Drupal(ドルーパル)は、無料で利用ができるオープンソース型のCMSツールです。
DrupalはさまざまなWebサイトの作成を任せられるだけの汎用性があり、使いやすいCMSツールとして世界中で活用されています。
Webサイトを新規作成する場合はもちろん、より柔軟性の高いシステムで効率良く作業を行いたい場合などに利用が検討されるでしょう。
以下からは、そんな魅力的なCMSツールDrupalの特徴と、メリット・デメリットを解説します。
Drupal(ドルーパル)とは?
Drupalとは、オープンソースのCMSツールです。
誰でも無料で利用することができ、公式サイトから簡単にインストールして使いはじめることができます。
2001年にオープンソースとして提供されてから世界で幅広く使用されるようになり、世界の30サイトにひとつはDrupalが利用されていると言われています。
CMSのコンテスト「オープンソースCMSアワード」では、2年連続総合部門優勝の結果を残し、殿堂入りの偉業を成し遂げています。
DrupalはPHPによって構築されているCMSツールなので、使用するのに特別に高度なプログラミングスキルなどは必要ありません。
既にWordPressなどのCMSツールを利用した経験のある場合は、スムーズにDrupalの使い方に慣れることができるでしょう。
Drupalは一般企業だけでなく、政府機関や大学、NGOなど大規模なサイトで利用されています。
汎用性の高さからさまざまなWebサイトの需要に応えることができ、「〇〇のような機能を加えたい」「〇〇のようなデザインにしたい」といったアイデアを形にできるのです。
これからWebサイト作成に取り掛かるのなら、Drupalのシステムは便利に使えるでしょう。
Drupal(ドルーパル)のメリット
DrupalはCMSツールとして、ほかにはないメリットを持っています。それぞれのメリットを理解した上で使用することは、Drupalの魅力を引き出すことにつながるでしょう。
以下からは、Drupalのメリットを紹介します。
柔軟で拡張性の高い「Webアプリケーションフレームワーク」としての一面を持つ
Drupalは一般的なCMSツールとしての側面も持ちつつ、「Webアプリケーションフレームワーク」として使える点もメリットです。
Webアプリケーションフレームワークとは、さまざまな機能をWebサイトに構築・追加できるシステム構造(フレームワーク)を指します。
DrupalはWebアプリケーションフレームワークという性質も持つため汎用性が高く、単純なWebページ以外にも、複雑な機能を備えたWebサイトを作成可能です。
例えばユーザーに登録を促す会員制サイト、SNS機能を持つサイト、社内のイントラシステムなど、目的に合わせた形に構築ができます。
また、近年は各種デバイスやシステムに向けて、Drupalをハブとして情報配信を行う「ヘッドレス Drupal」にも注目が集まっています。
例えばニューヨークの地下鉄ではヘッドレス Drupalを用いて、リアルタイムの運行情報をデジタルサイネージやスマートウォッチなど複数のチャネルに発信しています。
そのような大規模なデジタルアプローチにも利用できるほど、Drupalは多機能な性能を備えているのです。
汎用性と柔軟性の高さでいえば、DrupalはCMSツールの中でも上位のものとなるでしょう。
マルチサイト機能でWebサイトなどのコンテンツを一元管理できる
Drupalは、マルチサイト機能を使うことで単一のコードベースから別のサイトを作成可能です。
企業が所有しているシステムやWebサイトをDrupalに規格を統一し、再利用できる状態にすることで、データの一元管理を図ることができます。
企業の規模によっては、100人以上が複数の拠点でWebサイトの運営を行うこともあります。
コンテンツが大きくなるとガバナンスを正常に動かすことが難しくなり、一般的なCMSツールでは効率的な維持・運用に支障が出る可能性があるのです。
一方で、Drupalはコンテンツをさまざまな表示形式やデータ形式で公開できる機能があるため、情報の管理・統制を効率良く行うことができます。
カテゴリで分類したり、ユーザーと紐付けたり、詳細な権限を特定の利用者に付与したりといったことも可能です。
組織が大きくなってしまったときに、Webコンテンツのガバナンス統制に役立つのもメリットです。
機密性が求められるサイトでの活用実績が多い
