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イノーバマーケティングチーム2024/05/07 9:00:006 min read

Webサイトのアクセシビリティとは?

アクセシビリティの重要性

法的な義務と社会的責任

近年、Webアクセシビリティは単なる優れた取り組みではなく、法的な義務や社会的責任として認識されるようになってきました。例えば、日本では2004年に「障害者基本法」が改正され、公的機関のWebサイトにおけるアクセシビリティ対応が義務化されました。さらに、2016年には「障害者差別解消法」が施行され、民間企業にも合理的配慮の提供が求められるようになりました。

また、高齢化が進む日本社会において、Webサイトのアクセシビリティ対応は、単に障害者への配慮にとどまらず、高齢者を含むあらゆる利用者への配慮につながります。企業にとっては、社会的責任を果たすことで、ブランドイメージの向上や顧客との信頼関係の構築にもつながるのです。

ビジネス上のメリット

Webサイトのアクセシビリティ対応は、法的・社会的責任を果たすだけでなく、ビジネス上のメリットももたらします。アクセシビリティが高いサイトは、障害者や高齢者を含む幅広いユーザー層に利用されやすく、潜在的な顧客の獲得につながります。また、アクセシビリティ改善の取り組みは、サイト全体の使いやすさや品質の向上にもつながるため、売上や問い合わせの増加など、直接的な効果も期待できます。

実際、アクセシビリティに配慮したサイトリニューアルを行ったある企業では、売上が20%増加したという事例もあります。このように、アクセシビリティ対応は、社会的責任とビジネスチャンスを両立させる戦略的な取り組みだと言えるでしょう。

イノーバは、お客様の事業成長に貢献するため、アクセシビリティに配慮したWebサイト制作を行っています。私たちは、お客様のビジネスゴールを深く理解し、ユーザビリティとアクセシビリティを高次元で両立させるサイト設計を追求します。ぜひ、イノーバにWebサイトのアクセシビリティ対応をご相談ください。

アクセシビリティガイドライン(WCAG)の概要

WCAGの歴史と現在

Webアクセシビリティを評価・改善する指針として、国際的に広く認められているのが、W3C(World Wide Web Consortium)が策定した「Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)」です。WCAGは2008年に「WCAG 2.0」として公開され、2018年には最新版の「WCAG 2.1」がリリースされました。

WCAG 2.1は、WCAG 2.0の内容を継承しつつ、モバイルデバイスへの配慮や、認知障害への対応などが強化されています。現在、多くの国や地域で、WCAGはWebアクセシビリティの標準規格として採用されており、日本の公的機関もJIS X 8341-3:2016の中でWCAG 2.0に準拠することを求めています。

WCAGの4原則(POUR)

WCAGは、Webコンテンツを誰もが利用できるようにするため、以下の4つの原則(POUR)に基づいています。

  • 知覚可能(Perceivable):情報とユーザーインターフェイス・コンポーネントは、利用者が知覚できる方法で提示されなければならない。
  • 操作可能(Operable):ユーザーインターフェイス・コンポーネントと操作は、利用者が操作できなければならない。
  • 理解可能(Understandable):情報とユーザーインターフェイスの操作は、利用者が理解できるものでなければならない。
  • 堅牢性(Robust):コンテンツは、支援技術を含む様々なユーザーエージェントによって解釈できるように十分に堅牢でなければならない。

これらの原則に基づき、WCAGでは具体的なガイドラインと達成基準が定められています。Webサイトの制作者や運営者は、これらのガイドラインに沿ってアクセシビリティ対応を進めていくことが求められます。

WCAGの適合レベル(A、AA、AAA)

WCAGでは、各達成基準に対して、以下の3つの適合レベルが定められています。

  • レベルA:最低限のアクセシビリティを満たすための基準。必須の達成項目。
  • レベルAA:より高度なアクセシビリティを満たすための基準。不可欠な達成項目。
  • レベルAAA:最高レベルのアクセシビリティを満たすための基準。理想的な達成項目。

一般的に、公的機関や大企業のWebサイトは、レベルAAの適合を目指すことが推奨されています。ただし、レベルAAAの達成基準の中にも、比較的容易に対応できる項目もあるため、できる限り高いレベルのアクセシビリティを目指すことが望ましいでしょう。

WCAGは、Webアクセシビリティの国際的な指針として、今後も進化を続けていくと予想されます。Webサイトの制作者や運営者は、常に最新のガイドラインを確認し、適切なアクセシビリティ対応を行っていくことが求められます。イノーバでは、WCAGの達成基準を踏まえつつ、お客様のビジネス特性に合わせたアクセシビリティ設計を提案・実装しています。

アクセシビリティを考慮したWebサイト設計

セマンティックHTMLの使用

適切な見出しの使用

セマンティックHTMLとは、コンテンツの意味や構造を適切に表現するためのHTML要素の使用法を指します。その中でも特に重要なのが、見出し要素(h1〜h6)の適切な使用です。

見出し要素は、ページ内の章立てを表現し、コンテンツの階層構造を明確にするために使用します。h1要素は、ページ内で最も重要な見出しを表し、通常は1ページに1つだけ使用します。h2〜h6要素は、セクションの見出しを表現するために使用し、階層関係を適切に表現することが重要です。

例えば、ニュース記事のページでは、以下のような見出しの使い方が考えられます。

<h1>株式会社イノーバが新サービスを発表</h1> 
<h2>新サービスの概要</h2> 
<h3>主な特徴</h3>
<h3>利用料金</h3> 
<h2>サービス開始の背景</h2>
<h2>今後の展望</h2> 

このように、適切な見出しの使用は、スクリーンリーダーを使用する視覚障害者にとって、ページ内の情報の把握を助けるだけでなく、健常者にとってもコンテンツの構造を理解しやすくするメリットがあります。

