定」で詳しく解説します。
3-2 ペルソナを設定して顧客を深く理解しよう
ペルソナとは「自社の商品やサービスを買ってほしい顧客の特徴」をわかりやすくまとめたものです。ペルソナを「理想の顧客」としてコンテンツマーケティングに関わる関係者で共有することで、個人個人の「思いこみ」や「勘」によるコンテンツ発信を防ぎ情報発信のブレをなくすことができます。
ペルソナを作るうえで、「顧客インサイト」は特に重要です。「インサイト」という言葉はちょっとわかりにくいので、「隠れたホンネ」といった意味でとらえるといいでしょう。「どうして買ったのか?」「ためらった理由は何か?」などを明確にすることで、顧客の興味や関心をかなり深く理解できるようになるはずです。
3-3 顧客の態度変容を促すための「コンテンツマップ」
コンテンツマーケティングでは、顧客に「好きになってもらい、買ってもらうまでの流れ」を「認知段階」「調査・理解段階」「比較・選択段階」「リピート・口コミ段階」の大きく4つのプロセスに分けています。下の図は、この購買プロセスごとのコンテンツを図示したものです。それぞれの段階における顧客の情報ニーズを満たすコンテンツをもれなく提供することで「好きになってもらい、買ってもらうまでの流れ」を作ることができます。
3-4 潜在ニーズ、顕在ニーズとは要するにどういうことか?
認知段階のコンテンツを戦略的に考えるために、「顧客ニーズ」についてもう少し掘り下げて考えていきましょう。顧客のニーズには「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」の2種類があります。潜在ニーズの段階にある顧客は、自分の課題にまだ気づいていない、もしくは気付いていてもたいして問題視していない状態にあります。したがって、潜在ニーズの段階では、自社のペルソナが抱くであろう「一般的な疑問や質問に答える」や「世の中の最新トレンド情報を紹介する」といったコンテンツが有効になってきます。
3-5 顧客体験という旅、カスタマージャーニー
コンテンツマップが完成すれば、コンテンツ戦略はいったん完成といえます。さらに高度なアプローチとして、コンテンツ戦略をより詳細に検討する際に役立つ「カスタマージャーニーマップ」を紹介します。
カスタマージャーニーマップとは、見込み顧客があなたの製品やサービスを認知し、さまざまな接点を経て関心を深め、購入に至るまでの一連のプロセスを旅(ジャーニー)にたとえて図示したものです。
このアプローチは、消費者向けでも法人向けでも、あらゆる商材に適用できますが、特に、購買までの検討期間が長く、段階的な接点を持つ法人向け(BtoB)ビジネスにおいて特に注目されています。
4. ビジネスブログでコンテンツマーケティングを始めよう
コンテンツマーケティングを行ううえで、ビジネスブログはオウンドメディアの中心=情報ハブとして機能する重要な存在です。ビジネスブログ構築にあたって押さえておきたいポイントをご紹介します。
重要なポイントは以下の3点です。1つめは「回遊性」。コーポレートサイトとビジネスブログの相互に移動が簡単であること、カテゴリーや人気記事ランキングなど記事を読みまわりやすいレイアウトになっていることが必要です。2つめは「ソーシャルメディア対応」です。ソーシャルメディアのシェアボタンがビジネスブログのわかりやすい場所に設置されていること。3つめは、記事の下などにCTA(コール・トゥ・アクション:行動喚起)が用意されていることです。CTAとは資料ダウンロードページや商品ページへの誘導バナーなど、記事読了後の読者に取って欲しい行動への誘導経路のことです。
4-1 ビジネスブログ構築にはCMSを活用しよう
ビジネスブログ構築には、CMS(Content Management System:コンテンツマネジメントシステム)を利用するのが便利です。CMSとは、Webサイトを作るための専門知識を持ち合わせていない人でも、サイト上のコンテンツを直感的な操作で簡単に管理できる仕組みのことです。
4-2 「文章の構造」を整えて伝わるコンテンツを作ろう
読みにくい文章、わかりにくい文章には共通の特徴があります。すなわち、「文章に構造がない」こと。話があちこちに飛びすぎてわかりにくい。言いたいことが何なのかわからない。具体例がないので納得感がない。いずれも、文章に構造がないために起きる事象です。以下に紹介する「ピラミッド構造」という考え方を意識すると、わかりやすい文章が作りやすくなります。
5. コンテンツを「見つけてもらう」方法を理解しよう
コンテンツを制作し、オウンドメディアなどに掲載しただけでは、まだマーケティング効果は得られません。そのコンテンツを、皆さんがターゲットとする読み手に「見つけてもらう」必要があります。さらに、その読者がコンテンツに触れ、その結果として皆さんが期待する状態に態度を変化させる(態度変容が起きる)。そうしてはじめて、そのコンテンツがマーケティング効果を発揮したといえます。
この章では、コンテンツをターゲット読者に届ける方法を解説していきます。
まず、下の図を見てください。これは、コンテンツを作ってから読者に届けるまでの流れを示したものです。この図で理解すべきポイントはシンプルで、「オウンドメディアを情報のハブとして、さまざまなチャネルでコンテンツを拡散し、"見つけてもらえる"状態を作り出す」ということです。これが、コンテンツマーケティングの全体像になります。
