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イノーバマーケティングチーム2024/03/08 8:21:322 min read

ブランドは成長・変化する-「リブランディング」について理解しよう

なぜ今、BtoB企業にリブランディングが必要なのか?

ビジネス環境が急速に変化する中、多くのBtoB企業が転換期を迎えています。特に日本企業において、長年築き上げてきた伝統や信頼は大きな強みである一方、変化する市場環境への適応が課題となっています。ここではBtoB企業になぜリブランディングをする必要があるのかについてご紹介いたします。

 

市場変化と課題への対応

デジタル化の波が押し寄せ、グローバル競争が激化する中、BtoB企業は複数の重要な課題に直面しています。これらの課題に効果的に対応するためには、従来のビジネスモデルやブランドイメージの見直しが不可欠です。以下、具体的な課題とその影響について見ていきましょう。

競争の激化

もはや製品の品質や技術力だけでは差別化が難しい時代となりました。特に製造業では、アジアの新興メーカーの台頭により価格競争が激化しています。今、求められているのは、製品の優位性に加えて、ブランドを通じた独自の価値提供です。

デジタル化の加速

コロナ禍をきっかけに、BtoB取引のデジタル化が一気に進みました。従来の対面営業中心から、オンライン商談やバーチャルショールームの活用へと、顧客接点が大きく変化しています。こうしたデジタル時代に相応しい、新しいブランドイメージの構築が急務となっています。

グローバル化の進展

日本市場の成熟化により、BtoB企業の海外展開が加速しています。しかし、日本での実績や知名度は必ずしも海外では通用するとは限りません。各地域の文化や商習慣に合わせたブランド戦略の再構築が必要です。

持続可能性への関心の高まり

環境問題や社会貢献への取り組みが、BtoB取引の重要な判断基準となっています。特に欧州では、取引先選定にあたってサステナビリティへの取り組みが重視されています。自社の環境・社会貢献活動を効果的に伝えるブランド戦略が、今後ますます重要になるでしょう。

 

企業の成長と進化

企業が成長フェーズに入ると、既存のブランドイメージでは新たな事業展開や企業としての進化を表現しきれなくなることがあります。以下では、企業の成長に伴うリブランディングの必要性について説明します。

合併や買収

企業の合併や買収(M&A)では、異なる企業文化やブランドの統合が大きな課題となります。両社の強みを活かしながら、新しい企業としての一貫したブランドイメージを構築する必要があります。

事業拡大

多くのBtoB企業が、従来の製品販売からサービス提供へと事業領域を拡大しています。新規事業や新サービスの立ち上げに伴い、企業としての提供価値も変化します。この変化を適切に反映した、新しいブランドイメージの構築が求められます。

国際展開

グローバル展開を進める企業には、各地域の市場特性や文化的背景を考慮したブランド戦略が求められます。国内市場で築いてきたブランドイメージを、グローバル市場でも通用する形に進化させていく必要があります。

このように、企業の成長段階に応じて、適切なタイミングでのリブランディングが重要となります。

 

ブランドイメージの陳腐化

時代とともに変化する顧客の期待や技術要件に、既存のブランドイメージが追いつかなくなることがあります。この問題について、具体的な事例とともに見ていきましょう。

長年使用してきたロゴやデザインが、デジタル時代の要件に適合しない例も増えています。例えば、スマートフォンの小さな画面での視認性や、アニメーション対応の必要性など、新たな技術要件に対応したブランドデザインの刷新が求められています。

ネガティブなブランドイメージの払拭

時として企業は、様々な要因によって築き上げてきたブランド価値が損なわれる事態に直面します。このような状況からの回復には、戦略的なリブランディングが効果的な解決策となり得ます。

品質問題や不祥事により失った信頼を回復するため、また時代にそぐわなくなったイメージを一新するため、リブランディングが必要となるケースもあります。ただし、この場合は単なるイメージ刷新だけでなく、企業文化や事業プロセスの根本的な変革と合わせて実施することが重要です。

以上のような環境変化により、今、多くのBtoB企業がリブランディングを検討する時期に来ています。

 

リブランディングとは? 具体的な内容と期待できる効果

市場環境の変化に対応し、企業の持続的な成長を実現するためには、時としてブランドの大幅な見直しが必要となります。ここでは、リブランディングの具体的な内容と、それによって得られる効果について解説します。

リブランディングとは?