リストとテーブルの活用

セマンティックHTMLでは、リスト(ul, ol, dl)や表(table)の要素も重要な役割を果たします。リストは、関連する項目をグループ化し、情報の関係性を明確に表現するために使用します。順序付きリスト(ol)は、順序が重要な項目に、順序なしリスト(ul)は、順序に意味がない項目のグループ化に使用します。

例えば、「料理の作り方」を説明するページでは、以下のようなマークアップが考えられます。

<h2>材料</h2>
<ul> <li>卵(2個)</li>
<li>牛乳(200ml)</li> 
<li>砂糖(大さじ2)</li> 
</ul> <h2>作り方</h2> 
<ol>
<li>卵を割りほぐし、牛乳と砂糖を加えて混ぜる。</li> 
<li>バットに流し入れ、蒸気の上がった蒸し器で10分ほど加熱する。</li>
<li>竹串を刺してみて、生地が付いてこなければ出来上がり。</li>
</ol> 

一方、表(table)は、行と列の関係を持つデータをマークアップするために使用します。表には、必ず各列の見出し(th)を設定し、表の構造を明確にすることが重要です。

例えば、「商品の比較表」では、以下のようなマークアップが考えられます。

<table> 
<thead> 
<tr> 
<th>商品名</th>
<th>価格</th>
<th>容量</th> 
<th>特徴</th> 
</tr>
</thead>
<tbody>
<tr> 
<td>イノーバクリーム</td> 
<td>1,200円</td>
<td>200g</td>
<td>濃厚な味わいが特徴</td>
</tr>
<tr> 
<td>イノーバローション</td> 
<td>900円</td> 
<td>150ml</td> <td>肌に優しいオーガニック処方</td> </tr> </tbody> </table>

このようなリストや表を適切に使用することで、コンテンツの構造を明確にし、スクリーンリーダーを使用する視覚障害者にとっても理解しやすいWebサイトを制作することができます。

ARIAランドマークの活用

HTML5では、nav, main, article, asideなどのセマンティック要素が導入され、コンテンツの役割を明示的に示すことができるようになりました。さらに、ARIAランドマークを使用することで、セマンティック要素の役割をスクリーンリーダーに伝えることができます。

例えば、ページのメインコンテンツを示すために、以下のようなARIAランドマークを使用します。

<main role="main">
<h1>イノーバの新サービス</h1>
<p>イノーバは、このたび新サービス「イノーバクラウド」の提供を開始しました。</p>
... </main>

また、ページ内の補足的なコンテンツを示すために、以下のようなARIAランドマークを使用します。

<aside role="complementary"> 
<h2>関連記事</h2>
<ul>
<li><a href="/news/20210401">イノーバ、新オフィスを開設</a></li>
<li><a href="/news/20210301">イノーバ、創立10周年を迎えました </a></li>
</ul>
</aside>

このように、ARIAランドマークを適切に使用することで、スクリーンリーダーを使用する視覚障害者にとって、ページ内の重要なコンテンツを素早く見つけることができるようになります。

セマンティックHTMLとARIAランドマークの活用は、アクセシビリティ向上だけでなく、SEO対策としても有効です。検索エンジンは、セマンティックな要素を手がかりにコンテンツの構造や意味を理解しやすくなるため、適切なHTMLマークアップは検索順位の向上にもつながります。イノーバでは、セマンティックHTMLとARIAの最新動向を踏まえつつ、お客様のWebサイトの目的に合わせた最適なマークアップを提案・実装しています。

キーボードナビゲーションの確保

フォーカス可能な要素の設定

マウスを使用することが困難な人や、視覚障害者の中には、キーボードのみを使ってWebサイトを閲覧する人もいます。そのため、すべてのインタラクティブな要素(リンク、ボタン、フォーム・コントロールなど)に対して、キーボードでフォーカスを移動し操作できるようにすることが重要です。

HTMLでは、a要素やbutton要素、input要素などがデフォルトでフォーカス可能になっています。一方、div要素やspan要素などのインタラクティブでない要素に対しては、tabindex属性を使用することでフォーカス可能にすることができます。

例えば、以下のようなカスタムボタンを作成する場合、

<div class="button">送信</div> 

このままではキーボードでフォーカスを移動することができません。そこで、tabindex属性を追加することで、フォーカス可能にします。

<div class="button" tabindex="0">送信</div> 

ただし、tabindex属性の値を1以上に設定すると、フォーカス順序が明示的に指定されるため、ページの論理的な流れと一致しなくなる可能性があります。そのため、フォーカス順序を変更する必要がない限り、tabindex="0"を使用するようにしましょう。

適切なタブ順序の設定

キーボードナビゲーションを確保するためには、適切なタブ順序を設定することも重要です。一般的に、タブ順序はコンテンツの論理的な流れに沿って設定し、ユーザーが予測しやすいものにする必要があります。

例えば、以下のようなフォームがある場合、

<form> 
<label for="name">お名前</label>
<input type="text" id="name" name="name">
<label for="email">メールアドレス</label>
<input type="email" id="email" name="email">
<label for="message">お問い合わせ内容</label>
<textarea id="message" name="message"></textarea>
<button type="submit">送信</button>
</form>

「お名前」「メールアドレス」「お問い合わせ内容」「送信」の順番でタブ移動ができるようにします。このように、ユーザーが予測しやすいタブ順序を設定することで、スムーズなキーボード操作を実現できます。

また、フォーカスの視認性を高めるために、:focusセレクタを使用してフォーカス中の要素にスタイルを適用することも大切です。デフォルトのフォーカススタイルは視認性が低い場合があるため、Webサイトのデザインに合わせて適切にカスタマイズしましょう。