ここからは、コンテンツを広める有力なチャネルである検索エンジン、ソーシャルメディア、メール配信、プレスリリース、広告について、順番に見ていきましょう。
5-1 検索エンジン経由で見つけてもらうには? コンテンツSEOの基本
Googleの検索アルゴリズムは、日々進化を続けていますが、近年は、「より情報の質や信頼性を重視する」ように変わってきています。ユーザーが検索した目的、意図に対して、それを満たす回答(=コンテンツ)を用意できているかどうかが重要なのです。
コンテンツSEOを行ううえで重要なのは、Webサイトに来てほしいターゲット層の人たちが「どんなことを知りたくて」「どんな言葉を使って検索しているか」を知ることです。Googleサジェストを活用すると、入力した単語と一緒によく検索されるキーワードを知ることができます。
5-1-1 「コンテンツマーケティング」と「コンテンツSEO」の違い
コンテンツSEOの実践方法について詳しく説明する前に、よく混同される「コンテンツSEO」と「コンテンツマーケティング」の違いについて解説しておきましょう。
コンテンツSEOとは、「ターゲットユーザーが求める良質なコンテンツを提供することで、結果的に検索エンジンで上位表示されることを目指す活動」です。
コンテンツマーケティングも、その活動の一部である「ターゲットユーザーが求めるコンテンツを提供する」ことだけに着目すれば、同じような取り組みに聞こえるかもしれません。実際、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOという言葉が混同され、同じ意味合いで使われていることもあります。しかし、これらは本来まったく別の概念です。
「コンテンツSEO」はあくまでも検索エンジン対策(SEO:Search Engine Optimization)の手法です。検索エンジンの結果表示ページで上位に表示されることが目的であり、その実現手段の1つです。上述の通り、現代の検索エンジンは順位を決定するアルゴリズムでコンテンツの質を重視しており、そのため「コンテンツによるSEO」すなわち「コンテンツSEO」という考え方が登場しました。
一方、「コンテンツマーケティング」の目的は本稿の冒頭に記載した通りであり、「コンテンツSEO」よりも広範な概念です。コンテンツマーケティングを実践するに当たり、見込み客を引き寄せ、サイトへの流入を作り出す手段の1つがSEOであり、そのSEOの現代的な手法が「コンテンツSEO」という構造になります。別の言い方をすると、コンテンツSEOは、コンテンツマーケティングのプロセスの一部に使える手法の1つです。
それでは、コンテンツSEOの実践方法について解説を進めていきます。
5-1-2 Googleキーワードプランナーを使ってみる
Googleキーワードプランナーを使うと、あるキーワードが世の中で1ヶ月に検索されている回数を調べることができます。例えば「コンテンツマーケティング」というキーワードの月間検索ボリュームは2015年5月の段階で5400回です。これはGoogleのデータですので、Yahoo!もあわせると1万回弱だなと見ることができます。
検索ボリュームが多いキーワードは競合相手も多いので、上位表示の難易度は高まります。一方で検索ボリュームが少なすぎる場合は「あまり知りたい人がいない」のかもしれません。はじめのうちはB2C業界では500~2,000、B2Bでは100~500程度の検索ボリュームを目安に、狙うべきキーワードをリストアップしていくと良いでしょう。
5-1-3 ロングテールキーワードを意識しよう
キーワードが決まったら、それを正しくサイトに掲載することで検索エンジンに「見つけてもらう」ことを目指します。その際に押さえておくべきポイントがいくつかありますのでご紹介します。
検索ボリュームが多いキーワードは競合相手も多いので、上位表示の難易度は高まります。一方で検索ボリュームが少なすぎる場合は「あまり知りたい人がいない」のかもしれません。はじめのうちはB2C業界では500~2,000、B2Bでは100~500程度の検索ボリュームを目安に、狙うべきキーワードをリストアップしていくと良いでしょう。
このときに意識したいのが「ロングテールキーワード」という考え方です。ロングテール(長い尻尾)キーワードとは、「複数の単語を組み合わせたフレーズで検索されるキーワード」を指します。
下図の例で説明しましょう。「物流」は一単語のキーワードであり、検索ボリュームが比較的多い半面、物流市場にかかわるさまざまな業者が上位表示を狙っている可能性があり、競合性は高くなってしまいます。こうしたキーワードを、「ヘッドワード」や「ビッグワード」などと呼びます。ロングテールの「テール(尻尾)」に対して、「ヘッド(頭)」というわけです。
では、ヘッドワードで検索するユーザーはいったい何を求めているのでしょうか。物流の仕組みを調べている人から、物流業界への就職を検討している人、物流サービスを選定しているひとなど、さまざまな意図を持った人が混在しているはずです。
しかし、「物流管理ソフトウェア」あるいは「物流管理ソフトウェア 事例」などで検索する人は、物流管理に取り組もうと決めていて、そのためのソフトウェアツールを選定しているか、それに近い段階にあると考えられます。
このようにロングテールキーワードは、検索ボリュームこそは多く望めませんが、購買に近い人の「質の高いアクセス」を獲得できる可能性が高いという特徴があります。
5-1-4 最低限押さえておくべきSEO施策とは?