リブランディングとは、企業が市場での地位や顧客からの認識を刷新するために行う戦略的な活動のことです。ここでは、リブランディングの内容を、さらに詳しく以下の3つのポイントに分解して解説しています。

ブランドの再定義

企業は、時代や市場の変化に合わせて、自社の存在意義や目指す未来、行動指針を改めて明確化する必要があります。

具体的には、以下のような項目があります。

  • 企業理念: 企業の存在意義、社会における役割を定義します。
  • ビジョン: 企業が目指す将来像、長期的な目標を具体的に示します。
  • 価値観: 企業が大切にする信念、行動規範を定めます。



ターゲット顧客の明確化

リブランディングによって、企業は自社の製品やサービスを「誰に」提供し、「どのような価値」を提供するのかをより具体的に定めます。これにより、マーケティング活動がより効果的になり、適切な顧客にメッセージを届けることが可能になります。

 

ブランドイメージの刷新

顧客に新しいブランドイメージを印象付けるためには、視覚的な要素やコミュニケーション方法を刷新する必要があります。

具体的な刷新対象は以下のとおりです。

  • ロゴ: 企業の象徴であり、視覚的なアイデンティティの中核となる要素です。
  • ブランド名: 企業や製品を識別する重要な要素であり、変更する場合は慎重な検討が必要です。
  • スローガン: ブランドメッセージを簡潔に表現し、顧客の記憶に残るようなフレーズを作成します。
  • ウェブサイト: 企業情報を発信する重要なプラットフォームであり、新しいブランドイメージに合わせてデザインやコンテンツを刷新します。
  • マーケティング資料: パンフレット、カタログ、プレゼンテーション資料など、顧客とのコミュニケーションに使用する資料を新しいブランドイメージに合わせて作成します。

 

これらの要素を効果的に組み合わせることで、顧客に統一されたブランド体験を提供し、企業の成長や競争優位性の確保につなげることが可能になります。

 

リブランディングによって期待できる効果

適切に実施されたリブランディングは、以下のような多面的な効果をもたらします。

売上増加

新規顧客層への訴求力が高まり、新たな市場開拓が可能になります。同時に、既存顧客との関係も深化し、取引の継続性が高まります。提供価値の明確化により、顧客単価の向上も期待できます。

競争優位性の確保

独自の市場ポジションを確立することで、価格競争から脱却し、持続的な競争優位性を築くことができます。特に、技術やスペックでの差別化が難しい市場において、ブランド力による差別化は重要な戦略となります。

企業価値の向上

投資家に対して、将来の成長性や企業としての方向性を明確に示すことができ、企業としての市場価値向上につながります。また、優秀な人材の採用において、企業の魅力を効果的にアピールすることも可能となります。

従業員エンゲージメントの向上

従業員が新しいブランドビジョンに共感することで、モチベーションと帰属意識が高まります。組織の一体感が醸成され、従業員一人一人が、ブランドの価値を体現する「ブランドアンバサダー」となっていきます。

このように、リブランディングは単なるイメージ刷新ではなく、企業の成長戦略における重要な施策として位置づけられます。次章では、実際のBtoB企業によるリブランディングの成功事例を見ていきましょう。

成功事例に学ぶ:BtoB企業のリブランディング戦略

ここからは、実際に成功を収めた企業の事例から、効果的なリブランディングの要素を学んでいきましょう。

 

事例1: 7UP (飲料メーカー)

概要

7UPは、1929年に誕生したアメリカの炭酸飲料ブランドです。長年、緑色のロゴと爽やかなイメージで知られていましたが、近年は競合ブランドの台頭や消費者ニーズの変化により、売上低迷に苦しんでいました。

そこで、2023年に大規模なリブランディングを実施しました。ロゴ、ブランドカラー、ポジショニング を一新し、若くエネルギッシュなイメージを確立することで、ブランドの再活性化を目指しました。

成功要因

7UPのリブランディング成功には、以下の3つの要因が大きく貢献しました。

  • 時代遅れのイメージからの脱却: 従来の緑色のイメージから、より鮮やかで現代的なイメージへと転換しました。新しいロゴは、ブランド名である「7」と「UP」を組み合わせたシンプルなデザインを採用し、視認性を高めました。また、ブランドカラーには、従来の緑色に加えて、黄色や赤色など、より明るく活気にあふれる色を導入しました。
  • ターゲット顧客の明確化: リブランディングに合わせて、ターゲット顧客を 若年層 に設定しました。彼らのライフスタイルに合わせたマーケティング活動を展開し、ソーシャルメディアやデジタル広告を積極的に活用しました。また、商品パッケージにも若者向けのデザインを採用し、購買意欲を高めました。
  • 一貫性: ロゴ、パッケージ、広告など、あらゆるタッチポイントで一貫したブランドイメージを表現しました。これにより、顧客に統一されたブランド体験を提供することに成功し、ブランド認知度とロイヤルティを高めました。

7UPのリブランディングは、時代遅れのイメージを払拭し、若年層を中心に新たな顧客を獲得することに成功した好例と言えます。

 