/* フォーカス中のリンクに下線とアウトラインを表示 */
a:focus { outline: 2px solid #000; text-decoration: underline; }
/* フォーカス中のボタンに影とアウトラインを表示 */
button:focus { outline: 2px solid #000; box-shadow: 0 0 0 4px rgba(0, 0, 0, 0.3); }

スキップリンクの提供

多くのWebサイトでは、ページの上部にグローバルナビゲーションやサイト内検索などの共通要素が配置されています。これらの要素は、ページ内のメインコンテンツにたどり着くまでに何度もタブキーを押す必要があるため、キーボード利用者にとって負担となることがあります。

そこで、ページの先頭に「メインコンテンツまでスキップ」というリンク(スキップリンク)を配置し、そのリンクを選択することで、共通部分を飛ばしてメインコンテンツに直接移動できるようにします。

<body> 
<a href="#main" class="skip-link">メインコンテンツまでスキップ</a>
<header>
<nav>...</nav>
</header>
<main id="main"> <h1>ページタイトル</h1> ... </main>
</body>

スキップリンクは、通常のデザインではほとんど目立たないように非表示にし、フォーカスを受け取ったときだけ表示されるようにします。

.skip-link { position: absolute; top: -9999px; left: -9999px; z-index: 999; padding: 0.5em; background-color: #fff; color: #000; text-decoration: none; } .skip-link:focus { top: 0; left: 0; } 

このようなスキップリンクを提供することで、キーボード利用者はより効率的にメインコンテンツにアクセスできるようになります。イノーバでは、お客様のWebサイトの特性に合わせて、最適なスキップリンクの設計・実装を行っています。

視覚的なデザイン配慮

十分なコントラスト比の確保

視覚に障害のある人や、加齢によって視力が低下した高齢者にとって、文字と背景のコントラスト比が十分でないと、コンテンツを読むことが困難になります。WCAGでは、通常のテキストに対して少なくとも4.5:1、大きめの文字(18ポイント以上または14ポイント以上の太字)に対しては3:1のコントラスト比を確保することを推奨しています。

コントラスト比は、Webブラウザの開発者ツールや、オンラインのコントラストチェッカーを使用することで簡単に確認できます。例えば、Chromeの開発者ツールでは、要素を選択して、Elementsパネルのスタイルサイドバーでコントラスト比を確認できます。

また、背景に画像を使用する場合は、画像の上に配置するテキストが読みづらくならないよう、十分なコントラストを確保することが重要です。画像の上に半透明の背景色を重ねるなどの工夫が必要です。

色だけに頼らない情報伝達

色覚に障害のある人は、特定の色の組み合わせを識別することが難しい場合があります。そのため、色だけでなく、アイコンや下線、太字などの視覚的な手がかりを併用して情報を伝達することが大切です。

例えば、必須入力フィールドを示す場合、赤色のアスタリスクだけでなく、「必須」というテキストラベルを併記します。

<label for="name"> お名前 <span class="required">(必須)</span> <span class="required-icon" aria-hidden="true">*</span> </label> <input type="text" id="name" name="name" required> 

また、グラフや図表では、色の違いだけでなく、模様やラベルを使って区別できるようにします。

適切なフォントサイズと行間隔

高齢者や視力の低下した人にとって、小さな文字は読みづらいものです。WCAGでは、テキストのサイズを少なくとも18ポイント(約24ピクセル)以上にすることを推奨しています。ただし、ユーザーがブラウザの設定でテキストサイズを変更できるよう、フォントサイズの指定にはpxではなく、em, rem, %などの相対単位を使用することが重要です。

行間隔も読みやすさに大きな影響を与えます。一般的に、行間隔は文字サイズの1.5倍以上が望ましいとされています。CSSでは、line-heightプロパティを使用して行間隔を指定します。

body { font-size: 1.2rem; line-height: 1.8; } 

また、長い行は読みづらくなるため、1行の文字数は50〜80文字程度に収めることが推奨されています。max-widthプロパティを使用して、テキストコンテナの最大幅を制限しましょう。

.text-container { max-width: 80ch; } 

イノーバでは、お客様のターゲットユーザーや目的に合わせて、最適なフォントサイズ・行間隔・行長の設計を行っています。視覚的なデザインと読みやすさを両立させ、すべてのユーザーにとって快適な読書体験を提供することを目指します。

マルチメディアコンテンツへの配慮

画像への代替テキスト付与

スクリーンリーダーを使用する視覚障害者は、画像の内容を直接知ることができません。そのため、すべての画像に対して、その内容や機能を説明する代替テキスト(altテキスト)を提供することが重要です。altテキストは、img要素のalt属性に指定します。

<img src="logo.png" alt="株式会社イノーバ"> 

altテキストを書く際は、画像の内容を簡潔に説明することを心がけましょう。装飾的な画像や、テキストで既に説明されている内容と同じ画像には、空のaltテキスト(alt="")を指定します。

例えば、以下のようなニュース記事の見出し画像の場合、

<article> <h2>イノーバ、新サービス「イノーバクラウド」を発表</h2>
<img src="news-header.png" alt=""> <p>株式会社イノーバは、本日、新サービス「イノーバクラウド」の提供を開始しました...</p> </article>

見出しテキストと同じ内容の画像なので、altテキストは空にしています。

また、ボタンやリンクとして機能する画像の場合は、その動作や目的を説明するaltテキストを記述します。

<a href="https://www.innova-jp.com/">
<img src="banner.png" alt="イノーバ公式サイトへ">

このように、適切なaltテキストを提供することで、視覚障害者もコンテンツを理解し、Webサイトを円滑に利用できるようになります。

動画へのキャプション・音声解説の提供

動画コンテンツには、聴覚障害者のためのキャプション(字幕)と、視覚障害者のための音声解説を提供することが求められます。キャプションは、動画の音声情報をテキストで表示するものです。音声解説は、動画の視覚的な情報を音声で説明するものです。