適切なキーワードを選んだら、そのキーワードを使う検索ユーザーの意図に応えられるようなコンテンツを制作し、Webページを制作します。ここで最低限押さえるべき作法がありますので、以下に紹介します。
タイトルには、必ずキーワードを入れて検索エンジンにアピールしましょう。また、検索結果にタイトルと共に表示されることの多いメタディスクリプションは、ユーザーがそのサイトを訪れるか否かの重要な判断ポイントとなりますので、丁寧に記載しておきましょう。見出し(<h1>タグや<h2>タグなど)に入れた言葉は検索エンジンに「重要なキーワードである」と認識されやすいので有効に活用しましょう。
5-2 低コストで多くの読者にリーチできるメルマガを活用しよう
メールマガジンは、「2-3 継続的な情報提供で信頼を勝ちとるメールマガジン」で先に紹介した通り、企業が任意のタイミングで配信でき、コストをかけずに多くの読者をオウンドメディア上のコンテンツに呼び込める利点があります。
メールマガジンの中では、ブログの人気記事や、注目キーワードが盛り込まれている記事を取り上げて紹介したり、eBookやホワイトペーパーなど、ダウンロードして読んでもらうタイプのコンテンツについても、新規公開を告知することが可能です。
ただ、メールマガジンは開封される保証が無いというデメリットがあります。では、読まれるメールはいったい何が違うのでしょうか? 皆さんが読みたくないメールマガジンの特徴を考えてみてください。
たとえば「関心が無いテーマ」「長文で読みにくい」「売り込み色が強い」「なれなれしい文体でなんとなく不愉快」といったところでしょうか。このような印象を持たれてしまうと、開封されなかったり、一度は開封しても次回からは気にとめられなくなってしまいます。せっかくメールマガジンを制作するのなら、読者に「読みたい」「届くのが楽しみ」と思われるものを目指しましょう。
5-3 ソーシャルメディアでコンテンツを拡散しよう
コンテンツマーケティングを実践するうえで、ソーシャルメディアは外せない施策です。特に、オウンドメディアの立ち上げ当初はただコンテンツを作って公開してもなかなか見に来てもらえません。そこで、そのテーマに興味のある人が集まっているソーシャルメディアで更新を通知したり、過去に作成した記事をイベント等に合わせてシェアすることでコンテンツへの流入を増やすのです。
作成したコンテンツをまずビジネスブログで公開し、読者との双方向のコミュニケーションはソーシャルメディアで行うというように、両方を活用することで相乗効果が得られるのです。長期間にわたって、ソーシャルメディア上でコミュニケーションすることは、人に安心感、信頼感を与えます。ソーシャルメディアはファンを作るうえでも重要な施策と言えるでしょう。
5-4 自社サイトを訪問しない人にも届くプレスリリース
プレスリリースとは、企業が主にマスメディアに向けて発表する公式情報のことです。目的は、自社の情報をマスメディアにニュースや特集などの記事に取り上げてもらうことです。マスメディア側には毎日多くのプレスリリースが送られてくるので、実際に記事として取り上げられる確率は高くはありませんが、ひとたび掲載されればコストをかけずに多くの人々の目に触れることができます。
プレスリリースの配信には2種類の方法があります。ひとつは、メディアの記者や編集者と関係を築き、プレスリリースを記者宛てに送付する方法。もうひとつはプレスリリースの配信代行業者を使う方法です。
前者のほうが掲載確率は高くなりますが、専任の広報担当が必要になるなど、手間もコストもかかります。一方、ネット上の配信代行業者は月額数万円ほどで契約でき、好きなタイミングで手軽にプレスリリースを配信できます。最初は代行業者を使ってはじめるのがいいでしょう。
5-5 広告を組み合わせてコンテンツを広く届ける
本稿の前半で従来の広告施策の限界を述べたので、皆さんはここで「え? 広告?」と思われたかもしれません。このセクションで紹介するのは、すぐに購買につなげようとするいわゆる「刈り取り型」の広告ではなく、「コンテンツと顧客の接点を増やす」ための広告活用法です。
5-5-1 リマーケティング広告で購買意思を後押し
リマーケティング広告(リターゲティング広告とも呼ぶ)を使えば、自社のWebサイトを訪問したユーザーに対して自社サイト外で広告を表示し再訪を促すことができます。ユーザーに、「次のステップ」に進んでもらうためにリマーケティング広告を組み合わせることはニーズの育成(リードナーチャリング)に非常に有効といえます。
5-5-2 ネイティブ広告とは何か
2014年ごろからWebマーケティング業界でよく耳にするようになった「ネイティブ広告」(ネイティブアド)は、従来のバナー広告のような「ひと目で広告とわかる広告」ではなく、メディアの通常記事と同じ体裁で表示される広告です。加えて、内容も通常の記事と遜色ないのが特徴です。言葉としては目新しいですが概念としては古く、雑誌などでも「記事広告」というかたちでネイティブ広告が提供されてきました。また、FacebookやTwitterといったソーシャルメディア、GunosyやAntennaといったキュレーションメディアのフィード上に流れてくる「インフィード型広告」もネイティブ広告のひとつです。従来型の広告が見られなくなってきたことを受けて、広告であっても見る価値のある情報をメディアに合わせて作成する必要が生まれたのです。
5-5-3 Facebook広告を活用してコンテンツを拡散しよう
数ある広告媒体のなかでもソーシャルメディア広告、特にFacebookの広告は注目です。日本では、Facebookユーザーが40代、50代にも多いことから、ビジネス目的での広告出稿媒体としての価値が高いと考えています。具体的な出稿方法は二通りです。ひとつは、過去に投稿して“いいね!”が沢山ついた記事を広告でさらに拡散させるというものです。もう一つの方法はeBookダウンロードなどの中間コンバージョンのコンテンツを広告出稿するというものです。
5-6 競合メディアを分析してコンテンツを磨きあげよう