事例2:LG (電機メーカー)

概要

LGは、韓国を代表する大手電機メーカーです。世界市場において高いブランド認知度を誇っていますが、近年は中国メーカーなどの台頭により、競争が激化しています。

そのため、2023年に大規模なリブランディングを実施しました。3Dから2Dへのロゴ変更、新キャラクター導入、ブランドカラーの変更、新バリューの統合 など、多角的なアプローチでブランドイメージの刷新を図りました。

成功要因

LGのリブランディング成功には、以下の3つの要因が大きく貢献しました。

  • 若年層へのアピール: より遊び心のある、現代的なブランドイメージを構築することで、ミレニアル世代やZ世代の顧客を獲得することに成功しました。ロゴを2Dに変更することで、デジタル環境での視認性を高め、新キャラクター「Joy」と「Ryder」を導入することで、親しみやすさを演出しました。
  • ブランドストーリーの強化: 韓国文化を取り入れたキャラクターや、"Life's Good" のスローガンを強調することで、ブランドストーリーをより豊かに表現しました。これにより、顧客との emotional connection (感情的な繋がり)を強化し、ブランドロイヤルティを高めました。
  • 多様なタッチポイントでの展開: ロゴ、キャラクター、カラー、スローガンなど、様々な要素を統合的に活用することで、一貫したブランド体験を提供しました。ウェブサイト、広告、製品パッケージ、店舗デザインなど、あらゆるタッチポイントでリブランディングを展開し、顧客に新しいブランドイメージを浸透させました。

LGのリブランディングは、大胆な変革を図りながらも、ブランドの core value (中核となる価値)を維持することで、成功を収めた好例と言えます。

 

 事例3: HubSpot (マーケティングソフトウェア企業)

概要

HubSpotは、マーケティング、セールス、カスタマーサービス、コンテンツマネジメント、オペレーション、コマースを統合したプラットフォームを提供する、世界有数のBtoB企業です。創業当初はインバウンドマーケティングに特化していましたが、近年は包括的なビジネス成長プラットフォームへと進化を遂げています。

HubSpotのリブランディングは、この事業拡大に伴い、より幅広い顧客ニーズに対応し、ブランドイメージを刷新することを目的として実施されました。

成功要因

HubSpotのリブランディング成功には、以下の要因が貢献したと考えられます。

  • 包括的なプラットフォーム戦略: HubSpotは、従来のマーケティングツールとしての枠を超え、ビジネス成長を包括的に支援するプラットフォーム へと進化しました。この戦略転換を明確に示すことで、より幅広い顧客層を獲得し、市場での競争優位性を強化しました。
  • 顧客中心主義: HubSpotは、常に顧客の声に耳を傾け、顧客の課題解決を第一に考える 企業文化を大切にしています。リブランディングにおいても、顧客のニーズを徹底的に分析し、製品開発やマーケティング戦略に反映させています。
  • 強力なコンテンツマーケティング: HubSpotは、自社のブログやウェブサイト、ソーシャルメディアを通じて、質の高いコンテンツ を継続的に発信しています。これにより、潜在顧客へのリーチを拡大し、ブランド認知度と信頼性を高めています。

HubSpotは、包括的なプラットフォーム戦略と顧客中心主義を軸に、リブランディングを成功させた好例と言えるでしょう。

 

これらの事例から、BtoB企業のリブランディングにおいて重要なポイントは、

  • 明確な目的意識: 何のためにリブランディングを行うのか、目的を明確にすることが重要です。
  • ターゲット顧客の理解: 顧客のニーズや行動を深く理解し、ターゲット顧客を明確に設定する必要があります。
  • 一貫性: ロゴ、ブランド名、スローガン、ウェブサイト、マーケティング資料など、あらゆるタッチポイントで一貫したブランドイメージを表現する必要があります。
  • 長期的な視点: リブランディングは、短期的な効果ではなく、長期的なブランド価値の向上を目指すべきです。

であることがわかります。

リブランディングは、企業にとって大きな変革であり、リスクを伴う挑戦でもあります。しかし、成功すれば、企業の成長を大きく加速させる可能性を秘めています。

BtoB企業は、これらの成功事例を参考に、自社の状況に合わせた戦略を立案し、実行することが重要です。

 

BtoB企業がリブランディングを成功させるためのステップ

ここからは、BtoB企業がリブランディングを成功させるための各ステップを、詳細に解説します。

 

1. 現状分析

リブランディングの最初のステップは、現状を徹底的に分析することです。 顧客調査、競合分析、市場調査などを通じて、自社のブランドイメージ、市場におけるポジショニング、顧客ニーズ、競合他社の状況などを客観的に把握します。

  • ブランドイメージ: 顧客や市場から、自社のブランドはどのように認識されているのか? 強みと弱みは何か?
  • 市場ポジショニング: ターゲット市場において、自社はどのような位置づけにあるのか? 競合他社との差別化ポイントは何か?
  • 顧客ニーズ: 顧客は、自社の製品やサービスにどのような価値を求めているのか? 顧客のニーズは変化しているのか?
  • 競合他社の状況: 競合他社は、どのようなブランド戦略を展開しているのか? 競合他社の強みと弱みは何か?