HTML5のvideo要素では、track要素を使用してキャプションと音声解説を提供できます。

<video controls>
<source src="video.mp4" type="video/mp4">
<track src="captions.vtt" kind="captions" srclang="ja" label="日本語キャプション"> <track src="descriptions.vtt" kind="descriptions" srclang="ja" label="日本語音声解説"> </video>

上記の例では、captions.vttファイルにキャプションのデータ、descriptions.vttファイルに音声解説のデータが記述されています。これらのファイルはWebVTT(Web Video Text Tracks)形式で作成します。

キャプションと音声解説は、動画の制作段階から計画し、作成することが理想的です。動画プラットフォームを利用する場合は、プラットフォームが提供する字幕・音声解説の機能を活用しましょう。YouTubeでは、動画のアップロード後に自動生成されたキャプションを編集することができます。

音声コンテンツへの文字起こしの提供

ポッドキャストなどの音声コンテンツには、聴覚障害者のために文字起こし(トランスクリプト)を提供することが重要です。文字起こしは、音声の内容をテキストで表現したものです。

文字起こしは、音声コンテンツとは別のHTMLページに記載するか、音声プレーヤーの近くに配置します。

<audio controls> <source src="podcast.mp3" type="audio/mpeg"> </audio>
<div class="transcript">
<h3>文字起こし</h3>
<p>こんにちは、イノーバの田中です。今日は、新サービス「イノーバクラウド」について紹介します...</p>
</div>

文字起こしは、音声認識ツールを使って自動生成することもできますが、正確性を期すために、人手で校正することが望ましいでしょう。

イノーバでは、動画・音声コンテンツのアクセシビリティ対応を包括的にサポートしています。企画・制作段階からアクセシビリティを考慮し、ユーザーの多様なニーズに応えるコンテンツづくりを目指します。

フォームのアクセシビリティ

ラベルとフォーム・コントロールの関連付け

フォームのアクセシビリティを確保するためには、すべてのフォーム・コントロール(テキスト入力、チェックボックス、ラジオボタンなど)に対して、適切なラベルを関連付ける必要があります。ラベルとフォーム・コントロールを関連付けることで、スクリーンリーダーを使用する視覚障害者も、フォームの入力項目を正しく理解できるようになります。

ラベルとフォーム・コントロールの関連付けには、label要素を使用します。label要素のfor属性には、対応するフォーム・コントロールのid属性を指定します。

<label for="name">お名前</label> 
<input type="text" id="name" name="name">
<input type="checkbox" id="agree" name="agree">
<label for="agree">利用規約に同意する</label>

また、fieldset要素とlegend要素を使用して、関連するフォーム・コントロールをグループ化することもできます。

<fieldset> 
<legend>お支払い方法</legend>
<input type="radio" id="credit" name="payment" value="credit">
<label for="credit">クレジットカード</label>
<input type="radio" id="bank" name="payment" value="bank">
<label for="bank">銀行振込</label>
</fieldset>

このように、ラベルとフォーム・コントロールを適切に関連付けることで、すべてのユーザーがフォームを正しく理解し、入力できるようになります。

エラー情報のわかりやすい提示

フォームの入力エラーが発生した場合は、エラーの内容とエラーのあるフィールドを明確に伝える必要があります。エラーメッセージは、テキストだけでなく、アイコンや色などの視覚的な手がかりを併用して伝えることが重要です。

また、エラーのあるフィールドには、aria-invalid属性を指定して、スクリーンリーダーからもエラーであることを伝えます。

<label for="email">メールアドレス</label> 
<input type="email" id="email" name="email" aria-invalid="true">
<p class="error-message"> <span class="icon" aria-hidden="true">⚠</span> 有効なメールアドレスを入力してください。 </p>

エラーメッセージは、エラーのあるフィールドの近くに配置し、見落とされないようにします。また、エラーの修正方法を具体的に説明することで、ユーザーが迷うことなくフォームを完成できるようにサポートします。

さらに、フォームの送信後には、エラーの概要とエラーのあるフィールドへのリンクを提供し、ユーザーがエラーを素早く修正できるようにします。

<div class="error-summary" role="alert">
<h2>入力エラーがあります</h2>
<ul>
<li><a href="#email">メールアドレスを確認してください</a></li>
<li><a href="#password">パスワードは8文字以上で入力してください</a></li>
</ul>
</div>

このようなエラーハンドリングを適切に行うことで、すべてのユーザーがスムーズにフォームを完成できるようになります。

十分な入力時間の確保

フォームの入力には、一定の時間を要するユーザーがいることを考慮する必要があります。特に、手の不自由な人や、認知障害のある人は、入力に時間がかかる場合があります。そのため、フォームの送信には十分な入力時間を確保することが大切です。

セッションタイムアウトを設定する場合は、ユーザーに事前に告知し、タイムアウトまでの残り時間を表示します。また、タイムアウト直前には、ユーザーに入力の延長を確認するメッセージを表示し、必要に応じてセッションを延長できるようにします。

<script> setTimeout(function() { if (confirm("まもなくセッションがタイムアウトします。延長しますか?")) { // セッションを延長する処理 } else { // セッションをクリアする処理 } }, 1800000); // 30分(1800秒)後に確認 </script> 

また、フォームに入力した内容が失われないよう、定期的に自動保存する機能を検討することも重要です。自動保存機能があれば、ユーザーは安心してフォームに取り組むことができます。