日本でも徐々にコンテンツマーケティングに取り組む企業が増えてきました。同じようなターゲットペルソナを持つ企業がいれば、当然その会社との間に競争が生まれます。日々ユーザー視点で競合となるメディアを分析し、自社のコンテンツの質を高めることが重要なのです。下記にチェックポイントをまとめました。
5-7 コンテンツの効果を最大化させる「インサイドセールス」に取り組む
インサイドセールスは、見込み客に対して、電話やメールでニーズをヒアリングし、ニーズの顕在化を後押しするのが役割です。顧客が望まない限り「売り込まない」ので、従来の「テレアポ」と異なります。インサイドセールスを導入することで、営業部での商談数が増加する、営業の受注率が上がるなどの効果があり、注目されています。
実は、このインサイドセールスの活動に必要不可欠なのが「コンテンツ」です。製品・サービスに関する情報はもちろんのこと、業種や業界に応じた導入事例など、ニーズを引き出すコンテンツが必要不可欠です。潜在顧客の情報ニーズに応じた「コンテンツマーケティング」と、それを的確に届けるための「インサイドセールス」は両輪そろうことで効果が最大化されるのです。
6.コンテンツマーケティングの効果測定、KGIとKPIを設定してROIを評価しよう
コンテンツマーケティングの目標(KGI:Key Goal Indicator、重要目標達成指標)を達成するために、正しい道を歩んでいるのかを確認する指標がKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)の役割です。
この章のテーマである「コンテンツマーケティングの効果測定」とは、「投資に見合った見返りを得られているかどうか」、言い換えれば、ROI(Return on Investment:投資対効果)を測る行為です。そのためには、まずは目標とする「Return」を明確に定義しなければ、そもそも何を測定すればよいのか分かりません。
KGIとしては、たとえば、「商談の数を30%増やす」「専門家としてのブランドを確立し、認知度調査で80%を達成する」といった具合に、コンテンツマーケティングに期待する効果(Return)を定義できるでしょう。
その上で、KPIとして各KGIにつながる前段階の指標を設定していきます。たとえば、「商談の数を増やす」であれば前段階に「問い合わせ」や「資料請求」が必要ですし、さらにその前に「資料請求を促すためのコンテンツ」も存在します。この道筋にそって正しく進んでいるかどうかを確認するのが各種KPIです。ところが、この道筋を無視して「サイトのPV」だけをKPIにしてしまうと、「ブログ記事を増やしてPVは順調に増えているのに、商談がいっこうに増えない」といった事態に陥ります。
道筋に沿った各段階のKPIは、下記のように考えられます。認知獲得段階(認知系KPI)
認知獲得段階では、「どれだけ多くの人たちに見てもらえたか」を中心に測定します。具体的なKPIとしては検索流入数、キーワード順位、滞在時間、ソーシャル流入数、ソーシャルシグナル、新規訪問率などが挙げられます。
調査・理解段階(理解系KPI)
調査理解段階では、「いかにニーズを醸成できたか」を中心に測定します。具体的には、コンテンツのページ滞在時間、離脱率、記事下のCTAバナーからの事例集やeBookダウンロードページへの訪問数、キーワード順位などをKPIとして定めます。
比較・選択段階
比較・選択段階では、「いかに自社を選択肢の1つにいれてもらうか」を中心に測定します。具体的には、資料請求数、お問い合わせ数、といった具体的な商談につながる有効リード数(MQL)がKPIになります。
コンテンツマーケティングでROIを正確に見積もるのは簡単ではありません。社内提案においては、まずは自社が現在取り組んでいるマーケティング施策(テレアポやリスティング広告など)のROIを確認し、それと比べてコンテンツマーケティングの期待値が高いかどうかを見せるというアプローチが有効です。
ある試算によれば、コンテンツマーケティングの開始から24ヶ月後の時点で、見込み顧客(リード)1件の獲得に必要なコストは大企業で64米ドル(約6400円)、中堅の企業で75米ドル(約7500円)になります。これは、検索エンジンにリスティング広告を出稿した場合に比べて、3~4割程度低い金額です。投資(Investment)の金額が下がるため、もし同じ件数の商談を創出できればコンテンツマーケティングによってROIが従来よりも高まると説明できます。
6-1 B2B企業における効果測定のポイント
一般的にB2Bの商材は、B2Cの商材にくらべて購入サイクルが長いため、「顧客の検討フェーズに寄り添った継続的・段階的な顧客接点を作り出せているかどうか」、「きちんと次のフェーズに進んでもらうことができているか」を測定していきます。(B2Cでも、住宅や自動車、保険などのように商品が高額であったり、就職、転職などのように、重大な意思決定にかかわる場合はB2Bモデルに近くなります)
6-2 B2C企業における効果測定のポイント
一方、B2Cで低額の商品やサービスは、顧客との最初の接触から購入に至るまでのステップが短いケースが多いのが特徴です。したがって、測定すべき指標もB2Bとくらべてずっと少なくなります。B2Cで重要なのは検索エンジンでの表示順位、あるいは競合他社とくらべたときの検索結果のシェアです。またECでは、ブログからECサイトへの遷移率、ECサイトでの購入者のブログ購読割合などを見ていく必要があります。
6-3 「成果に繋がる改善」のポイントとは?
コンテンツマーケティングは、潜在顧客とコンテンツを通して接点を作り出し、徐々にニーズを育成することで購買に結びつける手法です。「潜在顧客」はすぐには購買に至りませんので、「改善」の効果が現れにくくなります。購買プロセスにおいて購買に近い部分での改善は効果も大きく即効性があります。コンテンツマーケティングを行ううえでの改善は「マーケティングファネルの底」からが基本です。
6-4 最近増えているオウンドメディアの失敗事例とは?