これらの分析結果を踏まえ、リブランディングの必要性、目的、目標を明確化します。

2. ブランドの再定義

現状分析を基に、企業理念、ビジョン、価値観を見直し、顧客に提供する価値を再定義します。 これは、リブランディングの方向性を定める上で非常に重要なステップです。

  • 企業理念: 企業の存在意義、社会的な役割は何か?
  • ビジョン: 将来、どのような企業を目指していくのか?
  • 価値観: 企業活動において、何を大切にしているのか?

これらの要素を再定義することで、顧客に共感 されるブランドストーリーを構築することができます。

3. ターゲット顧客の明確化

ブランドの再定義に基づき、誰に、どのような価値を提供するのかを具体的に定めます。 顧客を年齢、性別、職種、業界、規模、購買行動などの属性でセグメント化し、最も重要な顧客 をターゲット顧客として設定します。

ターゲット顧客を明確化することで、リブランディング施策を効果的に展開することができます。

4. ブランド戦略の策定

ターゲット顧客に響く、新しいブランドイメージを構築するための具体的な戦略を策定します。

具体的な施策例:

  • 新しいブランドロゴのデザイン: ロゴはブランドの顔となる重要な要素です。
  • ブランド名、スローガンの変更: ブランド名やスローガンを変更することで、ブランドイメージを大きく変えることができます。
  • ブランドメッセージの開発: ターゲット顧客に伝えたい、ブランドの価値を明確に表現したメッセージを開発します。
  • ウェブサイト、マーケティング資料の刷新: 新しいブランドイメージを反映したデザイン、コンテンツに刷新します。
  • ブランドガイドラインの作成: ブランドのロゴ、カラーパレット、タイポグラフィなどの使用ルールを明確化します。

これらの施策を統合的に展開することで、一貫したブランドイメージ を構築し、顧客に効果的に訴えることができます。

5. 実行と評価

策定したブランド戦略に基づき、ウェブサイト、マーケティング資料などを刷新し、新しいブランドイメージを浸透させていきます。

実行

  • 社内への浸透: 社員が新しいブランドを理解し、共感することが重要です。
  • 社外への発信: 広報活動、広告展開、イベント開催などを通じて、新しいブランドを積極的に発信します。

評価

  • ウェブサイトへのアクセス数、問い合わせ件数、顧客満足度などの指標を設定し、リブランディングの効果を測定します。
  • 効果測定の結果を分析し、必要に応じてブランド戦略を修正・改善します。

リブランディングは、一度実施すれば終わりではありません。 継続的に効果を測定し、改善を繰り返すことで、ブランドを成長させていくことが重要です。

これらのステップを着実に実行することで、BtoB企業はリブランディングを成功させ、企業の成長を加速させることができるでしょう。

 

おわりに:リブランディングで実現するBtoB企業の持続的成長

本記事では、BtoB企業におけるリブランディングの重要性と実践方法について解説してきました。市場環境が急速に変化する中、多くのBtoB企業は競争激化やデジタル化の波に直面しています。これらの課題に対応し、持続的な成長を実現するためには、戦略的なリブランディングが有効な選択肢となります。

リブランディングは単なるロゴやデザインの変更ではありません。企業の存在意義や価値観を見直し、顧客への提供価値を再定義する包括的な取り組みです。成功事例から学べるように、明確な目的設定とターゲット顧客の理解、そして一貫性のある施策展開が重要です。

特に日本のBtoB企業にとって、長年築き上げてきた伝統や信頼を活かしながら、新しい時代に適応していくことが課題となっています。リブランディングを通じて、企業の強みを再定義し、新たな価値提供を実現することで、グローバル市場での競争力を高めることができるでしょう。

最後に、リブランディングは一度の施策で完結するものではありません。継続的な効果測定と改善を重ねることで、企業ブランドは進化し続けます。競争が激化するBtoB市場において、戦略的なリブランディングは、持続的な成長への重要な一手となるはずです。

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イノーバマーケティングチーム

株式会社イノーバの「イノーバマーケティングチーム」は、多様なバックグラウンドを持つメンバーにより編成されています。マーケティングの最前線で蓄積された知識と経験を生かし、読者に価値ある洞察と具体的な戦略を提供します。