イノーバでは、お客様のWebサイトの目的や利用シーンに合わせて、最適なフォーム設計をご提案します。アクセシビリティに配慮したフォームは、すべてのユーザーにとって使いやすく、ストレスのないものでなければなりません。イノーバのアクセシビリティ専門家が、フォームの設計・実装をサポートいたします。

アクセシビリティテストと継続的改善

自動チェックツールの活用

Webサイトのアクセシビリティを評価するためには、自動チェックツールを活用することが有効です。自動チェックツールは、HTMLのマークアップや、コントラスト比、代替テキストの有無などを自動的にチェックし、問題点を洗い出してくれます。

代表的な自動チェックツールとしては、以下のようなものがあります。

ツール名 特徴
WAVE
  • Webサイトの無料評価ができるオンラインサービス
  • ブラウザ拡張機能としても提供
  • 視覚的なフィードバックが特徴
aXe
  • Deque Systems社が開発したオープンソースのツール
  • Chrome拡張機能、Firefoxアドオンとして提供
  • シンプルで使いやすいインターフェース
Lighthouse
  • Googleが開発したオープンソースのツール
  • Chrome DevToolsに組み込まれている
  • アクセシビリティだけでなく、パフォーマンスやSEOなども評価可能

これらのツールを使って定期的にアクセシビリティをチェックし、問題点を早期に発見・修正することが重要です。ただし、自動チェックツールはあくまでも機械的なチェックであり、すべての問題を検出できるわけではありません。人間による手動チェックと組み合わせて使用することが必要不可欠です。

手動チェックの重要性

キーボードのみでの操作確認

自動チェックツールでは検出できない重要なポイントの1つが、キーボードのみでの操作性です。マウスを使用できない人や、スクリーンリーダーを使用する視覚障害者は、キーボードだけでWebサイトを操作します。したがって、すべてのインタラクティブな要素に対して、キーボードから操作可能であることを手動で確認する必要があります。

具体的には、以下の手順でキーボードのみの操作をチェックします。

  1. マウスを使わずに、TabキーとShift+Tabキーでページ内を移動し、すべてのインタラクティブな要素(リンク、ボタン、フォーム・コントロールなど)にアクセスできることを確認する。
  2. フォーカスがわかりやすく表示されていることを確認する。
  3. Enterキーでリンクやボタンを操作できることを確認する。
  4. フォーム・コントロールに対して、キーボードから値を入力・選択・送信できることを確認する。

キーボード操作に問題がある場合は、HTMLのマークアップやJavaScriptのコードを見直し、適切に修正する必要があります。

スクリーンリーダーでの動作確認

スクリーンリーダーは、視覚障害者がWebサイトを利用する際に使用するソフトウェアです。スクリーンリーダーは、画面上のテキストを音声で読み上げたり、点字ディスプレイに出力したりすることで、視覚情報をユーザーに伝えます。

Webサイトがスクリーンリーダーで正しく読み上げられるかどうかを確認するためには、実際にスクリーンリーダーを使ってWebサイトを操作してみる必要があります。代表的なスクリーンリーダーとしては、以下のようなものがあります。

  • JAWS(Windows)
  • NVDA(Windows)
  • VoiceOver(macOS、iOS)
  • TalkBack(Android)

スクリーンリーダーを使ってWebサイトを確認する際は、以下の点に注意しましょう。

  1. ページの構造が正しく読み上げられるか(見出しのレベル、リスト、表など)。
  2. 画像の代替テキストが適切に読み上げられるか。
  3. リンクやボタンの目的が明確に伝わるか。
  4. フォームの入力項目とラベルが正しく関連付けられているか。
  5. 動的に更新される部分(ライブリージョン)が通知されるか。

スクリーンリーダーでの確認は、慣れないうちは戸惑うことも多いかもしれません。しかし、視覚障害者の利用状況を理解するためにも、継続的に取り組むことが重要です。イノーバでは、専門スタッフによる手動アクセシビリティチェックを行い、スクリーンリーダーでの動作確認もしっかりと行います。お客様に代わって、高品質なアクセシビリティを確保いたします。

ユーザーフィードバックの収集と反映

Webサイトのアクセシビリティは、利用者である障害者の方々の意見を聞くことで、さらに向上させることができます。アクセシビリティ上の問題点や改善要望は、利用者の声を直接収集することで得られる生の情報です。

ユーザーフィードバックを収集するためには、以下のような方法が考えられます。

  • Webサイトにフィードバックフォームを設置する。
  • アクセシビリティに関する問い合わせ窓口を設ける。
  • ユーザビリティテストに障害者の方を招き、直接意見を聞く。
  • アクセシビリティに関するアンケートを実施する。
  • ソーシャルメディアでの声を収集する。

収集したフィードバックは、真摯に受け止め、Webサイトの改善に反映していくことが重要です。アクセシビリティ上の問題は、障害者の利用を妨げるだけでなく、すべてのユーザーの利便性を損なう可能性があります。ユーザーの声に耳を傾け、継続的に改善を図ることが、アクセシビリティとユーザビリティの向上につながります。

継続的なモニタリングと改善

Webサイトのアクセシビリティは、一度達成したら終わりというものではありません。新しいコンテンツの追加や、デザインの変更、技術の進化などに伴い、常にアクセシビリティ上の新たな課題が生じる可能性があります。そのため、継続的にアクセシビリティをモニタリングし、改善を重ねていくことが欠かせません。