最近、「オウンドメディアを運用し、アクセスは増えたのだが、リード獲得や問合せにつながっていないので困っている」というご相談を良く耳にします。このような場合は、概ね、SEOを意識して記事を作成するなどして、検索流入は取れているものの、流入したユーザーに次のアクションを取らせる仕組み(CTA=Call to Action)が設置されていないケースが多いです。まさに、この「ファネルの底」に近い部分の改善ができていないというパターンです。
7. コンテンツマーケティングを通じてブランドを作る
広告、ウェブサイト、メール、イベント、商品の購入、アフターサポート…こういった顧客と企業のすべての接点における体験の総和が「ブランド」を作り上げます。一方的な売り込みは顧客の気分を害します。顧客にあわせてタイミングよく適切なコンテンツを届けることは、逆に顧客をファン化することができます。コンテンツマーケティングは、主に前半の顧客獲得の接触ポイントにおいて、ブランド価値を高めることができるのです。
7-1 「ソートリーダーシップ」を獲得して業界のリーダーになろう
ソートリーダーシップとは、業界の課題を指摘したり、来たるべき未来、あるべき姿を語り、顧客の発想を高め、自社のビジョンに共感を持ってもらうのです。モノ余りの時代では、商品アピールだけでは売れにくい時代になっています。「こうあるべきだ」「こうしていきたい」というビジョンを売ることで顧客と高いレベルでのつながりを作り出すことができます。
ソートリーダーに求められる発想
- 5年後、10年後のあるべき姿を考え、語ること
- 次のトレンドの芽を見つけ、啓蒙していくこと
- 顧客や業界全体のことを考えること
- 限られたパイを奪い合うのではなく、パイ自体を拡げることを考えること
- 最大限の情熱を傾けること
8. 今注目のマーケティングオートメーションとは?
マーケティングオートメーションは、「見込み顧客リードを管理し、営業案件を創り出すこと」を目的に作られたソフトウェアです。顧客の属性や行動(メールの開封やサイト訪問、特定の資料ダウンロード、セミナー参加など)をトリガーにメールを送るなどして、コンテンツによる顧客育成の自動化を図ることができます。
見込み顧客に対して「適切なコンテンツ」を「適切なタイミング」で「適切な手段(チャネル)」を通して提供するため、商談を効率的に生み出すことができます。参考までに、リードナーチャリングを高度に行う企業は、見込み顧客の獲得のコストが33%少なく、営業に渡す商談件数が50%増えるという調査があります。(米フォレスター社)
9. コンテンツマーケティングについてさらに学ぶには
本稿ではここまで、コンテンツマーケティングの概念や実践方法について解説してきましたが、「もっと学びたいので情報源がほしい」という方もいるでしょう。また、コンテンツマーケティングは日々進化していますので、最新の情報を常に追いかけたいという方も、いるかもしれません。
そうした方に向けて、この章ではコンテンツマーケティングの有用な情報源を紹介します。本やオンラインコンテンツ、セミナー/イベント、SNSなど、今では日本でもコンテンツマーケティングを学ぶために豊富な情報源がそろっています。
【書籍】コンテンツマーケティングを取り扱った書籍が2016年までにかなりの数、出版されています。Amazonのようなオンライン書籍販売サイトはもちろん、実店舗型の書店でも取り扱っているところが多いので、ぜひ手にとってみてください。
- いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本
コンテンツマーケティングの実践方法についての決定版。イノーバ代表である宗像の執筆。「やさしい」とありますが、その内容は決して初心者向けにとどまっていません。(⇒試し読みはこちらから) - エピック・コンテンツマーケティング 顧客を呼び込む最強コンテンツの教科書
米Content Marketing Instituteの創設者でコンテンツマーケティングの第一人者であるJoe Pulizzi氏による実践的な教科書。 - オウンドメディアで成功するための戦略的コンテンツマーケティング
こちらも米Content Marketing Institute創設者Joe Pulizzi氏が著者の1人。社内で経営層から合意を取るためのビジネスケースの作り方や、効果測定の方法など、戦略面の方法論がよくまとまっている。邦訳版の監修は株式会社インフォバーン代表取締役CEOである小林弘人氏。 - 商品を売るな
国内外の事例を紹介しながら、コンテンツマーケティングの全貌を分かりやすく解説。マーケティング担当者のほか、経営者が直接手に取る書籍としてもお薦め。イノーバ代表・宗像の著作。(⇒試し読みはこちらから)
10. コンテンツマーケティングに関するご相談を承ります。
いかがでしたか?コンテンツマーケティングの概要は理解できたでしょうか。
イノーバでは、BtoBマーケティングのノウハウを持つコンサルタントが、御社の抱える課題について検討し、御社にあわせたコンテンツマーケティングのプラン作りをお手伝いします。また、コンテンツ制作・運用、マーケティングオートメーション導入支援など、企業のマーケティングDXを総合的に支援しています。ぜひ、お問い合わせ下さい。
コンテンツマーケティングに関するFAQ
コンテンツマーケティングに関して、よくある質問をまとめました。
- B2B(IT業界):シスコシステムズの「Cisco Newsroom」
- 小売業:ウェストエルムの「Front + Main」ブログ
- 旅行業:エアビーアンドビーの「Airbnbマガジン」
- 金融業:アメリカン・エキスプレスの「OPEN Forum」
- 食品業:ケロッグ社の「Special K」キャンペーン
- 自動車業:テスラモーターズの「Tesla Blog」
- ヘルスケア業:メイヨークリニックの「Sharing Mayo Clinic」ブログ これらの企業は、自社の専門性を生かし、顧客に価値あるコンテンツを提供することで、ブランド認知度の向上とエンゲージメントの強化に成功しています