Drupalは機密性の高いサイトで使用されていることが多いため、セキュリティ面で信頼を得ているCMSツールです。
NASAや日本の補助金申請システムなどでも利用されていて、多くの実績を持っています。
Drupalは、セキュリティにおける安全なWebサイトを作るためのガイドライン「OWASP」の基準を満たした設計を行っています。
専門のセキュリティチームによって常に監視もされているため、問題の発生時にもスピーディな解決に期待できるでしょう。
セキュリティの高さというメリットがある点も、Drupalの特徴です。
Drupal(ドルーパル)のデメリット
優秀なCMSツールであるDrupalですが、いくつかのデメリットもあります。
以下からは、Drupalのデメリットについて解説します。
オープンソースなので特定の法人責任者がいない
DrupalはオープンソースCMSであるため、特定の法人責任者はいません。
そのため何か重大なトラブルなどが発生した場合でも、保証を受けることができないのです。
万が一のことを考えると、オープンソースである点がデメリットになる可能性もあります。
簡単にはじめるのならWordPressの方がやりやすいことも
Drupalは世界的に使用されているCMSツールですが、日本国内においてはまだそこまで知名度がありません。
そのため使い方やトラブルシューティングの情報を、日本語で確認しづらいというデメリットがあります。
その点、WordPressは既に日本で幅広く使われているCMSツールなので、簡単に必要な情報や便利な使い方を確認可能です。
「簡単にはじめられる」という点においては、WordPressの方が優秀となるでしょう。
Drupal(ドルーパル)の特徴的な機能
Drupalを使うのであれば、以下の機能を活用することがおすすめです。それぞれの機能の特徴から、Drupalの魅力を改めてチェックしてみましょう。
モジュールを使った拡張機能
Drupalは、Webサイト構築機能(メニュー、カテゴリ管理など)やレポート機能(稼働状況、アクセス履歴など)といった基本的なCMSの機能以外にも、専用のモジュールを追加することで機能を拡張することが可能です。
例えば専用モジュールには、以下のようなものがあります。
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Googleアナリティクスを設定するSEO機能
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各種SNSとの連携機能
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問い合わせフォームの設置機能 など
Drupalの拡張モジュールは30,000本以上あり、さまざまな機能を自由に追加できます。
基本的な機能を稼働させる「コアモジュール」に変更を加えずに拡張できるため、元のデータを消去してしまったり、バグが起きたりといった心配もありません。安全に拡張機能を追加・削除できる点が、Drupalの魅力の一つです。
Drupalの「ディストリビューション」が利用できる
Drupalには、「ディストリビューション」と呼ばれるパッケージを利用することで、簡単に理想的なWebサイトが構築できます。ディストリビューションとは、各業種や業界に最適化とされるモジュールを組み合わせてパッケージ化したものです。
このディストリビューションを利用すれば、いちいちモジュールを探して追加する手間が省けるため、スピーディにWebサイトを構築できます。
ディストリビューションは600種類以上あり、Eコマース、コーポレートサイト、人材マッチングサイトなどさまざまな形式がそろっています。
具体的にどんな機能を加えればいいのか分からないときなどは、ディストリビューションを参考にWebサイト構築を行うことがおすすめです。
Drupal(ドルーパル)の料金形態
Drupalはオープンソースなので、無料で利用ができます。
コスト面を気にする必要はないため、気軽な導入が可能です。
Drupal(ドルーパル)で自由なWebサイト作りに挑戦しよう
Drupalはその拡張性から、自由度の高いWebサイト構築・運営が行えるCMSツールです。
オープンソースなため簡単に導入が可能となっているので、この機会に一度Drupalでサイト作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