具体的には、以下のようなサイクルでアクセシビリティの継続的改善に取り組むことが望ましいでしょう。

  1. 定期的な自動チェックと手動チェックを実施し、問題点を洗い出す。
  2. 発見された問題点に優先順位を付け、改善計画を立てる。
  3. 改善を実行し、再度チェックを行って効果を確認する。
  4. ユーザーフィードバックを収集し、新たな改善点を見つける。
  5. 1〜4のサイクルを継続的に回していく。

このようなサイクルを回していくためには、組織としてのアクセシビリティへの意識と体制づくりが重要です。アクセシビリティを担当する専門チームを設置したり、全社的な研修を行ったりするなど、組織全体でアクセシビリティ向上に取り組む土壌を作ることが求められます。

イノーバは、お客様のWebサイトのアクセシビリティを継続的にサポートいたします。定期的なモニタリングと改善提案、組織体制の構築支援など、お客様のアクセシビリティ向上の取り組みに全面的に協力させていただきます。私たちの使命は、お客様のWebサイトを、すべての人に優しく、使いやすいものにすることです。アクセシビリティの実現に向けて、イノーバは全力を尽くします。

コラム:アクセシビリティの本質を見つめて

ここまで、Webアクセシビリティの基礎知識や具体的な実装方法について詳しく解説してきました。ガイドラインに沿って着実にアクセシビリティ対応を進めることは、もちろん重要です。しかし、時として、ガイドラインへの対応だけに目を奪われ、アクセシビリティの本質を見失ってしまうことがあるのではないでしょうか。

アクセシビリティの真の目的は、何らかの障害や制約を持つ人を含め、あらゆる人々がWebの恩恵を平等に受けられるようにすることです。そのためには、私たち一人一人が、障害者をはじめとする多様なユーザーの存在を意識し、その視点に立って考えることが欠かせません。

想像してみてください。目が見えない人が、スクリーンリーダーを頼りにWebサイトを訪れる様子を。手が不自由で、マウスを使えない人が、一つ一つキーボードを押してリンクを辿る様子を。そのようなユーザーの行動を思い浮かべながら、Webサイトを制作していくことが大切だと思うのです。

Webのアクセシビリティは、技術の問題であると同時に、人々の意識の問題でもあります。一人でも多くの人が、アクセシビリティの重要性を認識し、当事者の視点に立って行動することで、初めて「誰一人取り残さない」Webの実現に近づくことができるでしょう。

この記事を読んでくださったあなたも、ぜひ、アクセシビリティの本質を見つめる目を持ってください。一人一人の意識が変われば、Webはもっと優しく、豊かなものになります。私たちイノーバは、お客様とともに、誰もが使いやすいWebの実現を目指して、これからも歩んでいきたいと思います。

FAQ

1. アクセシビリティ改善によるSEOへの影響は?

アクセシビリティの改善は、SEOにもプラスの影響を与えます。適切な見出しの使用やセマンティックHTMLの採用は、検索エンジンが内容を理解しやすくなるため、検索順位の向上が期待できます。

2. アクセシビリティ対応にかかる工数・コストは?

アクセシビリティ対応に必要な工数やコストは、Webサイトの規模や求められるレベルによって異なります。初期対応には一定の工数が発生しますが、長期的には運用コストの削減や顧客満足度の向上により、投資効果が得られるでしょう。

3. 既存サイトのアクセシビリティ改善の進め方は?

既存サイトの場合、まずアクセシビリティ診断を行い、課題を洗い出すことが重要です。診断結果に基づいて改善計画を立て、優先度の高い項目から順次対応していきます。サイト全体の見直しが難しい場合は、部分的な改修から始めるのも一つの方法です。

4. アクセシビリティに関する社内教育の方法は?

アクセシビリティに関する社内教育は、経営層から開発者まで、幅広い層を対象に行うことが望ましいです。座学だけでなく、ワークショップ形式で実際にアクセシビリティ上の問題を体験してもらうなど、体感的な学びの機会を設けることも効果的でしょう。

5. 海外向けサイトのアクセシビリティ対応の留意点は?

海外向けサイトの場合、対象国の法規制や文化的背景を考慮する必要があります。言語の違いによるテキストの長さの変化や、色の使い方の違いなども、アクセシビリティに影響を与える可能性があります。現地の専門家に相談しながら対応を進めることが望ましいでしょう。

6. アクセシビリティ対応によるサイトパフォーマンスへの影響は?

アクセシビリティ対応は、むしろサイトのパフォーマンス向上に寄与する場合があります。不要な装飾を削ぎ落とすことで、ページの軽量化が図れます。また、セマンティックHTMLの使用は、ブラウザによるレンダリングを速くする効果も期待できます。

7. アクセシビリティとユーザビリティの関係は?

アクセシビリティとユーザビリティは、密接に関連しています。アクセシビリティが高いサイトは、一般のユーザーにとっても使いやすいことが多いです。例えば、分かりやすい見出しや適切なラベリングは、すべてのユーザーの利便性を高めます。両者はWebサイトの価値を高める上で、車の両輪だと言えるでしょう。

8. モバイルデバイスに特化したアクセシビリティ対応のポイントは?

モバイルデバイスでは、画面が小さく、タッチ操作が中心になるため、アクセシビリティ上の配慮が特に重要です。ボタンやリンクのタップ領域を十分に確保することや、テキストの可読性を高めることが求められます。レスポンシブデザインの採用により、異なる画面サイズへの対応も欠かせません。

9. 高齢者に配慮したアクセシビリティ設計のコツは?

高齢者は、視力の低下や手先の不自由さなど、加齢に伴う身体的変化に直面することが多いです。大きめのテキストサイズ、十分なコントラスト比、クリックしやすいボタンサイズなどが、高齢者のアクセシビリティを高めるポイントになります。また、シンプルで直感的なユーザーインターフェースを心がけることも重要です。

10. 障害者手帳の等級別に求められるアクセシビリティ対応は?