A34. コンテンツマーケティングの主な課題は以下の通りです。
1. 質の高いコンテンツを一貫して制作することの難しさ。2. ROIの測定と効果の可視化の難しさ。3. 適切な人材の確保と育成。4. 組織全体でのコンテンツマーケティングの理解と協力の獲得。5. 急速に変化する技術やトレンドへの対応。6. 競合他社との差別化。これらの課題を克服するためには、明確な戦略、適切なリソース配分、継続的な学習と改善が必要です。
A39. 最新のコンテンツマーケティングのトレンドは以下の通りです。
- インタラクティブコンテンツの台頭:クイズ、アンケート、診断ツールなど、ユーザーの参加を促すコンテンツが人気を集めています。
- ビデオコンテンツの重要性の高まり:動画プラットフォームの普及により、ビデオコンテンツの需要が高まっています。
- パーソナライゼーションの進化:AIやビッグデータを活用し、個々のユーザーに最適化されたコンテンツ提供が進んでいます。
- ユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用:インフルエンサーやファンが制作したコンテンツを活用することで、信頼性とエンゲージメントを高めることができます。
- ポッドキャストの人気上昇:オーディオコンテンツであるポッドキャストが、通勤時間などに気軽に楽しめるコンテンツとして注目を集めています。
A40. コンテンツマーケティングの成功を測定するための主な指標は以下の通りです。
- トラフィック:ウェブサイトやブログへの訪問者数、ページビュー数、ユニークビジター数など。
- エンゲージメント:滞在時間、ページ滞在率、コメント数、シェア数、いいね数など。
- リード獲得:問い合わせ数、ニュースレター登録数、資料請求数など。
- コンバージョン:製品の購入数、申し込み数、登録数など。
- SEO:検索順位、オーガニックトラフィック、バックリンク数など。
- ブランド認知度:ブランド検索数、ソーシャルメディア上での言及数など。
- カスタマーライフタイムバリュー:コンテンツによって獲得した顧客の生涯価値。
これらの指標を定期的に追跡し、改善点を特定することが重要です。また、各指標をビジネス目標と関連付けて評価することが求められます。
A43. コンテンツマーケティングにおけるデータ活用は、戦略の立案、コンテンツの最適化、効果測定などに役立ちます。主なデータ活用方法は以下の通りです。
- ターゲットオーディエンスの理解:ウェブ解析、ソーシャルメディア分析、アンケートなどを通じて、ターゲットオーディエンスの行動や嗜好を把握する。
- コンテンツ制作の最適化:人気コンテンツの特徴を分析し、競合他社のコンテンツを調査することで、効果的なコンテンツ制作につなげる。
- パーソナライゼーション:行動データや嗜好データに基づいて、個々のユーザーに最適化されたコンテンツを提供する。
- 効果測定とROIの算出:各種指標を追跡し、コンテンツマーケティングの効果を定量的に評価する。
データ活用には、ウェブ解析ツール、ソーシャルメディア管理ツール、CRM、マーケティングオートメーションツールなどが用いられます。
A44. メールニュースレターは、コンテンツマーケティングにおいて重要な役割を果たします。主な役割は以下の通りです。
- 顧客関係の維持・強化:定期的にメールを送ることで、顧客とのコミュニケーションを維持し、ブランドへの親近感を高めることができます。
- トラフィックの増加:ニュースレター内のリンクをクリックすることで、ウェブサイトへのトラフィックを増加させることができます。
- エンゲージメントの向上:価値あるコンテンツを提供することで、顧客のエンゲージメントを高めることができます。
- リードナーチャリング:関心度に応じて適切なコンテンツを提供することで、見込み客を育成し、購入に導くことができます。
- 顧客データの収集:メールのクリック率や開封率を分析することで、顧客の嗜好や行動を理解することができます。
メールニュースレターを効果的に活用するには、セグメンテーション、パーソナライゼーション、A/Bテストなどの手法が用いられます。
A45. カスタマージャーニーマッピングは、顧客が製品やサービスを認知してから購入に至るまでの一連のプロセスを可視化することを指します。コンテンツマーケティングにおいては、各段階に応じた適切なコンテンツを提供することが重要です。一般的なカスタマージャーニーの段階は以下の通りです。
- 認知段階:ブランドや製品の存在を知る段階。ブログ記事、ソーシャルメディア投稿、動画などの上位ファネルコンテンツが効果的。
- 興味関心段階:製品やサービスに興味を持ち、情報収集を開始する段階。ホワイトペーパー、eブック、ウェビナーなどの中位ファネルコンテンツが有効。
- 検討段階:競合他社との比較検討を行う段階。ケーススタディ、デモ、無料トライアルなどの下位ファネルコンテンツが効果的。
- 購入段階:製品やサービスの購入を決定する段階。カスタマーレビュー、FAQ、オンボーディングコンテンツなどが有効。
- アドボカシー段階:満足した顧客が他者にブランドを推奨する段階。ユーザー生成コンテンツ、カスタマーストーリー、リファラルプログラムなどが効果的。
カスタマージャーニーマッピングを行うことで、各段階に最適化されたコンテンツ戦略を立案し、効果的なコンテンツマーケティングを実践することができます。
A46. AIはコンテンツマーケティングのさまざまな側面で活用されています。主な活用方法は以下の通りです。
- コンテンツ生成:AIを用いて、記事やヘッドラインの自動生成、言語変換などが可能になります。ただし、最終的な品質チェックは人間が行う必要があります。
- コンテンツの最適化:AIを用いて、SEOに適したキーワードの選定、記事の構成最適化、読みやすさの向上などを行うことができます。