Drupalの導入事例はこちらで確認できるので、まずは実際にどんな企業がどのように利用しているのか確認してみるのもおすすめです。
また弊社イノーバでは、CMS選定や各種ウェブサイト制作支援を行っております。よろしければ、ぜひ、ご相談ください。
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FAQ
Q. Drupalで作成したWebサイトのSEO効果を高めるにはどうすればいいですか?
A. Drupalには検索エンジン最適化のためのSEO機能を提供するモジュールが多数用意されています。代表的なモジュールにはMeta Tags、XML Sitemap、Redirect、Pathauto、Easy Breadcrumbsなどがあります。これらのモジュールを活用し、適切なメタ情報の設定、XMLサイトマップの自動生成、URLの最適化、パンくずリストの設置などを行うことで、DrupalサイトのSEO効果を高めることができます。また、質の高いコンテンツを定期的に更新し、内部リンク構造を適切に設計することも重要です。
Q. 既存のWordPressサイトからDrupalに移行する際の注意点は何ですか?
A. WordPressからDrupalへ移行する際は、データの移行とURLの変更に注意が必要です。WordPressのエクスポート機能でコンテンツをエクスポートし、DrupalのFeedsモジュールでインポートすることで、比較的スムーズにデータ移行ができます。ただし、カスタムフィールドのデータは別途移行作業が必要な場合があります。また、URLの構造が変わるため、リダイレクト設定によって検索エンジンと利用者を新しいURLに適切に誘導する必要があります。できるだけ同じURLを維持できるよう、Drupalの URL Aliasを活用するのも良いでしょう。移行後のサイトが正常に機能するかを十分にテストすることも大切です。
Q. DrupalはWordPressと比べてセキュリティ面で優れているのはなぜですか?
A. Drupalはセキュリティを重視して設計されており、専門のセキュリティチームによって脆弱性の監視と修正が常に行われているためセキュリティ面で優れています。Drupalのコアシステムは最小限の機能に絞られており、不要な機能によるリスクを減らせます。また、細かな権限設定によって、ユーザーごとにアクセス制御ができるのもDrupalの特長です。一方、WordPressは手軽さを重視するあまりセキュリティ面が疎かになりがちで、脆弱性を狙った攻撃も多く見られます。プラグインやテーマの選定と更新、堅牢なパスワード設定など、十分な対策が必要不可欠です。セキュリティを最優先するサイトにはDrupalが適しているといえるでしょう。
Q. 初心者でも使いやすいようなDrupalのディストリビューションはありますか?
A. Drupalには初心者でも使いやすいディストリビューション(インストール済みパッケージ)が用意されています。例えば、シンプルなWebサイト構築に適した「Drupal Starter Kit」は、必要最低限の機能があらかじめセットアップされており、管理画面からポイント&クリック操作でサイトのカスタマイズができます。コーポレートサイトに最適化された「Lightning」は、レイアウトビルダーやメディア管理機能などが充実しています。Eコマースサイト向けの「Commerce Kickstart」は、商品管理、ショッピングカート、決済機能などがそろっており、すぐにオンラインストアが開設できます。用途に合ったディストリビューションを利用することで、Drupal初心者でもスムーズにサイト構築を進められるでしょう。
Q. 大規模サイトの運用にDrupalが向いているのはなぜですか?
A. Drupalは大規模サイトの運用に適したCMSだといわれています。その理由の一つが、柔軟なコンテンツ構造とユーザー管理機能にあります。Drupalでは、コンテンツタイプと呼ばれるカスタムフィールドを自由に定義でき、サイトの規模や複雑さに合わせたコンテンツ設計が可能です。また、ロール(役割)とパーミッション(権限)の設定により、ユーザーごとに細かくアクセス制御ができるため、大勢の編集者が関わる大規模サイトの運用に役立ちます。さらに、サーバーのキャッシュ機能や効率的なデータベース設計により、アクセス負荷の高いサイトでも安定したパフォーマンスを発揮します。拡張性が高く、長期的な運用に耐えうるのもDrupalの魅力です。大規模サイトの要件を満たすCMSをお探しなら、Drupalは有力な選択肢といえるでしょう。