障害者手帳の等級によって、必要とされるアクセシビリティ対応のレベルは異なります。例えば、重度の視覚障害者には、音声読み上げによる対応が不可欠です。一方、軽度の視覚障害者には、拡大表示や色のカスタマイズ機能が役立ちます。障害の種類や程度に応じたきめ細やかな配慮が求められると言えるでしょう。

11. 日本の公的機関によるアクセシビリティ関連の指針や法律は?

日本では、2004年に改正された「障害者基本法」で、公的機関のWebアクセシビリティ対応が義務化されました。また、JIS規格「JIS X 8341-3」では、Webサイトのアクセシビリティ基準が定められています。2016年に施行された「障害者差別解消法」は、民間事業者にも合理的配慮の提供を求めています。

12. 諸外国のアクセシビリティ関連法の動向は?

欧米諸国では、早くからWebアクセシビリティに関する法整備が進められてきました。米国では、1998年のリハビリテーション法508条で、連邦政府機関に対するアクセシビリティ基準が定められました。EUでは、2016年に採択された「EU指令2016/2102」で、公的機関のWebサイトとモバイルアプリのアクセシビリティ対応が義務付けられています。各国の動向を参考にしつつ、日本の実情に合ったアクセシビリティ施策を検討していく必要があるでしょう。

13. アクセシビリティに配慮したCSSテクニックには何がある?

CSSを活用することで、アクセシビリティを高めるさまざまな工夫が可能です。例えば、:focusセレクタを使ったフォーカスの可視化、em単位を使ったテキストサイズの相対指定、メディアクエリを使ったレスポンシブデザインなどが挙げられます。また、CSSの"display: none"を使う際は、コンテンツを非表示にするだけでなく、支援技術からもアクセスできなくなることに留意が必要です。

14. JavaScriptを使う際のアクセシビリティ上の注意点は?

JavaScriptを使う際は、キーボード操作可能性の確保が特に重要です。マウスオーバーで表示される要素には、フォーカスを移動できるようにしておきます。また、動的に更新される部分は、aria-live属性を使って支援技術に通知する必要があります。JavaScript無効時の代替コンテンツにも配慮が必要です。アクセシビリティを損なわない範囲でのJavaScript活用を心がけましょう。

15. アクセシビリティ対応とレスポンシブデザインの両立方法は?

アクセシビリティとレスポンシブデザインは、互いに補完し合う関係にあります。どちらも、ユーザーの多様性に配慮した設計と言えます。レスポンシブデザインの実践により、さまざまな画面サイズでのアクセシビリティを確保しやすくなります。一方、アクセシビリティ配慮により、レスポンシブデザインの恩恵をより多くのユーザーが享受できるようになります。両者のベストプラクティスを組み合わせることが肝要です。

16. CMSを使ったWebサイトのアクセシビリティ確保の留意点は?

CMSを使う場合、コンテンツ制作者がアクセシビリティ配慮を適切に行えるようサポートすることが重要です。記事作成画面でのアクセシビリティガイドの表示、代替テキスト入力欄の設置、見出しの構造化促進など、制作者の意識を高め、確実なアクセシビリティ対応を促す工夫が求められます。また、CMS自体のアクセシビリティにも目を配る必要があります。

17. PDFコンテンツのアクセシビリティ対応方法は?

PDF文書のアクセシビリティを確保するためには、タグ付けによる構造化、代替テキストの提供、読み上げ順序の設定などが必要です。Adobe Acrobatなどのツールを活用し、適切にタグ付けされたPDFを作成することが求められます。また、PDFの内容はHTML版でも提供し、ユーザーに選択肢を与えることが理想的です。PDFのアクセシビリティは、Webサイト全体のアクセシビリティ向上に欠かせない要素と言えるでしょう。

18. アクセシビリティに関する国際的カンファレンスや組織には何がある?

アクセシビリティに関する国際的なカンファレンスとしては、米国で毎年開催されるCSUN(International Technology and Persons with Disabilities Conference)が有名です。また、W3CのWAI(Web Accessibility Initiative)は、国際的なアクセシビリティ標準の策定を行っています。各国のアクセシビリティ関連団体が集うIAPD(International Association of Accessibility Professionals)も、情報共有や人材育成に役立ちます。

19. アクセシビリティ対応の効果を測定する指標には何がある?

アクセシビリティ対応の効果測定には、定量的指標と定性的指標の両面からのアプローチが必要です。定量的指標としては、アクセシビリティ評価点数の向上、支援技術利用者の利用率、コンバージョン率などが考えられます。定性的指標としては、ユーザーの満足度、ブランドイメージの変化などが挙げられます。複数の指標を組み合わせ、多角的にアクセシビリティ対応の効果を評価することが大切です。

20. 自社のアクセシビリティ方針の策定・公開の重要性は?

自社のアクセシビリティ方針を策定し、公開することは、組織としてのアクセシビリティへの姿勢を明確に示すために重要です。方針では、アクセシビリティ確保に対する基本的な考え方、達成目標、具体的な取り組み内容などを明記します。公開することで、社内の意識向上を図るとともに、ユーザーや社会からの信頼を得ることにつながります。アクセシビリティ方針は、組織の長期的な成長戦略の一部として位置付けるべきでしょう。

21. アクセシビリティ対応と個人情報保護の関係は?