- パーソナライゼーション:ユーザーの行動や嗜好に基づいて、AIが最適なコンテンツを推奨することができます。
- 画像認識:AIを用いて、画像やビデオ内のオブジェクトを認識し、適切なタグ付けやメタデータの自動生成が可能になります。
- 感情分析:AIを用いて、ユーザーの反応やコメントから感情を分析し、コンテンツの改善に役立てることができます。
AIの活用には、自然言語処理、機械学習、深層学習などの技術が用いられます。ただし、AIはあくまでもツールであり、コンテンツの最終的な品質は人間の創造性とジャッジメントに依存することを忘れてはいけません。
A47. インタラクティブコンテンツは、ユーザーの能動的な参加を促すコンテンツのことを指します。主な種類と効果は以下の通りです。
- クイズ・診断ツール:ユーザーの知識やスキル、嗜好を診断するコンテンツ。エンゲージメントの向上とリードジェネレーションに効果的。
- インタラクティブ動画:ユーザーの選択に応じて展開が変化する動画コンテンツ。没入感の向上とエンゲージメントの向上に効果的。
- インタラクティブEブック:ユーザーの操作に応じてコンテンツが変化するデジタルブック。情報提供とエンゲージメントの向上に効果的。
- ゲーミフィケーション:ゲーム的要素を取り入れたコンテンツ。ユーザーの興味関心の喚起とエンゲージメントの向上に効果的。
- アンケート・投票:ユーザーの意見や嗜好を収集するコンテンツ。エンゲージメントの向上とユーザー理解に効果的。
インタラクティブコンテンツは、ユーザーの能動的な参加を促すことで、エンゲージメントの向上、滞在時間の増加、情報収集、リードジェネレーションなどの効果が期待できます。一方で、制作コストと工数が高くなる傾向があるため、戦略的な活用が求められます。
A48. Webアクセシビリティとは、障がい者を含むすべてのユーザーが、ウェブコンテンツにアクセスし、操作できるようにすることを指します。コンテンツマーケティングにおいては、以下の理由からアクセシビリティを確保することが重要です。
- 法令遵守:国や地域によっては、アクセシビリティに関する法律や規制が存在します。
- ユーザー体験の向上:アクセシビリティを確保することで、すべてのユーザーに快適なコンテンツ体験を提供できます。
- SEOの改善:アクセシブルなコンテンツは、検索エンジンのインデックス化とランキング向上に有利に働きます。
- ブランドイメージの向上:アクセシビリティへの配慮は、ブランドの社会的責任を示すものであり、企業イメージの向上につながります。
アクセシビリティを確保するためには、WAI-ARIA準拠のマークアップ、十分なコントラスト比、代替テキストの提供、キーボードのみでの操作可能性などに配慮する必要があります。
A49. コンテンツマーケティングにおいては、さまざまなスキルが重要となります。主なスキルは以下の通りです。
- ライティング:説得力があり、読みやすく、SEOに最適化された記事やコピーを書くスキル。
- 編集:コンテンツの品質を維持し、ブランドの声を一貫させるための編集スキル。
- SEO:検索エンジンに最適化されたコンテンツを制作するためのスキル。
- データ分析:コンテンツのパフォーマンスを測定し、改善点を特定するためのデータ分析スキル。
- プロジェクト管理:複数のステークホルダーやタスクを調整し、コンテンツを円滑に制作・公開するためのスキル。
- デザイン:視覚的に訴求力のあるコンテンツを制作するためのグラフィックデザインスキル。
- マーケティング戦略:コンテンツマーケティングを全体的なマーケティング戦略に統合するためのスキル。
これらのスキルを社内で育成するか、外部リソースを活用することが求められます。また、継続的な学習と改善が欠かせません。
A50. コンテンツマーケティングにおいて、コミュニティは重要な役割を果たします。主な役割は以下の通りです。
- エンゲージメントの向上:コミュニティ内での対話やユーザー同士の交流により、ブランドへのエンゲージメントが高まります。
- ユーザー生成コンテンツの獲得:コミュニティメンバーによるレビュー、投稿、口コミなどのユーザー生成コンテンツを獲得できます。
- 顧客理解の深化:コミュニティでのユーザーの声を通じて、顧客のニーズや課題をより深く理解することができます。
- カスタマーサポート:コミュニティ内でのユーザー同士の助け合いにより、カスタマーサポートの負荷を軽減できます。
- ブランドロイヤルティの向上:コミュニティへの所属感やブランドとの共感により、ブランドロイヤルティが高まります。
コミュニティを活性化するためには、明確な目的の設定、積極的なモデレーション、有益なコンテンツの提供、影響力のあるメンバーの巻き込みなどが求められます。また、コミュニティからの学びを他のマーケティング活動にも反映させることが重要です。
A51. インフルエンサーマーケティングは、コンテンツマーケティングにおいて重要な役割を果たします。主な役割は以下の通りです。
- リーチの拡大:インフルエンサーの持つフォロワーに対して、ブランドのメッセージを効果的に届けることができます。
- 信頼性の向上:インフルエンサーの推奨は、ユーザーにとって信頼性の高い情報源として受け取られます。
- ターゲティングの精度向上:インフルエンサーの持つオーディエンスは、しばしば特定の興味関心を持つセグメントであり、ターゲティングの精度が高まります。
- ユーザー生成コンテンツの獲得:インフルエンサーによるレビューや投稿は、質の高いユーザー生成コンテンツとなります。
- エンゲージメントの向上:インフルエンサーとそのフォロワーとのつながりにより、コンテンツへのエンゲージメントが高まります。
インフルエンサーマーケティングを成功させるためには、ブランドとの価値観の一致、長期的な関係構築、創造性の尊重、成果の適切な測定などが求められます。また、インフルエンサーの選定においては、フォロワー数だけでなく、エンゲージメント率や専門性なども考慮する必要があります。