アクセシビリティ対応と個人情報保護は、どちらもユーザーの権利を守ることを目的としています。例えば、フォームでの入力支援のためにユーザーの障害に関する情報を収集する場合、個人情報の適切な取り扱いが求められます。また、サイトのアクセシビリティ設定の保存にクッキーを使用する場合なども、プライバシーポリシーでの説明と同意取得が必要です。両者のバランスを取りながら、ユーザーの利便性と安全性を追求することが肝要です。

22. Webアクセシビリティの専門家への相談方法は?

Webアクセシビリティの専門家に相談することで、自社の取り組みをより実効性の高いものにできます。専門家への相談には、コンサルティング会社への依頼、フリーランスの専門家への業務委託などの方法があります。また、アクセシビリティ関連団体が専門家の紹介を行っていることもあります。イノーバでは、豊富な知見を持つアクセシビリティ専門家が、お客様の課題解決をサポートいたします。お気軽にご相談ください。

23. アクセシビリティを考慮したUIコンポーネントライブラリには何がある?

アクセシビリティに配慮したUIコンポーネントを提供するライブラリを活用することで、効率的なアクセシブルデザインの実現が可能です。代表的なライブラリとしては、React用のReach UI、Vue用のVuetensils、汎用的に使えるInclusiveComponentsなどが挙げられます。これらのライブラリは、キーボード操作性、WAI-ARIA対応、適切なフォーカス管理などに優れています。要件に合ったライブラリを選定し、活用することをお勧めします。

24. 音声操作に対応したWebサイト設計のポイントは?

音声操作に対応したWebサイト設計では、シンプルで直感的なインターフェースが特に重要です。音声で操作しやすいようランドマークを適切に設定し、ページ構造を明確にします。また、音声コマンドのヒントを提供したり、操作のキャンセルや取り消しを可能にしたりするなど、ユーザーの使いやすさに配慮が必要です。音声操作は、高齢者や障害者だけでなく、ハンズフリーでの利用を好む層にも役立ちます。音声インターフェースの需要は今後も高まると予想されます。

25. アクセシビリティを学べるオンライン講座やウェビナーは?

アクセシビリティを学ぶためのオンライン講座やウェビナーは、近年増加傾向にあります。W3CのWAIが提供するオンライントレーニングには、初心者向けから上級者向けまで幅広いコースが用意されています。また、UdacityのWeb Accessibilityコースは、実践的なプロジェクトを通してアクセシビリティを学べる人気の講座です。各国のアクセシビリティ関連団体が主催するウェビナーも、有益な情報源となるでしょう。オンラインでの学習は、自分のペースで知識を深められる点が魅力です。

26. アクセシビリティに関するブログや情報サイトのおすすめは?

アクセシビリティに関する最新情報や実践的なノウハウを得るために、専門的なブログや情報サイトを活用することをお勧めします。例えば、Google Developersの「Accessible to all」シリーズでは、Googleのアクセシビリティ改善事例が紹介されています。また、The A11Y Projectは、アクセシビリティに関するリソースやツールを網羅的に提供しています。国内では、アクセシビリティコンサルタントの太田良典氏のブログ「OATMEAL」が有名です。定期的にチェックすることで、アクセシビリティへの理解を深められるでしょう。

27. アクセシビリティ改善に社内で協力を得るためのコツは?

アクセシビリティ改善には、社内の様々な部門の協力が不可欠です。協力を得るためには、アクセシビリティの重要性を丁寧に説明し、共感を得ることが大切です。各部門にとってのメリット(ユーザビリティの向上、SEO効果、企業イメージの向上など)を示すことも効果的でしょう。また、アクセシビリティ推進の中心となるチームを立ち上げ、各部門との調整役を担ってもらうのも一案です。地道な働きかけを通じて、組織全体でアクセシビリティを重視する文化を育てていくことが求められます。

28. アクセシビリティ対応とサイトリニューアルを同時に行うメリットは?

Webサイトのリニューアルとアクセシビリティ対応を同時に行うことで、効率的に両者を達成できます。新しいデザインやコンテンツ構成の検討段階からアクセシビリティを考慮することで、後の修正コストを抑えられます。また、リニューアルにより注目度が高まるタイミングでアクセシビリティ対応を行うことは、企業のイメージアップにもつながります。サイトリニューアルとアクセシビリティ対応は、相乗効果を生む取り組みだと言えるでしょう。

29. 低予算でもできるアクセシビリティ改善策には何がある?

アクセシビリティ対応に多額の予算をかけられない場合でも、できることは多岐にわたります。例えば、セマンティックHTMLの適用、代替テキストの追加、キーボード操作性の確保など、HTMLの記述レベルでの改善は比較的コストを抑えられます。また、サイト内検索の最適化、文字サイズ変更機能の追加なども、比較的安価に実現できる施策です。アクセシビリティは一朝一夕で達成できるものではありません。できることから着実に取り組むことが肝要です。

30. アクセシビリティ品質を長期的に維持するための体制作りのポイントは?

アクセシビリティ品質を長期的に維持するためには、社内の体制づくりが欠かせません。具体的には、アクセシビリティ方針の策定、ガイドラインの整備、定期的な監査の実施、担当者の教育・育成などが重要な要素となります。また、アクセシビリティをシステム開発プロセスに組み込み、設計・開発・テストの各段階で確実にチェックする仕組みを整えることも大切です。外部の専門家による監査や助言を定期的に受けるのも効果的でしょう。アクセシビリティ品質の維持は、組織を挙げての継続的な取り組みが求められます。

以上、Webサイトのアクセシビリティに関するFAQをお届けしました。アクセシビリティ対応には、技術的な側面だけでなく、組織文化や運用面での工夫も必要不可欠です。イノーバは、長年にわたってアクセシビリティ改善に取り組んできた経験と知見を活かし、お客様の課題解決をサポートいたします。Webアクセシビリティの向上を通じて、すべての人に優しいWebづくりを一緒に目指しませんか。ご相談をお待ちしております。

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イノーバマーケティングチーム

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