A52. ビジュアルコンテンツは、コンテンツマーケティングにおいて非常に重要な役割を果たします。主な理由は以下の通りです。
- 情報の伝達力:人間の脳は、視覚情報を文字情報よりも速く処理します。ビジュアルコンテンツは、複雑な情報を簡潔に伝えることができます。
- 注意の喚起:ビジュアルコンテンツは、テキストコンテンツよりも注意を引きつけやすく、ユーザーの興味関心を喚起します。
- 感情への訴求:画像や動画は、感情に直接的に訴えかけることができ、ユーザーとの深い共感を生み出すことができます。
- 共有の促進:ビジュアルコンテンツは、ソーシャルメディア上で共有されやすく、コンテンツの拡散を促進します。
- ブランドの差別化:質の高いビジュアルコンテンツは、ブランドの個性を表現し、競合他社との差別化を図ることができます。
効果的なビジュアルコンテンツを制作するためには、ブランドガイドラインとの一貫性、ターゲットオーディエンスへの適合性、モバイルフレンドリーなデザイン、アクセシビリティへの配慮などが求められます。また、インフォグラフィック、動画、インタラクティブコンテンツなど、多様なフォーマットを活用することが重要です。
A53. コンテンツマーケティングとPRは、どちらもブランド認知の向上を目的とする点で共通していますが、いくつかの重要な違いがあります。
- 目的:コンテンツマーケティングは主に顧客とのエンゲージメントと関係構築を目的とするのに対し、PRは主にブランドイメージの管理と危機管理を目的とします。
- ターゲットオーディエンス:コンテンツマーケティングは主に顧客や見込み客をターゲットとするのに対し、PRはステークホルダー全般(メディア、投資家、従業員、地域社会など)をターゲットとします。
- コンテンツの種類:コンテンツマーケティングはブログ記事、ビデオ、ソーシャルメディア投稿など、多様なコンテンツを活用するのに対し、PRはプレスリリース、記者会見、インタビューなど、メディア向けのコンテンツが中心となります。
- 測定指標:コンテンツマーケティングはウェブトラフィック、エンゲージメント率、リード獲得数など、デジタル指標を重視するのに対し、PRはメディア露出、メッセージの浸透度、危機管理の成否などを重視します。
ただし、近年ではコンテンツマーケティングとPRの境界は曖昧になりつつあります。両者を統合的に活用し、一貫したブランドストーリーを伝えることが求められています。
A54. コンテンツマーケティングにおいて、ターゲットオーディエンスを適切に設定することは非常に重要です。主な設定方法は以下の通りです。
- 人口統計学的情報:年齢、性別、居住地、収入、教育水準など、基本的な人口統計学的情報に基づいてセグメンテーションを行います。
- 行動特性:ウェブサイトでの行動、購買履歴、コンテンツ消費行動など、ユーザーの行動データに基づいてセグメンテーションを行います。
- 心理特性:価値観、ライフスタイル、性格特性など、ユーザーの心理的な特性に基づいてセグメンテーションを行います。
- ニーズと課題:ユーザーが抱えるニーズや課題に基づいてセグメンテーションを行います。
- カスタマージャーニー:カスタマージャーニーの各段階(認知、検討、購入、アドボカシーなど)に応じてセグメンテーションを行います。
これらの情報を組み合わせ、ペルソナ(理想的な顧客像)を作成することが効果的です。ペルソナには、名前、写真、背景ストーリー、目標、課題、情報源などを具体的に設定します。また、ターゲットオーディエンスの設定は、データに基づいて継続的に見直し、修正していくことが重要です。
A55. ブランドストーリーテリングは、コンテンツマーケティングにおいて非常に重要な役割を果たします。主な理由は以下の通りです。
- 差別化:ブランドストーリーは、製品やサービスの機能的な特徴だけでなく、ブランドの個性や価値観を伝えることで、競合他社との差別化を図ることができます。
- 感情的つながり:ストーリーは、ユーザーの感情に訴えかけ、ブランドとの深い感情的つながりを生み出すことができます。
- 記憶に残る:ストーリーは、単なる情報よりも記憶に残りやすく、ブランドの印象を長期的に定着させることができます。
- 共感の獲得:ストーリーは、ユーザーとの共通点を見出し、共感を獲得することができます。
- 一貫性の確保:ブランドストーリーは、様々なコンテンツやチャネルを通じて一貫したメッセージを伝えることができます。
効果的なブランドストーリーを作るためには、ブランドの起源や歴史、ミッションやビジョン、独自の価値提案、顧客との関係性などを明確にする必要があります。また、ストーリーは、オーセンティックで共感を呼ぶものでなければなりません。ストーリーは、ブログ記事、ビデオ、ソーシャルメディア投稿、広告など、様々なコンテンツフォーマットを通じて伝えることができます。
A58. マーケティングオートメーションは、コンテンツマーケティングにおいて非常に有効なツールです。主な活用方法は以下の通りです。
- リードナーチャリング:見込み客の行動に応じて、適切なコンテンツを自動的に配信することで、効果的なリードナーチャリングを実現できます。
- セグメンテーション:ユーザーの属性や行動に基づいてセグメンテーションを行い、パーソナライズされたコンテンツを配信できます。
- スコアリング:ユーザーのエンゲージメントや行動に基づいてスコアリングを行い、優先度の高いリードを特定できます。
- A/Bテスト:異なるバージョンのコンテンツを自動的に配信し、より効果の高いバージョンを特定できます。
- レポーティング:コンテンツのパフォーマンスを自動的に追跡し、レポートを生成することで、データに基づく意思決定を支援します。
マーケティングオートメーションを活用することで、コンテンツマーケティングのパーソナライゼーション、効率化、最適化を図ることができます。ただし、オートメーションに頼りすぎず、人間らしいコミュニケーションを維持することも重要です。